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2017年08月

08月28日 さいたま地裁
昨年8月、当時16歳の少年に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた17歳の少年に対し、佐々木直人裁判長は懲役5年6月以上9年以下の不定期刑(求刑6年以上10年以下)を言い渡した。
少年が被害者を最後に川に沈めた行為を巡って、弁護側は公判で「被害者の意識を取り戻そうとしただけ」と主張していたが、佐々木裁判長は「仮に意識を回復させる目的があったとしても、一連の暴行態様が悪質であるのは揺るがない」などと述べ、弁護側の主張を退けた。一方で、主導的な立場で関与したのは別の18歳の少年(懲役6年以上9年以下の不定期刑が確定)とした。
事件では少年5人が逮捕され、今回の判決も含めて無職少年2人が傷害致死罪で有罪判決を受け、中学生3人が少年院に送致された。

08月25日 甲府地裁
フィリピン・マニラで2014〜15年、保険金をかけた男性2人を何者かに射殺させたとして、殺人罪などに問われた43歳の男性に対し、検察側の求刑通り死刑を言い渡した。
丸山哲巳裁判長は「人命を金銭獲得の手段にした巧妙で計画的な犯行で、人命軽視の度合いが甚だしい。死刑はやむを得ない」と述べた。
判決によると、被告は、44歳の受刑者(殺人罪などによる無期懲役で服役中)らと共謀し、14年10月19日に32歳の男性を、15年8月31日から9月1日の間に42歳の男性を、いずれも保険金を受け取るためにマニラで何者かに射殺させた。
被告は、捜査段階から事件への関与を否定し、無罪を主張していた。

08月09日 東京地裁
小学生の女児の頬をなめた上、悲鳴を上げた女児の顔を殴ってけがをさせたとして、強制わいせつ致傷などの罪に問われた41歳の男性に対し、前田巌裁判長は「年少の被害者にとって恐怖や嫌悪感は計り知れない」として、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。
判決で前田裁判長は、「いたずらしてやろうという意図は明らか」とする一方、「自身の抱える問題について十分に理解していない」として、性犯罪者処遇プログラムを受講させる必要性を指摘し、保護観察付きとした。

08月08日 岐阜地裁
脳性まひなどの障害で体が動かない状態だった三男=当時(46)=を病院から車で連れ出し、ビニールひもで首を絞めて殺したとして、殺人罪に問われた75歳の母親に対し、懲役4年(求刑6年)を言い渡した。
被告は、三男の死因を持病の発作による呼吸困難と主張したが、鈴木芳胤裁判長は、解剖医の証言などから、死因は首をひもで絞められたことで、絞めたのは被告と認定。実刑判決の理由を「愛する母親に突然、首を絞められた被害者の悲しみは大きく、その苦しみも相当なものだった」と指摘した。
犯行動機については、保険金で借金を返済するために自殺を考えたが、自身の保険金だけでは足りないため「三男の遺産も充てようと考え、三男を殺して、自分も死のうと考えるようになった」と認定。「短絡的な判断」と批判した。

08月05日 大分地裁
アパート自室に火を付けたとして、現住建造物等放火罪に問われた52歳の男性に対し、懲役6年(求刑8年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年6月22日午後9時15分ごろ、鉄筋コンクリート4階建てアパートの自室で布団などにカセットコンロで火を付け、自室を全焼させたとしている。
弁護側は、被告は当時酒を飲んでおり、責任能力がなかったと主張していたが、今泉裁判長は「被告は犯行の中核的な記憶を保持し、責任能力を有していた」と、これを退けた。

08月04日 大阪地裁
香港から1㌔余りの覚醒剤を密輸したとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)と関税法違反(禁制品輸入)の罪に問われた中国籍の24歳男性に対し、覚せい剤取締法違反罪の成立を否定し、関税法違反(無許可輸入未遂)罪で懲役1年(求刑12年・罰金500万円)を言い渡した。
増田啓祐裁判長は、男が共犯者から「金塊を密輸して税金を免れる仕事」と説明を受け、手荷物の中身を金塊と認識していた可能性が否定できないと判断。金塊を無許可で輸入しようとした行為のみを有罪とした。その上で「安易に高額のお金を稼ごうとした結果だ。まっとうな仕事を選んでお金を稼ぐようにしてほしい」と諭した。

08月02日 大阪地裁
生後9カ月の次女を床に落として死亡させたとして、傷害致死罪に問われた31歳の母親に対し、懲役3年(求刑6年)を言い渡した。
西野吾一裁判長は「何ら抵抗できない乳児に対する犯行で、相当悪質と言わざるを得ない」と指摘。ワンルームマンションで次女を含む子ども3人を育てる中、無理解な夫にストレスをため込んだ末の犯行で同情できる部分もあるとしたが、「同種事案に照らし軽い部類とは言えない」と述べ、実刑を選択した。

08月01日 金沢地裁
ホテルで昨年11月、女性を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた31歳の男性に対し、田中聖浩裁判長は懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
田中裁判長は判決理由で「出会い系サイトで知り合った被害者に入れ墨があり、別の男にゆすられると思い込んだほか、被害者に冷たい態度を取られ、不満から憎しみが生じた」と認定、「思慮の浅い判断と身勝手な思考から生じた動機で酌量の余地に乏しい」と述べた。
判決によると、被告は昨年11月16日、ホテルで女性(当時22歳)の背中や胸を、持っていた包丁で刺して死亡させた。
傍聴していた遺族は取材に「懲役16年は軽すぎる。被告を許せない」と憤った。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日