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2017年09月

09月29日 東京地裁
公園内の池で、女性=当時(88)=の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われた29歳の男性に対し、石井俊和裁判長は「責任は非常に重い」として求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決で石井裁判長は「生活費を得たいという身勝手な動機で計画性もうかがえる」と指摘。「他者の生命に対する極端な冷淡さは誠に恐ろしい。一生をかけて償わせるのが相当」と述べた。
公判で検察側は、被告が被害者宅から現金約35万円を奪ったと指摘。弁護側は、現金を持ち出しておらず、殺人罪にとどまると主張していた。石井裁判長は、部屋を物色した痕跡がないことなどから「現金を奪ったとは認められない」とする一方、キャッシュカードの保管場所を聞き出そうと脅迫していたことを認め強盗殺人罪を適用した。

09月29日 大津地裁
実父の再婚相手だった女性=当時(52)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われた45歳の女性に対し、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
判決によると、被告は2014年10月13日、女性の自宅で、腹部などを多数回、刃物で刺して女性を殺害。また、収入があるにも関わらず11年5月から10月まで、生活保護費102万円余を不正に受給した。
判決理由で、伊藤寛樹裁判長は、全身に計21カ所の刺し傷があったことから「非常に強い攻撃意思があった」と殺意を認定。さらに「台風の風雨に紛れて、ひそかに犯行を遂げることを画策した」と計画性も指摘した。
弁護側は「実父と女性の不倫、結婚により家庭が崩壊された。恨みを持つ相当の理由がある」などと主張したが、伊藤裁判長は「被告には、恨みの感情を乗り越えていく十分な人生経験と周囲の支えがあった」として退けた。

09月28日 さいたま地裁
今年1月、元妻の交際相手の男性を殺害したとして、殺人などの罪に問われた36歳の男性に対し、高山光明裁判長は「相当に執拗で、残忍極まりなく、非常に悪質」と懲役17年(求刑18年)を言い渡した。
判決で高山裁判長は、自動車内で無抵抗だった被害者の胸部を狙い、刃渡り11.8㌢の折り畳み式ナイフで少なくとも14回刺した犯行について「殺意は確定的かつ強固だった」と指摘した。さらに、父として子ども2人の面倒を見ていた被告が、被害者から「父親らしいことを何もしていないくせに」と言われて激高したことには同情の余地がある一方、怒りのままに殺害に至ったのは「あまりに短絡的で、強い非難に値する」と述べた。
弁護側は突発的な犯行だったとして、懲役10年以下が相当と主張していた。

09月27日 秋田地裁
4月に住宅敷地内で、この家の70代男性を刃物で殺害しようとしたとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた31歳の男性に対し、三浦隆昭裁判長は懲役4年6月(求刑8年)を言い渡した。
被告の殺意を認定し、「男性ともみ合った際に偶然ナイフが体に刺さった」として傷害罪の適用を求めた弁護側の主張を退けた。

09月26日 広島地裁
2015年6月、インスリン製剤を投与するなどして大学生(当時24歳)を殺害し現金を奪ったとして、強盗殺人と詐欺の罪に問われた知人の44歳男性に対し、、求刑通り無期懲役を言い渡した。
詐取した金の返済を免れようとした動機について、安藤範樹裁判長は「短絡的で身勝手。酌むべき余地はない」と指摘。弁護側は「薬物の投与は被害者を弱らせ、金の返済を免れるため」と殺意を否定していたが、安藤裁判長は「大量に投与した時から(死んでも構わないという)未必の殺意はあった」と退けた。
判決によると、被告は、被害者の自宅で、株式購入名目でだまし取った100万円の返済を免れるため、被害者に多量の睡眠薬を服用させ、インスリン製剤を注射。湯を張った浴槽につけて殺害し、現金9万円を奪った。

09月26日 高知地裁
生後10カ月の長女を死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた42歳の女性に対し、山田裕文裁判長は「傷害致死事案の中では悪質な部類に属する」として、懲役4年(求刑5年)を言い渡した。

09月23日 仙台地裁
同僚のトラック運転手の男性を包丁で刺して殺害したとして、殺人罪に問われた54歳男性に対し、懲役10年(求刑13年)を言い渡した。
加藤亮裁判長は「殺傷能力の高い包丁で腹や胸を刺した」と殺意を認定。弁護側は「男性から先に模造刀で攻撃された」と正当防衛を主張したが、判決は「助けを求めることができたはずで、反撃は正当化できない」と退けた。

09月22日 和歌山地裁
元暴力団員を殺害したとされ、15年間の逃亡の末、逮捕された55歳男性に対し、懲役14年を言い渡した。
元暴力団幹部の被告は、1999年9月、路上で、当時の組関係者2人と共謀して、暴力団の元組長代行の男性(当時56)を拳銃で撃ち殺害したとされる。
裁判は、被告が犯行の指示役だったかどうかが争点だったが、判決は、「拳銃を用意し、実行役に殺害を指示した」として、被告の犯行と断定。15年間の逃亡についても、「長期にわたり逃亡した上、公判においても全く反省の態度がみられない」と厳しく非難した。

09月22日 福岡地裁
覚醒剤約100㌔を密輸したとして覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)などの罪に問われた、指定暴力団山口組系元組幹部(70)と、同神戸山口組系元組幹部(69)に対し、足立勉裁判長はそれぞれ懲役27年・罰金1千万円(求刑30年・罰金1千万円)と懲役25年・罰金1千万円(求刑通り)を言い渡した。
判決によると、2人は昨年2月、東シナ海で国籍不明の船から覚醒剤約100㌔(末端価格約70億円)を漁船で受け取り、鹿児島県徳之島町に陸揚げして密輸した。
足立裁判長は、70歳被告が密輸グループのまとめ役で、69歳被告が現場で他の組員らに陸揚げなどを指示したと認定。「密輸された覚醒剤は膨大な量で、極めて悪質」と指摘した。

09月20日 青森地裁
昨年12月、自宅に放火したなどとして、現住建造物等放火と覚せい剤取締法違反の罪に問われた36歳男性に対し、古玉正紀裁判長は懲役4年(求刑6年)を言い渡した。
被告は放火を否認していたが、古玉裁判長は「客観的状況と矛盾するもので信用できない」との判断を示した。量刑理由には「被告が思い詰めた精神状態だったことは認められるが、自業自得という面が大きい」と指摘。実父が被告の社会復帰後に再び同居する意向を示していることなどの情状も考慮したとした。
判決によると、被告は自宅に火を放ったほか、自宅で覚せい剤を使用した。

09月20日 神戸地裁
金融業の女性=当時(78)=宅に男が押し入り現金などが奪われた事件で、強盗致傷や窃盗などの罪に問われた37歳の男性に対し、小倉哲浩裁判長は懲役6年6月(求刑9年)を言い渡した。
判決によると、複数の男と共謀し、昨年5月22日午前0時半ごろから同0時45分ごろ、駐車場で乗用車1台などを盗み、その後、同市の女性宅に侵入し、女性の腕や足を結束バンドで縛って全治約1週間のけがを負わせ、現金約140万円やネックレスなどを奪った。
小倉裁判長は判決で「女性の拘束や金庫の運搬など重要な役割を果たしたが、強盗の立案には関与せず、事前の計画や指示に基づき行動した」と指摘した。

09月19日 鳥取地裁
昨年4月、自宅で母親と妹(当時56歳)に熱湯をかけ、妹を死なせたとして傷害致死罪などに問われた61歳の男性に対し、辛島明裁判長は懲役6年(求刑10年)を言い渡した。

09月16日 千葉地裁
民家で1月、外壁などが焼けた火災で交際していた女性の両親宅に放火したとして現住建造物等放火罪に問われた24歳男性に対し、市川太志裁判長は「一線を越えた行為で動機は身勝手」などとして、懲役5年(求刑7年)を言い渡した。
市川裁判長は判決で「交際相手との思い出を消してしまいたい、つらい思いをすっきりさせたいという思いから放火を決意し実行した。ガソリンやガスボンベなど燃焼力の高いものを大量に使用し危険性が高く結果も重大」と指弾した。
弁護側は「犯行当時の精神状態も冷静な判断ができず追い詰められていた」などとして執行猶予付き判決を求めていたが、「複数の店舗であらかじめ燃料を購入するなど放火の違法性も認識し、冷静な判断ができなかったとは言えない」と退けた。
判決によると、被告は1月9日、女性の両親から結婚を反対され交際を解消。放火すれば自分のつらい気持ちがすっきりするなどと思い込み女性の両親宅に放火を考え、ガスボンベ9本や着火剤、ガソリン約32㍑を購入した。1月11日、午後5時10分ごろ~同6時20分ごろまでの間、両親宅の外壁などに用意した燃料やガソリンの一部をまきライターで火を付けた新聞紙で放火。同宅の外壁や仏間天井などを焼損させた。

09月15日 名古屋地裁
2015年12月、イラン人男性=当時(27)=を刃物で刺して死亡させたとして、傷害致死罪に問われたイラン国籍の被告(34)に対し、奥山豪裁判長は懲役3年6月(求刑5年)言い渡した。
判決理由で奥山裁判長は、「複数人が共謀し、凶器を使って暴行を加えた悪質な犯行」と指摘。被害者への直接的な暴行には及ばなかったとしたものの、「被害者のおびき出しに協力した」などとして、被告の共謀は成立すると判断した。
判決によると、被告は他の5人の男性=いずれもイラン国籍=と共謀、現場付近で被害者のワンボックス車の進路を車でふさいで停止させ、腕や足を刃物で突き刺すなどして出血性ショックで死亡させた。

09月15日 熊本地裁
去年8月、父親を刃物で刺したとして殺人未遂の罪で起訴された32歳の息子に対し、懲役3年・執行猶予5年(懲役5年)を言い渡した。
判決によると被告は自宅で、殺意を持って父親の背中や腕などを刃物で刺し、殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われていた。
船戸宏之裁判長は被告の殺意を認めたうえで、被告に対する被害者からの日常的な態度に問題があったことや被告が犯行直後に自首していることなどを指摘。

09月13日 東京地裁
マンションで2016年1月、同居していた当時3歳の幼児を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた21歳の男性に対し、懲役8年(求刑9年)を言い渡した。家令和典裁判長は、「被害者の苦痛は非常に大きかったと考えられ、わずか3歳で生涯を閉じた被害者に同情の念を禁じ得ない」と述べた。
判決によると、被告は同年1月25日夜、マンション室内で幼児を放り投げて収納ケースにぶつけたり、顔を殴ったりしたほか、頭にかかとを打ち付ける「かかと落とし」などの暴行を加え、同月27日未明、外傷性硬膜下血腫で死亡させた。
公判で弁護側は「『かかと落とし』はしていない」などと主張したが、判決は「暴行を具体的に述べた幼児の母親の証言は信用できる」と退けた。

09月13日 大阪地裁
自宅で生活費を巡って口論となった内縁の妻に暴行を加えて死亡させた罪に問われた53歳の男性に対し、懲役5年(求刑7年)を言い渡した。
検察側は、被告が酒を飲むと日常的に暴力を振るっていたと指摘。今回の犯行後は、被害者の異変を察知していたのに119番通報せず、4日間も遺体を放置していたと。一方、弁護側は、「頭を狙って蹴るという明確な意図はなく、1度きりの暴行で、危険性や悪質性の高いものとはいえない」などと主張。
判決は、「被害者のパチンコによる浪費が、生活費を圧迫するかなりの要因だったのに、被害者が今後の生活費について真剣に考えようとしないことに腹を立てた被告の心情自体は理解できる」と指摘した一方、「そもそも暴力は正当化できず、飲酒や暴力を自制せずに同じような行為が繰り返されていた末での犯行」と非難した。

09月13日 奈良地裁
 空き家の庭から68歳男性の遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄罪に問われた近くに住む35歳の男性に対し、西川篤志裁判長は「確実に被害者を死に至らしめる犯行」として懲役16年(求刑20年)を言い渡した。
西川裁判長は判決理由で、「被害者の言動は、通常殺意を抱くようなものではない」と指摘。「生命軽視の度合いは高く、遺体を土中に埋めて遺棄した点も考慮すべき」とした。
判決によると、被告は昨年12月29日ごろ、勤務先の建設事務所資材置き場に停車中の車内で、ロープのようなものと腕で被害者の首を絞めて殺害。翌30日ごろ、空き家の庭に、袋に入れた遺体を埋めた。

09月12日 千葉地裁
昨年7月、53歳男性が複数人から暴行を受け死亡したとされる事件で、傷害致死の罪に問われた48歳男性に対し、松本圭史裁判長は「粗暴かつ危険な犯行」として懲役4年(求刑8年)を言い渡した。
松本裁判長は量刑理由で「多人数で明らかに度を越えた苛烈な暴行を加えた」と指弾。被告自身の暴行は「被害者の死亡結果に大きな影響を与えるものではなかった」とする一方、共犯者らの暴行を見ていたことなどから「その責任は決して看過できるものではない」と判示した。
判決によると、47歳男性=同罪で起訴、55歳男性=同=両被告ら8人と共謀し同年7月24日午前0時ごろから同30分ごろまでの間、駐車場などで、被害者に全身を多数回にわたり殴る蹴るなどの暴行を加え、同2時ごろ、病院で被害者を多発外傷による出血性ショックで死亡させた。

09月12日 大津地裁
同僚をスパナで殴ったとして殺人未遂の罪に問われた46歳の男性に対し、伊藤寛樹裁判長は懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。
判決によると、会社で悪感情を募らせていた同僚の64歳男性の頭部や顔を、殺意を持ってスパナで複数回殴打し、全治2週間のけがを負わせた。
被告側は、殺意はなかったと主張していたが、伊藤裁判長は被害者の傷の状態などから殺意を認定し「強い攻撃意思に基づいて行われた凶悪な犯行」と述べた。

09月11日 東京地裁
2016年6月、京浜運河に浮かんだスーツケースから中国籍の34歳女性の遺体が見つかった事件で、殺人罪や死体遺棄罪などに問われた38歳の夫に対し、島田一裁判長は「殺意を認定するには疑問が残る」と述べ、傷害致死罪を適用し、懲役10年(求刑18年)を言い渡した。
判決によると、被告は同年6月22日、自宅で被害者と口論になり、布団をかぶせて口などを圧迫し、死亡させた。検察側は公判で「首を強く圧迫しており、強い殺意がある」と主張したが、判決は「被害者を黙らせるため、口だけを押さえていると思い込んでいたことも十分あり得る」と退けた。

09月08日 前橋地裁
児童養護施設で児童相談所の男性職員を刃物で切りつけたとして殺人未遂などの罪に問われた41歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役8年(求刑10年)と包丁1本没収を言い渡した。
鈴木裁判長は判決理由で、「殺傷能力のある包丁で頭部などを多数回切りつける一方的かつ執拗で、強い殺意に基づいて行われた犯行」と指摘。「殺人未遂事件の中では重い部類に位置する」とした。

09月08日 名古屋地裁
アパートで住人の53歳男性が殺害された事件で、殺人と窃盗の罪に問われた53歳の男性に対し、吉井隆平裁判長は懲役15年(求刑17年)を言い渡した。
判決によると、被告は被害者に無視されたと思い頭をたたいたところ、声を出されたため殺害した。吉井裁判長は判決理由で「被害者に落ち度はなく、動機は理不尽で身勝手」と指摘。「強固な殺意に基づく執拗な犯行」と結論づけた。
判決によると、被告は11年11月27日、被害者の首をタオルで絞めて窒息死させ、現金約3千円とテレビ一式(時価8千円相当)を盗んだ。
被告は事件発生から約5年後の昨年12月、愛知県警に逮捕された。トラック運転手だった09年ごろに交流サイト(SNS)で被害者と知り合い、仕事の途中に被害者の自宅に立ち寄っていた。

09月02日 山形地裁
2009年12月、生まれたばかりの男児を殺害したとして、殺人罪に問われた34歳の母親に対し、兒島光夫裁判長は「男児は鼻口部をふさがれ窒息死し、殺害したのは被告であることに疑問を生じない」として、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。被告は一貫して無罪を主張していた。
判決理由で兒島裁判長は、「男児の存在を知っていたのは被告だけで、数分間にわたり鼻口部を閉塞し続けた行為に迷いはなく、強い殺意がうかがわれる」とした。その上で、「法廷でうその供述をするなど反省がない」と指弾した。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日