~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
難病女児衰弱死、義父有罪…追加の重過失致死罪
保護責任者遺棄致死罪は否定
大阪府茨木市で2014年6月、生まれつき筋力が弱い難病「先天性ミオパチー」の女児(当時3歳)を衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた義父(23)の裁判員裁判の判決で、大阪地裁は28日、検察側が追加した予備的訴因の重過失致死罪で有罪とし、禁錮1年6月、執行猶予3年を言い渡した。飯島健太郎裁判長は「親の基本的な注意義務を果たさず、尊い命を失わせた」と述べた。弁護側は控訴する方針。
保護責任者遺棄致死罪は、保護の必要性を認識しながら放置した故意犯とされ、重過失致死罪は、保護が必要という認識はなくても、注意を怠って死亡という結果を招いた過失犯。保護責任者遺棄致死罪だけに問われた女児の母親(21)=当時19歳=は昨年11月、同地裁の別の裁判長による裁判員裁判の判決で無罪になり、検察側が控訴している。
義父の判決によると、義父は14年4月以降、女児の食事量が減り低栄養状態に陥っていたのに適切な医療を受けさせず、同年6月15日に衰弱死させた。
飯島裁判長は、女児の体重が死亡までの8か月で約3キロ減り、成長期として明らかに異常だったが、難病の影響で元々体が細く、義父が保護の必要性を認識していたとは認められないとし、保護責任者遺棄致死罪の成立を否定した。
そのうえで重過失致死罪を検討。義父は女児の食生活の変化を一時的と軽く考えており、女児の生命に危険が生じないようにする注意義務を怠った重大な過失があったと判断した。
検察側は母親の公判中、地裁に重過失致死罪を主張しないか確認されたが、適用を求めなかった。判決は無罪としたうえで重過失致死罪の成立を検討する余地はあると言及。検察側はその後、義父について初公判直前に予備的訴因として追加し、同罪なら禁錮3年、保護責任者遺棄致死罪では懲役6年が相当としていた。
義父の弁護人を務める間野泰治弁護士は判決後、「急に重過失致死罪を追加されて十分反論できず、納得できない」と話した。
あくまでもこの記事を読んだだけの推論だけど、なぜ、裁判所が母親の公判中、「重過失致死罪を主張しないか確認されたか」だ。保護責任者遺棄致死では罪に問えないが、それでは納得出来ない裁判員がいたってことじゃないか。それで、父親の裁判では無理やり重過失致死をくっつけた。つまり、これは不幸な出来事を無理やり事件にした検察と、それを真に受けた裁判員が無理やり犯罪者を作り出している構図ではないか。
<連続強姦>東京地裁支部が無期判決…起訴から5年4カ月
◇裁判員裁判 公判前整理手続きが長期化
2008~10年に女性6人に暴行などをしたとして、強盗強姦罪などに問われた米軍横田基地の41歳の元職員に対し、立川地裁は求刑通り無期懲役を言い渡した。
争点や証拠を絞る公判前整理手続きが長期化し、起訴から5年4カ月を要した。09年の制度スタート以降、起訴から判決まで最も時間がかかった裁判員裁判とみられる。
被告は08年9月、東京都八王子市の女性宅に侵入し、暴行の様子をデジタルカメラで撮影。8カ月後に再び侵入し「写真をばらまくぞ」と脅して暴行したなどとして、強盗強姦や強姦など計10件の罪に問われた。
判決は弁護側の無罪主張を退けて全事件を有罪とし「犯行態様は執拗かつ卑劣で、極めて悪質。酌量の余地は全くない」と述べた。
被告は10年9月に起訴された。公判前整理手続きで弁護側は▽証拠が違法に収集された▽被告は日米地位協定の定める米軍の軍属にあたり日本の裁判の対象ではない--などと主張、検察側の全証拠を不同意とした。
検察側は延べ約110人の証人を申請し、尋問の調整に時間がかかった。途中で検察官や弁護人が交代し、手続きは4年8カ月に及んだ。
初公判は15年6月。長期審理の負担を軽減する「区分審理」が適用され、5事件ずつに分けて裁判員が選ばれた。7月に5事件を有罪とする部分判決が言い渡され、22日の判決は別の裁判員が量刑も含めて判断した。
最高裁によると、昨年11月時点で、判決まで最も長かった裁判員裁判は、さいたま地裁の事件の4年2カ月だった。
裁判の長期化には弊害が指摘されている。鹿児島大法科大学院の中島宏教授(刑事訴訟法)は、今回の事件を「多数の事件が併合されるなど特殊な経緯がある」とした上で、「証人の記憶が薄れ、無罪も含めて真実発見が困難となる。身柄拘束の長期化で人権制約が大きくなる危険もある」と指摘。長期化を防ぐために「検察側が弁護側に積極的に証拠を開示すべきだ。また、裁判所による公判前の争点整理が徹底されすぎていないか検証する必要がある」と話した。
そもそも区分審理でまともな判断が出来るのか? いや、まともな判断は裁判官がするので、お飾りの裁判員はそこにいるだけで良いというなら話はわかる。「裁判所による公判前の争点整理が徹底されすぎていないか検証する」たってさ、検証してどうするのさ。お客様に迷惑かけないように、かつ、退屈させないためにはどうしたら良いか、って争点整理しているんだぜ。徹底されなきゃ困るって話さ。それがダメなら止めるかしないだろ。
大雪で裁判員を解任?東京地裁「裁判員法第44条にのっとり決めた」
東京地裁(石井俊和裁判長)は18日、殺人未遂事件の裁判員裁判で雪による交通の遅れで同地裁に到着できなくなった裁判員1人を解任した。代わりに補充裁判員を充て、午前10時から予定していた論告求刑公判を1時間半遅らせて開廷した。
解任された裁判員は、これまでの審理には参加していたとみられる。裁判員の解任について、東京地裁事務局の担当者は「裁判員法第44条にのっとり、裁判を担当する裁判体が今日付けで解任を決めた」とし、理由については「大雪が解任と関係しているかどうか分からない。それ以上話すことができない」と話した。裁判員が途中で解任されるケースは、同地裁で年間数件あり「珍しいことではない」という。
裁判員法第44条によると、重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難だったり、介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護や養育を行う必要がある裁判員又は補充裁判員に対し、それらの理由で辞任の申立てをすることができるとしている。また、「裁判所は申立てを受けた場合において、その理由があると認めるときは当該裁判員又は補充裁判員を解任する決定をしなければならない」と規定されている。
なお、この日午前にあった裁判員裁判計4件は、いづれも大雪の影響で30分以上開廷が遅れた。
思い込みの激しい記事だね。「審理には参加していたとみられる」だけで、裁判所は解任理由を明らかにしていない。それなのに「雪による交通の遅れで同地裁に到着できなくなった裁判員1人を解任した」と断定している。どうしてそう断定できるのか。もしかしたら、裁判長はずっと解任しようと思って、その日がたまたま雪だったかもしれないじゃないか。まっ、本当に「雪による遅延が理由だった」かもしれないけど、今回、それを明らかにしたら、今後、ずっと解任理由を聞かれ、明らかにしなきゃならなくなる。それは「不都合な真実の開示」ってことだな。
「批判に耐えうる合理的手判断示す」 最高裁の小池新判事
2日付けで最高裁判事に就任した前東京高裁長官の小池裕氏(63)が同日、最高裁で記者会見し「価値観が多様化し、国民の間にさまざまな見解がある中、批判に耐えられる合理的な判断を示していきたい」と抱負を述べた。
小池氏は最高裁事務総局時代、裁判員制度など司法制度改革に携わった。「国民の真摯な取り組みのおかげで裁判員制度は予想以上に円滑に動いているが課題はある。法曹三者として改善に取り組みたい」と話した。
神奈川県出身。東大法学部卒。1977年に判事補。水戸地裁所長や東京地裁所長などを務めた。3月31日に定年退官した金築誠志氏(70)の後任となる。
「裁判員制度は予想以上に円滑に動いている」?! 今の惨状ですら予想以上に円滑ってことは、どれだけの惨状を予想していたのか。それとも現実を直視できない人が最高裁判事になるのか! 国民は真摯な対応で拒否している。改善ではなく廃止しかない。
裁判員選出24日初公判 -米子・長屋殺人事件
米子市美吉の長屋で昨年1月、住人の女性=当時(72)=が殺害された事件で、殺人罪に問われた同市上福原、無職、男性被告(63)の裁判員裁判の裁判員選任手続きが18日、鳥取地裁であり、6人の裁判員と2人の補充裁判員が選ばれた。初公判は24日。
この裁判で地裁は裁判員候補者270人を選定。調査票の回答などにより辞退を認めた人を除く166人に呼出状を送付し、うち124人は年齢や仕事、病気などを理由に辞退を認めた。
対象42人のうち出席した26人から8人が当日辞退を申し出て認められ、残る18人から裁判員と補充裁判員が選ばれた。
出頭率6.7%。惨憺たる状況とはこのことを言う。この裁判は自認事件であっと言う間に終わる。それでもこの嫌われよう。この中で、それでも人を裁いてみたいとはどういう人たちなんだろうね?!。
裁判員の心の負担 裁判官学ぶ
一般の市民が刑事裁判に参加する裁判員制度は、5月でスタートから5年になります。
裁判員の精神的な負担が課題となっていることから、最高裁判所は、臨床心理士を講師に招いて、プロの裁判官を対象とした勉強会を始めました。
この勉強会は、最高裁判所が初めて取り組んでいるもので、17日は名古屋高等裁判所に、裁判官などおよそ60人が参加しました。
5月でスタートから5年になる裁判員制度では、事件の証言を聞くことや、死刑を含めた難しい判断を迫られることによる裁判員の精神的な負担が課題になっていて、今回は被災地で心のケアなどに当たってきた臨床心理士が講師を務めました。
講師からは裁判を進める際の注意点について「遺体の 写真などは、必要がない限り使わない方が望ましい。また使用する場合も『誰でもストレスを感じるものだ』などと、裁判員に積極的に言葉をかけてほしい」と説明していました。
最高裁は今後、この勉強会を全国で開くことにしています。
講師を務めた臨床心理士の大澤智子さんは「そもそもプロの裁判官と話すことが、一般の市民にとっては大きなストレスだ。裁判官も対応を見直すきっかけにしてほしい」と話していました。
裁判員経験者の国賠訴訟に慌てて泥縄対策。でも、重罪事件ばかり扱うのだからストレスがあって当たり前。お気楽に軽~い気持ちで裁かれてはたまらない。ストレスに配慮するなら廃止しかない!
裁判員裁判の意見交換会
今年で5年目を迎える裁判員制度の在り方について話し合おうと15日、高知地裁で開かれた意見交換会には裁判員経験者8人と裁判官、検察官、弁護士が参加した。会の中で裁判員経験者は、刑の重さなどを裁判員と裁判官が話し合う評議について、「似た事件をもとに量刑を決めた印象がある。ある程度枠組みが決まっており自由な議論ができなかった。裁判員が積極的に発言できるようにしないと議論にならない」と意見を述べた。高知地裁によると、県内ではこれまで30の裁判員裁判で179人が裁判員を経験しているという。
似た事件で地裁ごとに量刑が大きく変わったらそっちの方が問題! そもそも「懲役何年にしますか。ご自由に議論を」と言われてできますか? 声の大きな人の感情に引きずられる可能性もありますね。
(48年目の「無実」 袴田事件再審決定:下)冤罪発掘、遅れる日本 米、官民で検証も
「とんでもないことが起きた」。袴田巌(いわお)さん(78)の再審開始決定を知り、東京都内に住む元裁判員の50代女性はそら恐ろしくなった。3年前、東京地裁の裁判員裁判の死刑判決に関わった。静岡地裁の決定は、袴田さんの死刑判決の根拠となっていた証拠は「警察による捏造(ねつぞう)の疑いがある」と明確に指摘していた。 女性は言う。「人が人を裁く裁判には、やはり間違いをおかす危険性がある」
2012年2月、さいたま地裁の死刑判決に関わった元裁判員の50代女性も不安を語る。「誤って死刑判決を下すことになったらと思うと、とても怖い」
鳥取県の元裁判員の50代男性は同年12月、鳥取地裁の死刑判決に関わった。「考え抜いてベストな結論を出した。その思いは今も変わらない」。だが、被告は全面否認し、直接的な証拠もない中での判断だった。「結論が百%正しかったと言い切る自信もない」
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確定した死刑判決が、次々と覆されている国がある。米国だ。
現地の民間団体「死刑情報センター」によると、1973年以来、再審で判決が覆されたり、恩赦を受けたりして無罪となった死刑囚は144人に上る。
袴田さんの再審開始決定の2週間ほど前にも、米ルイジアナ州の刑務所から、死刑囚として30年間過ごした男性が釈放された。
活用されているのは、袴田さんの再審開始決定につながったDNA型鑑定だ。
無実の人を救う活動を展開している米国の民間団体「イノセンス・プロジェクト」(IP)によると、89年以降にDNA型鑑定によって有罪が覆った事件は314件。このうち死刑事件は18件あるという。
広報担当のポール・ケーツさんは「科学捜査の進歩によって、考えられていたよりもずっと多くの人が、間違って有罪判決を受けていることがわかった」。
冤罪(えんざい)を掘り起こす、官民共同の大規模な取り組みも進みつつある。IPは昨年7月、米司法省や連邦捜査局(FBI)と共同で、過去に毛髪鑑定が有罪に結びついた2千以上の事件で検証を始める、と発表した。
毛髪鑑定で有罪とされながら、DNA型鑑定で覆った人が相次いだためだ。死刑が執行された事件も対象に含まれ、結果次第では、死刑制度をめぐる議論にもつながる可能性がある。
一方、日本では、死刑確定事件で、再審無罪となったのは4事件しかない。
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米国との違いはなにか。日本の刑事司法の研究を続ける米ハワイ大のデビッド・ジョンソン教授(社会学)は指摘する。「日本の検察が比較的慎重に起訴していることもあるが、それだけではない。冤罪を探し出す努力が欠けている」
米国と比べて刑事弁護に携わる弁護士が少ない。IPのような民間団体がない。冤罪が疑われる事件を掘り下げた報道も目立たない――。そうした事情も影響しているとみる。
「人間がつくった制度である以上、裁判の結果に間違いがあるのは当然。大事なのは、冤罪があるに違いないとの前提で探すことだ」とジョンソン教授。確定した判決を、第三者機関などがチェックする仕組みが必要だと指摘する。
裁判員制度の導入から、まもなく5年。無実の人に、市民が誤って死刑を言い渡すかもしれない時代は、既に始まっている。
裁判員制度の設計に関わった四宮啓・国学院大法科大学院教授はいう。「袴田事件が問うているのは、執行されたら取り返しがつかない死刑制度をこれからも維持し続けるのか、ということだ。それを市民自らが考える時期に来ている」
犯人とされる人が逮捕のときには警察発表垂れ流しで「こいつが犯人」と思わせる役目を担っているのが新聞じゃないか。裁判員制度推進で死刑制度反対には反対の朝日と四宮教授に聞きたい。執行されたら取り返しのつかない死刑制度があるなかで、市民がなぜ死刑判決に関わらなければならないのか。
「裁判員と仕事両立難しい」 経験者4人意見交換
地裁は19日、裁判員経験者と裁判官、検察官、弁護士の法曹三者による意見交換会を開いた。裁判員経験者の声を裁判員裁判制度の運営にいかそうと全国で開かれており、地裁での開催は3回目。
昨年、強盗致傷事件などの審理を担当した20~60歳代の裁判員経験者4人と法曹側 4人の計8人が参加。冒頭、地裁の深見敏正所長が「裁判員裁判を更にわかりやすくするため、意見をいただきたい」とあいさつし、裁判員経験者らに選任手続きや審理についての感想を求めた。
20歳代男性は、選任手続きの翌日から審理が始まることから「気持ちの切り替えや仕事の日程調整のため、ある程度の期間を空けてほしい」と要望。選任手続きを含めると拘束日数が5日間だった傷害致死事件を担当した50歳代男性からは「会社員なので、仕事のことを考えると審理は4日間が限界」と、仕事との両立の難しさを指摘する声も聞かれた。
また、量刑の決定について60歳代男性は「苦しかった。結局、判例で似た量刑を探すことになる」と振り返り、20歳代男性は「『市民感覚を取り入れる』という趣旨は理解できても、量刑を考えられるだけの知識は持っていない」と述べた。
一方で、制度そのものについては「良い経験になった」「多くの人に経験してほしい」といった意見が目立った。
仕事との両立は難しい、だから双方(素人と裁判官)が自分の仕事に専念しろってこと。両立できないから審理を短くしようという発想の裁判員制度は本末転倒。そりゃ珍しい体験をすれば「良い経験になった」でしょうが中身が大切。社会体験学習の乗り裁かれる被告人はたまったもんじゃない。
新たな裁判員でやり直し 水戸地裁、全員辞任の放火事件
裁判員6人と欠員に備えた補充裁判員2人の計8人全員が辞任を申し出る異例の事態となった放火事件の裁判員裁判で、新たに選任した裁判員での公判が17日、水戸地裁で始まった。根本渉裁判長は人定質問の後、被告に「裁判体の構成が変わりました。起訴状を読み上げるので、あらためて聞いていてください」と告げ、起訴状朗読など冒頭手続きを始めた。
被告は、自宅に昨年9月、火を付けて全焼させたとして、現住建造物等放火罪に問われた男(65)。
当初の審理では、1月14日の初公判までに裁判員1人と補充裁判員1人が辞任を申し出て地裁が解任。論告求刑が予定されていた同15日にもインフルエンザを理由に1人が辞任、必要な裁判員数に満たなくなった。
期日を再指定せざるを得なくなり、残る5人も日程調整ができないとして辞任した。やり直し公判でも補充裁判員は2人とした。
被告人が「迅速な裁判を受ける権利」を侵害された典型的ケース。同じことを繰り返すなど、余計な負担をかけている。
覚醒剤密輸:「1審分かりにくい」最高裁が苦言
覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などに問われ、裁判員裁判の無罪判決を2審で破棄されたイラン国籍の男の上告審で、最高裁第1小法廷は10日付で、被告の上告を棄却する決定を出した。2審・大阪高裁は審理を大阪地裁に差し戻しており、裁判員を選び直して審理がやり直される。裁判長を務めた横田尤孝裁判官は補足意見で「1審が不合理な判断をした原因の多くは、審理が分かりにくかったことにある」と、地裁と検察、弁護側に苦言を呈した。
被告(45)は2009年に覚醒剤4キロをトルコから密輸しようとしたとして起訴された。「被告の指示を受けた」とする共犯者の供述について、大阪地裁は携帯電話の通話記録と整合しないとして信用性を否定したが、2審は「通話は覚醒剤受け渡しの時期に集中し、多くは密輸に関する内容と推認される」と判断。小法廷も「高裁判断は合理的で是認できる」と支持した。
横田裁判官は、共犯者の証人尋問や被告人質問を計12時間超とした公判前整理手続きを批判。「審理内容が分かりづらくなったのではないか」と指摘した。さらに「裁判員裁判は施行5年を迎える。裁判員が法廷で見聞きしたことで的確に意見形成できるよう、法曹三者は不断の工夫と努力を重ねることが不可欠だ」と注文を付けた。
だから法曹三者が不断の工夫と努力を重ねるところが違うだろって話。これじゃ冤罪はなくならないよ。
「今も壮絶な葛藤と重圧」 元裁判員20人、死刑の一時執行停止を法相に要請
裁判員として刑事裁判に携わった経験を持つ20人が177日、死刑執行を一時停止したうえで死刑についての情報公開を求める要望書に署名し、谷垣禎一法相あてに提出した。署名者には裁判員経験者らの中には実際に被告人に死刑判決を出した人も3人含まれ、「一般の刑罰と比べて死刑は明らかに一線を画するもの。壮絶な葛藤と、今なお抱える重圧がある」と要望書の中でその心情を表現した。
署名者らは「私たちは自分の判断の当否についての議論や、死刑制度の存廃を提起したいわけではない」と前置きしたうえで、「死刑の実情について詳しい情報公開がなされていない現段階で、裁判員裁判における死刑確定者の刑の執行がなされれば、裁判員経験者の煩悶は極限に達するだろう」と述べ、(1)執行の一時停止(2)死刑に関する詳しい情報の公開(3)死刑問題の国民的議論を促すこと-の3点を法務省に求めた。
裁判員裁判での死刑判決事件は計20件で、うち刑が確定している死刑囚はこの日現在で4人。裁判員制度のもとで執行はまだない。
裁判員経験者らは「死刑が法律に明記されている以上、必要な選択として適法とは理解している。死刑について不明瞭な中での執行に違和感を募らせている」としたうえで、裁判員制度のもとで死刑が確定した死刑囚への執行につき、「これまでは国家の判断による死刑だったが、これからは国民の判断による国民への死刑となる。死刑を直視し議論する機会を国民に与えて欲しい」と要望した。
要望書の提出を呼びかけ、提出後に会見した田口真義さん(38)は、「署名者の中には死刑判決を選んだ人や死刑肯定派もいる。死刑判断をした方たちは、判決当時は(判断は)間違っていないと今でも思っているが、一方で、今は何の情報もなく分からないままに死刑が執行されることに怖さと不安を感じている」と署名者らの気持ちを代弁。「裁判員裁判にかかわった一般市民からの『執行はちょっと待った』という声を無視しないでほしい。執行が続けば、裁判員はお飾りに等しい」と訴えた。
インコは死刑反対だ。だから死刑執行を停止し、情報公開を行い、国民的議論を起こすことに賛成だ。世界の潮流がどうなっているのかを知る機会にもなる。しかし、この人たちに感じる違和感。お上の言われることにほいほいとついて行き、公権力を行使した挙げ句にその結果に怯える。「執行が続けば裁判員はお飾りに等しい」とはどういうことだ?
裁判員と量刑 最高裁は明確な基準示せ
裁判員裁判制度の核心に関わる問題ではないか。有罪の場合に刑罰を決める「量刑」をめぐり、裁判員の市民感覚と、裁判員裁判以前の判例とのバランスをどうするかが問われている。
全国犯罪被害者の会(あすの会)が先月末、裁判員裁判における量刑の判断を尊重するよう裁判所に求める決議を採択した。きっかけとなったのは、東京高裁が昨年言い渡した二つの強盗殺人事件の判決だった。
両事件はともに一審の裁判員裁判で死刑となったが、高裁が無期懲役に減刑した。高裁判断のよりどころは過去の判例にある。被害者が1人の強盗殺人の場合、計画性があるか、もしくは仮釈放中の犯罪でない限りは死刑にはなって いない-というものだ。
導入5年目となる裁判員裁判は市民の常識を反映させることで、職業裁判官が陥りがちなゆがみを是正する狙いがある。東京高裁判決は、一審で長時間かけて判例も考慮した上で死刑を選んだ裁判員の判断の重みを軽視することになる-と、あすの会は訴えている。
2件の高裁判決については検察側が、裁判員制度の趣旨を損なうなどの理由で上告している。最高裁の結論とその理由付け次第では、裁判員裁判の今後のあり方にも大きく影響するだろう。
裁判員裁判の判決は性犯罪などで厳罰化の傾向がある一方、可能なら執行猶予を積極的に付けるなど寛大な面もある。こうした判断については最高裁も容認するとみられていた。裁判員裁判には、市民感覚に基づく新たな量刑基準をつくる意味合いもあるからだ。
ところが一昨年の最高裁司法研修所の研究報告が波紋を広げた。一般事件は裁判員による量刑の幅を認めつつ、死刑には過去の判断を尊重するよう求めたためだ。昨年の東京高裁判決2件も、これに従ったものだと考えられる。
量刑は裁判員となる市民にとって悩ましい問題であり、最高裁は考え方を整理する必要がある。特に死刑については市民が理解しやすい基準を明確に示すべきだ。
この記事を書いた記者は根本的に裁判員制度に対する認識が間違っている。「裁判員裁判は市民の常識を反映させることで、職業裁判官が陥りがちなゆがみを是正する狙いがある」などの狙いはない。「これまでの日本の司法は正統に行われてきた」というのがこの制度を作った人たちの考えだ。記者に問う。なぜ、一般市民が人を裁き、「お前は死ね」と宣告しなければならないのか?
シンポで「裁判員の判断尊重を」 犯罪被害者ら
全国犯罪被害者の会(あすの会)は25日、東京都内でシンポジウムを開き、裁判所に裁判員の量刑判断を尊重するよう求める決議を採択した。被害者や遺族ら約150人が参加した。
決議は、東京高裁が昨年6月と10月、一審裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役としたケースを「裁判員制度の否定」と批判。「一般市民の感覚を反映した量刑判断を軽々に覆すべきではない」と指摘した。
死刑制度については「国民の圧倒的多数が支持しており存続すべきだ」とし、公判前整理手続きへの参加など被害者参加制度の拡充を求めた。
素人の感情論によって支配される法廷は、検察の暴走も許すだろう。
水戸地裁で裁判員ら8人全員解任
水戸地裁で17日に判決が予定されていた裁判員裁判で、補充を含む裁判員8人全員が15日までに辞任を申し出た。地裁はこれを認め全員を解任、公判期日を取り消し、新たに裁判員候補者の選任手続きをやり直すと15日発表した。こうしたケースは極めて異例。
地裁によると、検察官、弁護人と裁判のやり直し方法を協議する。審理を途中から再開することも可能という。
この裁判は、昨年9月に茨城県ひたちなか市の木造2階建ての自宅に火を付けて全焼させたとして、現住建造物等放火罪に問われた男(65)について審理していた。
地裁は9日、裁判員6人と補充裁判員2人を選任。初公判があった14日までに、裁判員1人と補充裁判員1人が辞任を申し出て、地裁が認めて解任。その後、論告求刑が予定されていた15日にも、開廷前に裁判員1人が辞任を申し出て地裁が認めた。
裁判員が6人に満たないため、地裁が公判期日を取り消し、別の日程を残りの5人に打診したところ、「予定が合わない」として5人から辞任の申し出があった。
地裁は、3人の申し出理由は明らかにしていない。
最高裁は「裁判員合憲」の大きな理由として裁判員制度には「参政権的側面」があるとしている。そうなれば辞任も自由だよね。その理由は明らかに出来ない? 明らかにしたら他の裁判員が、同じような理由で辞任申し出をすると、裁判所としては、これを解任しないわけにはいかないからね。
法廷で質問勇気いる ■死刑公開してない
裁判員の生の声を聞いて 14人の体験まとめた本出版
裁判員経験者が他の裁判員経験者に行ったインタビューをまとめた本。この記事では、最近出版されたかのような錯覚に陥るが、すでに出版されて2カ月経つ。嬉しそうな著者の写真付きで制度推進の提灯持ち。近日、本格的に論評します。
検察「裁判員判決尊重を」 死刑破棄に異例の上告趣意書
裁判員裁判の死刑判決を初めて破棄した6月の東京高裁判決をめぐり、東京高検は25日、「一般市民の量刑感覚を個々の裁判に反映させるという裁判員制度の趣旨を損なう」とする上告趣意書を最高裁に提出し、要旨を報道機関に公表した。検察が上告趣意書の内容を公表するのは異例だ。
最高裁は昨年2月、覚醒剤の密輸事件で、「事実認定がよほど不合理でない限り、裁判員裁判の判断を尊重すべきだ」との判断を示している。検察側が上告理由に、この判例への違反を挙げるのは今回が初めて。
男性1人が殺害された強盗殺人事件で、東京地裁の裁判員裁判判決は2011年3月、62歳の無職の男に対し、自分の妻子を殺害して20年服役した前科を重視して死刑を選択した。だがプロの裁判官で審理する高裁は今年6月、前科を重視して死刑とした過去の判例と比較。多くは無期懲役の仮出所中に前科と似た罪を犯していたが、被告の前科は、今回の金目当ての犯行との類似性はないとし、「一審は前科を重視しすぎた」として無期懲役に減刑していた。
東京高裁は10月にも裁判員裁判の死刑判決を破棄。検察が上告している。
最高裁は覚せい剤密輸事件での無罪判決を持って「1審判決を重視せよ」といった。ここに最高裁の欺瞞がある。日本の有罪率は99.9%。裁判員裁判は重罰化に利用されている。
死刑執行 弁護士ら批判 「法相、慎重に検討したか」
山梨、新潟両県で1986年に起きた連続殺人事件のF死刑囚(55)と中国人留学生強盗殺人事件のK 死刑囚(63)の死刑が執行されたのを受け、F死刑囚の弁護人を務めていた秋田一恵弁護士が12日午後、東京・永田町の衆院第一議員会館で記者会見し「法相は事件の背景を精査し、慎重に検討したのか」と疑問を投げ掛けた。
秋田弁護士によると、F死刑囚は少なくとも5回は再審を請求したが、いずれも棄却された。来年の請求を検討していたさなかの執行に、秋田弁護士は「隙を突かれた形でショックだ」と落胆した。
さらに親から虐待されるなどしていた成育歴が事件の背景にあると指摘し「裁判員裁判なら結論はかわっていたかもしれない」と話した。
同席した人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」の若林秀樹事務局長は「極めてハイペースの執行で、世界があきれている。死刑廃止を求める国際社会の要請と真っ向から対立している」と批判した。
「世界人権週間」、法務省は12月4日から10日に指定し、それが終わった途端に死刑執行。しかも日本は終わったが世界ではまだ人権週間が続いている最中であり、法務省の人権感覚と国際感覚はこの程度だと露呈したから世界が呆れているのだ。
それにしても裁判員裁判は「社会に害をなす奴は重罰に処すべし」という方向にどんどんなっているのに、未だに「裁判員ならわかってくれる」と思い込むズレかた。
遺体、異例の絵で提示 熊本地裁の裁判員裁判
同級生の男性を殺害し、八代市の山中に遺体を埋めたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた宇城市松橋町、元契約社員の被告(24)の裁判員裁判初公判が9日、熊本地裁(松尾嘉倫裁判長)であった。検察側は発見時の遺体の状況を色鉛筆で手描きした絵を証拠として提示。地裁が遺体の現場写真を採用しなかったためで、手描きは異例だ。
絵は裁判員らに示されたが、傍聴席向けの大型モニターには映されなかった。
遺体の写真をめぐっては、裁判員の心理的負担を軽減する取り組みが全国で広がっている。熊本地裁では8月以降、検察側が写真をイラスト風に画像処理して対応してきたが、今回はさらに配慮を迫られた。
3月の福島地裁郡山支部の裁判で、強盗殺人現場の写真を見た裁判員の女性が急性ストレス障害になったとして、国に損害賠償を求めて提訴。最高裁は7月、裁判員の負担軽減を図るよう、全国の地裁に通知していた。
ついに裁判員裁判は紙芝居になった! その紙芝居の絵は真実を描いているのか?
裁判員制度:考えよう 実体験や仕組みなど聞く−−来月1日 /大阪
裁判員経験者や弁護士から実体験や仕組みなどを聞くイベント「みんなで考えよう裁判員制度」が12月1日午後1時半、大阪市中央区の大阪ボランティア協会で開かれる。同協会が主催し、3部構成。参加者が少人数のグループに分かれ、裁判員経験者と直接、交流する場も設ける。
第1部は、西村健弁護士(大阪弁護士会)が裁判員制度の意義や仕組み、裁判員経験者の役割について説明。第2部では、裁判員経験者14人の体験談をまとめた「裁判員のあたまの中」(現代人文社)を出版した不動産業、田口真義さん(37)=東京都練馬区=が進行役になり、裁判員経験者から話を聞く。
田口さん自身も経験者で、出版の動機を「法曹関係者に裁判員の生の声を聞いてほしかった。また、いつか自分がやるかもしれない一般市民には、裁判員裁判を知るきっかけに。経験者には自分が体験した以外の裁判も知ってほしかった」と話す。
第3部はグループ討論で、数人ずつのグループごとに裁判員経験者や弁護士らが加わり、疑問や質問に答えて交流を深める。
ボランティア協会が罰則付き強制動員制度を考えると言いながら、推進派と提灯持ちしか集めていないね。つまり裁く側の論理だけを考えるってこと。問題点や実際に起きている被害・悲劇は考えない。
裁判員候補者に「遺体写真」を予告 東京地裁
東京都板橋区のマンションで昨年11月、主婦=当時(34)=を刺殺したとして、強盗殺人罪などに問われた23歳の男=公判中=の裁判員裁判の裁判員選任手続きで、東京地裁が候補者に「審理で遺体写真を使う」と予告していたことが19日、関係者への取材で分かった。地裁が候補者に遺体写真の使用を予告するのは初めて。
地裁は今年7月、公判で遺体や事件現場の写真などを示す場合、選任手続きの段階で候補者に予告することなどを「申し合わせ」としてまとめた。ベテラン裁判官は、「大きなショックを受ける不安のある候補者が、柔軟に辞退できるようにする目的」としている。
地裁は遺体写真の使用を告知されて辞退した人がいたかどうかは明らかにしていない。18日の公判では、検察側が遺体写真を裁判員らに提示した。
裁判官、検察官、弁護人は遺体の写真を見る訓練も受けているし、その覚悟を持って職に就いている。訓練もなく覚悟もない人を強制的に呼び出して裁判官のまねごとをさせる。これ職業選択の自由も奪い、苦役を課してるといわずして何という。辞退した人一切答えず何もかも秘密。
来年1月から始まるオウム真理教の平田信被告の裁判で、東京地方裁判所は裁判員の安全を守るためなどとして、法廷に防弾ガラスを設置する異例の対応を検討していることが分かりました。
オウム真理教の被告(48)は、平成7年に東京・品川区で起きた公証役場事務長の拉致事件など3つの事件で起訴され、来年1月16日から裁判員裁判で審理が行われます。
この裁判で東京地方裁判所が審理中、法廷の中に防弾ガラスを設置する異例の対応を検討していることが関係者への取材で分かりました。
防弾ガラスは、1枚が高さ1メートル80センチ、幅1メートル10センチで移動式の「ついたて」になっていて、傍聴席と証言台の間に並べて使用するということです。
裁判所は、教団による一連の事件では初めての裁判員裁判となることから、裁判員の安全を確保し不安を取り除くことや、被告を守る目的などで設置を検討しているとみられます。
また、この裁判では死刑囚3人への証人尋問が予定されていますが、東京地裁は警備を集中するためとして尋問が行われる日は、ほかの刑事裁判をできるだけ行わないなどの対応も取る方針です。
はぁ~? 銃弾飛び交う法廷を想定? …裁判員選任手続きの×日、裁判員たちには防弾ガラスの性能に関する詳細な説明書が配付され、裁判所前にはサリン対策の医務班と救急車が大挙待機し、裁判員たちの心の相談担当員が詰めるテントが立つ…ってことになるかもね。スリルも体験して日当ももらえる。やってみたい? 裁判員制度を擁護するどこかの団体の諸君たち。
この裁判は、被告が殺人未遂罪などに問われているため、本来であれば、市民が参加する「裁判員裁判」の対象でした。
しかし、裁判所は「工藤会が裁判員に危害を加えるおそれがある」と判断し、裁判官だけで審理することを決めました。
●裁判所の除外決定理由(ナレーション)
「工藤会の粗暴性や凶悪性等に鑑みると、裁判員等の生命、身体、財産に危害が加えられる具体的なおそれがある」
裁判所が、この裁判を裁判員裁判から除外した理由です。
「工藤会の凶悪性は広く知られ、裁判員が不安を抱いたまま正しい判断はできないため」と指摘しています。
裁判員法では、暴力団事件など裁判員に危害が及ぶおそれのあるケースについて、対象から「除外」できると規定しています。
●北九州市立大学法学部・山本光英学部長
「裁判員が、裁判中、あるいは裁判後に、何か自分に危害が加えられるのではないかという不安感をずっと抱くことになりますし、それがトラウマになって日常生活に支障をきたすということが十分に考えられますからね。除外をしなければ、この裁判員制度は実行不可能になるというふうに考えますけどね」
しかし、2009年に裁判員制度が始まってから実際に除外決定が下されたのは、今回の事件を含めて全国で2件だけで、慎重な運用がなされているのが実態です。
去年11月にも、さいたま地検が、暴力団の組幹部が射殺された事件について、裁判員裁判の対象から外すよう請求しましたが、裁判所は却下しています。
こうした中、福岡地裁小倉支部が除外理由に挙げたのが、裁判員に危険がおよぶ「具体的なおそれ」です。
北九州市に本拠地を置く工藤会は、準構成員を含めると、1000人を超える九州最大の暴力団です。
●捜査員との口論
「なんか!」「なんか!」「なんか、コラ!」
警察と全面的に争う姿勢を示していて、去年4月に福岡県警の元警部が銃撃された翌日には、車両の検問をめぐって捜査員と激しく口論する姿も見られました。
去年12月には、襲撃事件などを繰り返すおそれがあるとして、改正暴力団対策法に基づき、全国で初めて「特定危険指定暴力団」に認定されています。
●裁判所の除外決定理由(ナレーション)
「北九州地区を排他的に支配し、一般市民に対する凶悪事件を繰り返す工藤会は、判決の内容によっては、裁判員の身体や自宅を攻撃する危険性がある」
裁判員裁判からの除外は、全国で2例目ですが、その2件ともが、福岡県で起きた工藤会絡みの事件です。
●後藤記者
「全国に唯一の『特定危険指定暴力団』。その存在が、裁判のあり方にまで影響を及ぼしています」
「仕返し」が恐ろしいとなると裁判員裁判でなくなるという理屈を認める。そうなると、裁判員制度の根本に問題があることに話が広がってしまう。恐ろしかろうと恐ろしくなかろうと裁判官だったら絶対にあり得ない「裁判員免除方式」が登場する結果、次はどう発展するか。「俺を刑務所に追い込んだ奴は生涯をかけて探し出してやる」という被告人は暴力団員に限らない。いや、ストーカーをみたってわかることだが、いつまでも執念を燃やす根性など組織の論理で動く暴力団員の方がよほど乏しいだろう。かくして裁判員裁判の除外例は限りなく広がっていく。制度の破綻はここにも見える。
横浜市港南区の路上で3月、男性=当時(25)=に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死と傷害の罪に問われた30歳の男の裁判員裁判の判決が30日、横浜地裁であり、朝山芳史裁判長は「極めて危険な犯行」として懲役4年6月(求刑懲役5年)を言い渡した。
弁護側は「被害者側に携帯電話を壊され、暴行されたことに対する正当防衛だった」と主張していたが、朝山裁判長は「妥当で許される範囲を超えた過剰防衛」として退けた。
判決によると、同被告は3月10日午前4時半ごろから同45分ごろまでの間、同市港南区の路上で同区に住む無職の男性の腹を蹴り肝破裂で死亡させ、一緒にいた男性の友人=当時(22)=を殴り頭部などにけがを負わせた。
◆「自己本位な正義感」
「曲がったことが嫌いで正義感の強い人」。仲間らからそう評された被告。だがその行為は、法廷で厳しく指弾された。
事件のきっかけは、被害者側と別の男性とのトラブルに、被告が偶然出くわしたことだった。
面識はなかったものの、止めようと被告が近づくと、手に持った携帯を壊され、暴行を受けた。被害男性の友人は証人尋問で「自分たちの方から手を出した」と認めた。
ただ被告の反撃は、男性が抵抗できなくなってからも続いた。解剖医によると、男性の腹部には「交通事故のような強い力」が加わっていた。弁護側が主張した正当防衛は、認められなかった。
一方の被害男性にとって、事件は更生の途上で起きた。父親の経営する会社を継ごうと仕事を手伝っていたが、4年ほど前に父親が死亡。一度は薬物に手を出しながら、自ら民間リハビリ施設に入所。薬物の恐ろしさについて、中学校で体験談を話したこともあった。息抜きのため外出したさなかに、被害に遭った。
証人尋問で息子の来し方を語った母親は、被告への思いを問われ、精いっぱい答えた。「死刑にしてほしいけれど、私も人の親。被告も若いので、これから更生してほしい」
再出発を誓う息子の姿を知るが故の思いはしかし、裏切られてしまった。
「とにかく相手がしつこかったので、気づいたら自分も殴っていた」「被害者が亡くなったことは残念に思う」-。母親の後に証言台に立った被告は、自らの行為の正当性を繰り返した。
「罪の意識は感じられなかった。更生を願った自分は愚かと思う」。結審を前に、母親は検察官にそう漏らしたという。
「十分に反省しているとは言いがたい」。判決で、被告の態度をそう批判した朝山裁判長。判決言い渡し後の説諭でも、「君なりの正義感は自己本位で、必ずしも世間の中で正しいとは言い切れない」として、被害者に謝罪するよう求めた。
「曲がったことが嫌いで正義感の強い人」が厳しく糾弾される社会。曲がったこともちょっとは好きになれ、正義感は弱い方がいいってか。自己本位な正義感だって。正義感に自己本位とか他人本位とかがあるのかい? 「妥当で許される範囲を超えた過剰防衛」。ということは、どこまでなら妥当で許される反撃になるのか? で、懲役4年6月。どうにもこうにもどこか変な判決だね。はっきり言えることは、「この喧嘩、買った」なんてしゃしゃり出たりすると何年も臭いメシを食うことになるかも知れん、目をつぶってそういうところは通り過ぎろ、余計なことをやったら「死刑にしてやりたい」なんて言われるのがオチだぞ。とまぁそういう風に思う人が激増するってこと。この世の中の歯車がどこかで狂っている。この事件が私たちに送っているメッセージはつまりそういうことだね。
裁判員裁判、考えさせた報道 京都大学産官学連携本部客員准教授・瀧本哲史
裁判員制度が施行されてから4年がたち、裁判員法の見直し条項に従って、現在、制度の再検討が進んでいる。こうした中で興味深い判決が東京高裁であった。裁判員裁判が1審で言い渡した死刑判決を破棄して無期懲役に減刑した事案が6月、10月と続いたのである。2つの判決を下したのは同じ裁判長だった。
両被害者の遺族を取材した記事が20日付産経(大阪本社版、一部内容が違う東京本社版は22日付)に掲載されている。その声は当然ながら悲痛で、「政府がまとめた『犯罪被害者基本計画』には『刑事司法は、犯罪被害者等のためにもある』と書かれていますが、職業裁判官にとっては空文だった」などと鋭く司法を批判する。また犯罪被害者支援にとりくむ弁護士は「市民の日常感覚や常識を取り入れた裁判員裁判が、先例と違う判断をするのは当然」と、ある種の民意重視を訴えている。
もちろん、この問題は簡単ではない。そもそも裁判は民意で行うものではないし、数人の裁判員の考えが民意というのも難しいだろう。裁判員制度のもとになっている陪審制度でも陪審は権力の乱用から被告人を守るものであり、人民裁判ではない。
最高裁などの調べによれば、裁判員による裁判はやや重罰に傾き、特に性犯罪や傷害致死、強盗致傷などの事件で量刑が重くなる傾向にあることがわかっている。一方で刑事政策的には重罰が犯罪減少の決め手ではなく、死刑の威嚇力についても議論が分かれている。裁判所は少数者の権利を守る最後の砦(とりで)でもある。検察側と被告人側の意見を戦わせた上で理を持って決めるものであり、いわゆる民意の多数決とは相いれない。
これらを踏まえて、最高裁は裁判員制度を導入するにあたり「死刑の選択は慎重に」とし、昨年公表された最高裁司法研修所の研究報告でも「死刑判断は先例を尊重すべきだ」と打ち出している。そういう意味で一連の判決は、裁判官個人の問題と言うより、そのまま適用したと考えれば驚くには当たらない。
ただ、一方で法は国民の感情を反映すべき部分もある。死刑選択の基準である矯正不可能性、計画性をどの程度重視すべきか、今回の件においてどう考えるかは専門家の間でも議論が分かれうる。これはやはり最高裁で争うのが適切な事案だと思う。裁判員制度について最高裁がどのように考えるのかについても黙示的に判断される点で極めて興味深い。このタイミングで追加取材を行い、問題提起した意義深い報道といえるのではないか。
【プロフィル】瀧本哲史
たきもと・てつふみ 東京大法卒。東大助手、マッキンゼーを経て独立。投資家。全日本ディベート連盟代表理事。
民意重視や多数決の問題点をきちんと言い、裁判所が少数者の権利を守る最後の砦と指摘しているところはGoodだ。最高裁の指針をそのまま適用しただけで驚くには当たらないというのもそのとおり。ただ、最高裁で争うのが適切と言ったところで、つんのめっちゃったよ。最高裁はぐらぐらの制度延命のためなら、裁判員さまさまのごますり判決を出す危険がある。哲史さん、廃止に投資した方がお得だと言い切った方がいいよん。
大分地裁で裁判員、被告を怒鳴る 弁護側が一時解任求める
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