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2016年11月

11月30日 千葉地裁
畑に昨年4月、女性=当時(18)=を生き埋めにして殺害したなどとして、強盗殺人や逮捕監禁などの罪に問われた21歳の男性に対し、吉井隆平裁判長は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
公判で被告は起訴内容を認めていた。弁護側は被告が計画の立案に参加しておらず、「力関係のある共犯者(22)=強盗殺人罪などで起訴=の指示に従った」と訴え、軽度の精神遅滞があったことや被告の供述で事件の真相が明らかになったことなども挙げ、有期刑を求めていた。
一方、検察側は論告で、被告が生き埋めの前に女性に対し「お前は死ぬんだよ」と死の恐怖をあおるなどし、犯行は残虐かつ計画的で、「被害者が1人の事案だが、死刑にも値する」と指摘。実行犯の被告が果たした役割の大きさも示した。
他方、自ら出頭し事実を認め、事件の解明に貢献したことなどにも触れ、「苦渋の判断だが、死刑を求めるには一抹の躊躇がある」としていた。
起訴状によると、被告は昨年4月19日夜、共犯者らとともに、路上で女性を乗用車に乗せ両手足を緊縛するなどして監禁。財布やバッグを奪うなどし、翌20日未明、畑に掘ってあった穴に女性を入れ土砂で生き埋めにし、窒息死させた。

11月30日 奈良地裁
共同住宅の自室に放火したとして、現住建造物等放火罪に問われた62歳の男性に対し、無罪(求刑3年)を言い渡した。
西川篤志裁判長は「うつ病の影響で衝動的に放火に及んだ」として心神喪失と認定。限定的に責任能力がある心神耗弱とした検察側の主張を退けた。

11月30日 佐賀地裁
父親を平手打ちし死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた37歳の息子に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
判決理由で吉井広幸裁判長は「被害者は飲酒や病気、体力の低下などが多少なりとも影響しており、被告は被害者を転倒させる意図はなかった」と指摘し、「死亡の結果を全て平手による殴打に帰することはできず悪質性は低い」とした。

11月30日 熊本地裁
元妻に対する監禁罪などに問われた25歳の男性に対し、大門宏一郎裁判官は「被害者の精神的苦痛は大きいが肉体的苦痛は他の監禁や暴行と比べて格別大きいとは言えない」と懲役1年6月・執行猶予3年(求刑2年)を言い渡した。

11月29日 釧路地裁
アパートで昨年8月、31歳の美容師を殺害し、居室を放火したなどとして、殺人、現住建造物等放火などの罪に問われた元少年(20)に対し、三輪篤志裁判長は懲役23年(求刑30年)を言い渡した。

11月25日 新潟地裁
覚醒剤を密売したなどとして、麻薬特例法違反の罪などに問われた51歳の男性に対し、竹下雄裁判長は「覚醒剤などの害悪を広く社会に拡散させる反社会的な犯行」として懲役8年・罰金300万円(求刑10年・罰金300万円)を言い渡した。

11月24日 東京地裁
1986年にインドネシアの日本大使館が襲撃された「ジャカルタ事件」で殺人未遂などの罪に問われた68歳の日本赤軍メンバーの男性に対し、辻川靖夫裁判長は「組織的犯行のために重要な役割を果たし、反省の態度も見られない」として懲役12年(求刑15年)を言い渡した。被告は無罪を主張していた。
過激派による国際テロ事件が裁判員裁判で審理されたのは初めて。弁護側は判決を不服として即日控訴した。
判決によると、被告は86年5月、偽造パスポートの氏名でジャカルタのホテルに滞在。何者かと共謀し、時限式発射装置を使ってホテル一室から日本大使館に向けて金属弾を撃ち込んだとされる。金属弾は不発で、けが人はいなかった。
辻川裁判長は判決理由で「無差別に多くの命に危険を及ぼす極めて悪質な犯行だ」と指摘。被告が実行犯かどうかの証拠がないとしながらも、「犯行の計画を知って、発射に適したホテル一室を確保する重要な役割を果たした」と述べた。
被告は「事件当時はレバノンにいた」「ホテルで見つかった指紋は捜査機関がでっち上げた」と主張したが、判決は「被告がレバノンにいた証拠は一切示されていない。捜査機関が指紋のすり替えや転写をするとは考えがたい」といずれの主張も退けた。
被告は別の事件で服役中だった77年、日本赤軍が日航機を乗っ取ったダッカ事件で政府による「超法規的措置」で人質と引き換えに釈放され出国した。その後、日本赤軍メンバーと合流し、ジャカルタ事件に関与したとされる。
96年に米当局がネパールで城崎被告の身柄を拘束し、日本大使館の襲撃と同時に起きたジャカルタの米大使館襲撃事件で禁錮30年が確定。昨年1月に刑期の短縮で釈放され、強制送還後に警視庁公安部が逮捕した。

11月24日 静岡地裁沼津支部
静岡県伊東市の干物店で2012年、経営者ら2人を殺害し、現金を奪ったとして強盗殺人罪に問われた64歳の元従業員に対し、求刑通り死刑を言い渡した。
判決理由で斎藤千恵裁判長は「人命軽視が際立つ犯行で極刑はやむを得ない」と述べた。弁護側は控訴する方針。
判決によると、被告は12年12月18日夜、閉店後の店内で、59歳の経営者の女性と71歳の男性従業員の首を刃物で刺し、冷凍庫に閉じこめて殺害し、売上金や釣り銭用現金約32万円を奪った。
被告は逮捕時から一貫して無罪を主張。殺害を裏付ける凶器などの直接証拠はなく、状況証拠をどう評価するかが焦点となった。

11月24日 熊本地裁
38歳の男性が暴行され死亡した事件で、溝国禎久裁判長は、遺族らが求めた傷害致死罪を認めた一方、懲役2年6月(求刑7年)と有期懲役となる傷害致死罪の法定刑3年を下回る判決を出した。仕事を休むことがあった被害者を被告が気にかけていたことなどから、「偶発的、一時的な単独犯による傷害致死の中では相対的に軽い部類」とした。

11月22日 那覇地裁
沖縄県本部町の民家で昨年2月、住人の遺体が見つかった事件で、殺人と住居侵入の罪に問われた27歳の男性に対し、潮海二郎裁判長は、被告が心神耗弱状態にあったと認定し懲役14年(求刑25年)を言い渡した。
被告側は、事件当時、心神喪失状態だったとして無罪を主張していた。潮海裁判長は「動機は不明だが、無差別的な犯行と類似し極めて悪質」と指弾。一方で、「犯行当時、飲酒による酩酊などの影響で心神耗弱状態だった可能性を否定できない」と判断した。

11月17日 札幌地裁
札幌市中央区のマンションで、母親の再婚相手を殺害したとして、殺人などの罪に問われた67歳の男性に対し、中桐圭一裁判長は「動機は短絡的で殺害方法も残酷」として、懲役17年(求刑20年)を言い渡した。

11月17日 東京地裁立川支部
東京都小平市で2015年、交際相手を絞殺したなどとして、殺人罪などに問われた26歳の男性に対し、阿部浩巳裁判長は、懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
弁護側は嘱託殺人の成立を主張したが、阿部裁判長は「被害者が自ら死を望み、殺害を依頼する状況にあったとは考えられない」と否定した。
判決によると、被告は、以前から別れ話をされていた被害者の首を絞め、殺害するなどした。

11月16日 神戸地裁
中毒症状を引き起こすメタノール入りの燃料用アルコールを酒に混ぜて夫を死亡させたとして、傷害致死罪に問われた49歳の妻に対し、佐茂剛裁判長は「強固な加害意思に基づく犯行」として懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
同被告は公判で、夫に対するメタノールの混入について「アルコール濃度を濃くして悪酔いさせようと思った」と危険性の認識を否定したが、佐茂裁判長は「人体に有害なものを飲ませようとしたと認められ、極めて悪質」とした。判決は、夫婦関係の悪化から同被告が事件を起こしたと認定。佐茂裁判長は「被害者の健康を害する嫌がらせでストレスを解消しようとした」と指摘した。

11月14日 前橋地裁
伊勢崎市で今年1月、ペルー国籍の知人男性を殺害したとして殺人罪に問われた同国籍の35歳の被告に対し、鈴木秀行裁判長は懲役14年(求刑17年)を言い渡した。
殺人か正当防衛か、検察側と弁護側の主張が真っ向から対立したが、鈴木裁判長は検察側立証に基づく判決を下した。
判決理由で鈴木裁判長は、第2回公判に出廷した知人男性の「被告は座っていた被害男性の左斜め後ろに立ち(包丁を持つ)右手を複数回突き出した」という供述について「自然かつ迫真的である」「十分に信用できる」とした。その上で、刃渡り約17.2㌢の包丁で左脇腹を複数回刺したのは、「強い殺意に基づくもので犯行態様は悪質」と断じた。
公判で、検察側は被告が一定の計画性のもと、背後から左脇腹を複数回刺したとしたのに対し、弁護側は被害男性が包丁を持って迫ってきたため「もみ合いのうちに刺さった。正当防衛だった」と無罪を主張していた。
検察側が主張した一定程度の計画性について鈴木裁判長は被害男性の来訪を知らなかったことから「認められない」とした。だが、被告に対しては、証拠隠滅を図るなど情状理由はなく「(公判では)悼む言葉を述べるものの、反省する態度はほとんどうかがえなかった」とした。

11月14日 京都地裁
フィリピンで2010年に男性会社員を保険金目的で殺害したとして、殺人や詐欺未遂などの罪に問われた58歳の男性に対し、中川綾子裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
被告は、46歳で社長の弟=1、2審で無期懲役、上告中=と共謀。社員に同社を受取人とする海外旅行保険をかけ、フィリピンで射殺し、保険金1億円をだまし取ろうとしたとして起訴された。
公判では、目撃者の供述の信用性が争点になった。

11月10日 水戸地裁
勤務先の上司だった女性の自宅に侵入し、女性を襲ってけがをさせたとして、住居侵入と強姦致傷の罪に問われた30歳の男性に対し、北村和裁判長は懲役5年(求刑6年)を言い渡した。
北村裁判長は判決理由で「被告人は反省の言葉を述べており、実家での母親の監督も期待できる」としながらも「動機は身勝手で、犯行のやり方は危険。被害者の精神的苦痛も軽視できない」として、執行猶予付き判決を求めた弁護側の主張を退けた。
判決によると、被告は5月27日午後11時ごろ、当時の勤務先の上司の女性宅に侵入し、就寝中の女性に対し、首を絞めるなどの暴行を加え、首や顔などに全治約10日間のけがをさせた。

11月07日 千葉地裁
赤信号の交差点に車で進入し、バイクの警察官をはねて死なせたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた26歳の男性に対し、市川太志裁判長は同罪の成立を認めず、過失運転致死罪を適用。禁錮3年・執行猶予5年を言い渡した。
判決によると、被告は昨年4月23日朝、乗用車で赤信号に気付きながら交差点に進入。青信号で走っていた警察官=当時(34)=のバイクに衝突し転倒させ死なせた。
市川裁判長は、被告が交差点内に止まることを避けようとして信号を無視したため、「赤信号をことさらに無視したとは認められない」と認定し、過失運転致死罪が成立するにとどまるとした。
検察側は、危険運転致死罪で懲役6年を求刑したが、同罪が認められない場合は過失運転致死罪の適用を求め、同罪で禁錮3年6月とするよう求めていた

11月07日 さいたま地裁
自宅で妻=当時(69)=の胸などをナイフで刺して殺害したとして、殺人罪に問われた70歳の男性に対し、佐々木直人裁判長は懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
判決文などによると、妻や息子2人に財産を渡したくないと考え殺害を決意、2015年8月1日、自宅で妻の左胸などを数回刺して殺したとしている。
判決で佐々木裁判長は、家族を殺害する順を記したとみられるメモが見つかったことなどから「継続した殺意に基づく犯行」と指摘し、「自己中心的で家族らに恨みを一方的に募らせた」と指弾。被告を妹が支援することなどから量刑を考慮した。

11月02日 宇都宮地裁
飲酒後に無免許運転し、新聞配達員(当時50歳)のバイクに追突して死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)と道交法違反(無免許運転)に問われた20歳の男性に対し、佐藤基裁判長は「危険性が極めて高い」などとして、懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
判決などによると、被告は無免許で今年1月18日午前1時10分頃、県道で、飲酒の影響で前方注視などが困難な状態なのに友人の乗用車を運転し、新聞配達中だった男性のバイクに追突。転倒した男性は後続の別の乗用車にひかれて多発外傷で死亡した。
弁護側は事故の原因を「一瞬の操作ミス」として、自動車運転死傷行為処罰法違反(無免許過失運転致死)にとどまると主張していたが、佐藤裁判長ははみ出し走行や速度超過など複数の事実が立証されたことを挙げ、「単なる不注意では説明がつかない」と指摘した。

11月02日 千葉地裁
成田空港に覚醒剤を密輸しようとしたとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)と関税法違反の罪に問われた60代男性に対し、吉井隆平裁判長は、無罪を言い渡した。求刑は懲役10年・罰金400万円だった。
公判では、面識のない人物からメールで運搬を指示されたスーツケースの中に覚醒剤があると男性が認識していたかが争点になった。判決理由で吉井裁判長は「覚醒剤の運び役として利用されることに思い至らず、スーツケースを持ち込んだ可能性が否定できない」とした。

11月02日 名古屋地裁
2011年、27歳の飲食店店員が絞殺されて福井県の九頭竜湖に遺棄されたほか、09年には暴行を受けた別の女性が死亡した事件で、殺人や傷害致死などの罪に問われた44歳の男性に対し、景山太郎裁判長は、林被告に無期懲役(求刑死刑)を言い渡した。
公判では主に、別の女性に対する傷害致死罪が成立するか、死刑を科すべきかどうかが争われていた。判決ではこのうち、傷害致死罪の成立は認めた。
被告は09年7月10日ごろ、自宅で、出会い系サイトで金を稼がせていた交際相手(当時26)に、座ると首が絞まるように自ら鎖を巻かせ、窒息死させた、として傷害致死罪に問われていた。

11月02日 大阪地裁
昨年5月、飲酒運転で1人を死亡させ、2人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転死傷行為処罰法の危険運転致死傷罪などに問われた26歳の女性に対し、同法の過失運転致死傷罪を適用し、懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。
飯島健太郎裁判長は「被害者に気づいてブレーキを踏もうとするなど、被告はその場の状況に応じた運転をしており、飲酒の影響で正常な運転が困難な状況だったとまでは認められない」と述べ、危険運転致死傷罪の成立は認めなかった。
この事故で大阪地検は当初、「飲酒の影響は限定的」として過失運転致死傷罪で起訴したが、遺族らは昨年8月、法定刑の重い危険運転致死傷罪の適用を求め、約17万人分の署名を地検などに提出。再捜査した地検は公判途中で訴因変更し、今年10月から改めて裁判員裁判で審理されていた。
判決によると、被告は昨年5月11日未明、駐車場出口の道路でブレーキとアクセルを踏み間違え、自転車に乗っていた24歳の女性をはねて死亡させ、友人ら2人に重軽傷を負わせた。

11月01日 岐阜地裁
昨年12月、交通トラブルから男性(当時31)を殴って死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた27歳の男性に対し、懲役8年(求刑10年)を言い渡した。弁護側は控訴する方針。
鈴木芳胤裁判長は、格闘技経験のある被告に対し、「暴行態様は一方的かつ執拗。飲酒していたことを含め、酌量すべき事情は何ら認められない」と指摘した。
判決によると、昨年12月13日午前3時ごろ、同市の路上で、乗用車に乗っていた被告らと歩行中の男性が進路をめぐってトラブルになった。被告は男性のあごを素手で殴り、倒れた男性に馬乗りになって顔をさらに数回殴り、外傷性くも膜下出血で死亡させた。

11月01日 鹿児島地裁
2011年から14年にかけて4人の女性を暴行するなどしたとして、強姦致傷などの罪に問われた42歳の男性に対し、懲役19年(求刑20年)を言い渡した。
強姦未遂罪に問われた1件を、弁護側が「強制わいせつ罪に相当する」と主張した点について、冨田敦史裁判長は「被告人は他の事件と同様に女性を襲って暗がりに連れて行き、強姦するという計画を立てた上で背後から女性を襲ったのであり、強固な犯意を有していたと認められる」などとして強姦未遂罪を認定。「身勝手な動機から、3年3か月余りの間に4件の卑劣な犯行を繰り返していることには、極めて強い非難が向けられる」などと述べた。

投稿者 : いらないインコ|2016年12月31日