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鳥は逃げた…空っぽの鳥籠の前で餌を思案するのか?

静かに雨が降る昼下がり、鸚哥大学の研究室といえば相変わらず賑やかなようで

001177法務大臣の諮問機関「法制審議会」の刑事法特別部会が、6月26日、審理がひどく長くなりそうな事件は裁判員裁判の対象から外す「要綱骨子」をまとめたそうね。

0063111裁判員裁判の対象事件でも、審理が著しく長期に及び、裁判員を十分に確保できない場合には、裁判官だけで審理してもよいことにするというんですよね。これでどうにかなるんですか。

1-e1397901276348どうにかなるかという話に入る前に、「審理が著しく長期に及び、裁判員を十分に確保できない場合」っていうのは、どういうときのことかを考えてみよう。
001177

記録をみると、さいたま地裁では100日、鳥取地裁では75日、鹿児島地裁では40日の審理期間になった事件があって、こういうのが異例の長期事件と言われてますね。でも、裁判官の裁判ならその程度の審理期間で判決が言い渡されたら、「超短期」裁判なのよね。それが裁判員裁判では異例と言われている。

1-e1397901276348だいたい、こういう事件では呼び出された候補者のほとんどが出頭を拒絶してしまうんだ。鳥取地裁では出頭率は僅か5%だった。この少なさで裁判員と補充裁判員を確保しなければならない。「長期」裁判だと補充裁判員の数も普通より多くしておかなければいけないという問題もあるのにね。

卵なし4ほとんどが出頭を拒否する中で、補充裁判員の数まで多くしなければならないっていうと、どうすんですか。

1-e1397901276348呼び出す相手の数をべらぼうに増やすしかない。鳥取では、1500人の県民に呼出状を送ったんだけど、これはこの年のこの県の候補者の半分を使い切る数だったんだよ。

001177インコさんが砂丘でラクダの上から制度廃止を訴えたときのことよね

卵なし4ラクダに乗って…?。

 

001177でも小さいインコがちょこんと背中に乗るんだったら可愛いんだけど、世界一大きくて重いインコでしょ、ラクダさんが嫌がってね…。

1-e1397901276348うるさい。話を戻す。
「法制審議会特別部会」の「著しく長期に及ぶ」というのはどのくらいの長さを考えているのかだ。部会では「1年以上」という案が有力だったけれど、結論は現場の裁判官の判断に委ねることにしたという。

001181このあいまいさもくせ者ね。これまででいちばん長いのはさいたま地裁の100日だから、「1年以上」ならその3.6倍を超える。ホンネを言うと、法務省としては1年を割り込んでも「著しく長期」と見なすつもりじゃないかしら。

1-e1397901276348そうだよね。審理自体が1年以上になる事件なんていったら、公判前整理手続きがおそらく3年くらいかかって、裁判期間の全体をとんでも長くさせる。統計的にも裁判員裁判の平均裁判期間を破滅的に長くして、そっちの面から大問題になってしまうだろうね。

卵なし4なるほど。鳩山邦夫元法務大臣の所得が歴代最高の年29億円もあったんで、自民党の国会議員の平均収入が跳ね上がったっていうアレですね。そう言えばこの人、インコレジェンドのお方でしたよね。

1-e1397901276348そうそう、それそれ…。

001177まてまて、横に流れていきそうな危険な予感…。話を戻しましょう。

卵なし4わかりました。では「裁判員を十分に確保できない場合」というのはどういうことですか?

001177れは、出頭率がひどく低くなってしまう時とのことね。皮肉を込めて言えば、「あれ、十分に確保できてたんじゃなかったっけ。この制度順調じゃなかったの」という話よ。さてインコさん、この新方針どうみる。

1-e1397901276348「超長期」の事件を裁判員裁判から外して、裁判員には「短期か中長期」の事件しかやらせないことにするという方針は、制度の起死回生につながるか、かえって死期を早めるかだ。「ご安心下さい。そんなに皆さんを長く拘束しませんから」と言うと一般の国民の参加意欲が高まるなら生命維持装置になるけれど、みんなの「厭制度感」をいっそう強めてしまえばストリキニーネになってしまう。

卵なし4うーん。高見順の「いやな感じ」の世界ですね。

1-e1397901276348審理がそれほど「長期」でない事件でも、このところ候補者の出頭率がどんどん落ちている。今年1月には平均値がついに30%を割り込んでしまった。審理が長かろうと短かろうと、「厭制度感」が強まり、ご免被りたいという人がすさまじいテンポで増えている。

卵なし4審理の長短に関係なしに出頭率が落ちているってことは…

1-e1397901276348つまりどんな事件でも「裁判員を十分に確保できる」場合なんてもうなくなってきたってことだ。圧倒的多数の呼び出し対象者が断ってくることを予定して、対象者の数を実際に集まってもらいたい候補者の数の5倍、10倍に増やさなきゃならない事態が完全に常態化している。

001177制度の原点に立ち戻って考えて見ましょう。「超長期」裁判というのは、ほとんど無罪が争われている超重大事件、有罪なら死刑必至というようなケースばかりです。

卵なし4そういえば、制度発足の当時、「どうして裁判員裁判対象事件を重大事件に絞るのか」という質問に答えて、当局は「そういう事件こそ社会の安心安全を自分たちで守るという意識を国民に定着させるのに役立つ」というようなことを言っていましたよね。

001177おっ、よく覚えていたわね。偉いわ。そう、だから、制度導入の目玉と言ってもよい事件を制度から外すというのは、制度の崩壊を食い止めるぎりぎり苦肉のカード。でも、それ自体が制度の自己否定を象徴していることになるわね。

1-e1397901276348インコは厳粛に予測する。裁判官裁判に戻す「超1年」が「超半年」になり、「超100日」になり、「超50日」になったら、国民の間からは「もっと短く」「裁判は裁判官に」コールがいっせいに上がり、また「短期・中長期」事件の出頭率が少しも上がらない、戻らないという圧力が加わる。悪夢のスパイラルだ。

卵なし4えっと…。

1-e1397901276348つまり、国民の心が離れているという事態は、小手先の細工をいくらしてみたところで改善の余地などない、むしろ事態をますます破滅に近づけるだけだっていうこと。「一度はなれた 心は二度ともどらないのよ もとには♪」という唄を地で行っているようなものだ。古い唄で済まないが…。

001177人に言われる前に自分で告白したわね。近く法制審が谷垣法務大臣に答申し、法務省は秋の臨時国会に裁判員法改正案を提出し、早ければ来春にも改正法が施行されるというのだけれど、「超長期」事件なんてこの5年間に1件もないのに、このあわただしさはいったい何だというのが識者のもっぱらの見方。

1-e1397901276348ものごと、最終局面になるととかくばたばたするもの。あんたホントおバカさんよね。あきらめが悪すぎるよ。ほら、耳を澄まして聞いてごらん、聞こえてくるでしょ。(と言いながら歌うインコ。)。

私バカよね おバカさんよねOLYMPUS DIGITAL CAMERA
うしろ指 うしろ指 さされても
制度推進に命をかけて
耐えてきたのよ 今日まで
隙間風が吹く 三宅坂を
転がり落ちるように
私も辞任するわ 定年待たずに

私バカよね おバカさんよね
大切な 大切な 司法を
わるい制度と 知っていながら
変えてしまった 稚拙に
不出頭続出 処罰もできず
人心は離れるままに
私も展望が見えない あてもないままよOLYMPUS DIGITAL CAMERA

私バカよね おバカさんよね
あきらめが あきらめが 悪いのね
一度はなれた 心は二度と
もどらないのよ もとには
小手先だけの 見直しでは
どうにもならないように
私も廃止を言うわ 一日も早い廃止を

投稿:2014年7月6日