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2016年09月

9月29日 福井地裁
昨年3月、教え子の大学院生の女性(当時25)を殺害したとして、殺人罪に問われた福井大学教職大学院の元特命准教授(44)に対し、入子光臣(いりこみつおみ)裁判長は嘱託殺人罪を適用し、懲役3年6カ月(求刑13年)を言い渡した。
公判で被告は殺害行為を認めたうえで、交際関係にあった被害者から殺害を頼まれたと述べた。弁護側は殺人罪より量刑が軽い嘱託殺人罪(6カ月以上7年以下の懲役または禁錮)の適用を求め、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決は、被害者が精神的に不安定な状態に陥っていたと指摘し、「自殺の意思を有していた可能性は否定できない」と認定。そのうえで「嘱託がなかったと認定するには合理的な疑いが残る」と結論づけた。

9月20日 さいたま地裁
昨年10月、要介護状態の母の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた41歳の長女に対し、懲役3年・執行猶予4年(求刑5年)を言い渡した。
守下実裁判長は判決で「うつ病が悪化し心神耗弱状態だった」と判断。「介護から解放されたい」といった動機に関し「家族関係などからすれば、強く非難することまではできない」と述べた。

9月16日 東京地裁立川支部
路上で2014年11月、交通トラブルの相手の男性が自分の車のドアにしがみついているのに車を発進させ、死亡させたとして、傷害致死罪に問われた46歳の男性の正当防衛の成立を認め、無罪(求刑3年)を言い渡した。
菊池則明裁判長は「相手の男性が被告を運転席から引きずり出し、暴行を加えるなどの危険性があった」と認定した。
判決によると、トラブルが起きた際、相手の男性(当時23歳)は被告の運転席付近で怒鳴り、拳を突き出して顔面を車の中に入れた。被告はそのまま車を発進して加速し約25㍍走行、男性は転倒し、頭などをひかれて死亡した。
検察側は「窓を閉めたり、速度を落としたりするなど他の手段もあった」と主張したが、判決は「逆上した相手に何をされるか分からないという状況にあった」と指摘。「被告に加害の意思はなく、他に回避手段をとることも困難だった」として正当防衛の成立を認めた。

9月15日 甲府地裁
発達障害がある小学6年生の長男の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた40歳の母親に対し、懲役3年・執行猶予5年を言い渡した。
丸山哲巳裁判長は「犯行は被害者の背後から近づくなど、確実に殺すような危険な方法だ」と指摘しました。その上で、「長男の将来で悲観的になるなど、統合失調症を悪化させ、被告には同情の余地があり、同じ事案の中でも重い部類には位置づけられない」とした。

9月15日 大阪高裁
昨年3月、交通違反の取締りを行っていた警官をクルマではねて殺害したとして、殺人などの罪に問われた32歳の男性の控訴を棄却。一審の懲役17年判決を支持した。
事件は2015年3月12日の午後4時5分ごろ発生。市道(片側1車線の直線区間)で交通違反の取締りを行っていた大阪府警・浪速署員が、右折禁止となっている交差点を右折してきた軽乗用車を発見。50歳(当時)の男性巡査部長が車道に出て停止を命じたところ、一旦停止したクルマは再発進して巡査部長に衝突。路上に転倒した巡査部長をひきずり、乗り越えるようにして逃走した。巡査部長は近くの病院へ収容されたが、腹部強打による内臓損傷などが原因で約7時間後に死亡している。
この直後、ナンバープレートの窃盗容疑に関わったとして32歳の男性が逮捕されたが、後の調べでこの男性が事件に関与していたことが判明。検察はこの男性を殺人罪で起訴、一審の大阪地裁は被告の「未必の殺意」を認め懲役17年の実刑を命じていたが、弁護側は「被告に殺意は無く、傷害致死に留まる」として控訴していた。
15日に開かれた控訴審の判決公判で、大阪高裁の西田真基裁判長は「被告は被害者が死傷する危険性が高いことを認識した上で至近距離からクルマを急加速させており、ブレーキを掛けるなどの衝突回避措置を取っていない」と指摘。「未必の殺意」が生じていたことを改めて認定するととも、一審判決を支持。被告の控訴を棄却している。

9月15日 奈良地裁
自宅で長男(当時2歳)と長女(3)を一緒にプラスチックケースに閉じ込めて長男を窒息死させたとして、監禁致死などの罪に問われた40歳の父親に対し、懲役3年(求刑5年)を言い渡した。
公判では過去に閉じ込めを約20回繰り返していたことが明らかになり、西川篤志裁判長は「同種行為を繰り返して抵抗感が失われていた。真の愛情に基づくものとは言いがたい」と非難した。
判決によると被告は、長男を自宅の収納ケース(奥行き35㌢、幅53㌢、高さ29㌢)にうつぶせに入れ、その上に長女を覆いかぶせて蓋をし、ロックを掛けて約20分間放置。翌日、長男を窒息による低酸素脳症で死亡させた。長女は無事だった。
底におもちゃが残る状態で2人をケースに閉じ込めた行為について、西川裁判長は「身体拘束の程度が強度で、死の結果は容易に分かった」と述べ、死亡を予見できなかったとする弁護側の主張を退けた。弁護側が「しつけ」と主張した動機については、「おもちゃでガラス戸をたたくなどの行為をやめさせ、懲らしめようとした」とし、「おもちゃを取り上げるなど適切な手段があった」と指摘した。

 9月14日 京都地裁
自宅で父に暴行して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた36歳の男性に対し、坪井祐子裁判長は懲役3年(求刑5年)を言い渡した。
判決によると、被告は自宅で父=当時(74)=の腰を蹴るなどして転倒させ、脊髄損傷で死亡させた。弁護側は、暴行の故意はなかったと無罪を主張したが、坪井裁判長は「被告の行為は父との会話に対する不愉快な感情の現れ」として退けた。

9月14日 大阪高裁
2011年、象印マホービン元副社長ら2人を殺害したとして、2件の強盗殺人罪などに問われた55歳の男性の控訴審で、後藤真理子裁判長は、死刑とした一審大阪地裁堺支部の裁判員裁判判決を支持し、弁護側控訴を棄却した。弁護側は即日上告した。

9月13日 広島高裁
集落で2013年、住民5人を殺害したなどとして、殺人と非現住建造物等放火の罪に問われた66歳の控訴審判決は、一審山口地裁の死刑判決を支持、被告側の控訴を棄却した。弁護側は閉廷後、14日にも上告する方針を明らかにした。
多和田隆史裁判長は判決理由で、第三者の犯行を疑わせる状況は見当たらず、被告が犯人との推認を妨げる事情はないと判断。「結果は極めて重大で、強固な殺意が認められる。一審の死刑判決を是認せざるを得ない」と述べた。
弁護側は一審に続き無罪を求め「仮に被告が犯人だった場合でも、心神喪失か心神耗弱が認められるべきだ」と主張していた。被告は起訴後、精神鑑定で妄想性障害と診断されたが、判決は、犯行当時の完全責任能力を認めた一審の判断にも不合理な点はないとした。
判決によると、近所の夫妻や、被告宅の隣に住んでいた女性の頭などを木の棒で殴るなどして殺害。2軒に放火し、集落の別の男女2人も殺害したとされる。

9月9日 釧路地裁
自宅で妻の首を腕で絞め付けて窒息死させ、その後、灯油などをまいて火を放って自宅の一部を焼き、遺体を損壊したとして、殺人と非現住建造物等放火、死体損壊の罪に問われた55歳の男性に対し、三輪篤志裁判長は「身勝手な犯行で、反省の態度がみられない」として、懲役15年(求刑20年)を言い渡した。弁護側は控訴する方針。
判決理由で三輪裁判長は、被告が事件当日に着ていたジャケットの右肘に被害者の唾液が付いていたことから「被告人が犯人であることの決め手となり得ると認められる」と指摘。「被告が被害者のキャッシュカードを無断で使い、借金したことが発覚し、トラブルになって殺害した」と述べた。
弁護側は公判で「検察が主張する殺害時間は根拠に乏しい。窃盗目的の第三者による犯行の可能性を否定できない」と無罪を主張したが、三輪裁判長は「被告人の行動についての供述を裏付ける証拠がなく、犯行は不可能ではない」と退けた。

9月9日 札幌地裁
同居していた交際相手を殺害したとして、殺人の罪に問われた39歳の男性に対し、金子大作裁判長は、懲役14年(求刑15年)を言い渡した。
判決理由で金子裁判長は、「睡眠導入剤を飲んで寝入っている被害者の首を絞め続けて殺害しており、強固な殺意に基づく犯行。被害者が他の男性に好意を寄せていると疑って犯行を決意しており、動機は身勝手というほかなく、同情の余地はない」と指摘した。

9月8日 水戸地裁
神社で昨年8月、知人女性を絞殺したとして殺人罪に問われた29歳の男性に対し、懲役10年(求刑13年)を言い渡した。
北村和裁判長は「被告に対して返事をしないなどの態度をとる被害者の本心を聞き出したいと首を絞めたのは短絡的」と述べた。

9月8日 金沢地裁
覚醒剤の密売を繰り返したとして覚醒剤取締法違反と麻薬特例法違反の罪に問われた56歳の男性に対し、田中聖浩裁判長は懲役6年・罰金180万円・追徴金97万2032円(求刑懲役7年・罰金200万円・追徴金97万2032円)を言い渡した。
判決によると、被告は2014年6月~15年9月に119回にわたって、男女8人に覚醒剤などを売って計97万2500円の利益を得たほか、同年9月7日ごろ、金沢市内で覚醒剤を使用した。田中裁判長は「手っ取り早く金を手にするための密売で、動機に酌量の余地はない」と指摘した。

9月6日 前橋地裁
自身が経営する喫茶店内で義姉を刃物で刺し殺害したとして、殺人の罪に問われた64歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役15年(求刑20年)を言い渡した。
判決理由で鈴木裁判長は、居合わせた息子の制止を振り切り、包丁で右胸を約28㌢の傷に達するほど刺したことなどから「殺意は強固なものであった」とした。
また、被告が「犯行状況について記憶がない」としていた点について、店内にある20本以上の包丁の中から殺傷能力の高い2本を選び、犯行後には、息子に通報を指示していることなどから危険性を十分に認識していたと判断した上で、「犯行態様は執拗で残虐」とした。
さらに、店の経営方針について話しあっていた際に激高し犯行に及んだのは「身勝手かつ自己中心的」であるとした。

9月6日 さいたま地裁
飲酒した状態で、友人=懲役3年保護観察付き執行猶予5年=の車を運転し、前方を走っていた自転車の女性をはねて死亡させ、車を道路上に放置したまま逃走したとして、危険運転致死と道交法違反の罪に問われた24歳の男性に対し、松原里美裁判長は片桐被告に懲役8年(求刑12年)を言い渡した。
判決で松原裁判長は被告が飲酒の影響で仮睡状態に陥っていたにもかかわらず、車の運転を中止しなかった点に触れ、「何ら落ち度のない被害者の生命を突如奪い、厳罰を望む遺族の心情は当然」とした。被告が友人と常習的に飲酒運転を繰り返していたことから、「安易に考えていたことは否めず、経緯や動機に酌むべき事情はない」と述べた。
一方、被告が罪を認めて反省の態度を示している点などを踏まえ、懲役8年が相当とした。

9月1日 富山地裁
公園で昨年7月、60歳代の男性に暴行を加えて重傷を負わせた上、カバンを奪ったとして強盗致傷罪などに問われた2被告に対し、後藤隆裁判長は、21歳男性に懲役4年(求刑懲役6年)、25歳男性に懲役3年・執行猶予4年(同5年)それぞれ言い渡した。後藤裁判長は「高齢の被害者を2人がかりで執拗に蹴りつけるなどしたのは危険かつ悪質」と指摘した。

投稿者 : いらないインコ|2016年9月19日