裁判員情報

トップ > 裁判員情報 > 2016年07月

2016年07月

7月29日 横浜地裁小田原支部
伊勢原市で元同僚の男性に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた住所不定、無職の男(44)の裁判員裁判の判決公判が29日、横浜地裁小田原支部であり、安藤祥一郎裁判長は懲役9年(求刑10年)を言い渡した。

7月26日 岡山地裁
去年5月、玉野市で暴力団組員2人を拳銃で撃ち殺害しようとして大怪我をさせた70歳の男性に対し、江見健一裁判長は、「強い殺意に基づく危険極まりない行為、真摯な反省の情はうかがわれない」ものの、「前科がない」ことなどから、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
裁判では、本人の意思で拳銃を発射したのかと、殺意があったかが争点になっていた。

7月25日 札幌地裁
義母を殺害したとして、殺人の罪に問われた62歳の女性に対し、金子大作裁判長は「計画性はないが、強固な殺意に基づいた犯行」として、懲役9年(求刑13年)を言い渡した。
判決理由で金子裁判長は、「肝臓に達する致命傷を含む多数の傷を負わせて被害者を殺害しており、主な動機は被害者に対する憎しみだった」とした。
一方、被告が結婚後から約40年間、被害者から家事などで厳しい注文を付けられていたとして「被告は強い抑圧を受けており、犯行を決意した理由などに、ある程度くむべき事情もある。検察側の求刑はやや重すぎる」と指摘した。

7月21日 最高裁
長崎県で2011年、ストーカー被害を訴えていた女性の母と祖母を殺害したなどとして、殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けた31歳の男性に対し、最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は「客観的証拠に基づき、被告を犯人と認定した1、2審の判断は相当」と判断し、被告の上告を棄却した。死刑判決が確定する。
判決は「交際女性を取り戻すことへの一方的な執着と、その障害と考えた家族を殺害した動機は、甚だ身勝手で酌量の余地は全くない」と指摘。「インターネットで家族の住所を調べるなど計画性も高く、何の落ち度もない2人の命が奪われた結果は重大で、刑事責任は極めて重い」とした。
5人の裁判官全員一致の意見だった。
被告は捜査段階で犯行を認めたが、公判では「警察に自白を強要された」などと一貫して無罪を主張していた。
1、2審判決によると、被告は11年12月16日、元交際相手の女性の実家などに侵入し、女性の母=当時(56)=と祖母=当時(77)=を出刃包丁で多数回突き刺して殺害するなどした。
1審長崎地裁は「捜査段階の自白は信用できる」として求刑通り死刑を言い渡し、2審福岡高裁も支持した。

7月21日 静岡地裁沼津支部
実父の首を絞めて殺害したとして殺人の罪に問われた37歳の男性に対し、懲役6年(求刑8年)を言い渡した。
斎藤千恵裁判長は、約15分にわたって首を絞め続けた殺害方法について「身勝手な動機による強い殺意に基づく犯行」と指摘し、「犯行に至る経緯には同情すべき点もある」と量刑理由を述べた。
判決によると、被告は2015年7月、富士市内の自宅で実父=当時(79)=に睡眠導入剤を飲ませ、殺意を持って熟睡している実父の首を両手で圧迫して窒息死させた。

7月21日 名古屋地裁
住宅に侵入し女性に暴行を加えてけがをさせたとして、強制わいせつ致傷や窃盗罪に問われた23歳の元愛知県警巡査に対し、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑5年6月)を言い渡した。
判決理由で丹羽敏彦裁判長は「逃走経路を確保するなど犯行は計画的で手慣れていた」と指摘。一方で「結果は際立って悪質とは言えない」とした。また「のぞきや盗撮を繰り返すなど犯罪性向は根深く、更生には専門的指導が必要」と判断した。
判決によると、2015年3月、愛知県の住宅から現金約6千円や女性用下着を盗んだほか、16年1月、同県の住宅に侵入し寝ていた20代女性に暴行し、口に約2週間のけがを負わせた。

7月20日 前橋地裁
前橋市の住宅街で高齢者3人が殺傷された事件で強盗殺人罪などに問われた男性(27)に対し、求刑通り死刑を言い渡した。殺意や計画性、精神的な障害の影響が主な争点だった。
鈴木秀行裁判長は判決理由で、殺された女性=当時(93)=と男性=当時(81)、重傷を負った妻について、被告が首や胸を包丁で何度も刺している点などから「確定的な殺意があった」と認定した。
事件後の精神科医による鑑定で、被告は衝動を抑える力が乏しい「パーソナリティー障害」と診断された点を踏まえ、弁護側が障害の影響を主張したが、「障害に由来するパニックにより行為の危険性を認識する能力が低減していたとは考えられない」と退けた。
これまでの公判で、被告は2歳ごろに両親が離婚し、4歳から中学卒業まで県内の児童養護施設で育ったが、学校や施設でいじめを受けた成育歴が明らかになった。障害の影響などもあり仕事を転々とし、事件前には無職で食料と貯金も底を突き、水や砂糖のみの生活が続いた点も注目された。
判決では、こうした点を踏まえ「パーソナリティー障害を形成する要因となった不幸な成育歴には被告人だけを責めきれない面があり、同情を禁じ得ない」と言及したが「量刑にあたってそれを過大評価することはできない」と説明した。
主任弁護人の中田太郎弁護士は取材に「パーソナリティー障害などで弁護側の主張が十分伝わらなかったことは残念」と話し、即日控訴したと表明。判決後の被告について「本人は事態をよく受け止めていない様子だった」と話した。

7月20日 東京地裁
覚せい剤約2.4㌔が隠されたスーツケースを密輸したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたシンガポール国籍の女性(43)に対し、辻川靖男裁判長は「違法薬物を認識していたとは認められない」と述べ、無罪(求刑12年・罰金500万円)を言い渡した。
判決は、女性はインターネットを通じて知り合った男から、有名ブランドのサンプルを運ぶ仕事として誘われたと指摘。「海外で働くのが夢だった」などのメールを男に送っており、「仕事内容に疑念を抱いていなかったと認められる」と判断した。

7月20日 横浜地裁
埼玉県富士見市のマンションで2014年、ベビーシッターに預けられた横浜市の男児=当時(2歳)=が窒息死した事件で、殺人罪などに問われたベビーシッターの男性(28)に対し、懲役26年(求刑・無期)を言い渡した。
公判で被告は「男児は風呂で溺れた」と殺人罪を否認。判決で片山隆夫裁判長は「肺に水が入った形跡はなく、男児の鼻と口を数分間強くふさいで窒息死させた。動機は不明だが、突発的とはいえ強固な殺意があった」とした。
さらに、男児や他に預かった子どもたちへの強制わいせつ罪などについても「極めて悪質で陰湿」と厳しく非難し、一緒に預けられた男児の弟=当時9か月=への保護責任者遺棄致傷罪の成立も認めた。
量刑理由では「不合理な弁解をし反省の情は乏しい」とした上で、「殺人には計画性がなく、無期懲役は重すぎる」と説明した。
判決読み上げの間、被告は裁判長を見たまま、身じろぎもしなかった。判決後、男児の母親は「刑が思っていたよりも軽くて残念。命の重さを本当に考えてもらえたのか」とのコメントを出した。
判決などによると、14年3月、インターネットのベビーシッター仲介サイトで男児と弟を預かり、男児を殺害した上、弟にミルクなどを与えず重度の低血糖症にさせた。

7月20日 津地裁
三重県鈴鹿市で昨年8月、中国籍の女性=当時(38)=を殺害し、現金の入ったバッグを奪ったとして強盗殺人罪に問われた23歳の男性に対し、増田啓祐裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
増田裁判長は判決理由で「パイプ椅子の硬い座面で後頭部をかなり強い力で殴っている。人が死ぬ危険性の高い行為との認識があった」と指摘。争点だった殺意は、あったと認定した。弁護側は「バッグを盗もうとしているのが見つかり、パニックになり殴った」と情状酌量を求めていたが、増田裁判長は「逃げるため変装するなど合理的な行動を取っており、行動をコントロールできていた」と述べ、退けた。
判決によると、ネットを通じて被害者と知り合った被告は昨年8月9日、鈴鹿市のホテルで、約11万6千円が入ったショルダーバッグを盗もうとしているところを見つかり、パイプ椅子で頭部を何度も殴って殺害した。

7月20日 鳥取地裁
鳥取県米子市で2009年、元勤務先のホテルの男性支配人を襲って現金を奪い、6年後に死亡させたとして、強盗殺人などの罪に問われた59歳の男性に対し、強盗殺人罪の成立を認めず、殺人と窃盗罪を適用して懲役18年(求刑・無期)を言い渡した。
被告は全面的に否認して無罪を主張したが、辛島明裁判長は被告が事件直後に230枚の千円札を自分の口座に入金しており、事件後になくなった金額や紙幣の枚数に近いことなどから「犯人像と一致し、犯行の機会もあった」と判断した。
また、殺人と窃盗罪を適用した理由については「支配人の不在を期待して現金を盗もうとし、居合わせた支配人に対し、怒りにまかせて突発的に暴行を加えた」とした。
判決によると、被告は09年9月29日夜、米子市内のホテルの事務所で支配人の男性=当時(54)=の頭を壁にぶつけるなどした上、現金約27万円を盗み、男性をこの時の暴行に基づく多臓器不全で昨年9月に死亡させた。
弁護人の吉岡伸幸弁護士は「判決は、検察、弁護側の主張から完全に逸脱した事実認定をしており、控訴する」と述べた。

7月16日 札幌地裁
3月、精神疾患のある長女(当時43歳)を殺害したとして、殺人罪に問われた81歳の父親に対し、同罪の法定刑の下限(懲役5年以上)を下回る懲役4年(求刑7年)の判決を言い渡した。
中桐圭一裁判長は、被告が長年の看病で追い詰められた経緯を考慮しながらも、「(長女の)病気とともに社会の中で歩む道を選ばなかった」と指摘し、実刑判決が相当と結論づけた。
判決などによると、長女は重度の強迫性障害のため極度の潔癖性があり、被告と妻の食事や外出などを厳しく制限していた。事件前日、持病の診察予定がある妻の外出がかなわなかったため、被告は殺害を決意。自宅駐車場の車内で首を絞めて長女を殺害した。
公判で弁護側は「長女の病気で夫婦はろくに食事させてもらえないなど、異常な生活を強いられ、追い詰められていた」と主張し、量刑が争点となっていた。
中桐裁判長は判決で、「助けを求める被害者の首を約30分絞め続けており、強い殺意に基づく犯行だ」と指摘。「30年以上にわたる長女との生活で思い詰めた経緯には理解できる面がある」としつつ、「長女の意向に反してまで警察や行政などの公的支援や治療を受けようとしなかった」と認定。自首したことを踏まえても「刑の執行を猶予すべきではない」とした。

7月16日 宇都宮地裁
生後4か月の長男を強く揺さぶって死亡させたとして、傷害致死罪に問われた34歳の父親に対し、懲役7年6月(求刑8年)を言い渡した。
二宮信吾裁判長は「長男が泣きやまないことにいら立っての犯行で、思慮に欠けた行為」と指摘した。
判決によると、被告は、当時住んでいたアパート浴室で、長男を激しく揺さぶり、「乳幼児揺さぶられ症候群」の特徴的な症状である急性硬膜下血腫などで死亡させた。
公判で弁護側は、「被告は長男が入浴剤入りの湯を飲んだと思い、湯を吐き出させて助けようとした」と主張した。だが、判決では、首が据わっていない長男の頸髄が損傷していることや、救急隊員に揺さぶったことを伝えなかったことなどから、「弁解は不合理で信用できず、揺さぶりは蘇生や救急目的ではあり得ない」とした。

7月15日 福岡地裁
男児に対する傷害致死罪に問われ、一審の裁判員裁判で無罪判決を受けた元少年(23)の差し戻し審判決で、松藤和博裁判長は「(致命傷は)被告が故意に暴行を加えたことで生じたと認められる」として、懲役5年(求刑8年)を言い渡した。
弁護側は控訴を検討している。
判決によると、元少年は2012年3月、当時交際していた女性の長男(当時2歳)を女性宅で暴行し、十二指腸破裂による循環不全で死亡させた。
元少年は捜査段階から否認し、故意に暴行を加えたかどうかや、事件が起きた時間帯などが争点になっていた。判決は「右側腹部に暴行を加えた」との検察側の主張を認める一方、量刑について「突発的・衝動的な犯行と考えざるを得ず、当時少年だったことなどを考慮した」と説明した。
地裁小倉支部で13年2月にあった一審の裁判員裁判では、暴行があったとされる時間帯に十二指腸破裂が生じていたと認めるには「合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡し、検察側が控訴。14年2月の福岡高裁判決は、一審判決に「事実誤認がある」として破棄・差し戻し判決を下した。元少年側は上告したが最高裁が棄却していた。

7月14日 大阪地裁
自宅で昨年11月、統合失調症の長女(当時43歳)を心中目的で絞殺したとして、殺人罪に問われた87歳の父親と70歳の母親に対し、懲役3年(ともに求刑7年)を言い渡した。
西野吾一裁判長は、両親は長女の長期間の世話で精神的に追い詰められていたと認定。殺人罪の法定刑の下限(5年)から刑を減軽した。
一方、西野裁判長は「具体的な打開策を講じておらず、やむを得ない犯行とまでは言えない」と述べ、弁護側が求めた執行猶予付き判決は選択しなかった。
判決によると、2人は約20年続いた長女の浪費で貯蓄が底を突きかけたことや日ごろの言動から、将来を悲観。自宅で寝ていた長女の顔をハンマーで殴り、ベルトで首を絞めて窒息死させた。
2人は同21日、大阪府貝塚市の海で自殺を図ったが、釣り人に発見された。

7月14日 大阪地裁
アパートで昨年2月、1階の住人男性を殺害したとして殺人罪などに問われた68歳の男性に対し、浅香竜太裁判長は「被告には強固な殺意があった」と述べ、懲役13年(求刑15年)を言い渡した。
判決によると、アパート2階に住んでいた被告は、騒音が聞こえた被害者(当時71歳)方に腹を立てて向かい、顔などを何度も蹴って殺害した。

7月11日 横浜地裁
義父=当時(46)=に暴行を加えて死亡させるなどしたとして、傷害致死などの罪に問われた42歳の男性に対し、懲役10年(求刑14年)を言い渡した。
被告は「仕事の話で口論となり、義父が絞め殺そうとしてきたので攻撃を加えた」と供述し、正当防衛が成立するかが争点だった。
深沢茂之裁判長は判決理由で、被害者の兄や被告の元交際相手が、義父は被告から常習的に暴力を受けていたと証言していることや、遺体の状態を踏まえて「暴行は一方的なものだった」と認定。正当防衛は成立しないと判断した。
その上で、「リフォーム現場での事故を契機に怒りを爆発させた。多数回かつ一方的に暴行を加え、危険で悪質だ」と非難した。被告は暴行で死亡させた約1カ月前にも義父に暴行を加えていたとし、「相応の重さをもって考慮すべき」と述べた。

7月11日 大阪地裁堺支部
女性からかばんを奪いけがをさせたとして強盗致傷罪に問われた30歳の男性に対し、渡部市郎裁判長、「犯人であることに合理的な疑いが残る」と述べ、無罪(求刑8年)を言い渡した。
男性は2014年8月6日深夜、大阪府藤井寺市の路上で、20代女性を引き倒してかばんと紙袋を奪い、頭部打撲などのけがをさせたとして起訴された。
検察側は現場近くの防犯カメラに写った自転車の人物が犯人などと主張したが、渡部裁判長は「映像が不鮮明で、犯人と同一というには情報不足。犯人と自転車を結び付けるには疑問が残る」と退けた。

7月8日 新潟地裁
飲酒後に車を運転し、3人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた63歳の男性に対し、竹下雄裁判長は懲役11年(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年11月24日午前10時ごろ、飲酒し正常な運転が困難な状態で車を運転し、消雪パイプを点検していた作業員をはねるなどして死亡させ、別の作業員2人にも重傷を負わせた。
竹下裁判長は「作業予告看板に衝突するなど、正常な運転が困難な状態で走行し、危険な犯行態様だ」と指摘した。

7月5日 京都地裁
大学生を殴って死亡させたとして、傷害致死罪に問われた22歳の男性に対し、中川綾子裁判長は懲役5年(求刑8年)を言い渡した。
判決によると、男性は、路上で面識のなかった男子大学生=当時(22)=の顔を殴るなどして転倒させ死亡させた。
中川裁判長は「被害者は被告らに暴力を振るうそぶりを一切しておらず、被告が暴力を振るったことは短絡的だ」と量刑理由を述べた。

7月5日 京都地裁
交際相手を殺害したとして、殺人罪に問われた30歳の女性に対し、齋藤正人裁判長は懲役6年(求刑10年)を言い渡した。
判決によると、女性は、交際相手だった28歳男性の自宅で、男性の首を刃物で刺し、殺害した。
齋藤裁判長は判決理由で「強い殺意に基づく犯行だ」としつつ、「被告は被害者から日常的に暴力や暴言を加えられ、犯行当日も暴力を受けるなど、衝動的に殺意を抱くに至った」と述べた。

投稿者 : いらないインコ|2016年8月14日