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日弁連はいつから「ゲーム感覚」で考えるようになったか

日弁連機関誌『自由と正義』(2014年6月号)の巻頭エッセイ「ひと筆」を読んだ弁護士さんから、「大阪弁護士会の『ゲーム脳』を叩くべきだ。こんな風潮を許してはならない」とか、法律関係者の方からは「インコちゃん、これを問題にするかゲーム自体を問題にするかしなければ」とかの声が寄せられました。

で、読んでみました。巻頭エッセイのタイトルは「ゲームで裁判員!」いとさん
「インコによるゲーム脳弁護士の批判」と考えていたら、大阪は本町出身のマネージャーがこのエッセイに対する意見をはやばやと書いてきました。それもなんと大阪弁で。こてこて過ぎですが、書き直させる勇気がありません。このまま突っ走ります。どうかご容赦を。

何と軽くて薄っぺらな文章なんや。筆者は大阪弁護士会の会員飯田幸子はん。法曹会名簿で見るとまだ駆け出しの弁護士さんらしい。謙遜だか何だか知りまへんが、本人自身もそないなことを言(←「ゆ」と読んでほしい。以下同)うとる。じぶんが作った裁判員裁判ゲームの話である。

ゲームは放火事件の裁判員が刑事裁判を疑似体験する内容。「お堅いイメージの弁護士会のゲーム開発で興味をひいたんやろう」と解説し、「クオリティーの高さに大阪弁護士会の本気を垣間見た」ちう驚きの声が上がったとおんみずから紹介してんねんで。

ゲームサークルで同人ゲームを発表した経験があるよって、裁判ゲームは法科大学院生時代からの構想やったんやと。で、「裁判ゲームを作ってみたいねん」と大阪弁護士会の法教育委員会で提案したら、役員連中、「ご反応はお酒のせいかたいそうノリが良かったねん」。「複雑な心証形成の再現を危ぶむ声も一部にあったようやけど、役員やらなんやらの後押しで企画は順調に滑り出したんや」と。

まぁなんやしらんけど脳天気なこっちゃな。ご本人は企画の「成功物語」を書いとるつもりやろが、「法教育」を実践する弁護士会の役員連中ちゅうのは、こないな水準の人たちなんかとつい思ってしまいましたねん。

ゲームの惹句は「弁護士が100%シナリオを手がけた本格裁判ゲーム」やそうや。人物設定、証拠構造、冒頭陳述、論告弁論、ほんで評議と、「専門職ならではの本格的シナリオが出来上がった」。「ゲームとしてのエンタメ性も不可欠。ここはうちの腕の見せ所。息抜きシナリオも充実させた」と。「ゲームの評判は上々。事件の真相が明かされへんことがゲームにリアルさと奥行きを与えた」ともご本人が言うたはる。はっきり言うて、こういうのを「ひとりでよがっとる」って言うんやろうなぁ、とうち思うで。

「どなたはんかに何ぞを伝えることをゲームちゅう手段で実現できてうれしい。唯一残念なのは大阪弁護士会に続く第2弾作成の会がないこと、次々発表されるのがうちの夢」と。はぁ。

そうなん、そうやんなあと言ってあげたいトコやけど、さすがのうちも言葉を失うわ。自身、裁判員裁判に関わった経験がないと言うてるけれど、裁判員裁判を基本的にどう考えとるのかにまるっきし触れへんことにまず仰天する。

裁判員裁判の現実について、なぁーんも知らんのかしら。あんさんも弁護士なら、裁判員になりたくないって言うてる人が85%を超えとることや、辛い体験をした人がいることや、国を相手取って責任追及の裁判を起こしとる人がいることやらなんやら、ちびっとはご存じでっしゃろ。大阪で法教育に関わる弁護士さんちゅうのは、そないなことはまるっきり無縁なんやろかね。「さまざまな議論があるようだけれど、ここではとりあえず触れまへん」くらいのこと、ウソにも言えんのかと思っちゃいまんねんけどねぇ。

問題はここで日弁連に移りまっせ。裁判員裁判は厳粛な刑事裁判やで。しかも100件に3件ちゅう重大事件の裁判や。「裁判員裁判をゲームにして市民の関心を引きつけるのはいかがなものか」ちゅう意見は編集委員会では出ぇへんかったんかいな。いやしくも巻頭の文章や。文章の出来、不出来以前の問題としてやな、裁判員裁判に関する日弁連の基本的な姿勢が問われとると言わねばならへん。

それとも、日弁連は、裁判員裁判はゲームのようなものと市民の皆はんに考えてもろうて結構やと言いたいんやろうか。いやぁ、この原稿は編集委員会が折り入って執筆を頼んだものでしてねぇ、なんていう裏話でもあるんやろか。どうであれや、根本的に間違うとる。どないにゲームに夢中になっとる市民でも、ほんまもんの刑事裁判はゲームのおもしろさで考えてええもんとは考えておらへん。刑事裁判のテレビドラマがなんぼ高視聴率を稼いでも、市民はどんどん裁判員就任を強く嫌がるようになっとるのんや。

大阪弁護士会も日弁連も、市民を舐めたらあかん。ダウンロードの多さにご満悦らしい飯田幸子はんとやらにお伝えしておくわ。全国の弁護士会のどこにも第2弾の動きがないちゅうことは、ほんま当然のことなんや。あんさんや大阪弁護士会のこのゲーム構想にひたすら追随せえへんちゅうこと自体、皆はんの行動への懸念や疑問や批判やらなんやらの態度を表明するものなんや。

うちに言わせれば、大阪弁護士会の中から「このような企画には問題がある」ちゅう声が上がってぇへん(とするやろ,ほしたら、その)ことの方がよほどおかしいと思うだけやん。

さぁ、『自由と正義』編集委員会の委員長臼井幹裕はん(愛知県弁護士会)、副委員長中城重光はん(東京弁護士会)、大谷美紀子はん(同)、牧田潤一郎はん(第二東京弁護士会)、髙橋司はん(大阪弁護士会)たち、インコの批判にどうお答えになりまっしゃろか。005054

 

 

 

投稿:2014年6月23日