トピックス

トップ > トピックス > 現在、裁判員「辞退」が日々、増加中!

現在、裁判員「辞退」が日々、増加中!

焦る最高裁長官寺田氏の最後のお願い

 弁護士 猪野 亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」10月13日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

 裁判員制度が始まって既に6年が経過しました。
マスコミと日弁連だけが大騒ぎをして始まった裁判員制度ですが、裁判員のなり手である有権者から拒否されている傾向は、なお一層、強まりました。
辞退率は64%にまで上がったようです。
そのような中で最高裁長官寺田氏は、自ら参加の呼び掛けです。
裁判員候補64%辞退、長官自ら参加呼びかけへ」(読売新聞2015年10月11日)
最高裁は、来年の裁判員候補者に選ばれた約23万人への通知書類を来月12日に発送する際、寺田逸郎長官自らが裁判参加を呼びかけるメッセージを同封する初の取り組みを行う。
裁判員制度のスタートから6年余りが経過し、参加を辞退する候補者の割合が年々増える中、参加意欲を高めるのが目的だ。
寺田長官の顔写真が入ったメッセージはA4判1枚。

 顔写真入りとは驚きですが、最高裁はいよいよもって危機的状況を放置できないというところまで来たということです。
裁判員制度の実施状況の報告書(今年度は7月末までの速報版)はこちらになります。
http://www.saibanin.courts.go.jp/vcms_lf/h27_7_saibaninsokuhou.pdf
辞退率は64.8%となっています。
「辞退」と表記されていますが、実際には「拒否」です。当然に辞退できる70歳以上の候補者等は別にして、本来の辞退事由があるのかどうかという判断は裁判所で行われることになっていますが、現状ではやりたくないという候補者については、広く「辞退」を認めているからです。

 それ以上に深刻なのは実際に出頭してきた候補者の割合です。
上記速報版によれば、出頭率は平成27年(但し7月まで)では69.4%となっています。
(最高裁の報告書によれば「出席」となっていますが、裁判員法では「出席」ではなく「出頭」と表記されています。最高裁は、「出頭」では印象が悪いので、意図的に「出席」と表現しています。)
この出頭率は、期日に呼び出しを掛けて実際に出頭してきた候補者の割合です。
具体的には、29,180人に対し呼び出しを行い、そのうち20,237人が出頭してきたというものであって、残りの8,943人(30.6%)は、理由のない(告げない)不出頭ということになります。
そして現実の出頭者の割合も一段と減少しているということです。
 この2つを表にしてみると一目瞭然です。

 

 

 

 

 

 裁判員制度は、あくまで裁判員となる国民の理解と協力があることが大前提の制度なのですが、これではもはや制度を維持できる数値ではありません。
もともと裁判員制度自体、刑事裁判を単なる茶番劇にしてしまった最悪の制度なのですが、国民からも相手にされていないという最悪の運用状況なのです。
最高裁がこれに対する危機感を募らせ、いよいよもって登場したのが長官の顔写真入りのお願い文書です。裁判員制度は、最後の醜態をさらしています。
国民不在の中で、勝手に制度を導入し、勝手に国民を呼びつけておいて、その末路が、出頭率の低下という悲惨な数字となって表れたにすぎません。
今さら最高裁長官が厚かましく出てきて、どうこうできるはずもないのです。
もしかすると、これによって一時だけ出頭率は向上するかもしれません。しかし、焼け石に水、減少傾向に歯止めを掛けることができようはずもありません。

 裁判員になることへの出頭命令など、拒否しましょう。

 248238

 

 

 

投稿:2015年10月15日