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2017年02月

02月28日 東京地裁立川支部
音楽活動をしていた21歳の女性がファンの男性に刺され重傷を負った事件で、殺人未遂などの罪に問われた28歳の男性に対し、阿部浩巳裁判長は、懲役14年6月(求刑懲役17年)を言い渡した。
起訴状などによると、被告は昨年5月、アーケード内で被害者の首などを折り畳みナイフで少なくとも34カ所刺し、殺害しようとしたとされる。被害者は一時意識不明の状態になり、その後意識が回復。しかし、口など一部の神経がマヒし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負うなどの後遺症が残った。
裁判で検察側は、事前にナイフを購入していることなどから「一定の計画性があり、強い殺意があった」と主張。「他に類を見ないほど悪質で、反社会的な犯行」として、同じような事件でのこれまでの量刑にとらわれるべきではないとした。また被害者の代理人弁護士は、無期懲役にするべきだと訴えていた。
一方の弁護側は、犯行直後に被告119番通報していることなどを挙げ、「衝動的な犯行で計画性はない」と反論。同じような刺傷事件での刑の重さを考慮すべきだと主張していた。

02月27日 名古屋地裁
ラーメン店で2015年9月、店員2人が殴られ死傷した事件で、強盗殺人罪などに問われた29歳の元店員に対し、奥山豪裁判長は「1人の生命を奪い、もう1人は以前の日常生活を送れないようにした結果は誠に重大」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。
被告は殺意を否定したが、奥山裁判長は「凶器の重さと硬さを認識し、頭部を複数回殴った。死ぬ危険性が高いと分かっていた」と断じた。
判決によると、被告は以前勤務していたラーメン店に侵入し、店員=当時(35)=の頭や顔を重さ約2.5㌔の鉄筋で殴って殺害。別の男性店員(41)にも重傷を負わせ、売上金約263万円などを奪った。

02月24日 旭川地裁
上司の自宅に放火しようとしたとして、現住建造物等放火未遂罪に問われた24歳の元陸上自衛官に対し、佐藤英彦裁判長は「上司の指導で精神的に追い詰められたことは理解できるが、あまりに短絡的で無思慮」と懲役3年(求刑6年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年6月5日午前2時10分ごろ、ガソリン約18㍑を上司宅の風除室にまき、点火したマッチを投げ入れて焼こうとした。

02月24日 静岡地裁沼津支部
陸上自衛隊東富士演習場で2010年、野焼き作業中に男性3人が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた76歳の組合長と同組合事務局長(59)に対し、斎藤千恵裁判長は組合長に禁錮1年・執行猶予3年(求刑禁錮1年)、事務局長に禁錮10月・執行猶予3年(同10月)を言い渡した。
判決によると、野焼きは同年3月20日、同組合を含む4組合が実施し、地元住民らが参加。当時37歳、33歳、32歳の男性が、強風にあおられた火に巻かれて焼死した。組合長は作業の総責任者、事務局長は統制本部の責任者だった。
争点は、両被告が今回の事故を予見できたか、対策をとる義務があったかという点だった。
斎藤裁判長は判決で、緊急時の避難場所となる「防火帯」の周知が不十分だったとし、「防火帯が具体的に明示されていなければ避難場所の判断を誤るおそれがあることは十分に予見できた」などと認定。さらに「作業員らの安全確保は、野焼きの主催者が負う最も基本的な注意義務」として、「(両被告が)安易に前例を踏襲し、安全確保に留意するよう抽象的に求めるだけで、具体的な事故防止対策は作業班など地元に丸投げしていた」と指摘した。
弁護側は「事故は突如発生した猛烈な風のためだ」などと予見可能性を否定。野焼きについて「3千㌶の広大な地域で1千人超が実施する作業で、安全確保は現場作業班に委ねざるを得ない」とし、両被告の無罪を主張していた。両被告は即日控訴した。

02月22日 和歌山地裁
ガールズバーで2013年、経営者(当時45歳)を絞殺し遺棄したとして、殺人罪などに問われた元店員(26)の差し戻し審で、殺意などを認める一方で過剰防衛が成立するとして、差し戻し審前より5年軽い懲役9年(求刑14年)を言い渡した。

02月17日 神戸地裁姫路支部
知人男性を殴って死亡させたとして、傷害致死罪に問われた28歳の男性に対し、懲役5年6月(求刑7年)を言い渡した。

02月16日 前橋地裁
火をつけたクッションを自宅の布団に投げ放火しようとしたとして現住建造物等放火未遂の罪に問われた44歳の男性に対し、野口佳子裁判長は懲役3年・保護観察付き執行猶予4年(求刑5年)を言い渡した。
判決理由で野口裁判長は、自暴自棄になり放火に至った原因は被告自身の勤労意欲などに起因しており「芳しくない」とした。火はカーテンなどを焼いたにすぎず、危険性はさほど大きくなかったため執行猶予処分とした。

02月16日 千葉地裁
2014年、生後8カ月の長男が頭などに暴行を受け死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた25歳の父親に対し、吉村典晃裁判長は「抵抗できない乳児に危険な暴行を加えた」として、懲役7年(求刑9年)を言い渡した。
これまでの公判で被告は長男に対する暴行を否定し「元妻が殴っているのを見た」などと供述。弁護側も暴行が加えられたとされる14年10月30日ごろから11月6日午後4時5分ごろまでの期間中に「長男が元妻のそばを離れたことはなかった」として「複数回暴行できる機会は元妻にしかなかった」と無罪を主張していた。
判決で吉村裁判長は、以前から長男に暴行を加えていたことが目撃されていた被告が、同期間中に「死因につながるような暴行に及ぶことは何ら不自然ではない」と判示。長男の異変に気付き、元妻に「捨てに行く」と話すなど証拠隠滅を図ろうとした被告の行動は「長男の死因につながるような暴行をしたという自覚があったと考えるのが自然」などとして犯人は被告と結論付けた。
また、長女が「パパがやった」と話していたことなどを明かした元妻らの証言は当時の状況と整合し「信用性が高い」と採用。その上で、「元妻が殴ったのを見た」とする被告の供述は「多くの証拠と矛盾している」とし、弁護側の主張を「元妻が長男のそばから一時的に離れることは相当回数あった」と退けた。
吉村裁判長は量刑理由で、「気に入らないとか、泣くといった理不尽な理由で身体的に弱い乳児に日常的な暴行を繰り返すなど自己中心的で極めて身勝手。長男に対する愛情や親としての責任感は感じられない」と強く非難。責任を元妻に押し付けるような虚偽の弁解をしたことについて「反省している様子は全く見られない」などと指弾した。
弁護側は判決を不服として控訴する意向を示した。

02月14日 山形地裁
去年5月、殺人未遂事件で、23歳の男性に懲役7年を言い渡した。偶然居合わせた飲食店でトラブルとなり殺意を持って路上で男性を包丁で切り付けたとされる。

02月14日 千葉地裁
2013〜15年、帰宅時の女性2人を狙い、乱暴してけがを負わせたなどとして、強姦致傷、強制わいせつと住居侵入の罪に問われた27歳の男性に対し、高橋康明裁判長は「執拗で悪質な犯行」として懲役11年(求刑12年)を言い渡した。

02月14日 甲府地裁
フィリピン・マニラで2014〜15年、山梨県内の男性2人が射殺された事件で、殺人罪などに問われた43歳の男性に対し、丸山哲巳裁判長は「計画的な上に巧妙で冷酷。終生の間、罪の償いにあたらせることが相当だ」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決によると、被告は43歳男性被告=殺人罪などで起訴=らと共謀し、死亡保険金を得るために、14年10月に整骨院経営者(当時32)を、また15年8〜9月には42歳の会社役員を、それぞれマニラで実行役に銃で殺害させるなどした。
判決は、被告が主犯格の一人で、実行役を手配するなど「必要不可欠な存在だった」と指摘。一方で真相解明に貢献したとの弁護人の主張を認め、「死刑を選ぶのはちゅうちょを覚える」とした。

02月13日 東京地裁
マンションで2013年、知人から預かった3カ月の女児を死亡させたとして傷害致死罪に問われた当時18歳の元少女(21)に対し、家令和典裁判長は「首を絞められて窒息死したとは認められない」と述べ、無罪(求刑7年)を言い渡した。
家令裁判長は「首の一部が変色しているのは、ひもで圧迫された痕だ」とした検察側証人の皮膚科医の証言について、「解剖時の写真に基づき意見を述べているに過ぎず、信頼性には限界がある」と指摘した。
また、首を絞められた根拠として、検察側が挙げた血液中の高い成分についても「法医学界で指標とする合意が得られていない」と言及。他の死因でも値が高くなるとして、決定的な証拠にはならないとした。
その上で「脱水や低栄養、うつぶせ状態が競合して死亡した」とする弁護側証人の法医学医の見解を「排除できない」と結論付けた。
元少女は、知人女性から世話を頼まれた女児を13年11月に死亡させたとして、14年8月に殺人容疑で逮捕された。

02月13日 大阪地裁
同居の親族を刺したとして殺人未遂罪に問われた21歳の元会社員に対し、懲役2年(求刑5年)を言い渡した。地裁は昨年11月に裁判員が相次いで辞退したため判決期日を取り消し、改めて裁判員を選んで裁判をやり直していた。

02月13日 大分地裁
2014年、実家に放火して母親と妹を殺害したとして、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた32歳の男性に対し、今泉裕登裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
溝部被告は無罪を主張していたが、退けられた。火災原因が特定されない中、火災は放火だったのか、放火だった場合に犯人は被告なのかが争点だった。
起訴状によると、被告は14年12月19日、実家1階の居間に何らかの方法で放火し、2階建て住宅約150㎡を全焼させ、2階で就寝中だった母親(当時56)と妹(同26)を焼死させたとされる。

02月13日 高松地裁
住宅に火を付けて知人男性を殺害したとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた38歳の男性に対し、懲役18年(求刑20年)を言い渡した。
野村賢裁判長は判決理由で「次々と暴行を加え、生きたまま焼き殺す残忍な行為だ」と非難。被告側が「犯行時に心神耗弱の状態で判断能力が低下していた」と主張した点に対しては、精神疾患を認めた上で、血の付いた共犯者の衣服を焼却するなどの行為から責任能力に問題はなかったとして退けた。
判決によると、被告は知人(33)=殺人などの罪で起訴=と共謀し、知人男性=当時(39)=に対して腕で首を絞めたり、顔面に掃除機を投げたりし、倒れた後に布団をかぶせて火を付け、殺害するなどした。

投稿者 : いらないインコ|2017年4月16日