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2017年03月

03月28日 和歌山地裁
2015年2月、小学5年の男児(当時11歳)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた24歳の男性に対し、浅見健次郎裁判長は懲役16年(求刑25年)を言い渡した。
公判では検察側、弁護側とも被告が事件当時、男児と2歳上の兄(15)に被害妄想を抱き、心神耗弱状態だったと主張し、争点は量刑だった。
検察側は論告で「一方的に多数回切りつけるなど悪質。殺意は強固で、落ち度のない男児の生命が奪われた結果は重大。通り魔的犯行で地域社会に与えた衝撃や不安は甚大」などと指摘。
被告は公判で、起訴内容の認否を変遷させた末、遺族に謝罪し、弁護側は「被告は否認という方法で自分を保っている。謝罪を述べるに至ったのは大きな意味がある」などと情状酌量を求めていた。

03月27日 札幌地裁
建設作業員=当時(50)=に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた57歳の建設会社社長に対し、懲役12年(求刑14年)を言い渡した。元作業員(57)は懲役10年(同11年)とした。
金子大作裁判長は、派遣先で佐被害者が仕事中に居眠りしたと苦情を受けたことに被告が激怒し、感情に任せて暴行したと指摘。元作業員も進んで加担したとし、「動機は身勝手というほかない」と非難した。
判決によると、両被告は昨年1月13日、原被告宅で、被害者の背中や尻などを金属パイプや麺棒で約2時間半にわたり殴って死なせ、遺体を車庫に遺棄した。

03月25日 福島地裁郡山支部
男性が暴行を受け、現金などを奪われ死亡した事件で、強盗致死と死体遺棄、窃盗の罪に問われた50歳の男性に対し、井下田英樹裁判長は「共謀は認められず、刑事責任を問うことはできない」として無罪(求刑12年)を言い渡した。県内での裁判員裁判で無罪判決は初めて。
公判では、被告と、62歳被告=強盗致死罪などで懲役30年、仙台高裁に控訴=ら4人との共謀の有無が争点となった。井下田裁判長は判決理由で「50歳被告は62歳被告らから暴力を受け監禁されていたため、命令に逆らえず(事件)現場に同行した」と指摘、「62歳被告らに抵抗することは困難な状況だった」として共謀関係を否定した。

03月24日 宇都宮地裁
2015年4月、1型糖尿病だった小学2年男児=当時(7)=の両親に指示してインスリンを投与させずに男児を衰弱死させたとして、殺人罪に問われた自称「龍神」の建設業の62歳男性に対し、佐藤基裁判長は懲役14年6月(求刑15年)を言い渡した。

03月24日 さいたま地裁
昨年8月、自宅で同居の母親=当時(90)=の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた69歳の息子に対し、高山光明裁判長は懲役8年(求刑10年)を言い渡した。
判決で高山裁判長は「犯行前日ごろからベルトを準備し、被害者の無防備な隙を見て頸部を強く絞めた殺意は強固であり、犯行は冷静かつ悪質」と指摘。足が不自由だった被告が母の通院に付き添うなど、愛情や責任感を持って母の将来を考えていたことは否定できないとしたものの、「被害者は健康上、特に問題がなく、通常の生活を送れた。被告の意思決定は身勝手で短絡的」と断じた。
また、高山裁判長は、被告が自首した点や罪を償う意思があることを認めた一方、「被害者への謝罪や後悔の言葉がなく、罪に向き合っているとは認め難い」とした。

03月24日 名古屋地裁
名古屋市で知人の高齢女性を殺害し、仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大女子学生(21歳、事件当時未成年)に対し、山田耕司裁判長は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
最大の争点だった責任能力の有無について、判決は検察側の主張を認め「一連の事件でおおむね合理的な行動を取り、責任能力はあった」と判断。非常に重い精神障害を理由に「責任能力はなかった」とし、全ての事件で無罪を求めた弁護側の反論を退けた。
10日の論告求刑公判で、検察側は「更生の可能性は極めて乏しく、生涯にわたる償いが必要だ」として無期懲役を求刑していた。
殺人、放火未遂事件を審理した法廷で、元名大生は「人が死ぬ過程を見たかった」「生物学的なヒトなら誰でもよかった」などと衝撃的な発言を繰り返す一方、タリウム事件については「観察目的」と述べ、殺意を否定した。

03月24日 大阪地裁
長男=当時(42)=を殺害したとして、殺人罪に問われた74歳の父親に対し、西野吾一裁判長は「経緯や動機に同情できる余地がある」として懲役3年・執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
西野裁判長は、神経症を患っていた長男が、両手足が不自由で寝たきりの被告の妻に対し、親族に金の無心をするよう複数回にわたって要求し、暴行を加えていたと指摘。妻から長男の殺害を繰り返し依頼され、「精神的に追い詰められた末の犯行だ」と結論づけた。

03月23日 大阪地裁
パトカーの追跡から逃げる途中、信号を無視してタクシーと衝突し運転手を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた46歳の男性に対し、小倉哲浩裁判長は懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
検察側は論告で、飲酒運転の発覚を恐れて信号無視し、事故後は経営する飲食店の男性従業員に身代わり出頭もさせており「身勝手極まりない犯行だ」と指摘していた。
起訴状によると、昨年6月2日未明、時速約70~80㌔で赤信号の交差点に進入しタクシーと衝突。運転手を死亡させ、自分の車の同乗男性も負傷させたのに逃げたなどとしている。

03月22日 千葉地裁
ホテルで昨年7月、女性=当時(28)=の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた36歳の男性に対し、金子武志裁判長は「別れ話を切り出され、他の男性に渡したくないと思い殺害した。動機は短絡的で身勝手」として、懲役13年6月(求刑15年)を言い渡した。
金子裁判長は判決で「後ずさりして逃げる被害者に馬乗りになり、抵抗を押さえつけるまでして首を圧迫し続けた」と犯行態様を非難。「被害者は28歳の若さで将来を奪われ、最愛の娘の成長も見守ることができなくなった」と指摘する一方、「自首して不利な事実も進んで供述するなど、反省の態度を示している」と量刑の理由を説明した。

03月22日 神戸地裁
2015年3月、2家族の男女計5人が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた42歳男性に対し、長井秀典裁判長は「正常な心理で殺害を選択し、実行した」と完全責任能力を認め、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。
公判は被告の事件当時の精神状態や責任能力の有無が争点だった。神戸地裁の裁判員裁判での死刑判決は、14年9月に神戸市長田区で起きた小1女児殺害事件に続き2例目。
長井裁判長は判決で、向精神薬の大量摂取による精神障害が妄想を引き起こし、動機に影響したと指摘。一方で「殺害の実行には影響がほとんどなく、犯罪と分かっていながら、あえて殺害を選択した」と述べた。
さらに「一定の計画性の下で非常に強い殺意があり、動機も身勝手」と強調。「落ち度のない5人もの命を奪った上、犯行を正当化し続けている」とした。
公判で検察側は精神鑑定結果などから「完全な責任能力があった」としたのに対し、弁護側は「精神障害による妄想で善悪の判断ができなかった」として、心神喪失による無罪か心神耗弱による罪の軽減を求めていた。被告は「工作員に仕組まれた完全な冤罪」と主張していた。
被告は10年12月、自分や他人を傷つける恐れがある精神障害者らを行政が強制入院させる「措置入院」により、明石市内の病院に入院。入退院を繰り返し、事件前に実家に戻っていた。

03月21日 さいたま地裁
国道で赤信号を無視して交差点に進入し歩行者と衝突して逃げたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた23歳の男性に対し、危険運転の適用を退け、同法の過失致死と道交法違反の罪に当たるとして懲役4年(求刑10年)を言い渡した。
守下実裁判長は検察側の求刑後、過失致死罪を予備的訴因として追加するよう命じていた。求刑後の訴因変更命令は異例。
検察側は約180㍍手前で赤信号に変わったにもかかわらず、意に介することなく時速約80㌔で進入したと主張していた。守下裁判長は判決で、目撃証言を基に、交差点に入ったのは赤信号に変わって約2秒後だったと認定。「赤信号をことさら無視したとまでは言えない」と述べた。
弁護側は「信号は青だった」などとして、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決によると、昨年4月21日午前4時半ごろ、乗用車を運転し、国道で青信号の横断歩道を渡っていた男性(78)に重傷を負わせて放置し、後続車に男性をひかせて死亡させた。

03月21日 東京地裁
連続強姦致傷事件で懲役9年の実刑判決を受けて控訴中に保釈され、その約2週間後に再び女性に暴行したとして、強姦と監禁の罪に問われた27歳の男性に対し、懲役4年6月(求刑7年)を言い渡した。
大川隆男裁判長は「強姦致傷事件の控訴中に犯行に及んでおり、性犯罪に対する抵抗心が弱く、順法精神も低下している」と述べた。
被告は昨年1月29日、大阪市内の自宅で20歳代の女性3人に乱暴したとして、大阪地裁の裁判員裁判で懲役9年の判決を言い渡された。被告側が控訴して保釈請求し、同地裁が同年2月1日、保釈を許可。東京地裁判決によると、被告は2週間後の同月15日、東京都新宿区のホテル客室に女性(当時22歳)を誘い込み、乱暴した。
大阪の事件はその後、控訴や上告が棄却され、1審判決が確定した。東京の事件の判決が確定した場合、大阪の事件の刑期と合算されて執行される。
東京の事件で弁護側は「女性と合意があった。強姦も監禁もしていない」と無罪を主張。判決は、強姦罪について、女性が交際相手に助けを求めるメッセージを送信していたことなどから、合意はなかったと判断。一方、監禁罪については、「威圧的言動はなかった」として成立を否定した。

03月17日 札幌地裁
76歳男性が昨年5月に自宅で殺害された事件で、強盗殺人罪などに問われた68歳男性に対し、中桐圭一裁判長求刑通り無期懲役を言い渡した。

03月17日 盛岡地裁
現住建造物等放火罪に問われた47歳の男性に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。判決などによると、昨年6月9日午前7時15分ごろ、当時住んでいた自宅の寝室と台所に灯油をまいて火を付け、木造平屋約55㎡を全焼させた。

03月17日  東京地裁
覚醒剤を密輸したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などに問われたポーランド国籍の男性(48)に対し、石井俊和裁判長は「男性には覚醒剤を密輸した認識はなかった」と無罪(求刑・懲役13年、罰金600万円)を言い渡した。
男性は2016年4月、覚醒剤約2.5㌔が隠されたスーツケース1個を英国から羽田空港に運び込んだとして起訴された。判決は、覚醒剤がケースの二重底の中に隠されていたことなどから、「ケースを普通に扱っただけでは不審点に気付くとは限らず、男性が覚醒剤の存在を認識していたとは認められない」と述べた。

03月17日 横浜地裁
男性を刃物で突き刺すなどして殺害し遺体をアパートの床下に埋めたとして、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた、いずれも指定暴力団稲川会系元組員の男性被告2人に対し、片山隆夫裁判長は、懲役18年(求刑20年)と懲役15年(同18年)を言い渡した。 公判で両被告は殺害の事前共謀を否認。殺意についてもそれぞれが否定し、責任をなすりつけ合うような主張をしていた。片山裁判長は判決理由で、両被告が男性を呼び出して暴行を加える以前に、協力して土のう袋やブルーシートを準備していた点に着目。「死体処理に使う以外、合理的用途がない」とし、「事前に殺害を想定していたことを強く推認させる」と述べ、事前共謀や殺意を認定した。 その上で、懲役18年の男性被告について「計画を発案して中心的な立場にあり犯情は悪い」と指摘。懲役15年の男性被告については「果たした役割は重要で、悪質性は木名瀬被告を大きく下回らない」とした。判決などによると、両被告は共謀し、2012年4月、大和市の男性被告の自宅で、指定暴力団山口組系元組員の男性=当時(33)=に睡眠薬入りのカレーを食べさせた後に顔を殴打したり刃物で首を刺したりして殺害。遺体を切断して静岡県伊東市のアパート床下に埋めた。3人は拳銃強盗を企てた仲間で、入手した拳銃を巡りトラブルになったことが事件の発端とされた。

03月17日 名古屋地裁
2015年7月、自治会長(当時65歳)を刺殺し現金入りのバッグを盗んだとして、殺人、窃盗罪などに問われた少年(19)=事件当時高校3年=に対し、堀内満裁判長は懲役8年以上13年以下(求刑10以上15年以下)の不定期刑を言い渡した。
弁護側は事件時に心神耗弱だったと主張した上で、少年院で更生させるのが相当として改めて家裁で審理するよう求めていた。
公判では責任能力や殺意の有無などが争点となった。検察側は論告で、少年が集めたナイフを人に使ってみたいと以前から考え、致命傷を与える刺し方を事前にインターネットで研究し、事件後には血の付いた服を洗うなど、一定の計画性があったと指摘した。
さらに、最初は殺害をためらい、事件で使ったナイフをアタッシェケースに詰め同級生に預けたことなどから、行為の違法性を認識していたとした。これらから精神障害の影響はあるものの軽度で、完全責任能力があったと主張した。
首や顔などを11回も強く刺しており殺意もあったと指摘して「通り魔的で残忍極まりない」と述べ、少年法で有期刑の上限となる不定期刑を求刑した。
一方、弁護側は最終弁論で、少年が生まれつき自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群や自閉症などの総称)で、家庭環境のストレスもあったと指摘した。事件直前には精神的な混乱状態に陥って、偶然通りかかった被害者に突如怒りが湧き、攻撃を思いついた後は行動を制御する能力を著しく低下させていたと主張した。
また、障害の影響で極度のパニック状態に陥り、無我夢中でナイフを振り回したとして殺意を否認した。懲役刑では社会復帰後に再び犯罪を起こす危険性が予測され、障害の特性を踏まえた専門的な指導を実施する必要があり、第3種(医療)少年院などでの処遇が相当と訴えた。

03月17日 大阪地裁
両親の夫婦げんかに割り込み、父親の首に菜箸を刺して死亡させた罪に問われた51歳の男性に対し、懲役3年・執行猶予4年を言い渡した。
判決などによると、被告は去年6月、父親(当時80)が母親に向かって、「死ね」などと大声でののしるのに腹を立て、仲裁に入ったところ、「お前に言われたくない」「まともな仕事を探せ」などと言われたために強い怒りを抑えられず、台所にあった長さ31㌢の菜箸で父親の首を突くなどの暴行を加えて死亡させたとされる。犯行直後、被告は自ら119番通報しているが、「菜箸が刺さった時の状況ははっきり覚えていない」と。判決は「暴行に及んだことは非難されるべき」と指摘する一方、「腹を立てたことには理解できる部分もあり、母親らも被告を許している」と。

3月17日 鹿児島地裁
昨年、同居の女性=当時(67)=を暴行して死なせたとして、傷害致死罪に問われた67歳の男性に対し、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。
判決理由で冨田敦史裁判長は「連日のように執拗かつ一方的に強い暴行を加えており、危険性や悪質性が高い」と述べた。文句を言う被害者を思い通りにさせたいといった動機に「同情の余地は乏しい」と指摘した。
事件当時、認知症の影響で心神耗弱状態だったと認めたが、執行猶予付き判決を求めた弁護側の主張は退けた。
判決によると、昨年2月から3月9日までの間、被害者の全身を孫の手で多数回殴るなどし、全身打撲による外傷性ショックで死亡させた。

03月16日 宇都宮地裁
2016年1月、当時3歳の長女の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた38歳の母親に対し、二宮信吾裁判長は「被告は犯行当時、うつ病で心神耗弱の状態だった」として、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。

03月16日 横浜地裁
昨年2月、長女(当時7歳)と次男(同5歳)を窒息死させたなどとして殺人と殺人未遂の罪に問われた40歳の母親に対し、懲役9年(求刑10年)を言い渡した。安藤祥一郎裁判長は「確固たる殺意に基づき残酷」と指摘した。

03月15日 京都地裁
京都市のマンションで昨年9月、住人で知人の男性=当時(73)=を殺害し、遺体を浴室内に遺棄したとして、殺人と死体遺棄罪に問われた43歳の男性に対し、坪井祐子裁判長は懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
公判で弁護側は、被告は被害者の世話をしていたが、要求がエスカレートしたことなどから殺害を決意しており、「介護疲れの事件に似ている」と主張。しかし、坪井裁判長は判決理由で「自らの意思で世話をやめることもできたはずで、介護疲れの事案と同様とはいえない。犯行は突発的だが、強固な殺意に基づき、犯行態様も非情」とした。

03月14日 千葉地裁
千葉市の病院で精神科に入院中の男性患者=死亡当時(36)=に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた当時の准看護師の63歳の男性と67歳の男性に対し、高橋康明裁判長は63歳男性に罰金30万円(求刑8年)、67歳男性に無罪(同)を言い渡した。
起訴状などによると、両被告は同病院の准看護師だった2012年1月1日、病院内の保護室で、重度の精神障害で入院していた男性に対し、共謀して顔を足で数回踏みつけ、膝で首を押さえつけるなどの暴行を加え、頸髄損傷などのけがを負わせ、そのけがを原因とする肺炎により2014年4月28日に死亡させたとしている。

03月14日 大阪地裁
大阪市のマンションで2014年7月、交際相手を絞殺したとして、殺人罪に問われた38歳の男性に対し、橋本一裁判長は懲役9年(求刑18年)を言い渡した。
被告は「被害者が手をかんできたので、制止するためにブラジリアン柔術の絞め技をかけただけだ」と殺意を否定していた。
橋本裁判長は判決理由で、被害者が危険ドラッグの影響で異常だった可能性はあると指摘。「技をかけた当初は殺意が認められないが、次第に死んでも構わないという心理になっていた」と述べ、殺意を認定した。

03月14日 大阪地裁
強盗強姦未遂などの罪に問われた29歳の男性の裁判で、被告には軽度の知的障害があったことから、伊藤寿裁判長は「警察の取り調べで録音・録画がされておらず、障害に配慮した取り調べだったとは認められない」として、捜査段階の自白調書が信用できないとする判断を示した。その上で、ほかの証拠から被告の犯行を認定し、懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年11月、大阪市内で女性から現金を奪い、自宅に監禁して性的暴行を図るなどした。
公判では、被告がどの時点で暴行しようと考えたかが争点となり、検察側は、被告が「最初から性的暴行目的だった」と述べた自白調書を根拠に、悪質性を強調していた。

03月13日 山形地裁
車の運転を巡るトラブルで殺人未遂と傷害の罪に問われた39歳の男性に対し、寺沢真由美裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑7年)を言い渡した。

03月13日 福井地裁
14年と15年に女子高生2人にわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ致傷など2件の罪に問われた23歳の男性に対し、入子光臣裁判長は懲役3年・保護観察付き執行猶予4年(求刑3年6月)の有罪判決を言い渡した。

03月10日 仙台地裁
元交際相手=当時(16)=に暴行して死亡させ、遺体を山林に遺棄したとして、傷害致死罪などに問われた31歳の男性に対し、懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
小池健治裁判長は「被害者の言動に振り回された被告が強い怒りを募らせ、何らかの暴行を加え、死亡させた」として傷害致死罪も適用した。被告の暴行が原因で死亡したかどうかが最大の争点だった。
判決によると、被告は2014年12月11日、東京都杉並区の自宅アパートで被害者の両肩付近を押すなどの暴行を加えて死亡させ、15年3月15日ごろ、空き家になっていた実家裏の杉林に遺棄した。

03月10日 前橋地裁
殺意を持って同居の祖父をハンマーで殴り、逃走先でコンビニ強盗をしたとして殺人未遂と強盗、銃刀法違反の罪に問われた29歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役9年(求刑15年)を言い渡した。鈴木裁判長は就寝中の祖父=当時(73)=の頭を少なくとも19回殴った犯行は「危険性が高く悪質」とした。
起訴状などによると、被告は2014年11月夜、祖父方で犯行におよび逃走。翌年1月15日、横浜市内のコンビニで現金6万6千円を奪った。

03月10日 千葉地裁
畑に女性=当時(18)=を生き埋めにして殺害したなどとして、強盗殺人や逮捕監禁などの罪に問われた22歳の男性に対し、吉井隆平裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
起訴状によると、被告は2015年4月19日夜、共犯の元少女(20)や男性被告(22)=いずれも強盗殺人罪などで1審無期懲役、控訴=らと共謀し、千葉市中央区の路上で女性を乗用車に乗せ、両手足を緊縛するなどして監禁。車内で財布やバッグを奪い、翌20日未明、畑に掘ってあった穴に女性を入れて土砂で生き埋めにし、殺害したとしている。
公判で被告は「逮捕監禁については間違いないが、強盗殺人などについては否認する」と、起訴内容を一部否認していた。
弁護側は、少女と物の貸し借りをめぐってトラブルになった女性を脅すのが目的で、「女性が死亡したのは被告にとって予定外だった」と主張。計画性のない場当たり的な犯行だったと訴えていた。

03月10日 東京地裁
覚せい剤の密輸事件をめぐり、タイ警察が行ったおとり捜査の違法性が争われた裁判で、稗田雅洋裁判長は違法性を認めず、被告の男に懲役17年・罰金800万円(求刑20年・罰金1000万円)を言い渡した。
男性は69歳の暴力団関係者。タイ警察が密売人を装い、押収した覚せい剤を被告側に届けた捜査手法について、弁護側は「日本では許されない手法のおとり捜査だ」と主張していた。
稗田裁判長は「日本で通常用いる捜査手法ではないが、各国の手法は法制度により異なる」と指摘。タイ警察は自国の法律に基づいて覚せい剤を届けており、密輸後の日本の捜査にも違法はなかったと判断した。
判決によると、被告は指定暴力団稲川会系組員(53)らと共謀し、2014年4月にタイから覚せ
い剤約11㌔を密輸した。

03月10日 広島地裁
衰弱した生後8カ月の長男を放置し、死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた父親(42)と母親(23)に対し、小川賢司裁判長はいずれも懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
判決は、長男の栄養状態が悪化していたことを知りながら、十分とは言えない量の粉ミルクしか与えず、病院にも連れて行かなかったなどと指摘。生活保護費を趣味や嗜好に費やした生活ぶりにも触れ、「必要な保護を与えることに困難があったとは言えない。親として果たすべき責任を放棄した」と述べた。

03月09日 旭川地裁
昨年8月に病院で父親を包丁で刺し殺したとして、殺人などの罪に問われた60歳の男性に対し、佐藤英彦裁判長は「父を殺害し、自分のつらい状況などすべてをなくしたいという身勝手な犯行」として、懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
判決理由で佐藤裁判長は「十分に準備した上で頸部を包丁で多数回突き刺しており、強固な意思に基づく犯行」と指摘。一方で「父への恨みなどではなく、(入院中の)身体拘束から解放してやりたいとの動機もあった。適応障害により柔軟に物事を考えるのが困難だった」と情状酌量の理由を述べた。

03月08日 岡山地裁
コンビニで2015年、商品を盗み、駆け付けた警察官を包丁で切り付けたなどとして殺人未遂などの罪に問われた36歳の男性に対し、無罪(求刑5年)を言い渡した。
松田道別裁判長は判決理由で、男性は統合失調症で幻聴なども慢性化していたとの鑑定結果を採用し、犯行当時、「強く興奮して十分な思慮を行えなかった」と指摘。「自らの行為が犯罪であることを理解しながらあえて犯行を行ったとは言えず、心神喪失の状態だった」とした。
判決によると男性は、自宅から約1㌔離れたコンビニに包丁を手に持って行き、商品の缶ビールやバナナを店内で飲食。駆け付けた警察官を切り付けるなどした。

03月08日 高松地裁
強盗殺人などの罪に問われた43歳の男性に対し、野村賢裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。判決によると、被告は昨年8月、アパートに一人で住んでいた42歳の団体職員が玄関ドアを開けた際に侵入。被害者の首を手で圧迫して殺害し、財布やキーケースを奪った。
判決は殺意について「生命を奪う行為で、危険性も容易に認識できた」として認定。そのうえで「身勝手で卑劣かつ残忍な犯行で、落ち度のない尊い命を奪った」と指摘した。

03月07日 青森地裁
昨年5月、自宅で夫の首をパソコン用ケーブルで絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた58歳の女性に対し、鎌倉正和裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
被告は精神疾患を抱える夫(当時63歳)の面倒を一人で見ていたが、飲酒運転や暴言を繰り返す夫の症状が改善されないと思い込み、犯行に至った。
公判では、被告も睡眠不足や気分が落ち込む「持続性抑うつ障害」になっていたとし、責任能力の有無が争点となっていたが、鎌倉裁判長は「自らの手で何とかしなくてはと思い詰め、他の解決策に目を向けなかった」と指摘し、責任能力を認めた。
判決言い渡しの後、鎌倉裁判長は「裁判員や裁判官たちから伝えたいことがある」と切り出し、「頼れる子どもたちがいて、頼れば手を差し伸べてくれることは十分わかったと思う。被害者の命を奪ったことと向き合い、つらいこともあると思うが、しっかり生きて責任を果たして」と読み上げた。
メッセージの内容は裁判員と裁判官で協議したといい、記者会見で男性裁判員(32)は「家族が被告を気にかけてほしい」と話した。

03月03日 宇都宮地裁
多量の睡眠導入剤を入れたみそ汁を夫に飲ませて殺害したとして、殺人罪に問われた64歳の女性に対し、佐藤基裁判長は、懲役5年(求刑10年)を言い渡した。
判決によると、被告は2014年8月8〜10日、自宅で夫(当時71歳)に睡眠導入剤を溶かしたみそ汁を飲ませて殺害したとしている。
弁護側は事件当時、被告は心神喪失状態だったなどとして無罪を主張していたが、佐藤裁判長は「現実を踏まえた判断のできる人間が目的実行に向けて合理的に行動した」と結論づけ、刑事責任能力を認めた。
一方、被告の性格については、長期間にわたって精神障害を患っていることや障害への理解が浅い父親に育てられた環境が影響したと指摘。そのため、「(被告の)意思決定に対する非難の程度は相当低い」として、検察側の主張を一部退けた。

03月03日 千葉地裁
昨年3月、生後5カ月の長女を殺害したとして、殺人罪に問われた39歳の母親に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。金子武志裁判長は事件当時被告が「産後うつ病」の影響で心神耗弱状態だったと認め、「服役より治療を優先すべきだ」と結論づけた。
被告は事件前の昨年2月、産後うつ病と診断されていた。病気が事件に影響した点は検察側と弁護側に争いがなく、争点は責任能力の有無と程度だった。
判決は、被告が殺害を何度か思いとどまっていたとして「善悪を区別し、行動を制御する力は残っていた」と判断。心神喪失状態で刑事責任は問えないとする弁護側主張を退けた。家族が処罰を望んでいないことなどをふまえ執行猶予とした。
判決によると、被告は、療養のため滞在していた夫の実家で、長女と心中しようと考え、首を絞めて窒息死させた。

03月03日 大阪地裁
国道で7人が死傷した交通事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた45歳の男性に対し、伊藤寿裁判長は懲役11年(求刑12年)を言い渡した。
被告は事故当時、制限速度が時速50㌔だったのに時速163㌔走行しており、伊藤裁判長は「制御するのが困難になる危険な走行で悪質だ」と指摘した。
判決によると、被告は15年1月4日、乗用車を運転中に対向車線にはみ出し、対向車線を走行していた乗用車と衝突。この車に乗っていた80歳男性ら2人を死亡させ、5人に重軽傷を負わせた。

03月02日 福岡地裁
不動産仲介会社で女性店員ら2人をおので襲うなどしたとして、殺人未遂罪などに問われた57歳の男性に対し、懲役11年(求刑15年)を言い渡した。
平塚浩司裁判長は、「強固な殺意に基づく凶悪で、あまりにも悪質な犯行」と述べた。被告は犯行時、妄想性障害を患っており、弁護側は「心神喪失の状態だった」として無罪を主張していた。
平塚裁判長は判決で、被告が「同店舗などから嫌がらせを受けている」との妄想が影響を与え、心神耗弱状態だったと認定。しかし、「(事件は)被告の元来の性格に基づくもの」と述べ、刑事責任能力はあったと結論づけた。
判決によると、被告は女性店長と女性店員(ともに30歳代)の頭部をおので切りつけ殺害しようとしたほか、店内に灯油をまき、ライターで点火しようとした。

03月01日 大阪地裁
トラックで自転車に衝突し、男性(当時68)を引きずって殺害したとして、殺人と自動車運転死傷処罰法の過失運転致傷罪などに問われた25歳の男性に対し、遠藤邦彦裁判長は殺人罪の成立を認めたうえで「残虐な行為で動機も身勝手だ」と述べ、懲役10年(求刑13年)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年12月、交差点で、自転車の男性に衝突。現場から逃亡しようと、男性と自転車を約160㍍先の駐車場まで引きずったほか、トラックを前後させて後輪で2度ひくなどして死亡させた。
弁護側は「衝突後に男性を引きずっていた認識はなく殺人罪は成立しない」と主張したが、判決は「自転車に衝突した際、被害者も転倒させ引きずっていると認識するのは当然」として退けた。

投稿者 : いらないインコ|2017年4月16日