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東京高裁の死刑判決破棄を受けて 黙秘権を思う

今日(6月20日)、東京高裁は、飲食店経営者が刺殺された事件で、強盗殺人罪などに問われた62歳の被告人を死刑とした1審・東京地裁の判決を破棄、無期懲役を言い渡した。

1審裁判で被告人は一貫して黙秘、弁護人は1、2審とも「被告と犯行を結びつける直接証拠はない」などと無罪を主張していたが、高裁判決は防犯カメラの映像などの状況証拠から被告人の犯行と認定。

 被告人の前科について

1審の裁判員裁判での判決は、「出所して半年で冷酷非情な犯行に及んだ。刑を決める上で前科を特に重視すべきだ」とした。

しかし、高裁の村瀬裁判長は、「被害者が1人で死刑とされた過去の強盗殺人罪の被告は、似たような前科で無期懲役とされ仮出所中の場合などだ」と指摘、「夫婦間の口論の末の無理心中であり、強盗殺人事件との類似性はなく、更生の可能性がないとは言い難い」と判断。「死刑の選択が予想されない被害者1人の今回の事件について、前科を重視して死刑とすることには疑問がある」と述べた。

 インコが思うこと

被告人は妻子殺害事件で懲役20年を受けて満期出所しているが、そのときの裁判で裁判自体に不信感を持ったのではないか。「何を言っても無駄」

それが今回の裁判員裁判での黙秘、控訴審出頭せずにつながっているのでは。

 インコの危惧「黙秘問題」

1審で被告人が黙秘したことで、裁判員の心証が悪くなって死刑判決につながったということはないのだろうか?

鳥取地裁での死刑判決。この裁判でも被告人は、初公判の罪状認否と最終意見陳述での「私はやっていません」のみしか発しなかった。

裁判終了後、記者会見に臨んだ裁判員は「自分がやっていないというなら、その根拠を言ってほしかった」とか「無実なら黙秘はダメだ」などと述べた。

これでは、黙秘したから不利な心証形成をしたと言っているようなものであり、鳥取地裁の裁判員たちは憲法38条1項で保障された権利を否定したのも同然である。

これと同じようなことがこの東京地裁でも起きていたのではないか。そしてこれからも「市民感覚」で裁く限り、同じようなことが起きるだろう。HP感覚で裁く

日本の刑事裁判においては、第一回公判で人定質問を終え、起訴状朗読が終わった際に、必ず裁判官は被告人に対し以下のように黙秘権の告知を行う。(刑事訴訟法第291条第3項)

「これから、今朗読された事実についての審理を行いますが、審理に先立ち被告人に注意しておきます。被告人には黙秘権があります。従って、被告人は答えたくない質問に対しては答えを拒むことができるし、また、初めから終わりまで黙っていることもできます。もちろん、質問に答えたいときには答えても構いませんが、被告人がこの法廷で述べたことは、被告人に有利・不利を問わず証拠として用いられることがありますので、それを念頭に置いて答えて下さい」

投稿:2013年6月20日