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奥村淳一静岡地検検事正はかく語りき

  00117710月2日の『静岡新聞』夕刊「窓辺」欄に、「女優検事」と題して裁判員裁判にまつわる次のエッセイが掲載されました。筆者は静岡地検の検事正です。

 私は本年2月から現職にありますが、静岡地検勤務は2回目で、前回2010年10月から約1年半、沼津支部長を務めました。その短期間に、同支部では連続女性暴行犯の裁判員裁判が5件も集中しました。

 連続女性暴行犯5人のうち、最も悪質だったのは10年間に通行人の若い女性9人を襲った被告人で、無期懲役の求刑も考えられました。しかし、この被告人は別の犯罪で執行猶予付き判決を受けていて、刑法の規定により確定判決前後の5件と4件を分けて求刑しなければなりませんでした。

そこで、いずれも有期最長の懲役30年を求刑し、合計懲役50年(24年と26年)という判決が得られました。刑事裁判史上異例の判決だったこともあり、今も強く記憶に残っています。

 これら連続女性暴行犯5人は全員起訴事実を争わなかったため、幸いにも被害者が証人として呼ばれることはなく、被害状況の立証はすべて供述調書の朗読によって行われました。これを一人で担当したのが当時任官3年目の若い女性検事でしたが、被害者は計30人近くに上りましたから、裁判を重ねる都度、朗読の技量は当然向上します。

 そのため、裁判終了後しばらくして、司法修習が同期だった裁判補から「女性裁判員が『検事が女優さんみたいだった』と言っていたよ」と伝えられたそうです。被害者を思い、自らの職責を果たせたという安堵感もあったのでしょう。うれしそうに私に報告してきました。

 でも判事補君、それって評議の秘密じゃないの?

1-e1397901276348今日はこのエッセイをみんなで論じてみたい。

hiyokosyoumen1検事正っていうのはその県の検察官の組頭ですよね。

1-e1397901276348組頭は人聞きが悪いな。警察で言えば県警本部長、裁判所で言えば地裁所長。

hiyokosyoumen1どのくらいのキャリアの人ですか。

001177手元のデータで見ると、任官33年目、57歳ですね。

1-e1397901276348本題に入ろう。

001177朗読がうまくなったら女優みたいだと誉められたっていう女性検事の話です。

hiyokowarai1吉永小百合さんのことでしょうか。

1-e1397901276348彼女は女優みたいではなく、本物の女優だ。人を殺した犯人を演じたことはあるが検事をやったことはなかったはずだ。

001177このエッセイのできばえはどうですか。

HP201642221うーむ。検事の生活に深い感慨なんてないっていう文章かな。

hiyokosyoumen1つまんないですかね。

HP201642221窓辺に寄っても目に入るのは犯罪人、てな日々を送ってるせいかも知れぬ。

hiyokosyoumen1検事の文章はみんなつまらぬと。

1-e1397901276348「だまれる検事」というエッセイで知られた検事もいたが。

001177家族と一緒の北海道旅行中に速度違反をしたっていう経験を政府刊行雑誌に書いて話題になった検事総長ですね。

hiyokosyoumen1ミスター検察の異名を取った伊藤榮樹。

1-e1397901276348東海の一白砂の検事正をそれと比べたらちょっと可哀想だ。

001177東海の一白砂とは何の話です?

1-e1397901276348オホン、本論に戻して、このエッセイに書かれているのは、通行人の若い女性を何人も襲ったが、1件も警察に把握されない間にこの男は別の犯罪で捕まり、その事件で執行猶予付きの有罪判決が出たということだ。

001177その判決が確定するまでの被害女性の数は総勢5人でした。その判決の後に4人を襲い、結局10年の間に都合9人が被害者になったという訳ですね。

hiyoko2-1連続女性暴行とありますが、強姦、最近名称が変わって強制性交ですか、そのことなんでしょうね。こんな数になったのは被害者が被害を警察に届け出なかったからかな。

HP201642221よくわからん。警察の捜査にも問題はなかったか。

hiyokosyoumen1こういう時には確定判決の前の事件と後の事件は別々に判決を言い渡すんですね。

1-e1397901276348そうだ。前の一群の事件と後の一群の事件に分け、それぞれ言い渡すことになっている。

hiyokosyoumen1それで前の事件の判決の量刑が24年、後の事件の判決の量刑が26年、合計50年になったと。

hiyoko2-1起訴事実を争わないと被害者は法廷に呼び出されないのですか。

1-e1397901276348そうとは限らないのだが、被告人が起訴事実を争わないと言うと、普通、検察官は証人調べの代わりに被害者を取り調べた捜査段階の調書を朗読させてくれと裁判所に申し立てる。普通、弁護人はそれに同調する。すると裁判所はそれで行こうと応える。

hiyoko2-1調書は朗読されるのですか。

1-e1397901276348要点を検察官が朗読する。男女のやりとりを男の検察官と女の検察官が読み分けて演じたこともあるな。

hiyokowarai1お芝居の世界ですね。本当の話か作り話かなんだかわからなくなりそう。

1-e1397901276348近松門左衛門は「虚実は皮膜の間に」と言った。

001178まね0話を裁判に戻します。調書重視はやめて法廷で調べろというのが竹崎前最高裁長官のお達しだったのでは。

1-e1397901276348まぁな。しかし現場には、被告人が起訴事実を認めた時まで被害者の証人尋問をする空気などない。何が何でも早く裁判を終わらせろと言われてるんだからな。

hiyokowarai1調書の朗読が上手になったということは、反面尋問技術が低下しているってことかも知れませんね。

20160201それもないではないが、もっと気になるのは、調書の朗読技能が向上したとか、検事が女優のようだったとかいう話がいかにもうれしそうに語られていることだ。

001178まね0そんな問題ではなかろうと。

HP2016422219件もの事件が隠れたままで経過していたのはどうしてだったのだろう。どれもこれも調書を読めば済む事件と決めつけてよかったのか。そもそもこの被告人には刑事責任が問える能力が真実あったのだろうか。あれこれのシリアスな問題が潜んでいたのではという疑問が残る。だが、この検事正はそういうことにまるで関心がなさそうだ。

001178まね0脳天気すぎるだろうと。

1-e1397901276348市民・県民にはこんな話の方が受けるだろうと思ったのだとすれば、それは愚民思想だろう。どっちにしても底抜けに底が浅い。

hiyoko2-1「自らの職責を果たせたという安堵感でうれしくなった」という言葉もあります。

1-e1397901276348その程度のことで検事の職責を果たしたと思ったり、安堵感に浸っているようでは文字どおり検事は失格だ。

hiyokosyoumen1最後に「でも判事補君、それって評議の秘密じゃないの?」という言葉で結んでいます。

1-e1397901276348裁判員が評議の中で聞いたことを漏らすと評議の秘密の漏洩になる。それから着想して書いたのだろうが、そんなことは評議の秘密の漏洩にならない。

001177評議の内容の話ではないですものね。

1-e1397901276348それもあるが、そもそも裁判官は評議の秘密を漏らすことを禁じられていない。袴田事件で自分は死刑に反対したと告白した熊本典道元裁判官は処罰されていない。

hiyokowarai1そういうことを奥村検事正は知らなかったとか。

1-e1397901276348知らない訳がない。

hiyokosyoumen1ではどうしてこんなオチを。

1-e1397901276348それには深い意味があると読んだ。この一文を読んだ静岡県民はどう思うか。

hiyokowarai1「検事が女優のようだった」という単なる感想も評議の秘密の漏洩になるんじゃないかと思います。そうなれば、ますます裁判員になりたい人はいなくなります。

1-e1397901276348そうだ。奥村検事正はそう思わせたかったのだ。だから、東海の小島で蟹と戯れながら、刑事司法の行く末を嘆いておられるのだ。

読書うさぎインコさん、東海の小島は北海道で詠まれた歌ですよ。

120160508biku(グッ)いや、奥村検事正は北海道に勤務され・・・

読書うさぎ 北海道勤務はありません!

投稿:2017年10月8日

傍観者的評論と霧のかかった廃止論と-事務所報を斬る

001177節柄、法律事務所報が出回っています。事務所報は弁護士が自分の依頼者などを相手に、所員の近況報告をしたり、話題の司法情報などを紹介する「拡大版暑中見舞」です。インコのお山に伝わってきた事務所報の中に裁判員に触れたエッセイがありました。
先生方は裁判員制度の現状をどう論じているのでしょうか。
まずは弁護士歴14年、東京の松田耕平さん(城北法律事務所)の言葉。タイトルは「裁判員裁判で変わったの?」 要旨は次のとおりです。matsuda_m

 「最高裁のホームページによれば、裁判員制度を導入した趣旨は、国民の皆さんが刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民の皆さんの信頼の向上につなげ(が)ることと言われている。
 一般の方々を説得するため、弁護人も検察官もより簡潔で分かりやすく主張を伝えるようになった。パワーポイントの使用はその一例だ。
 裁判員の負担を考慮して開廷期間を大幅に短縮させたが、準備の公判前整理には相当時間がかかっている。
 sirokita20170809判決の中身はどうか。2012年に発表された検証報告書によれば、生命に関わる犯罪などでは裁判官判決より刑が重くなる傾向がある。し一方、保護観察付きの執行猶予判決も多くなっている。重・軽両方向に判決(量刑)の幅が広がっていることから、裁判員裁判は裁判官裁判よりそれぞれの事件の事情を詳細に拾い出した判決になっているのではという見方もある。
 裁判員裁判は順調にも思われるが課題も多くある。8割以上が参加したくないとアンケートに答えており、実際の参加率もこの間84→65%と大幅に低下している。(重い)守秘義務の問題もある。国は改善対策に取り組むだろうが、制度趣旨が実現されるかどうか、今後の推移を注意深く見守る必要がある。」

HP201642221松田クン。きみは裁判員制度の現状や問題点にはひよこの涙くらいしか触れていないではないか。タイトルからすれば、裁判は標榜したほどには変わっていないのではと言っているようにも読めるが、何を言いたいのかはっきりしない。

001177「裁判員制度を導入した趣旨は、国民の皆さんが刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民の皆さんの信頼の向上につなげる」という最高裁の姿勢については、正しいというのでもなく問題だというのでもない。

HP201642221「司法に対する国民の皆さんの信頼の向上につなげる」という前提にはこの国の司法をもっと信頼して貰いたいという認識があり、その前提にはこの国の司法はまっとうなものだという認識がある。

hiyoko2-1松田さんはそのような最高裁の姿勢を支持するのか。

001178まね0松田さんが所属している法律事務所は、そういう権力的司法観に対決してきた事務所ではなかったですか。

1-e1397901276348次に進もう。

001177「生命に関わる犯罪などでは裁判官の判決より重い傾向があるが、保護観察付きの執行猶予判決も増えている。重・軽両方向に量刑の幅が広がっていることから、裁判員たちは職業裁判官よりも事件の事情を詳細に拾い出しているのではという見方もある」と。

1-e1397901276348「生命に関わる犯罪」と言うが、裁判員裁判は基本的に生命に関わる犯罪を対象としている。裁判員裁判は覚せい剤関連事件を例外として、裁判官裁判時代より基本的に有罪率は高くなり量刑は重くなっている。

hiyoko2-1保護観察付きの執行猶予判決が増えていることを挙げて、量刑の幅が軽い方向に広がっていることを示すようにおっしゃってますけれど。

20160517114大間違いだ。保護観察を付けるということはただの執行猶予より厳しい制限を科すということ。保護観察が付かない執行猶予より保護観察付きの執行猶予の方が確実に重い。そのことを松田クンはわからないのだろうか。

hiyoko2-1実刑判決が減って保護観察付きの執行猶予判決が増えているというのでは。

1-e1397901276348そんなデータはない。基本的に言えば、量刑の幅は重い方向に広がっている。重・軽両方向に広がっていると言える根拠などないのだ。

hiyoko2-1裁判員たちは職業裁判官よりも事件の事情を詳細に拾い出しているのではという見方もあると。

怒り4、5日で結論を出す裁判員裁判のどこに「事件の事情を詳細に拾い出せる」時間があるか。

hiyoko2-1「裁判員裁判は順調にも思われるが課題も多くある」という説明は。

1-e1397901276348制度順調論なんてもう誰も言わなくなった過去の言説。「順調にも思われる」なんて口にしてみせるのは、何周回も常識に遅れていることを暴露するものだ。

0011818割以上が参加したくないと答えていたり、実際の参加率も65%まで大幅に低下しているという事実も指摘されています。

1-e1397901276348れが何を意味するのかをきちんと論じない所にこの人の裁判員制度論の中途半端さがある。

hiyokosyoumen1守秘義務が重すぎるということにも触れています。

1-e1397901276348それも制度発足当初の時期にずいぶん言われ、その後みんな言わなくなった論議だ。

hiyoko2-1どうして言われなくなったのでしょう。

1-e1397901276348当初は、裁判員裁判の意義を広く知らせるには守秘義務の緩和が不可欠だと民間推進派が強調していた。しかし、守秘義務を緩和すると裁判員など2度とやりたくないという思いが広がるだけだと気がついて、マスコミも日弁連もほとんど言わなくなった。

hiyoko2-1国は改善対策に取り組むだろうが、制度趣旨が実現されるかどうかについては、今後の推移を注意深く見守る必要があるとおっしゃっています。

1-e1397901276348「取り組む改善対策」とは何か。この8年間国は何をしてきたか言ってみなさい。

hiyokosyoumen1「制度趣旨」とはどういうことですかね。

1-e1397901276348それが大問題なのだ。あたかも共通の理解があるように言うな。

hiyokosyoumen1今後の推移を注意深く見守るべしという言葉で何を言おうと。

20160517114何も言っていない。NHKニュースを注意深く見てみろ。毒にも薬にもならない傍観者的評論で話をまとめるのは、自分の主張をあいまいにする時の常套手段だ。

001181松田さんの所属事務所は共産党の代議士も擁したことのある著名な東京の法律事務所ですよね。

1-e1397901276348共産党は裁判員制度実施の1年前に延期を提案し、それにも関わらず実施と決まると率先して推進の旗を振った。松田クンが中途半端なのではなく共産党が基本的にいい加減なのだ。

 

001177次に弁護士歴33年、京都の鍬田則仁さん(鴨川法律事務所)の言葉に進みましょう。タイトルは「裁判員制度をめぐる数字」 要旨は次のとおりです。kuwata_b

 最高裁が裁判員辞退者増加(出席率低下)の原因をさる民間会社に調査させた結果、「審理の長期化」や「非正規雇用の増加」の可能性が指摘された。最高裁はこの結果を踏まえて参加者を増やす対策を検討しているという。
 だが、原因はそれだけだろうか。裁判員候補者として選定された者の選任手続きに来てくれた者の数はもともと39.3%しかいなかったのが平成27年には23.7%まで落ち込んだ。当初から不正常で今は一層機能しなくなっているということだ。
 一昨年3月の日本世論調査会の調査結果では、制度が定着していると言う人が30.9%、否と言う人が65.3%。参加したい・参加してもよいと言う人は元々18.5%しかいなかったが、平成27年にはそれがさらに下がって14.3%になった。
kamogawa20170809 他方、義務なら仕方がないが40%余、義務でも参加したくないという強固な消極意見も40%余になっている。就任は義務と知っている者が70.2%に達する中でのこの数字なのだ。
 今回の民間会社調査は制度の是非などの根幹に踏み込んでいないが、ネットでは「国民に犠牲を強いながら上級審でその判断を覆すのなら、国民の声の反映などポーズだけではないか」など、制度の存否(要否)に関わる書き込みが目立つ。ネットに限られた意見ではなかろう。
 裁判員制度違憲論がある。そのことを措いても国民の声とは遠く離れたところにあるこの制度は抜本的な見直しを要しよう。

HP201642221ふむふむ、これは語尾を濁しつつ事実上の制度廃止論と言ってよいだろう。

001181でもどうしてこんな制度は止めてしまえとはっきり言わないのでしょうか。

hiyokowarai1京都人の奥ゆかしさじゃあらしまへんか。

HP201642221違う。真実を言わせない力が強烈に働いている。おかしな風にあらがうことの難しさが弁護士の発言にさえ表れているということだ。

001177それにしてもとても順調とは言えない悲惨な数字をぎょうさん並べてくれはりました。

hiyokowarai1「裁判員裁判は順調にも思われる」などとのたまった東京の弁護士さんに比べれば、鍬田さんの解説はすぐれもんではありまへんか。

1-e1397901276348よく言えば8合目まで来ているのだが、リアルに言えば8合目で転んでいるとも言える。

001177「審理の長期化」や「非正規雇用の増加」に対する最高裁の参加者増対策とは何でしょうか。

hiyokowarai1「審理の長期化」対策なら、乾いたぞうきんを絞るようにもっともっと工夫して審理を短くせよとハッパをかけるだけじゃないですかね。

001177「非正規雇用の増加」に対する最高裁の対策は何でしょう。

hiyokowarai1最高裁の名において政府と経団連に非正規雇用を減らせと申し入れる、かな。

1-e1397901276348裁判員制度採用の時でさえ人員増の要求をしなかった最高裁だ。人手の不足を定年後職員の嘱託採用でしのぐ最高裁に非正規問題解決のもくろみも決意もある訳がない。

001177「非正規雇用の増加」と言いますが、正規雇用労働者だって不安だらけですよね。

hiyoko2-1高橋あかりさんはエリートの正規社員でした。

1-e1397901276348推進派の連中は、ああでもないこうでもないと適当なことを言っているだけで、本当のことには触れないところだけはしっかり共通しているのだ。

001177「国民に犠牲を強いながら上級審でひっくり返すのなら、国民の声の反映などポーズに過ぎないのではないか」という声に鍬田さんは共感を示しています。

1-e1397901276348「国民の声の反映などポーズに過ぎない」というのは百%正しい。だがここは議論の分かれ目になる大切なところだ。

hiyokosyoumen1分かれ目というと。

1-e1397901276348民間推進派の一部には上級審も国民参加にせよという人たちがいる。それが国民の声だと言うのだ。

001177政府や最高裁はそんなことまるっきり考えていませんよね。

1-e1397901276348国民を教育善導するのが国の責任だと考えている彼らに、上級審の裁判を国民に解放する考えなど微塵もない。彼らは司法を批判の対象とするのではなく、信頼の対象と位置づけている。

hiyokosyoumen1もう一つの流れは。

20160418inko言わずと知れた制度廃止論さ。廃止こそ国民の声、天の声。ついに廃止の時が来たと言うのだ。

hiyokosyoumen1鍬田さんは国民参加拡大論に共感しているのではないでしょうね。

HP201642221よくわからん。分かれ目の所でどちらの道を選ぶかをはっきりさせなければ8合目から麓まで転げ落ちるだろう。

hiyokowarai1鍬田さんの言説の今後の推移を注意深く見守りましょう(笑)。で、民間推進派はどういう立場に立ったのですか。

1-e1397901276348政府・最高裁の騙し言葉を真に受けたのか、わかった上で一緒に騙す側に回ったのか、『朝日』を先頭にしたマスコミ総連合や共産党を先頭にした革新諸政党や政府・最高裁と一体になった日弁連が「みんなの力で国民主権の司法を実現しよう」なんてはやし立てた。

hiyokowarai1オールジャパン態勢到来と政府・最高裁は喜んだでしょうね。

1-e1397901276348だがそれは束の間の夢だった。インコは予測していたとおりだったが、裁判員裁判の惨状を前に混乱と右往左往が始まり、そのうちに何を議論すべきかもわからなくなった。で、みんなどうでもいいことしか言わないか、黙り込むかになった。

hiyokosyoumen1そこを鍬田さんは突いてほしかった。

1-e1397901276348ここまで制度の惨を描くなら、その根源に踏み込むのが責任ある弁護士の姿勢だろう。

001181そう言えば、裁判員制度違憲論を通り過ぎてしまわないでほしいですね。

1-e1397901276348国民の声とは遠く離れたところにあるこの制度をどうするか、国民の声とは何かだ。

hiyokosyoumen1鍬田さんの事務所は歴史のあるリベラルな法律事務所と聞きました。

1-e1397901276348「抜本的な見直し」の答えはずばり廃止だと言わなければ、残念だが鍬田クンの言説も通俗論の域を出ない言葉に終わる。

hiyokosyoumen1いま問われているのは、弁護士が確かな物言いをするかどうかということ。そう言ってよいでしょうか。

20160418inkoお、ひよこ君。キミの物言いは間違いなく確かだぞ。

hiyokowarai1ひよこも問われる時代ですから。

1-e1397901276348だが、最後に一言付け加えておこう。お2人はみんなが触れなくなった裁判員制度論を敢えて取り上げた。インコの分析対象にされたのは不運だったかも知れないが、かつて大風呂敷を広げ歓迎の旗を振ったのに、惨憺たる姿を人々の前に晒すようになったら知らん顔している多くの連中に比べれば誉めてあげたいくらいだ。

hiyokosyoumen1マスコミ・革新政党・日弁連の「矜持」が問われているということですかね。

1-e1397901276348そんな立派な言葉を使う必要はない。A級戦犯たちと言え。

001177私にも一言言わせて下さい。触れなければなぜ逃げると叱られ、言葉を濁せばなぜちゃんと言わないと叱られ、インコさんの手厳しさに全国の法律事務所と弁護士さんは頭を抱えるんじゃないかしら。

1-e1397901276348標語ができた。「汝インコの餌食となるも、ほら吹きの鳩となるなかれ」

読書うさぎ……(インコさん、今は亡き鳩がインコに化けたことをまだ許していないのね)。

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投稿:2017年8月13日

インコ独白:寝苦しい夜に廃止を想う

「夏は夜。月のころはさらなり。闇もなお」と言ったのは清少納言姉さん。
李白兄さんが詠んだのは、霜が降りても不思議ではない晩秋の月。
そしてインコは、盛夏の候、真っ暗闇の中でブリザード吹き荒れる制度を詠む。へっ。

静夜思:李白789339
牀前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷

牀前 月光を看る       しょうぜん げっこうをみる
疑うらくは是 地上の霜かと  うたごうらくはこれ ちじょうのしもかと
頭を挙げて 山月を望み    こうべをあげて さんげつをのぞみ
頭を低れて 故鄕を思う    こうべをたれて こきょうをおもう

(関西吟詩文化協会訳)
静かな秋の夜、ふと寝台の前の床にそそぐ月の光を見ると、その白い輝きは、まるで地上におりた霜ではないのかと思ったほどであった。
そして、頭(こうべ)を挙げて山の端にある月を見て、その光であったと知り、眺めているうちに遥か彼方の故郷のことを思い、知らず知らず頭をうなだれ、しみじみと感慨にふけるのである。

(インコのお山文化協会正訳)
ふと目覚めると、ベッド前のフロアに月の光が降りそそいどったねん。寝ぼけ眼で見たらあんまり白かったもんやさかい、「えっ、部屋の中に霜が降りたんかいな」と疑ってしもたわ。そんで、頭を挙げたら山の端っこにお月さんがあってな、ぼんやり見ながら、なんや、やっぱりお月さんの光やったんかいな、寝ぼけとったなぁと。ほんで、帰られへん故郷のことなんか思い出しとったら、なんやまた眠とうなってきて、頭が自然と枕の上や。

080857

さて、ここからが本番やで・・・
(李白兄さんに敬意を表してインコも韻を踏んでいます。)。

廃止思:独白812290
悄然看拒否
疑是鸚哥企
挙頭望一縷
低頭思廃止

悄然 拒否を看る       しょうぜん きょひをみる
疑うらくは是 鸚哥の企みかと  うたごうらくはこれ インコのたくらみかと
頭を挙げて 一縷を望み    こうべをあげて いちるをのぞみ
頭を低れて 廃止を思う    こうべをたれて はいしをおもう

(関東禁止歌協会意訳)
無断欠席や出頭しても拒否するという人たちの数字を看て心が折れそうだ。もうだめだ。いや、これはインコの企みで、何かの間違いじゃないか。悪い夢を見ているだけではと、一縷の望みをかけて書面から顔を上げて事務方を見た。だが、彼らは「間違いじゃない」と言う。がっくりとうなだれ、「もう廃止しかない」とつくづく思う。

(インコのお山文化協会異訳)
事務方が持ってきた書面見て、ほんまがっくり来てもたで。無断欠席激増やて。出頭しても「イヤやと言いに来ただけや。ボケ」て、無茶苦茶でんがな。「ほんまかいな、そうかいな」で済ます訳にいかへん。ひょっとしたら、こんなんインコの企みに騙されてるだけちゃあうかと淡い期待もって書面から顔を上げて、事務方を見たけど、奴もオレの顔じっと見てたわ。そんで、首横に振って「ほんまもんの数字です」やと。こんな制度、もうあかんがなとこっちまでへたばってもたわ。

(現場裁判官遺訳)
お母さん、私もう疲れました。皆いやだ、いやだと言います。そういえば、お母さんもいやって言ってましたよね。これって四面楚歌じゃないですか。
今、昨日終わった裁判員裁判の判決書いているんです。訳わかんない裁判員のご機嫌うかがって、今度は明後日までにこれ書き上げなくちゃいけません。いい加減なもんです。でも、私の気持ちを見透かすように満月の光が、この薄っぺらな文章を皓々と照らしています。
上を見れば所長がいるし、その向こうの向こうに最高裁がいます。でも、だから何なのですか。私の初心は良い裁判官になって良い裁判をすることでした。初心がなつかしいです。
裁判所はもう荒れきっています。田園まさに荒れているかも知れませんが、裁判の世界は終末のブリザードです。

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投稿:2017年7月31日

対象除外で制度は生き延びられるか

hiyokosyoumen1裁判員裁判の対象事件なのに裁判官が裁判するケースが増えているんですね。

1-e13979012763482010年と13年に福岡地裁小倉支部で始まり、15年になって福岡本庁でも裁判員裁判が避けられ,16年には福岡地裁管内で一気に7件に広がった。

hiyokowarai1 小倉生まれで福岡育ち♪ ですか。

1-e1397901276348 この動きは福井地裁や岡山地裁にも広がった。17年には福井・福岡地裁で計3件。結局17年までに全国で16件に拡大している。

hiyokosyoumen1西日本中心の傾向ですか。

1-e1397901276348今のところはそうだが、これからどうなるか。

hiyokosyoumen1暴力団がらみの事件を裁判員裁判から外すんですよね。

1-e1397901276348 このところ除外傾向が急速に強まっている。

hiyokosyoumen1どうしてなんですか。

1-e1397901276348裁判員裁判への動員に反発する動きが強まる中で、暴力団事件には皆さんを関わらせませんのでご安心を、というメッセージを発信しているのだ。

001177昨年5月、特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系の元組員らが、小倉支部の初公判の後に、「あんたらの顔は覚えとるけんね」とか「よろしくね」などと裁判員に声をかけた事件が発生しましたね。

1-e1397901276348裁判員6人のうち4人が辞任し、元組員たちは裁判員法違反(請託、威迫)の疑いで逮捕された。

001177裁判所は、公判途中で裁判員裁判から外すことを決定し、その後は裁判官だけで裁判が行われました。

hiyokosyoumen1福岡地裁の除外裁判は全部工藤会関係らしいですね。

1-e1397901276348そうだ。福井地裁の2ケースは神戸山口組系正木組(敦賀市)の事件だ。福岡地裁小倉支部の声かけ事件以来、西日本を中心に全国の地方裁判所は緊張状態に入っている。

hiyokosyoumen1除外の増加は裁判員の参加率を高めるのに役立ってますか。

1-e1397901276348効果を発揮しているとはとても言えないだろう。この1年じりじりと拒絶率が高まっているところを見ても、裁判員裁判には近づきたくないという気分を強めているだけではないか。

hiyokosyoumen1裁判員裁判の対象事件の審理を裁判官だけでやるという仕組みはどうして生まれたんですか。

1-e1397901276348良いことを聞いてくれた。それこそ裁判員裁判の構造的破綻を示すものなのだ。

hiyokowarai1詳しく説明して下さい。

1-e1397901276348問われなくても説明する。

001178まね0はいはい、どうぞ。

1-e1397901276348裁判員の身を守る上で他に方法がないと思われるケースについては、極例外的に裁判員裁判から外すことが裁判員法によって認められているのだ。

hiyokosyoumen1わかっています。裁判員法第3条1項にその規定があります。

1-e1397901276348そうか、それなら規定を読んでご覧。

hiyokosyoumen1「地方裁判所は、前条第1項各号に掲げる事件(死刑又は無期の懲役禁錮に当たる罪に係る事件等)について、被告人の言動、被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により、裁判員候補者、裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり、そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、これを裁判官の合議体で取り扱う決定をしなければならない」。

1-e1397901276348わかったか。

hiyokoyoko11つの文章にいろんなことがてんこ盛りに書かれてやたら長ったらしいし、「若しくは若しくは」って意味不明に言葉がつながっていて、何を言っているのか善良な市民にはわかりませーん。

1-e1397901276348解剖すると次のようになる。
1  地方裁判所は、死刑又は無期の懲役禁錮に当たる罪に係る事件等について、次の場合に限り、検察官・被告人・弁護人の請求か職権で、裁判官の合議体で取り扱う決定をする。
2 ①被告人の言動、②被告人が構成員である団体の主張、③当該団体の他の構成員の言動、④現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたこと、⑤その他の事情によって次のことが認められる時。
3 裁判員候補者、裁判員、裁判員であった者、その親族やこれに準ずる者の生命、身体、財産に危害が加えられるおそれがあったり、これらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあったりし、次の条件を満たす時。
4 裁判員候補者や裁判員が畏怖し、①裁判員候補者の出頭を確保することが困難か、②裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難な時。
どうだ、これで少しは理解できたか。

hiyoko2-1やっぱりひどく難しいな。よほどの事情がなければ裁判員裁判でやらなければならないらしいことはわかりましたが。

1-e1397901276348そこまでわかれば十分だ。つまり、並大抵のことでは、裁判員裁判で審理する事件を裁判官だけで審理してはいけないということになっているのだ。

hiyoko2-1どうしてそんなに厳しく制限するのですか。

1-e1397901276348当たり前だ。殺人などの事件は、区分すれば文字どおり凶悪な事件になる。

hiyokosyoumen1殺人事件は確かに凶悪事件の典型です。

001177凶悪な事件を審理するために作った制度について、事件が凶悪だということで裁判員裁判の対象から外してしまったら何のための制度かということになります。

hiyokosyoumen1なるほど。暴力団による殺人事件などは凶悪事件中の凶悪事件ですね。

001177同じ殺人事件でも、一家心中のケースなどと比べてご覧。動機に汲むべきものがあるなんていうやくざの殺人事件はありますか。

hiyokosyoumen1そうですよね。かねて狙っていた相手を拳銃で撃ち殺したことについて、無理もない事情があったという判決なんて聞いたことがありません。

001177本来そういう凶悪事件のために裁判員裁判が予定されていると言ってもいいのでしょうね。市民生活の平穏を害すると言えば、まず問題になるのは暴力団などでしょうから、その制圧の先頭に市民が立つのは当たり前かもしれません。

1-e1397901276348そのとおりだ。だから、例外規定のハードルは極めて高い。「裁判員等に危害が及ぶ具体的な危険がある場合には、非法律家である裁判員またはその候補者に対し、その危険を冒して審理に加わり公正な判断をするよう求めるのは過大な負担を強いることになる」という理屈で説明されている。

001181この除外措置については、司法制度改革審議会の場でも裁判員法制定の場でも例外を認めるべきか否かとか、どういう時に除外できるかをめぐって大議論になったようですね。

1-e1397901276348当然だ。被告が暴れるかもしれないとか、裁判員に危害が加えられるかもしれないから、止めようということ自体、司法が暴力に屈したと言っているのと同じことになる。

hiyokosyoumen1「凶悪事件の審理に国民を参加させる」という裁判員制度の趣旨からして、裁判員に裁判をさせないという選択肢は本来はあり得ないと。

1-e1397901276348そうだ。「司法の敗北宣言」に等しいということになりかねないからな。

hiyokosyoumen1そうすると、現在の問題は、現実の運用がそのような基準で厳しく制限されているかどうかですね。

001177このところ急に回避事例が増えているのはうさんくさいというか、厳格な適用でなくなっていることを疑わせます。

1-e1397901276348福岡地裁小倉支部の声かけ事件の1年ほど前から回避事例が急増している。その背景には、裁判員の参加が最悪になっていることが当然絡んでいると見なければならない。

hiyokowarai1皆さんが嫌がる裁判にはお呼びしませんのでご安心をと。

1-e1397901276348いくら暴力団の分裂が進んでいると言ったって、除外事件増に直結はしない。暴力団事件即除外事件という訳ではない。

001177追い込まれた末の窮余の策ということになるんでしょうか。

hiyokosyoumen1制度の生き延び策の突破口になりますかね。

001177この除外措置がなければ、声かけ事件後、4人に辞退された小倉支部は新たな裁判員を選出しなければなりませんでした。「組員に声かけられる事件」の裁判をやりたいという物好きは少ないでしょうから、もしかしたら未だに公判を開けないでいたりして……。

hiyokowarai1「司法の敗北宣言」に救われた小倉支部ですね。

1-e1397901276348裁判員裁判の中で暴力団絡みの凶悪事件など数が知れている。そんな所に期待をかけるということ自体が苦し紛れの対策というか、もう対策はないという自白みたいなものだろう。

hiyokowarai1やくざに期待をかける司法制度というのは窮極の冗談ですね。

001177何とも頼りない話になってきました。

20160418inko元々、市民に出頭してもらわなければ成り立たないという、心許ない制度だからね。



民が冷たい 心が寒い
綱渡りかよ 制度の行方     matatabi
粗雑司法の 恥さらし

民よ変われと テラダは願う
振起願掛け 写真を載せて
嘆くやつらの たよりなさ

廃止まつなら 出頭おやめ
とかく司法は 苦労の種よ
故意も刃傷も うわの空 

 

 

投稿:2017年7月20日

ストップウォッチ裁判長のザル事件

1-e1397901276348裁判所という世界にもどこぞの中央官庁の役人のようなやつがいるんだな。

hiyokosyoumen1もり・かけ事件が司法部にも波及しましたか。598906

1-e1397901276348それは早とちりだ。裁判官や書記官が「記録は消えた」とか「記憶に基づいて言う」事件が発生したのだ。

hiyokosyoumen1それを波及・拡大・ウィルス・ひありと言わないで何と言いますか。

1-e1397901276348マネージャーは知ってるだろう。簡単に説明してくれ。

001177 豪快な「やりまわし」のだんじりで知られる岸和田の大阪地裁岸和田支部で昨年10月、裁判員裁判連続逆転で知られる大阪高裁で今年7月に舞台が開かれました。
女性をはねてけがをさせたとして自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)の被告人に禁錮1年4月、執行猶予3年の判決を言い渡した「だんじり支部暴走の段」。 そして、このほどこれを大阪高裁が正した「逆転高裁差戻しの段」です。

20160418inkoおいおい、いくら文楽の大阪でも「段」はないだろう。

001177すみません、私が上方の出なのでつい言葉が滑りまして…。

hiyokowarai1その事件ならボク知ってます、早くそう言ってくださいよ。被害者の家族が公判の場で被告人への質問をしたいと裁判官に申し出た。裁判官が許可すれば被害者の家族も被告人に直接質問ができる。ただし裁判官は検察官の意見を聞くことなど一定の手続きを経ることが必要とされている。
しかし、裁判官はその手続きを怠り検察官に意見を聞くこともしなかった。ところが公判経過を記録する手続調書には、「裁判官が検察官に意見を聞き、検察官は『裁判官の許可が相当だと思う』と意見を述べた」と書かれていた。「調書の記載は事実と異なる」と弁護人がクレームを付けた。そういう話でしょ。

20160418inkoひよこ君だいぶ詳しいようだな。だが、そんなにはやることはない。話はいま始まったところだ。

001177裁判官は毎回の公判経過の要点を調書に記録しなければなりません。稲田防衛相も弁護士をしていました。話は民事ですが、稲田氏の裁判所出頭の事実が調書に書かれていたことで、森友学園の代理人として訴訟活動をやっていたことが明るみに出ました。

hiyokowarai1その話も大阪やないでっか。記録に基づくとか記憶に基づくとかの歴史的迷言が登場したあの話でんな。

001177怪しげな関西弁はやめなさい。この裁判官は「大崎良信」という経験25年超のベテラン判事です。

1-e1397901276348実際に手続調書を作るのは書記官だが、調書は裁判官の指示に基づいて作り、裁判官がチェックする。

001177立会い検察官は副検事だったとか。

1-e1397901276348交通事故事件などでは検事ではなく副検事が立ち会うことが多い。もう一つ言っておく。刑事裁判で被害者が被告人に質問するのは2008年に導入された「被害者参加制度」による。刑事訴訟法第316条の37に規定されている。この制度は刑事裁判の基本構造を壊す危険なものだと私は考えるが、そのことはひとまず措く。

hiyokosyoumen1措いてください。

1-e1397901276348被告人の刑事責任を追及する立場に立って質問するのは本来は検察官だ。そこで刑事訴訟法は、被害者の不適切な質問で審理が混乱するのを避けるために、被害者が被告人に質問したい時は質問事項を明らかにして検察官にそのことを申し出て、検察官はこれに意見を付けて裁判所(裁判官)に通知することを義務づけている。

hiyokosyoumen1弁護人が法廷で「検察官の意見が必要ではないか」と聞いた時、大崎裁判官は「だから検察官は許可相当だって言ってるんだよ」とはねつけたとか。1審判決の後、弁護人は岸和田支部に「この事件の審理では検察官は意見を述べていない」と異議申立書を提出しました。大崎裁判官は裁判の後にも、「検察官から意見が明確に述べられ、裁判官と書記官がそのことを確認しており、申立てには理由がない」という回答書面を出しています。

001177弁護人は、訴訟手続きに違法があると控訴し、これを受けて大阪高裁の福崎伸一郎裁判長は一審書記官の証人調べを実施しました。

hiyokosyoumen1書記官の証言というのは異例のことですよね。

001177出廷した書記官は「裁判官が『意見は』と聞くと、検察官は『相当と思料します』と言ったと記憶している」などと証言し、「ICレコーダーでも録音していたが、昨年11月、パソコンの更新の際に消してしまった」とも証言しました。

hiyokowarai1何とも蕎麦屋の匂いが…。

001177しかし結局、福崎伸一郎裁判長は7月6日、「1審の裁判官があえて事実と異なる意見を書記官に記載をさせた可能性を否定できず、審理の公平性に疑念を抱かせる。一審判決には公判の結論に影響を及ぼす明らかな法令違反がある」と結論付け、「意見を述べた」と記載された裁判官作成の書面は事実ではないと認定、審理を大阪地裁に差し戻す判決を言い渡しました。

1-e1397901276348検察側も「副検事は意見を述べていない」との結論をまとめていたこともあって、高裁は一審の裁判官・書記官の態度を不埒と断じたようだな。

hiyokosyoumen1控訴審の判決後、弁護人の赤堀順一郎弁護士は「司法の根幹を揺るがす行為だ」と述べ、刑事告発も検討する考えを示したと報道されています。

001181この事件には「裁判所もり・かけ事件」的な感じも確かにありますが、それにしてもこの事件が裁判員裁判とどう関係してくるのか、インコさんのことですからわざわざ紹介されたのにはきっと理由があるんでしょう。

1-e1397901276348私は理由や動機のない与太話は1日に1回くらいしかしない。

001178まね0はいはい、ではどうぞご説明を。

1-e1397901276348裁判員制度は、国民に裁判に加わってもらうことによって、国民の司法に対する理解を増進し、裁判の正統性に対する国民の信頼を高めることを目的とするもので、現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価を前提としているというのが当局御用達の説明だ。裁判員法案起草者のひとり池田修裁判官が『解説 裁判員法』でそのことをはっきりと書いている。

1-e1397901276348我が国の司法と裁判は権威と歴史をもって厳粛に行われている。裁判官と一緒に実際の裁判を経験してそのことをよく理解し、よりよい国民に成長してほしいという訳だ。

001178まね0そういうことなのでしょうね、お上としては。

1-e1397901276348丸山眞男はお上に従う傾向が日本人の特質の1つだと言った。

hiyokosyoumen1そうだそれだと、この方針が登場したと。

1-e1397901276348それがどうだ。裁判官と書記官が調書を偽造する司法文化がこの国にはあるということになりそうではないか。これが裁判の正統性か。

hiyokowarai1ほんまや。これで「裁判の正統性に対する国民の信頼を高める」と本気で言えるんでっか。ホンマのことを勉強されたら困るんとちゃうか。

1-e1397901276348きみが無理して関西弁を使うことはない。司法に対する理解を増進すると、その結果は悲惨なことになる可能性がある。

001178まね0そうですね。「現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価」がとんでもないでたらめってことでしょうか。

20160418inkoだが、驚くのはまだ早いぞ、君たちよ。

001177ということは、もっと驚かせてくれはるとでも。

hiyokowarai1驚かせてくださいましな。

1-e1397901276348言葉遣いが変な君たちに告ぐ。「大崎良信」という人は、裁判員裁判の裁判長としてその名を国中にとどろかせた裁判官なのだ。

hiyokowarai1名裁判長なのですか?

1-e1397901276348最高裁の指導に盲従したストップウォッチ裁判長として知られた。755057

001176えっ、えっ、鳥取地裁のあのお方ですか。

1-e1397901276348あれは何年前っ。いやまじめに行くぞ。
裁判員裁判の幕が開いた翌年の2010年7月だった。鳥取地裁の裁判員裁判で、この人は20分の予定で始めた弁護人の弁論が15分経過したところでストップウォッチをかざし始め、これを振り続けたり腕時計をわざわざのぞき込んで見せたりなどのパフォーマンスをし続けた。

001177弁護人の抗議で問題が広がり、鳥取弁護士会は「人の話に真摯に耳を傾けない弁護活動妨害の侮辱行為。刑事裁判の公正を疑わせる重大問題」と、地裁と裁判長自身に正式抗議をしました。

1-e1397901276348大崎裁判官は12年に、ひとり鳥取を離れて大阪高裁の陪席裁判官になり、去年4月から大阪地裁岸和田支部の裁判官になったのだ。事件翌年の転勤を契機に、裁判員裁判には関わらない裁判官人生になったと言ってもよい。

hiyokowarai1「ひとり」という表現はどうなんですか。しかし、「止めるあなた」はいなかったろうなぁ。最高裁もさすがにこれはダメだと思ったでしょうね。

1-e1397901276348この世界では、上の言うことを上手に現場に徹底できない裁判官には×が付く。キーワードは「上手に」だ。最高裁は、「裁判員制度は国民の司法に対する理解を増進し、裁判の正統性に対する国民の信頼を高めることを目的とする」「現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価を前提とする」という『途方もないウソ話』を、それこそいかにも本当そうに言ってみせる演技ができない者に将来を保障しない。

1-e1397901276348しかし、こういう裁判官がはからずも国民の裁判員裁判に対する理解を増進させ、この国の司法の救いようのない汚さ・悪辣さを国民に教えてしまう訳だ。

hiyokosyoumen1そう言えば、厚労省の村木厚子さんの有罪を立証しようとした前田恒彦という検察官は虚偽公文書作成などで有罪に追い込もうと証拠改ざんを決行しましたね。

001178まね0そう言えば、鹿児島・大崎事件では、第3次再審請求の再審開始決定に検察は即時抗告しました。原口アヤ子さんは90歳だというのに。この事件では判決確定までと再審段階を通じて総勢何十人という裁判官が関係しています。

1-e1397901276348そう。それが、この国の裁判の正統性で、この国の刑事裁判がきちんと機能しているという説明の内実なのだよ。

001177hiyokowarai1裁判員制度が破滅するというのも当然の帰結ということですね。

 

投稿:2017年7月9日

防衛大臣弁護士が本音を言っちゃって

hiyokosyoumen1plt1607310017-p1話題の稲田朋美防衛相は弁護士さんですよね。

1-e1397901276348そうだ。

hiyokosyoumen1トンデモ発言で問題になり、何度も辞任要求が起きている。

1-e1397901276348そうだ。

hiyokosyoumen1国際会議の場で、「ここに並んでいる人たちは自分を含めて美人だ」と発言して、大顰蹙を買ったんですよね。

1-e1397901276348そうだ。インコはワルかどうかで判断したい。アホかどうかで判断したくないが、そう思うインコなのだが。やっぱりアホだと思う。

hiyokosyoumen1この方は日弁連から資金援助受けてるんですよね。

1-e1397901276348情報に少し混乱がある。中本和洋現会長が会長になる少し前まで選挙責任者と一緒に稲田議員に政治献金を続けていたということだ。

001178まね0会長選挙の時にそのことが明るみに出てカンパをやめることにしたとか。

1-e1397901276348いや、それもやめたんじゃなくて、自分が会長をしている間は稲田議員への献金を休むことにすると言ったらしい。

001181中本会長はどうして稲田さんに肩入れしてきたんでしょう。

20160418inko立派な政見に感服したんだろう。

hiyokosyoumen1この方の政見、立派なんですか。

20160418inko立派じゃなけりゃカンパはすまい。中本会長というお方は人を見る眼があるはずだ。

hiyokosyoumen1なんか堂々巡り。超お粗末右翼政治家を支援する日弁連会長ですか。それはたいていの人が驚く話でしょう。吃驚ひよこ、辺りきょろきょろ見合わせり。

1-e1397901276348急に菅原伝授手習鑑寺子屋の段になったな。

001178まね0小泉純一郎という人は、自衛隊員が派遣される非武装地帯の概念について、「自衛隊員が派遣されている所は非武装地帯だ」と答えました。
稲田防衛相は、南スーダンの情勢に関連して、「武力行使があったと言うと憲法違反になってしまうから、事実上の戦闘行為はあっても憲法上の武力行使はないことにする」と言いました。

hiyoko2-1……。稲田防衛相の東京都議会選挙の応援演説が問題になりましたね。

0011776月27日の応援演説を新聞で知りました。記憶に基づいて(笑)、紹介します。
「東京都ではテロ対策、災害、首都直下型地震も懸念される中、防衛省・自衛隊と東京都がしっかりと手を携えることが非常に重要だ。地元の皆さまと国政をつなぐのは自民党の都議会の先生しかいない。(演説会場の)板橋区ではないが、隣の練馬区には自衛隊の師団もある。何かあった時、自衛隊がしっかりと活躍できるためには、地元の皆さまと都民の協力、都議会、都、国のしっかりした連携が重要だ。下村(博文)先生との強いパイプもあり、自衛隊とも連携のある○○候補をお願いしたい。防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」

hiyokowarai1一句浮かびました。手元の記録に基づいて(笑々)、紹介します。
「この国ではテロ対策、犯罪、南海トラフ大地震も懸念される中、防衛相・自衛隊と日弁連がしっかりと手を携えることが非常に重要だ。国民と国政をつなぐのは弁護士の先生しかいない。永田町ではないが、隣の霞ヶ関には日弁連、東京弁、第一東京弁、第二東京弁もある。何かあった時、自衛隊がしっかりと活躍できるためには、地元の弁護士たちの協力、弁護士会、日弁連のしっかりした連携が重要だ。中本和洋先生との強いパイプもあり、自衛隊・防衛省とも連携のある○○候補をお願いしたい。防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」

1-e1397901276348そういうのは「一句」とは言わない。

001177裁判員制度の話をして下さい。裁判員もしっかり吃驚ですから。

1-e1397901276348そう、破綻していると言えば終わりを認めることになるから破綻しているとは言わない。事実がどうかではなく言えないことになっているから言わない。

001177稲田防衛大臣の発言は「とんでもないことを言った」とか「言ってはいけないことを言った」と批判されてますが、本質は本音を正直に言ったということ、つまり「本質」が問題なのですね。

hiyokowarai1 ひよこは二度吃驚、「制度破綻か大臣お終いか」と呆れて、詞もなかりしが。

001178まね0寺子屋へ行け。インコさん、話を進めてください。

HP201642221政府は、裁判員制度のリーダーを引き受けてきた日弁連を否でも応でももう一度旗振り役に据え、窮地に陥った制度の延命を担わせようとしている。戦前にも「国策遂行の旗振り役弁護士会」という構図があった。

hiyokowarai1その再来ですか。ということは、さっきの「一句」はあながち見当違いではないと。

20160201出来の良し悪しは別としてだがね。

hiyokowarai1いやいや、誉められるほどではありません。

120160508bikuキミ、なんか誤解してはいないか。

hiyokowarai1いえ、誤解させるおそれがある言い方をしたとしたら、それは誤解ということですから、誤解は解かなければ誤解なのにかかわらず誤解ではないと思われてします。あ、誤解を5回も言っちゃった。

15005011このままでいくと、あと30回は誤解だと言いそうだな……。

 

投稿:2017年7月2日

まっぴらごめん裁判員PartⅧ市民集会報告

へ?もう、いい加減、報告があってもよさそうなものだが?

hiyokosyoumen1埼玉であった「裁判員はまっぴらごめん」の集会ですね。

1-e1397901276348そうだ。埼玉県では、裁判員制度廃止を正面から訴える運動が続けられていて、市民と弁護士が毎年、集会を持っている。そこにマネージャーも参加したということで報告を待っているのだ。

「まっぴらごめん裁判員 第8回」5月7日午後2時~5時。埼玉会館で開催
主催:裁判員制度に反対する埼玉市民の会
後援:埼玉弁護士会

代表あいさつ
埼玉弁護士会あいさつ(副会長)
報告:長沼正敏弁護士「埼玉弁護士会『裁判員制度の見直しに関する意見書』について」
パネルディスカッション:コーディネータ・岩佐憲一弁護士
パネラー・市民3人
基調報告:高山俊吉弁護士「裁判員制度を突き崩す力」

001177集会場はほぼ満席。50人はいたかな。「立て看板を見て来た」という方もいたようです。そんなアンケート回答がありました。「初めて参加したが勉強になった」というコメントもありました。白熱した論議が続き、会場が盛り上がり、集会後に集めたアンケートの回収率も80%ほどだったそうですから、大成功だったとのではないでしょうか。

hiyokosyoumen1埼玉弁護士会が後援していたんですよね。

001177そうです。埼玉弁護士会は「制度修正論」なので、不満ではありましたが。それにしても3年で見直すと規定する法律自体おかしいし、しかもその見直しが実際にはなきに等しかったということも問題です。「埼玉弁護士会」としては「見直し提言」が顧みられなかったのですから、廃止を訴えて欲しいですね。
集会参加者の大勢は廃止。パネルディスカッションに参加した3人もみな廃止論でした。
「裁判員制度に反対する市民の会」は、いつも集会の内容をまとめて報告集を発行します。
興味・関心のある方はぜひ、お読みください。連絡先は次のとおりです。バックナンバーも取り揃えてあるそうですよ。

小出重義法律事務所
〒330-0854さいたま市大宮区桜木町4丁目244-2
℡048-647-1222

20160517114キミキミ、「報告集」が出されるからといって、そちらに丸投げという手はないだろう。

001177すみません。それはそうですね。高山弁護士の言う「裁判員制度を突き崩す力」の内容がみなさんの一番知りたいところでしょう。
それは
    「出頭拒絶運動の徹底的な強化「制度廃止を正面に掲げた運動
でしたね。

hiyokowarai1それってもしかすると・・・

20160418inkoインコが常々言っている
一人の拒否を みんなの拒否へ みんなの拒否制度の廃止
ということだろう。
このホームページを使って廃止の声をもっともっと広げ、「埼玉市民の会」のみなさんはもちろんのこと、北海道から九州・沖縄まで全国の心あるみなさんと連帯して、制度廃止を大きく訴えていくということ!
これでいいのかな?

001177はい、そういうことです。みんなで頑張りましょうね。

20170527134449

 

投稿:2017年6月8日

テラダ君、裁判員8年目の現実を直視せよ

1-e1397901276348裁判員8年の「祈念報道」はどんな風になっているかな。

hiyokowarai1私、祈ってますってなもんで、どうもこんなも、ありません。

へ?ん?

hiyokosyoumen1記念特集と言えるような記事はないということです。

1-e1397901276348そのこと自体を論じる必要があるが、流れている報道をよりどころに考えてみよう。

hiyokosyoumen1そういうことでしたら、まず5月19日の『読売』があります。大見出しが「裁判員判決 2審の壁」。そして「開始から8年 死刑破棄5件」「遺族『制度の意味どこに』」「最高裁 過去の量刑重視」と見出しの砲列。表やグラフや写真入りの大容量です。

001177私も読みましたが、「壁」がテーマですから、ハッピーな話題ではありませんね。

hiyokowarai1そう、私たちにはハッピーです。制度開始8年で言い渡された30件の死刑判決中、高裁で5件が破棄されて無期に変わっている。最高裁は死刑に慎重な姿勢を示すが、被害者遺族は無念の思いを抱いているという話です。yomiuriD-1

001177今年3月に大阪高裁が逆転無期懲役にした大阪心斎橋の通り魔事件。1審大阪地裁の裁判員死刑判決の被害者遺族を追う記事ですね。

hiyokosyoumen1被害者は2人ですが、高裁は計画性が低いことや精神障害の影響も否定できないことを理由に破棄しました。

001177記事中では「お父さんを殺した人がなんで生きているの」という娘さんたちの声や法廷でのご遺族の言葉などを詳しく紹介する一方、被告人に精神障害があることについては記事中でまったく触れないなど、基本的に被害者の視点から見た記事でした。

1-e1397901276348最高裁は、15年2月に、死刑の適用には慎重さと公平性が求められるという判決を出している。高裁は多くこの考え方に従って裁判員判決をチェックする。

001177最高裁は、できるだけ裁判員の判断を尊重せよと言う一方、その行き過ぎをたしなめるという二元政策を採っていますね。

hiyokosyoumen1前者に傾く地裁の裁判員裁判と、後者に傾く高裁の裁判官裁判の対立構造ですかね。

HP201642221うむ。矛盾政策と言った方が近い。2つの方針の「調和」は難しい。「できるだけ」と言うのも、「行き過ぎ」というのもどだい基準なんてないからな。

001181抽象的な言い方をされると現場は混乱するだけではないでしょうか。

hiyokosyoumen1「一般基準」を言われても、裁判員たちには使える物差しにはならない。

1-e1397901276348無理なことを言い募ることで混乱や反発が生まれている、その基本的な責任は本音とリップサービスを混ぜて使った最高裁にある。

001178まね0勝手な解釈で大騒ぎしたマスコミ・野党・弁護士会などにも責任がありますね。

hiyokowarai15月21日の『読売』も大きなアンハッピー記事を載せました。『裁判員辞退止まらず 制度開始8年』という大見出し。上から下まで8段です。

001181『読売』は惨状報告に妙に熱心です。

hiyokosyoumen1中見出しは「昨年64% 審理長期化が負担」「非正規雇用増も影響」とあります。

001177最高裁が裁判員候補者の辞退率上昇の原因を分析した報告書を公表したという記事ですね。09年の辞退率53.1%が16年には64.7%に増えたと。yomiuriD-3jpg

1-e1397901276348辞退率というのは、裁判員候補者に撰ばれた者のうち自ら辞退を申し入れて認められた人の割合のことだ。

001181でも、やりたくないというだけでは本当は辞められないんですよね。

HP201642221そういう建前なのだが、実際には辞めることは許さぬなんて言ったら大変なことになる。やりたくないと言えば今はすべて辞めさせる。

hiyokosyoumen1 16年には100人のうち64.7人が資格がないとかやりたくないと答えたということですよね。

1-e1397901276348手元にある今年3月末のデータではその数字はさらに上がって65.6%になっている。

hiyokosyoumen1完全に破綻じゃないですか。

1-e1397901276348裁判員の辞退の実際はもっと深刻だ。何にも答えず呼出当日に黙って欠席する徹底無断不出頭者がどんどん増えている。

hiyokosyoumen1最新のデータで言うとどうなっていますか。

1-e1397901276348今年3月末、断りを入れなかったために選任手続き期日に呼び出された者のうち、当日無断欠席した者の比率は40.1%に達している。

hiyokosyoumen1断りを入れなければ出席する予定なのだろうと裁判所は一応みなすでしょうね。

HP201642221現実は、断らず黙って欠席する強者(つわもの)が4割もいるということだ。

001181辞退の流れが強まる一方だということはわかりましたが、最高裁はどうしようというのですか。

HP201642221方針の立てようがない。長期拘束は裁判員の負担が大きすぎるという声があるとして、最高裁は短期結審を強く要求している。

001178まね0でも、裁判員からは、裁判にはもっと時間をかけねばという声も上がっていますよね。しかし、そんなに長い時間お付き合いはできないというのも裁判員の偽らざる心情です。

hiyokosyoumen1現状より短くしたら裁判が裁判でなくなってしまいます。

1-e1397901276348最高裁は、審理期間が長いからやりたくなくなるという理屈を作っている。でも現場には「そう言ったって」という冷たい空気が流れている。

001178まね0今回の調査報告では、非正規雇用の増加が辞退増加の原因になっているのではないかとされているとか。

hiyokosyoumen1「参加の可能性があるのは正規の40.2%、非正規の30%位」「審理期間が長くなると参加不可能者がどっと増える」。これが民間の調査会社のアンケ調査結果だそうです。

HP201642221そうかも知れん。でも、非正規とか正規とかの別なく、この不景気状態で裁判員裁判どころじゃないのが現実だろう。正規・非正規の参加比較をするのなら、実際に裁判員をやった者について調べなければ意味がないし。

001178まね0まさか非正規にも参加できるようにという口実を作って裁判を1、2日で終わりにすると言うんじゃないでしょうね。

hiyokowarai1それとも最高裁が非正規を減らす運動の先頭に立つとでも。

20160418inkoハハ、よい着想だ。

0011778年報道と言えば、神戸新聞も流していますね。通信社配信記事ならほかの県紙にも出ている可能性があります。

hiyokosyoumen1で、なんと。

001177控訴審裁判の一審逆転が年々増えているという経年変化の詳細ですね。通常裁判に比べても裁判員裁判の方が破棄率が高くなっているという分析をしています。

hiyokosyoumen1『読売』と基調は同じですね。20170521koube

1-e1397901276348控訴審に行ってひっくり返される例が多く、出頭率も年々大きく下がったというのが8年目の現実だ。

001178まね0仲間由紀恵とか上戸彩とか長谷川京子なんかを並べて、「私たち市民が物言う時代が来た」なんて言う雰囲気を広げた下手人は最高裁です。

1-e1397901276348「事実認定は市民にも簡単にできる」なんて、市民の感覚をいかにも尊重するような言い方をしたのが最高裁なのだ。

hiyokosyoumen1最高裁が国民に描いて見せた結果を最高裁自身が裏切っている。

1-e1397901276348この現実を破綻と言わず何というか。最高裁には非正規対策を考える能力も資格もない。あるのは廃止を言う責任だけだ。

yomiuri0524

投稿:2017年5月24日

ズタボロ節♪ ~裁判員制度惨歌~

えっへっへっへ、 お呼びでないと。まったく失礼しましたね。20170513
何ともお呼びでない制度でしたな、これは。
ま、とりあえず、めでてぇじゃないですか。
1割台の声聞いたってんだから。
景気よくお祝いしましょ、ご同輩。
ア ホレってね。

♪チョイト裁かす つもりで始め078283
いつの間にやら どん詰まり
気がつきゃ 破綻の話題でフテ寝
これじゃ司法に いいわきゃないよ
分かっちゃいるけど やめられねぇ

♪ねらった出頭 見事にはずれ
毎月下がって 1割台
気がつきゃ
法廷ぁ すっからかんのカラカラ048593
日当金儲け 欲し奴ぁだけだよ
分かっちゃいるけど やめられねぇ

♪一目見た男(やつ) たちまち予断
よせばいいのに 説教たれ
裁いたつもりが チョイとひっくりかえされ
オレがやる意味 ある訳ゃないよ
分かっちゃいるなら やめんかい!

♪ア ホレ ズタズタ ズータララッタ
ボロボロ ズタズタズタ
ズターラ ズタララッタ
ボロボロ ズタズタズタ
ズタズタ ズータララッタ
ホロホロ ズタズタズタ
ズタズタ ズータララッタ
ズータララッタ ズタズタ♪♪

330696

投稿:2017年5月13日

憲法記念日会見 触れたくない、聞かれたくない

1-e1397901276348201705020033_001_m今年の記者会見はよほどきつかったと見える。

hiyokosyoumen1誰がきつかったのですか。

1-e1397901276348テラダ長官さ。

001177この人、いつもきつそうに見えません。

HP201642221世の中何がおもしろいのかというご面相の人だが、今年はいつも以上にきつかった。

hiyokowarai1長官きつけりゃ記者まできつい、ですかね。

へ?・・・

001177裁判員制度について今年も触れなかったんですね。

hiyokowarai1話題がなかったということでしょうか。ゆうことなしの禿頭とか。

1-e1397901276348いくら行くとこなしの大型連休だって、この話題だけは大あり名古屋の金のしゃちほこ。せっつきなさんな青年たちよ。順序立てて話して進ぜよう。

hiyokowarai1さてはさては先輩、またまた朝早くからコンビニに駆けつけましたね。

001177去年の記者会見は、ハンセン病隔離法廷問題で長官が謝罪したことが柱。後はほとんど付け足しでした。

20160517114差別の先頭に立った最高裁の責任は重かつ大。頭を下げれば済む問題ではない。「この国の司法の正統性」なんてどこのコンビニで売ってるんだっていう話だった。

001177しかしまた、ハンセンの問題にこと寄せて裁判員制度について一言も話さなかったのはこれはこれで大問題でした。

hiyokowarai1しっかり先輩の餌食になりました。

1-e1397901276348今年も無言劇を通そうとしたようだが、昨年の無言劇はやはりまずかったと思った記者の方が質問の追い打ちをかけたらしい。

hiyokosyoumen1そんなことがわかるんですか。

1-e1397901276348そういう質問をした記者がいたので、そうだったのではなかろうかと思うのだ。

001181それはきっと『朝日』や『読売』ではないでしょう、制度が破綻していることをよくよく知っている新聞社は黙っている。

hiyokosyoumen1権力と社会的勢力の隠蔽共謀罪ですか。

1-e1397901276348去年も言ったのだが、この記者会見は会見場の全景も撮らない約束になっているらしい。徹頭徹尾報道管制が敷かれている。参加できるのも各社1人だけとかね。

hiyokowarai1へんなの。

001177では、主要紙の内容を紹介しましょう。

『朝日』は千葉雄高。市川美亜子は消えた。わずか26行のベタ記事。写真なし。冷たいなぁ。見出しは「『国民的な議論に委ねるべき問題』改憲めぐり最高裁長官」。裁判員制度については一言もなし。「司法取引」の来年施行に備えて裁判官の準備が必要と。人権侵害刑事司法をいそいそと進める最高裁を紹介しています。

『読売』無署名。3段41行と昨年同様に記事量が多い。写真あり。見出しは「最高裁長官 改憲議論『十分に注視』」。こちらは裁判員制度にも論及、昨年公判前整理手続きが平均8.2か月と長期化したことに触れ、「手続きが簡潔に行われていない。効率化は大課題」と長官が言ったと。また、司法取引は「柔軟な発想で議論したい」とも言ったそうな。露骨な刑事司法改悪歓迎がこの日の会見の「きも」だったようです。

『毎日』伊藤直孝。2段24行。文字がやけに少ない。写真でごまかした感じ。見出しは「『柔軟な発想必要』最高裁長官」。裁判員制度にはまったく触れていない。司法取引の施行に「柔軟に」備えると。記者連は危険性がわかっているのでしょうか。この淡々とした紹介ぶりはとても気になります。

『日経』無署名。2段28行。短いがおもしろい。昨年と違って写真なし。「8年目を迎える裁判員制度への評価を問われると、『大きな破綻はないが、努力すべきことも少なくない』と言ったそうな。(長官は)争点や証拠を絞る公判前整理手続きの充実などを課題に挙げた」ともあります。裁判員制度については、長官は自分からは発言せず、質問が出て初めて答えただけのようです。こんなところでリアルな姿が露見しますね。

 『産経』無署名。大ぶりのカラー写真でなぜかはしゃいでいる。34行。見出しは、「『国民的議論に委ねるべきだ』寺田最高裁長官が見解」。改憲論議が巻き起こることを期待しているように誤読する向きもありそうだ。裁判員制度に関しては、「『裁判員が安心して裁判に参加できるよう、環境整備など努力しなければならないことも少なくない』と語った」とある。長官は、例の声かけ事件のことを言ったんだろうが、もう一回りも二回りも回っているのに、外れている。

『東京』無署名。ベタ記事で写真もない。28行とこれも冷たいなぁ。「司法取引」には触れたが、裁判員制度には一言も触れなかった。

20160517114これが憲法記念日朝刊の報道ぶりだ。裁判員に触れたのは、『読売』『日経』『産経』の3紙だけ。悪辣司法隠蔽策の裁判員制度。ハンセンショックと通底する大テーマのはずなんだが、この影の薄さをどう見るか。

hiyokosyoumen1少しでも光が見えてくれば、何か言うはずですよね、針小も棒大にして。

001177そう。「お客様満足度95%」みたいな宣伝がいっとき盛んでしたが、出頭率がどんどん悪くなる状況にあまりにも整合しない話で、あの話は今では神通力を失いましたね。

hiyoko2-1言う方のテラダ君は言いたくなく、聞く方の各社記者連も聞きたくもないということになったのでしょうか。どちらもどっちも触れたくない。

20160517114長官とすれば、少しでも光が差す話があれば話したかったが、何一つなかったということだ。

hiyokosyoumen1しかし『日経』の報道はおもしろいですね。「裁判員制度への評価を問われると、『大きな破綻はないが、努力すべきことも少なくない』と言ったという。

1-e1397901276348「大きな破綻はない」とは傑作だ。これは「破綻の徴候が各所に出ている」と言っているのに等しい。「順調」とか「定着」とかの言葉を使わなくなって久しいが、これが最末期の「公用語」になったのだろう。

hiyokosyoumen1前号でもお伝えしましたが、今年2月末には裁判員の出頭率がとうとう20%を割りました。これは「大きな破綻」の証拠ではないのでしょうか。

001177そう、20%を割ったら大変だなどと言われていました。そのことに触れないようにするのが今回の記者会見の最重要課題だったかもしれませんね。

hiyoko2-1でも、これを「大きな破綻」と言わないのなら、裁判員が法廷で毒を飲んで死にでもしなければ破綻とは言わないかも。

HP201642221いや、それでも破綻したとは言わないだろう。最高裁は「この程度のことで死ぬ奴は死んでも仕方がない」くらい言いそうだ。

001177テラダ長官の口から「破綻」という言葉が出たというだけで、眼前に広がるのは終末期の荒涼たる風景なのだと思わなければなりませんね。

hiyoko2-1「努力すべきことも少なくない」というのはどういうことでしょうか。

001181どういう問題点が表れているかを具体的に言わないから、何を努力しなければならないのかがまるきりわからない。

1-e1397901276348第一線の記者が集まっているのにそこを指摘しないというのはどういうことか。

001177そうですね。でも、この日の長官会見の内容が事前に漏れていたのか、前日の『読売』朝刊は公判前整理が長くなっていることを大きく報道しています。

1-e1397901276348そう、8段抜きの大報道だった。

hiyokosyoumen1ボクも読みました。見出しは「公判前整理延々8か月 裁判員裁判昨年平均 弁護・検察側の駆け引き」でしたね。

001177公判前整理が長くなっていることはかねてからの指摘です。制度発足当初は手間のかからない事件から始まりましたから整理期間も2.8か月という短さでしたが、その後段々長くなって今では実に8か月ほどです。

HP201642221無理もない。超短期間の法廷審理で決着をつけるとなれば、公判前整理は激しい攻防戦になる。無罪を争う事件ならとりわけそうだ。検察は証拠を出したがらないし、弁護側は開示を強く求める。

hiyoko2-1「準備は短く 公判も短し 裁けよ市民」という要求自体に無理があるのではないでしょうか。

1-e1397901276348長官は「手続きが簡潔に行われていない。効率化は大課題」というが、無理に争点を少なくさせたり証拠を絞らせたりすると、真実の認定は一気に難しくなる。

001178まね0最高裁が 「努力すべきことも少なくない」というのは、具体的にはどういう方向を考えているのか。そこが問題ですね。

hiyokosyoumen1裁判員制度は起訴から判決までの期間を短くさせることに目標の柱がありました。でも、裁判員裁判になって裁判官時代より審理期間が長くなってしまった。

1-e1397901276348そうだ。これでは裁判員裁判を導入した目的と現実の結果が大きく乖離する。何とかしなければ制度存立の大きな柱が崩壊する。

001177しかし、公判前整理手続きを短くしたら、審理そのものが粗雑になってしまいます。

1-e1397901276348そうさ。裁判員裁判はもともと粗雑司法だ。考えて見れば、公判前整理の長期化は粗雑司法に対する実務法曹の抵抗とも言える。

001178まね0素人に裁かせるのだから簡単でよいという理屈がこれから裁判所の中を吹き荒れるのでしょうね。

hiyokosyoumen1ということは、民意の離反というだけではなく、制度そのもののあり方という面からもやっぱりこの制度は破綻じゃないですか。

1-e1397901276348そうだ。この制度はにっちもさっちもいかないところにきている。長官が憲法記念日に裁判員制度に触れない、そっとしておいてくれということ自体、最高裁が制度破綻を自白していることを意味するのだ。

hiyokowarai1あ、先輩、聞こえてきました。ららばい ららばい お休みよー ボロボロ制度の子守歌♪ って。

20160418inkoテラダ君も嘆いているだろうよ。そんなにオレが悪いのかってさ。同情する気には少しもならないがね。

  

投稿:2017年5月5日

EVERLASTING ~2割を切って~

今年2月末の裁判員制度実施状況の速報発表。750916
出頭率19.2%、ついに2割を切った。
もう一つの出頭率、呼び出されて何も応えず欠席した人たち(最高裁はどうしてこんな統計取ってるんだ)の数が去年の35.2%から今年2月末に43.4%に急増した。
インコの情けじゃ。これ以上、何も申すまい。

寺田殿、早々に腹を召されい…じゃなかった、腹を括られい。

詩:Inko ~en~L’abolition

I swear to God
そう(陪審制度と)似ていない制度を選んだのは…最高裁

I swear to God
もう行かない裁かない国民の強い…my will

止まない何故に止まない拒否…
(Ah ah…everlasing rain)
753996

I ask my heart
ねぇ 感覚で裁いて司法の市民参加してほしい
I ask my heart
そう 決めたの 最高裁が望んだのに何故?

止まない拒否と来ない民
(Everlasting,everlasting rain)

ああ、止まない拒否よ
嫌がられる制度よ この司法よ

冷たい民 拒否し続け制度を廃止に向けて
拒み続ける民にああ、まだ期待してる

The core of a loving heart defies all scientific reason.
Love isn’t perceived through the eyes, it’s felt through the heart.
That’s why it’s so hard.

心の中はまだ科学的に解明されていない。
裁判員は事実と法ではなく、心で被告を見る。
だからやっかいだ。

 

EVERLASTING  L’Arc~en~Ciel767645

I swear to God
そう 似ていない人を選んだのは…私
I swear to God
もう 帰らない逢わない私の強い…my will

止まない 何故に止まない君…
(Ah ah…everlasing rain)

I ask my heart
ねぇ くちづけで気持ち塞いでほしい
I ask my heart
そう 選んだの 私が望んだのに何故?

止まない雨に 止まない君
(Everlasting,everlasting rain)

ああ、止まらない季節よ
止まない詩よ この恋よ

冷たい雨 降り注げ 君を洗い流して
隠しきれない君に ああ、まだ恋してる

The core of a loving heart defies all scientific reason.
Love isn’t perceived through the eyes, it’s felt through the heart.
That’s why it’s so hard.

心の中はまだ科学的に解明されていない。
恋とは目で見ないで、心で相手を見る。
だからやっかいだ。

657500

 

投稿:2017年4月23日

犯罪被害者、遺族や代理人弁護士が「裁判員の判断」を強調する意味

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」3月18日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

先般、大阪高裁では、裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役とした判決が立て続けに2件ありました。
裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄される 守られるべきは先例ではなく基準 勝手に作られる裁判員制度の意味

遺族やその代理人弁護士にとって死刑判決が破棄されることに対して、感情的に受け入れられないのは、理解できなくもありません(代理人弁護士が感情論に陥っているのは、法曹としてはどうかと思います。)。

検察庁に対し、上告するよう求めるわけですが、そこで違和感があるのが、「裁判員の判断」を持ち出すことです。
「裁判員裁判を軽視している」最高検に遺族が上告要請 一審の死刑から無期減刑で」(産経新聞2017年3月17日)
「大阪の繁華街・ミナミで平成24年、通行人2人を無差別に刺殺したとして殺人などの罪に問われた無職礒飛京三被告(41)に対し、大阪高裁判決が一審の死刑から無期懲役に減刑したのを受け、遺族や代理人弁護士らが17日、「市民感覚を取り入れた一審の裁判員裁判を軽視している」として上告するよう最高検に申し入れた。」

確かに裁判員制度になってから、重罰化が進みました。死刑か無期懲役かという究極の量刑が争われるような事件ですら、中には、過去の基準なんて関係ない、などと言い放つ裁判員もいたり、非常に問題をはらんでいたのが裁判員裁判でした。
死刑か無期懲役かは、天と地ほどの差があるのですから、これを裁判員裁判だからというただの一言をもって正当化されることはありません。
だからこそ、最高裁は、死刑判決を破棄した高裁判決を是認しているのです。
最高裁 裁判員裁判の死刑判決を認めず!

この裁判員裁判による死刑か無期懲役かの量刑判断ははもちろんすべてが死刑になっているわけではありません。
そのような場合、遺族やその代理人は、裁判員裁判の結果だから尊重せよ、ということになるのでしょうか。
遺族についてはそれぞれが全く違う方たちですから、同じような議論はなじみにくいとはいえます。例えば、あなたは裁判員裁判の結果は尊重しなくてもいいというのであれば、別事件で裁判員裁判の死刑判決を破棄した高裁判決も尊重すべきといえるのですね、ということですが、その遺族にとっては他は関係ないとは言うでしょう。
しかし、代理人弁護士としてはどうですか。この犯罪被害者の事件ではよく同じお名前をみたりしますが、死刑を選択せず、無期懲役とするようなどのような判断に対しても尊重せよと言うのですか。
先の日弁連の人権擁護大会でも、死刑制度廃止宣言に反対する弁護士たちは、極めて恥ずかしいレベルの醜態をさらしていました。単なる感情レベルでの絶叫でおおよそ法曹としての発言ではなかったわけです。
瀬戸内寂聴さんの発言はどうかと思うが、犯罪被害者側弁護士の主張に道理はない

弁護士が極めてご都合主義的に「裁判員裁判」を利用するのはやめるべきでしょう。
法曹としての資質が問われます。Print

 

 

 

投稿:2017年4月16日

裁判員候補者の出頭率が低下の一途 2016年度は23.7%

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」3月15日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

最高裁のホームページに裁判員制度に関する2017年1月末の速報が掲載されています。

そこに掲載されている裁判員候補者の出頭率が前年度に比べてもさらに低下しています。
その数字は何と23.7%です。前年度の24.5%からさらに下がりました。

2017年1月末の速報値は、さらに低下し、20.9%です。
この時期は数値としては低くなるようですが、それにしても20.9%とは5人に1人しか出頭しないという状況です。

裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成29年1月末・速報)

ちなみに当局は発表する「出席」率は、下段の数字である64.8%です。この数字は、裁判員候補者が辞退を申し入れたような場合には、法定の辞退事由を厳格に適用することなく広く辞退を認める運用によって、出頭しない可能性のある候補者は最初から除外しています。そのため当局が出頭義務があるとする候補者は来たくないという除いた数字ということになり、この母数として算出したのが「出席率」です。
それでも制度が始まった当初は8割の出頭率と言われていました。最高裁の統計によれば83.9%です。
それが既に64.8%にまで下落しているのです。
ちなみに2017年1月末の速報値では60.9%です。

今時の司法改革の中で同じように創設されたものに法科大学院があります。この法科大学院志望者の激減は、目に見えて法科大学院の経営を圧迫しますし、文科省、法科大学院側は危機感に満ちあふれていますが、これに比べると裁判員制度は、惰性で続いています。これは裁判所がとりあえず必要な裁判員さえ確保できればよいというスタンスになったからです。
候補者(国民)の拒否が強まれば、裁判員裁判の歪みはなお一層、ひどくなります。
弁護士会の中でも裁判員制度を絶賛する人たちがいますが、その中でも特に刑事弁護系の人たちにとっては、憂うべき状況になっています。
裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄される 守られるべきは先例ではなく基準 勝手に作られる裁判員制度の意味

ここまで裁判員制度に弊害が生じていながら、何故、裁判員制度の問題点を正面から議論しないのでしょうか。いつまでも惰性によって流されるままにしておくべきではありません。753341

 

投稿:2017年4月16日

裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄される 

守られるべきは先例ではなく基準 勝手に作られる裁判員制度の意味

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」3月13日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

先般、裁判員裁判が下した死刑判決が2件、高裁で破棄されました。

ミナミ2人刺殺 二審は無期判決 裁判員裁判の死刑破棄」(東京新聞2017年3月9日)
「大阪の繁華街・ミナミで2012年、通行人2人を無差別に刺殺したとして殺人と銃刀法違反の罪に問われた無職I被告(41)の控訴審判決で、大阪高裁は9日、裁判員裁判で審理された一審大阪地裁の死刑判決を破棄、無期懲役を言い渡した。
中川博之裁判長は被告の完全責任能力を認め、「基本的には身勝手で自己中心的な犯行だが、計画性が低く、精神障害の影響が否定できない。死刑が適用されたこれまでの無差別通り魔殺人とは異なる」と述べた。
一審に続き争点だった犯行時の精神状態については、支援団体などの適切な対処が行われた形跡がないと指摘。「精神障害の全てが自己責任とまでは言えない」として「酌むべき事情があり、死刑の選択がやむを得ないとまでは言えない」と結論付けた。」

女児殺害、二審は無期=裁判員判決の死刑破棄-「計画性ない」・大阪高裁」(時事通信2017年3月10日)
「樋口裕晃裁判長は「計画性がないことは重視すべきで、生命軽視の態度が甚だしく顕著とは言えない」と述べ、死刑とした一審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。」
「一審判決は、動機の身勝手さや殺害方法の残虐性を挙げ、生命軽視の姿勢が甚だしいとして、被害者1人でも死刑が許容されると判断した。
樋口裁判長は、わいせつ目的で誘拐したと認定したが、発覚を免れるため殺害したことは「非難を格段に高めるとは言えない」と判断。殺害方法について「残虐性が極めて高いとした判断に賛同できない」と述べた。
さらに「声を掛けた時点で殺害を具体的に計画していたとは言えない」と指摘。非難の程度は弱まり、死刑が許容されるとは言えないと結論付けた。裁判員裁判の量刑判断を覆したことには「尊重すべきだが是正せざるを得ず、制度の趣旨を損なうものではない」と付言した。」

の刑判決が破棄された事案は、いずれも「先例」とされる永山基準に従えば、今回の死刑判決は重きに過ぎするということになります。
これに対して、ネット界では、裁判員制度なんて無意味だとか、市民感覚が無視されたというようなお決まりの批判が渦巻いています。
私自身は、裁判員制度は有害でしかありませんから廃止すべきとは思いますが、それにしても、未だにこのような「先例」重視なのかという批判がなされていることは憂うべき状況です。特にマスコミがこのような視点から報じるのは問題です。

減刑5例目「裁判員死刑」覆る…”市民感覚とのズレ”浮き彫りに」(産経新聞2017年3月10日)
「神戸市長田区の小1女児殺害事件で、大阪高裁は10日、1審裁判員裁判の死刑判決を覆し、被告に無期懲役を言い渡した。高裁が裁判員裁判の死刑を破棄するのは、前日の心斎橋通り魔事件に続き、これで5例目となる。「国民の常識を刑事裁判に反映させる」というのが裁判員裁判の主眼だったが、「究極の刑罰」の選択にあたって、市民感覚と職業裁判官の考え方が大きく違うことが浮き彫りになった。」

神戸・小1女児殺害 . 判例重視、鮮明に 裁判員判断と乖離 控訴審判決」(毎日新聞2017年3月11日)
「神戸市長田区で2014年、小学1年の女児(当時6歳)が殺害された事件の控訴審で、殺人やわいせつ目的誘拐などの罪に問われた無職、君野康弘被告(50)を無期懲役とした10日の大阪高裁判決は、量刑の判断について、同種事件に関する過去の裁判例の傾向を重視する姿勢を鮮明にした。樋口裕晃裁判長は「先例との公平の観点から死刑の選択が十分許容される事案とは言えない」と述べた。」

永山基準は、「基準」です。ここを取り違えてはなりません。
死刑か無期懲役か、その分水嶺はどこにあるのか、それが基準です。
先例重視は問題だという意味は、基準を無視して、裁判員の感覚で裁いてしまえという発想と全く同じです。

死刑か無期懲役が、裁判員の感覚の違いによって差が出て良いのですか。
出ても良いと言い切るレベルはまさに感情レベルですが、その感情で裁判が行われるとしたら、それは本当に法治国家と言えると思いますか。
裁判員は抽選によって偶然に選ばれる人たちです。その偶然によって選ばれた人たちの哲学(なのか感情なのか…)によって結論が異なる、しかも死刑か無期かで異なるというのは、法治国家では到底、容認し得ない結論です。
だから最高裁は、死刑判決を破棄した高裁判決を是認したのです。
最高裁 裁判員裁判の死刑判決を認めず!

マスコミが未だに「先例」などという言葉で「基準」を曖昧にしようとしていることは問題なのです。ジ

だったら裁判員制度なんかに意味がないではないかというのも、まったくずれています。
もともと裁判員制度は裁判員が裁判官と一緒になって刑事裁判(重大事件)を裁く(参加する)ことに意味があるとして導入されたものであって、「市民感覚の反映」(これも後から作られたキャッチフレーズですが)によって、量刑を裁判員が好きに決めて良いとする制度ではないのです。
マスコミが勝手に作り上げた「市民感覚の反映」はもともと国民を裁判員として裁判所に来てもらうためのものとして多用されてきました。
それ自体、裁判員法にも規定されておらず、審議の過程でも出てきていない全く法的な根拠がないものなのですが、裁判員制度が始まった当初から国民が裁判員になることに否定的だったものだから、何とか裁判員になってもらおうとマスコミが必死になっていたわけです。マスコミは裁判員制度を絶賛していた手前、国民から否定されていたという事実は受け入れがたかったのです。
国政モニターからの裁判員制度に対する疑問 疑問に正面から答えない法務省」裁

国民が裁判員として裁判官とともに裁くことに意味がある、という裁判員制度の目的が無意味というのであれば、当然、廃止されるべきでしょう。
私は意味があると思っていないので、意味付自体はどうでも良いのですが、自分勝手に意味付をして、それに合わないから「意味がないじゃないか」と批判するのは、はっきりと間違っているということです。

ところで、感情の中でも「人を殺したら死刑だ」というのは全く意味が違ってきます。殺人の法定刑を原則死刑にするのであれば、それは立法により法定刑の引き上げがなされなければなりません。
あくまで現行法の殺人罪の法定刑は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められているからです。

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投稿:2017年4月16日

緊急記者会見 制度廃止方針発表

記者会見場の苦しい空気
昨日午後9時、法務省大会議室で、政府・最高裁の共同記者会見が開かれた。時間も異例、共同の記者会見も異例とあって、朝刊記事の準備に追われていた各社の一線記者が駆けつけ、外国特派員も参加する会見になった。菅義偉内閣官房長官と今崎幸彦最高裁事務総長が並んで会見が始まった。

 菅官房長官は次のように述べた。03eee5ba
「安倍政権が最大の司法チャレンジと位置づけて進めてきた『裁き方改革』の実行計画がまとまった。その中核は裁判員制度の廃止に向けた手順検討の開始である」。
続けて今崎事務総長は、「政府と並行して事務総局内部で検討を進めてきたが、裁判員制度はその歴史的使命を果たしたと評価されるというのが、事務総局と裁判官会議の大方の見方になった」と述べた。
菅長官のいつも以上にふてくされた顔つきと今崎事務総長のあまりにもうつろな表情に事態の重大性が浮き彫りになり、記者たちは騒然となった。

 菅長官の説明は次のようなことだった。
裁判員制度を根付かせようと処罰を伴う参加方式をとったことで、国が責任を問われる裁判が起こされたばかりか、この間裁判員経験者の中から何人もの自殺者が出た。行き過ぎた参加強制は制度の安定的維持を害するという点で最高裁と意見が一致し、やりたくない者にはやらせないという方針に転換したが、その結果、出頭者は大きく減少した。
テレワークなど出頭しないで裁判に参加する方法や病気治療と裁判員の両立を図る罹患裁判員総合病院の設立などの方策も検討し、また繁忙期を中心に裁判員参加の上限規制を設けるなどの改革も試験的に実施した。
しかし、国民の不参加の流れは甚だしく、抵抗を少なくしようとした結果、制度の安定をかえって損ねさせた。このことは遺憾ながら認めざるを得ない。そこでこの際、裁判員制度の廃止を検討することにした。

 今崎事務総長は次のように述べた。20160525-OYT8I50045-N
裁判員の参加が少なくなっていることは事実だが、裁判員裁判に参加した裁判員や補充裁判員からは「参加して良かったとか、良い経験をした」という感想が圧倒的だ。
国民の間には我が国の司法の正統性に関する信頼が深まり、自身がわざわざ裁判に参加しなくてもこの国の裁判官たちは良い裁判をしているという信頼感というか安心感が醸成されたのではないか。
その意味でこの制度は歴史的な使命を果たし終えたと評価している。私の意見は最高裁の裁判官会議の検討を踏まえて申し上げている。

追及する記者と逃げる有責当事者 
記者たちはいっせいに質問の手を挙げた。官房長官は、目ざとく『朝日』の大久保真紀記者を指名した。記者は目を赤くして、「要するに裁判員制度は破綻したということか」と尋ねた。長官は「破綻という言葉は使わないことになっている。我々はこのような事態を一定の困難な状態という」と答えた。記者は「そんな」と言ったままハンカチで目を押さえた。
『共同通信』の記者が、森友学園問題で大きなダメージを受けた安倍内閣は人気回復策として制度廃止を掲げたのではと質問した。官房長官は記者を睨み、「断じて違う、首相は国民の信用を失ったら首相も議員も辞めるとまで言っている。信なくばたったひとり、もとい信なくば立たずだ。偏見に満ちたメディアは会場を去ってほしい」と述べた。IMGP0856
ニューヨークタイムズの特派員は「Godless!」と叫んだ。

 『東京』の記者は「困難を自ら作った政府がその困難を取り払うことで人気を得ようと考えるのはおかしいと言われたら」とたたみかけた。長官は色をなして、「裁判員制度は政府・自民党だけではなく、全野党が賛成してできた。皆さんも基本的に賛成した。破綻の責任はみんなにある」と答えた。どこかの記者が「長官自身も破綻という言葉を使ってますが」と声を上げたが、長官は「不規則発言はやめ給え」と応じた。

 今崎事務総長への質問に移った。指名された『読売』は「裁判員を務めたほとんどの人たちが良い体験をしたと言っていたということだが、安定して実施しているのならわざわざ止めることはないのでは」と尋ねた。事務総長は、「裁判員と補充裁判員の経験者総数は7万4000人ほど。良い体験をした95%というのは7万人。有権者総数1億人の0.07%にとどまる」と答えた。これには記者が「1年1万人なら、1億人になるには1万年かかる計算だが」と質問。事務総長は「人口減少情勢を考えるともう少し早く国民皆裁判員が実現するのでは」と答弁。失笑とため息が広がった。

 『日経』の記者が「官房長官から裁判員の自殺の話が出たが、裁判官の自殺は出ていないのか」と質問。事務総長は「裁判官の自殺は裁判員制度が始まってから10人だ。しかし、裁判員裁判のために自死したと言い切れる例はない」と答弁。記者は「言い切れる例とは」と再質問すると、「その趣旨の遺書があったというようなことだ」と答えた。『TBS』の記者が「きちんとした調査はしていないのか」と聞くと、「きちんとしたとはどういうことか」などと答え、またため息が広がった。

 「このところ高浜原発の再稼働容認とか、伊方原発の差し止め却下など、司法が行政にすり寄る判断が続いている。裁判員制度も内閣が止めるというので最高裁も追随しているということでは」と『日本テレビ』の記者が質問。今崎事務総長は「司法の行政追従が指摘されるが、裁判員制度はいずれ終わるということは私たちの世界ではかねてから考えられていた」と答えた。これには記者は「先ほどは人口減少を考えれば1万年もかからないとか何とか言っていたではないか」と尋ねたが、事務総長は答えなかった。

竹崎前最高裁長官はyjimage7G04IBIO
 『NHK』の記者が竹崎博允前最高裁長官の私宅を深夜直撃訪問。政府・最高裁の記者会見の模様を伝えて意見を聞くと、前長官は情報を事前に知らされていたようで、落ち着いて次のように語った。「この制度はそんなに長く続けられるものとも続けるべきものとも思っていなかった。だいたい、私はもともと国民が裁判に参加することに意味があるとは考えていない」。
驚いた記者が「ですが、竹崎さんは制度推進の旗を振って最高裁長官になられた」と聞くと、竹崎氏は「まあね」と答え、続けて「ただ、ボクはもともと市民の司法参加には意味がないと言っていた。当時、鳩山邦夫法務大臣はサイバンインコのゆるキャラなんかに扮してうれしそうにしていたが、後に実は私も反対だったなんて言っていた。私は正統派の消極論者で自分の意見を以前からはっきり言っていた」と語った。
記者が「そういうのを変節と言うのでは」と聞くと、竹崎氏はかすれただみ声で「まあね」とまた答えた。どうやらこの言葉はこの人の癖らしい。

 記者が「裁判員を経験した市民がほとんど良い経験をしたと言ってるという話でしたが」と聞くと、竹崎氏はにやっと笑って、「感想は日当を貰う前に聞かれるんだよ。つまりそういうことさ」と答えた。
かくして、制度構想から16年、実施から8年。この制度はついに幕を下ろす方向が確定した。

=読者の皆さまへ=yji11ma1ge
昨年の4月1日の当欄で、寺田逸郎最高裁長官が死亡していたことを報じましたが、その後、寺田長官と酷似する人物が長官として執務をしているとの報道に接しました。影武者ダミーであるかどうか判然としませんが、裁判員いらないインコは引き続き真相究明に向けて鋭意調査いたします。新事実が明らかになった時はあらためてお知らせいたします。

投稿:2017年4月1日

キミの知性をどこに向けるか-中学生への手紙

                                      東京都 中学校社会科の元教員 山田 将

 読売新聞に掲載された投書について私が感じたことをお伝えしたい。きみへの返書のつもりである。投書のタイトルは「人生背負う裁判員の決断」。投稿したのは東京都練馬区にお住まいの田代健人君という15歳の中学生。内容は次のとおりだ。459686

「裁判で陪審員らが意見を決めることの難しさを描いた映画を、授業で見た。優勢な『有罪』側を最後は『無実』側が説得したのだが、現実はこううまくはいかないと思った。話し合っての満場一致は少なく、多数決が多い。有罪か無罪かを決断することは容易ではないであろう。
 裁判員制度で自分が決断する時がくるかもしれない。しっかり事実を見て真実へと判断できるのか。多数決で決まるかもしれない。でも、最後まで被告の人生を背負っているつもりで、考えられるようになりたい。」

 なかなかしっかりした中学生と感心した。「陪審員」という言葉を使っているから、きみたちは陪審員裁判の歴史的名作『評決』を見たのかもしれない。ちなみに、裁判員制度を宣伝する最高裁作成の映画は、教材資料として私の学校に何本も送られてきたが、優勢な「有罪」側を最後は「無実」側が説得するという仕立ての物はまったくなかった。陪審員物を教材に使った先生の考えはどこにあったのだろう。陪審制と裁判員制度の最大の違いは裁判員裁判には裁判官が3人も参加していることだ。有罪・無罪の判断が全面的に素人に任されていること、そして量刑の判断に陪審員が加わらないことが大きなポイントである。

  実際の評議を考えると、きみも想定しているように最後まで陪審員の意見が一つにまとまるのはとても難しいだろう。けれども、陪審員の評議を分析した専門家の研究を見ると、同調圧力がものすごく働いて異論を押さえるという。裁判員裁判にはプロの裁判官が3人も加わるのだから、裁判官の意見が結論を決める決定的な力になるのは目に見えている。裁判官を含む多数が有罪を主張し、無罪を言う裁判員が多数意見に押しつぶされる。きみ自身言うが、「有罪か無罪かを決断すること」は途方もなく難しい。721063

  裁判員制度で自分が決断する時がくるかもしれないと言う。きみは裁判所から呼び出されたら出頭するつもりなのだろうか。裁判員制度が今や風前の灯火の状態にあることをきみは知っているか。不出頭率は今年1月79.1%になり、無断で不出頭を決め込む人の率は39.1%に増えたという。

 東日本大震災・東電原発事故があり(2011年3月)、「急性ストレス障害になりたくないのなら引き受けなければよい」と言い放った福島地裁、仙台高裁、最高裁の一連の元裁判員敗訴判決があった(最高裁判決は16年10月)だ。今や、裁判員裁判は、人を裁き処罰したがるごく一部の人たちや日当を稼ぎたいと思う暇な人たちによって支えられている瀕死状態にあるのだ。

 政府・最高裁は、素人の感覚や感情でやれると宣伝したが、その一方、国民を裁判所に呼び出す目的はこの国の司法が長く適切に行われてきたことを教えることにあると言っていた。裁判所の判断は従来の裁判官の判断の枠を基本的に踏み外させないことにしたのだった。読売新聞だけではなく全メディアが飛び跳ねて喜び、大政翼賛会を彷彿させる応援団の勢いを背景に全国の学校に裁判員裁判の宣伝ポスターが配られ、私の中学校でも掲示板に、野球少年が裁判員になる日の決意を語るポスターが貼られた。宣伝映画のCDも最高裁からたくさん送られてきた。でも結果はこういうことだ。そのことをきみはどう考えるだろうか。597285

 起訴されていない画像投稿を起訴されたようにみなし殺人と合わせて有罪と認定し、懲役22年の判決を出した東京地裁立川支部の裁判員判決(三鷹女子高生殺害事件)は高裁で破棄され差し戻された。検察は2度目の裁判員裁判で画像投稿も起訴したが量刑は最初と同じ懲役22年だった。検察は控訴したが、2度目の高裁は2度目の裁判員裁判の結論でよいとした。裁判員裁判のでたらめと決着のでたらめだけが目立った。

 相次いで裁判員の判断が高裁で覆されているので紹介する。一つは通行人2人を刺殺した事件だ。殺人等の罪に問われた被告人について、大阪高裁は、「計画性が低く精神障害の影響も否定できない」と一審大阪地裁の死刑判決を破棄した(3月9日)。もう一つは小1の女児を殺害した事件だ。殺人等の罪に問われた被告人について、同じ大阪高裁の別の部だが、「生命軽視の姿勢を過大評価している」と一審神戸地裁の死刑判決をこれも破棄した(3月10日)。どちらの裁判員裁判も「公平の観点」の考慮に欠けると高裁に指摘されている。

 「公平の観点」の考慮に欠けるというのはどういう意味かきみは分かるだろうか。同じような事件についてこれまで裁判所が行ってきた量刑の判断とかけ離れた判断をしているということだ。「これまでの裁判所の量刑判断」と言われても裁判員には普通は分からない話だ。無理な相談と言った方がよい。実際には裁判長が判例一覧表のようなものを見せて、これが実例だと説明するらしいが、被告人の責任がそんなに簡単に比較できるはずもない。せいぜいで1人殺害なら多くは無期懲役、2人以上なら死刑が多いという程度だろう。

 そういうデータを見せられても、自分たちの考えで判断してよいと言われて裁判所に来た裁判員たちの中には、「私はこのように考える」と頑強に言う人もいよう。きみもきっとその口だろう。その勢いがよほど強ければ裁判官たちもそれで行こうと言うかもしれない。何しろ裁判員の受けが悪い裁判官は裁判所の世界ではダメ判事とされるらしい。それを高裁は高裁で「公平の観点」の考慮に欠けると言って打ち消す。「裁判官はつらいよ」の世界なのだ。

 裁判員は尊重されるのかされないのか。高裁・最高裁で裁判員裁判の結論が簡単にひっくり返されれば誰しも裁判員をやりたくなくなる。きみのように自分の責任でしっかり対応しようと決意する人は「いちやーめた」とおさらばする。処罰に異様な関心を寄せる人たちも高裁・最高裁に否定されて「なぁーんだ」と鼻白む。そういう話を聞いた市民たちは呼ばれても裁判所には行かないという気持ちをどんどん強める。日当を貰えれ何でもよいという人たちだけが裁判所に出かけて行く。裁判所は今ハローワーク裁判員だけが残る方向に向かっているのだ。

 理知的なきみには裁判員制度の現実がそんなものになっているということを知って貰いたい。そしてそのきみには、「一般市民に被告の人生を背負わさせる」この制度の存在理由をしっかりと考えて貰いたい。605326

 もう一度言う。裁判員制度は陪審制とはまるで違う。
きみの先生が陪審制の映画を生徒に見せたのはなぜだろう。裁判員制度もこれと似たようなものだという考えによるのだったら、先生の考えは間違っているというほかない。裁判員制度が陪審制とは違うということを考えるきっかけにしようという趣旨だったら、それは深い考えに基づくと言える。きみは私の文章を読んだら、明日学校で先生にそのことを聞いて確かめることをお勧めする。そこから本当の裁判員学習が始まるだろう。

投稿:2017年3月27日

三鷹女子高生殺人事件 4度目の判決の示すもの

0011774年前、東京・三鷹市で女子高校生が殺害され、元交際相手の男性が殺人や画像投稿いわゆるリベンジポルノに及んだとされた事件がありました。

hiyokosyoumen13年前に東京地裁立川支部で裁判員裁判の判決が出て、その後控訴審東京高裁の判決も出ました。

1-e1397901276348この事件については、以前も取り上げた(三鷹ストーカー高裁判決が示す制度の末路)。

001177今年2月、東京高裁で懲役22年の判決が出て、検察側も被告人側も上告しなかったので、これで裁判が確定したと報道されています。

hiyokosyoumen1元の裁判員裁判、その控訴審裁判、差し戻し裁判員裁判、そして今度4回目の控訴審裁判。どうしてこんなことになったのでしょうか。

001181この裁判、なんか怪しげな経過があったんじゃなかったでしたっけ。

20160418inkoマネージャーは怪しげなことはよく覚えているとみえる。

001178まね0インコさんに言われたくはありません。

hiyokosyoumen1最初の裁判員裁判では、罪に問われていなかった画像投稿を罪に問われているのと同視して懲役22年を言い渡したんですよね。

001177画像投稿が起訴されていれば有罪か無罪か、有罪なら責任の程度を判定しなければならなくなります。起訴されなかった時は有罪か否かを判定することはできないし、有罪と断定することももちろんできませんね。

hiyokosyoumen1この事件の裁判員裁判は、そんな原則はお構いなしに、「ひっでぇ奴だ、リベンジポルノまでしたんだってね」ってみんなでおしゃべりしたんですね。

1-e1397901276348おしゃべりしただけではない。裁判官が3人もいたというのに、判決の中でもリベンジポルノがあったと断定して、懲役22年と言い切ってしまった。

001177被告人側は当然控訴しました。

1-e1397901276348東京高裁はそりゃおかしいとして原判決を破棄、地裁に差し戻した。結果は裁判員裁判のやり直しだ。

hiyokosyoumen1元の裁判員裁判の裁判官たちは恥ずかしくないんでしょうか。自分たちのミスでおかしな判決を出し、審理が長引くことになったんですから。

1-e1397901276348ミスと気付かなかったかも知れないな。裁判官としての能力不足と重罰要求の裁判員への迎合が重なっていたのだろう。「まっ、いいか」ぐらいのいい加減裁判だったと思う。

hiyokosyoumen1再度の裁判員裁判ではどうすることになったんでしたっけ。

001177 画像投稿を外すとなると、刑は前よりも軽くしなければおかしいことになりますね。あれだけ騒がれたリベンジポルノ殺人事件の刑が、なんやかんや言ってるうちに元の判決より軽くなったというのはどうにもまずいでしょうけれど。

1-e1397901276348画像投稿を俎上に載せるのは忍びないと告訴を見送っていた女子高校生の遺族に検察は何とか協力してほしい、これでお嬢さんの恨みを果たしましょう、と申し入れた。

hiyoko2-1リアルですね。

1-e1397901276348ま、それ以外には有り得んという話だ。

001177 今度は間違いのない厳罰判決を出させようという一念で突っ走ったのでしょう。

1-e1397901276348はしょって言おう。やり直し裁判員判決の刑は前と同じ懲役22年だった。

hiyokosyoumen1起訴されてなくても22年、起訴されても22年。どっちでも結論は同じと。

1-e1397901276348今度はもっと重くしたら、元の裁判員裁判は間違いだったと宣言することになる。手続きミスを除けば前の判決で実質的に間違いはなかったというのなら前と同じ量刑にする。その後者を選んだのだろう。

hiyokosyoumen1でも、遺族にすれば良い面の皮ですよね。むりむり画像投稿を問題にして裁判を求めたのに、結果の量刑は同じということになると。

001177検察も被告人側もあらためて控訴しました。

20160517114検察とすれば、画像投稿を正式に問題にして有罪になったのに、量刑判断に全然反映しないのはおかしいという理屈だろう。一方、被告人側にすれば、画像投稿は元の裁判員裁判の時からしっかり議論されていて、織り込み済みの22年。これ以上重い判決を下す理由はないということだろう。

001177判決はやっぱり22年でした。

20160517114懲役22年は元々決まっていた。元の高裁判決は、手続きにミスがあったからやり直せと言ったのであって、量刑判断の問題は付け足しのようなものだった。リベンジポルノは起訴されていないのに、起訴されたのと事実上同視した一審判決に対しては、それはちょっとまずいと言わざるを得ない。でも内容そのものにとんでもない間違いがあるわけではないと考えた。それだけのことだ。

hiyokosyoumen1でも、そういう風に言われたら遺族は納得できないでしょう。

1-e1397901276348納得できない。告訴までしても結論が変わらなかったのだから。

hiyoko2-1この事件の審理から私たちは何を受け止めればよいのでしょうか。

1-e1397901276348元の一審裁判員裁判は、理屈もへったくれもなく重罰志向で突っ走る裁判員裁判のでたらめさを浮き彫りにした。

hiyokosyoumen1わかります。

1-e1397901276348その控訴審判決は、理屈抜きはまずいぞといった。

001177わかります。

1-e1397901276348追起訴させるという手続きをあらためてとらせたが、結論は前から出ていた。

001177やっぱり22年ですものね。

hiyoko2-12度目の裁判員裁判は、何のための裁判だったのでしょうか。

1-e1397901276348お飾り裁判さ。裁判官たちにとっては、裁判員たちは単に説得の対象。黙って従ってくれというお客様に過ぎない。

001181裁判員裁判の重罰暴走とお飾り性と。その2つが今回の裁判の結論ですか。

hiyokosyoumen1裁判員裁判にみんな振り回され、やれやれといいながら後始末に追われている感じですね。

1-e1397901276348そう、この事件ははしなくも裁判員制度の惨憺たる現状を示したと言ってよかろう。

hiyokowarai1私たちこそもうこの制度にリベンジしなければいけないということですか。

001178まね0推進勢力の七転八倒がすべてです。君まで、そんなに無理して語呂合わせをしなくてもよろしい。

hiyokoyoko1……。

 

投稿:2017年2月28日

裁判員制度に期待を込めた天皇の生前退位を正面から論じよう

  20160418inkoガンガガガーン、ガンガガガーン、ガンガガガンガンガン。お待ちかね!(だれが?) 天皇の生前退位の問題をこの際真っ正面から論じます。論じまするはインコめにござります(決まってるやろ)。なお、私は生来敬語が大嫌いですので、文中敬語は基本的に一切登場しません。敬語がお好きな方はご自身でお付け下さい。もとい、敬語が好きなら自分で付けろ。私は「おビール」なんて言いませんし、「ご公務」「お下血」なんて聞くだけで虫ずが走ります。

201600814 前置きはそのくらいにして始めて下さい。お聞きしていますから。

1-e1397901276348「聞いてますから」でよい。

201600814はいはい。

1-e1397901276348天皇と言われてまず思い浮かぶことはなんだね。ヒヨコ君。

hiyokosyoumen1年間250億円を国民に払わせて広大な土地に住む世襲超巨大地主。人間皆平等の世界に堂々と開き直る差別。にわか作りのあがめ奉り。反対論の徹底弾圧。常に戦争と結びつく。そんなところかな。

001176えっえっえっー。もう一度言ってごらん。

hiyokoyoko12度は言えません。

001178まね0何か読んでたでしょう、今。

hiyokosyoumen1いえ、私の思想です。

1-e1397901276348まぁよい。天皇に関する憲法上の規定を説明してくれるかね、ヒヨコ君。

hiyokosyoumen1はい、用意していました。まとまって出てくるのは、「第一章天皇」で、次のとおりです。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条  皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条  天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
   2  天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第五条 皇室典範 の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条  天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
   2  天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
   二  国会を召集すること。
   三  衆議院を解散すること。
   四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。
   五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
   六  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
   七  栄典を授与すること。
   八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
   九  外国の大使及び公使を接受すること。
   十  儀式を行ふこと。
第八条  皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

1-e1397901276348マスコミはよくわからん理由で、話の途中から「退位」と表現するようになったが、私は初めから使われていた「生前退位」で通す。だが、生前退位の話に入る前に「象徴」の話をきちんとしておいた方がよい。第1条の「天皇は日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」「この地位は主権の存する日本国民の総意に基く」。これは何を言っているのかね。

hiyokosyoumen1象徴はシンボルです。本来なら別の物を関連づけて示す記号。例えば裁判員制度反対運動の象徴ならインコ先輩ですし、平和の象徴なら「鳩」、タロットカードにおける「死のカード」は、死そのもののほか、破滅、損失、失敗、災難、危険、愛の終わりなどを象徴します。

001177「天皇」が「日本国」や「日本国民統合」の象徴というのは、「鳩」や「死のカード」のようには誰にも通じる「関連」じゃないですね。

20160517114そう、憲法制定時には、天皇制こそ戦争の原因だとして、天皇の戦争責任を明確にし天皇制を廃止せよという要求が強く存在した。一方、何としても天皇制を維持したいという旧勢力の欲求があり、この両者の間に激しいせめぎ合いがあった。その激突の中で生まれたのが「象徴天皇制」だ。これは憲法制定闘争の中で誕生した政治的で技巧的な妥協の産物なのさ。

001177 だから、「この地位は主権の存する日本国民の総意に基く」なんていう妙な言葉が登場するんですね。

1-e1397901276348主権者は天皇じゃなく国民だぞとわざわざ言い、その国民が総意をもって天皇を象徴にすることにしたという理屈を付け加えている。綱渡りのような際どい話だ。

hiyokosyoumen1「総意」はみんなの意思ということでしょうが、誰が「国民の総意として天皇を象徴にしよう」と言ったんですか。どうして私たちがその理屈の縛りを受けるのか。

001177「日本国民統合の象徴」というのもくせ者です。「統合」って何かナチスの響きを感じさせます。1つにまとまらされ、やらされたのがあの戦争だったんでしょ。

20160517114「天皇生前退位論」は、「戦争遂行天皇」の責任を免除させた流れを引き継ぎ、今度は「慰霊行脚と平和祈念天皇」礼賛を通して「象徴天皇制」を定着させる狙いで進められている。その不合理にまったく触れない議論の横行には強い違和感を持つ。

001177第1章の条文をすなおに読むと、天皇は国政に関する権能を一切持たず、やれるのはここに定める10項目の国事に関する行為のみということになりますね。

1-e1397901276348そう、天皇は政治行動・政治発言を厳に禁じられる。天皇の国事行為もすべて内閣の助言と承認が必要で、天皇が勝手な行為に及ぶことは何一つ許されない。そして天皇の国事行為についてはすべて内閣が責任を負う。

001177象徴はあくまでもシンボル、シンボルには一人歩きはさせないということですね。でもこれでは「かごの鳥」もいいところで、普通の人間には務まらなさそうです。

20160517114「象徴天皇」という特別な「かごの鳥人格」をムリムリ作ってそこに昭和天皇をはめ込んだ。もう少しのびのびさせてくれとか、最近ちょっと疲れてしまったとか、そんな話だって政治的な文脈の中で検討しなければならない。天皇は基本的人権の認められない特殊人間。「私も人間」と宣言してやっと人間になった「普通ではない人間」だ。

hiyokosyoumen1で、その天皇は、政治的行動を一切していないのですか。

1-e1397901276348いやいや、そうではない。そこが大問題なのだ。昭和天皇も現天皇も政府が推し進める政策については、大胆な政治的発言に及び、驚くほど政治的な行動をとっている。そしてマスコミは菊のタブーとしてそれを非難しない。異様な翼賛態勢を敷いているのだ。

001177「かごの鳥」も時の権力の意向次第ではかごを飛び出し、大きく羽を広げると。

1-e1397901276348政府は天皇が政治的行為をしないという決まりを逆に巧妙に利用している。天皇を絡めることでそのもくろみが非政治的なテーマであるかのように見せかけられる。時の政権はさまざまな機会にそういう欺瞞の構図を描いてきた。もっとあっけらかんとした「丸出し政治的行為」もあるがね。

hiyokosyoumen1例えばどんなことがあったのですか。

1-e1397901276348広く知られることになったのは、昭和天皇が憲法施行4か月後の1949年9月に米国の沖縄軍事占領に関し、「米国による琉球諸島の軍事占領継続を望む」という見解をまとめ、GHQのマッカーサー司令官に送った「天皇メッセージ」だ。その存在は30年間秘匿され、1979年ようやく発見された。メッセージの中で天皇は、「米国の沖縄占領は日米双方の利益にかない、共産主義勢力の影響を懸念する国民の賛同も得られる」と、単刀直入に政治的な見識を述べている。

hiyokosyoumen1憲法施行後4か月で天皇はもうそんなこと言ってたんですか。言った天皇も言うことを許した政府もとんでもない違憲の行動ではないですか。

1-e1397901276348「沖縄切り捨て」の先頭に天皇が立ったという批判的評価がもっぱらだ。批判は当たらないなどと反論する者もいるが、この天皇発言が高高度の政治的発言であることに反論の余地はなかろう。

001177政治学者の豊下楢彦さんの『昭和天皇の戦後日本』によれば、1951年、天皇は、吉田首相に米国と講和条約や安保条約を締結することを強く求め、締結後にはマッカーサーの後任リッジウェイに、「有史以来の公正寛大な条約」「安保条約の成立は日本の防衛上慶賀すべきこと」と絶賛したそうですね。

hiyokosyoumen1現天皇も、「昭和天皇は在位60有余年、ひたすら世界の平和と国民の幸福を祈念され、つねに国民と共に幾多の困難を乗り越え、我が国は国民生活の安定と反映を実現し、平和国家として国際社会に名誉ある地位を占めるに至った」と述べていますね(1989年1月)

001177そう言えば、現天皇は、イラク派兵自衛隊員約180人を皇居・宮殿に呼んで「国際的な協力に参加し力を尽くしてこられたことを、まことにご苦労に思います」とねぎらい(06年12月)、自衛隊の派兵で複数の日本人が人質になっていた状況下で、「自衛隊は(イラクで)給水、学校の復旧、医療など地元の人々のための作業を通じて復興を支援するために派遣されたものです」などと述べています(07年2月チェイニー米副大統領に)。

hiyokosyoumen1平和祈念天皇とか護憲天皇なんていう言葉も聞きますが。

001177誰がそんなことを言うのでしょうか。うさんくさい話ですね。

20160517114現天皇の特徴的行動とされる慰霊の旅とか遠隔島嶼への旅についても、これは憲法上は何なのかという問題がある。天皇が各地に赴くのを旧憲法下では「御幸」とか「行幸」と言った。しかし国事行為には「各地巡り」などというものはない。個人的に外出しているだけではない証拠に、宮内庁と警察庁が全面的に仕切り、近づく可能性のある人間は検便まで行われるという仰々しい催しになっている。

001181「象徴という地位に基づく公的行為」という説明も行われているのでは。

1-e1397901276348憲法には「象徴」の規定はあるが、「象徴としての行為」はない。象徴は単なるシンボルで、「シンボルとしての行為」などあり得ない。慰霊に行くのも被災地に行くのも植樹祭に行くのも自分で決める。その決定を助言するのは政府・宮内庁。つまり「象徴としての行為」には憲法上の根拠は何もなく、すべて政府が仕掛けているのだ。

001181「象徴としての行為」論に対する批判はあまり聞きませんね。学者・研究者はどうして強い批判をしないのでしょうか。

1-e1397901276348中途半端な学者・研究者たちの限界だ。そこまでは仕方がないというような妥協論にほとんどの人たちがむしばまれている。皇室記事で食っている連中を笑うことはとてもできない。

001181そう言えば、いまあちこちで交わされているもっともらしい天皇論を批判する学者・研究者たちも、その多くは「お気持ちはわからないではないが」なんて前置き付きで言う感じがあって、気持ちがよくないですね。なんではっきり批判しないのかと。

hiyokosyoumen1突然思い出しました。裁判員制度に反対する人たちから激しく糾弾された天皇発言がありましたね。

001177忘れようもありません。裁判員制度が悪評不評のうちに始まった2009年の12月でした。天皇が恒例の誕生日前の「感想文」で明らかにした裁判員制度に関する言葉です。

hiyokosyoumen1ボクも驚きました。こんなこと言っちゃっていいのかなと。

001177天皇はこの日の感想の2割近くを裁判員制度に割きましたね。その内容は「昭和初期には短期間、陪審制度があったということを、戦後間もないころ穂積東宮大夫のちの最高裁判事から聞いた。陪審制度は日本になじまなかったということだったが、裁判員制度は陪審制度とは異なり、裁判官と一般の人が共に裁判に参加する制度だ。今後の様子を期待を込めて見守りたい」というようなものでした。

20160517114「感想文」は天皇の個人的な考えを表明したものではない。最高裁・宮内庁・官邸が詳細に打ち合わせて天皇に「助言」してできあがるものだ。ふつう、「誕生日の感想」と言えば、大きな災害で心を痛めたとか、家族の慶事がうれしかったとか、当たり障りのない話に終始するのが常識だ。それが国民の多くに反発され暗礁に乗り上げた裁判員制度について、敢えて「今後の様子を期待を込めて見守りたい」などと言ったのだ。

001181国民の大半からノーを突きつけられた国策について、何としても貫徹するぞと言わんばかりに登場させたということは、とりもなおさず天皇を政治的に利用する行為だという訳ですね。

1-e1397901276348苦しいときの神頼みではないが、裁判員制度の危機を天皇によって切り返そうとしたが神風は吹かなかった。制度はその後も息を吹き返すことなく、つまり死滅の過程にある。

001177天皇の政治的行為や政治利用のことは分かってきました。では、そろそろ「生前退位」の話に進みましょうか。

1-e1397901276348そうしよう。

001177要点をまとめます。昨年7月13日以来「生前退位」をめぐる「リーク」報道や、肯定否定のいかがわしげなニュースが飛びかった後に、8月8日、天皇は11分ほどかけて、「象徴としてのお務めについての天皇陛下お言葉」を表明しました。それは「平成の玉音放送」とも言われるビデオメッセージでした。

hiyokosyoumen1あのー、基本的な疑問ですが、自分で自分の行為を「お務め」と言い、自分の言葉を「お言葉」と言うのはどうしてなんですかね。

001177官邸や宮内庁などが鳩首協議してまとめ、タイトルもそうやって作ったからでしょ。だいたい侍従長は4代にわたって官僚出身者が占めています。

hiyokosyoumen1そう言えば、「お言葉」の2か月も前に、アベ首相の命令で杉田官房副長官を責任者とする「皇室典範改正準備室」もスタートしていました。

001177その結果生まれた「お言葉」のタイトルに、忝(かたじけ)なくも畏(かしこ)くもこのような敬語表現を献上してしまうのは当たり前のようなもの。正真正銘の「自分の発言」ならタイトルは「象徴としての務めについての私の所見」でしょう。頭隠して尻隠さず。メッセージの本当の発信主体をはしなくも暴露したっていうことですね。

hiyokosyoumen1 内容の要点は次のとおりです。「現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、個人として考えてきた」「象徴天皇の望ましい在り方を模索し、伝統を現代に生かし人々の期待に応える皇室を考えてきた」「しかし、次第に進む身体の衰えを考え、全身全霊象徴の務めを果たしていけなくなることを案じる」「国民には天皇という象徴の立場への理解を求め、自らは常に国民と共にあるとの自覚を育ててきたが、各地を回って国民を思い国民のために祈るという務めをなし得た」「国事行為や象徴としての行為を縮小することには無理があり、摂政を置いても天皇は務めを果たせぬまま死ぬことに変わりはない」「天皇が死亡したときの葬儀関連行事は大変なものだ」「どのような時にも皇室が国民と共にあり相携えてこの国の未来を築いていけるよう、また象徴天皇の務めが途切れず安定的に続くよう国民の理解を切望する」。

001177「具体的に制度に触れるとは控えながら」なんてわざわざ言っているということは、つまりこの発言が政治的発言と見られるのを自覚しているのですね。

1-e1397901276348自覚しているのは天皇自身と官邸だ。

hiyokosyoumen1アベ首相はさっそく「重く受け止める。天皇陛下のご心労に思いを致し、できることをしっかり考えてゆく」などと語りました。

001181官邸の自作自演ではないですか。さっそく有識者会議が設置され、来春つまり今年の通常国会での法整備が方針化され、皇室典範改正だの1代限りの特例法だの制度・仕組みの議論が一気に進むことになります。まぁ準備のおよろしいことって感じです。

1-e1397901276348周到な準備を隠せば隠すほど、天皇の自発的独演会風になり、「天皇さまお疲れ、おかわいそう」という気分が醸し出される。いかにも聞き役を装ったアベ首相のわざとらしい物言いで、すべてをごまかしたという感じだな。

hiyokosyoumen1というのは。

HP201642221民主主義・基本的人権擁護・恒久平和主義という現行憲法の3原理に根底から抵触する天皇制について、平成天皇の死亡と一緒に終わりにするのか、それともこの妥協の産物を今後も続けるのかという、憲法制定時以来の大宿題について徹底的に議論を尽くすのが現下の基本的な課題のはずだ。

001177この「お言葉」はその議論だけはやめてくれって言ってるのでは。最後のくだりなんて、それ以外に読みようがありません。

hiyokosyoumen1「国民には天皇という象徴の立場への理解を求め」なんていうのも天皇が自分から言うのはとんでもない越権だろうと思います。

001177公的行為は10個しかなく、象徴としての行為というものは存在しない、それが天皇の行動に関する憲法の規定ですよね。

hiyokosyoumen1ビデオメッセージには「伝統を現代に生かし」なんていう言葉も出てきますが、憲法は伝統の継承などという仕事を天皇に課してなどいないのに、そんなことを自身が言う、天皇に言わせるのもおかしいと思います。

1-e1397901276348政権が一番恐れているのは、その議論の中から天皇制なんかいらないという声が広がることだ。天皇頼みをしなければならない切迫した諸状況があるということが政権の緊張した動きから逆に読み取れる。

001177あらためて天皇制を中心に押し出そうという改憲策動でしょうか。

hiyokosyoumen1皇室典範は、天皇が死んだ時にこれを継ぐことに決まっている者が直ちに天皇になると明記していて、天皇が死なない限り皇位の継承はないんですよね。

001177皇室典範には「生前退位」の規定はありません。それを認めろというのは典範の改正や新法の制定を政府や国会に求めるもので、それだけでも立派な政治的行為です。

001177摂政はだめだというのも政治的発言でしょう。

hiyokosyoumen1自分で仕事を増やしておいて、年とってそんなに働けないから辞めると言うのはおかしいという意見もありますね。天皇の年を考えずに使いまくっている政府の責任だという意見もあるようです。

001177生物(なまもの)を象徴にしちゃったんだから経年劣化は自然必然の理、段々動きが鈍くなり静かに消えて行くのが基本のコースでしょう。もともと基本的人権が保障されている人の話ではないのですから、「かわいそう」とか「かわいそうではない」とかいうような議論は本来登場する余地がないはずですが。

hiyokosyoumen1強いて言えば、「かわいそう」だというのは、こんな異様な身分に就いたことについて言う言葉でしょうね。

1-e1397901276348はっきり言えることは、この天皇の発言は紛れもなく「天皇制存続と強化を志向する政治的発言」だということだ。「お気持ちはよく理解できる」という発言が相次いでいるなんて報じられているが、ヘンな話だ。共産党の志位委員長までがそう言っているのには仰天したな。この党は天皇制をどう評価しているのか。現憲法の下で天皇がとっているパフォーマンスや政府の天皇利用の実情を正確に論じないで憲法や天皇制を論じることはできない。この人には憲法を語る資格も改憲を批判する資格もなさそうだ。

001177天皇の意向を踏まえて議論・討論を組織するということ自体がおかしいですよね。

hiyokosyoumen1 国会の開会式に天皇の言葉を謹聴することにした政党です。こうなりゃもう何でもありなんでは。

001177『東京新聞』は、社説に「未来につながる天皇制」という見出しを付け、「世界に類がない歴史。天皇制永続のための改革にも踏み込め」と書いています(16年8月9日)。あちらヘンならこちらもヘンですかね。

hiyokosyoumen1ところで、この問題は「静かな環境」で話を進めたいというような言い方がされているようですが…。

1-e1397901276348 その言い方ほどおかしいものはない。芭蕉の「岩にしみいる」じゃあるまいし、どうしてわざわざ「静かさ」が求められるのか。

hiyokosyoumen1大議論になると何が不都合なのでしょう。

20160517114象徴天皇制の是非や天皇制の是非の問題に必ず話が進んでしまうからさ。そのことがわかっているから、静かに静かに天皇制や象徴天皇制を固めてしまいたい。その一念に発しているのだ。

hiyokosyoumen1ということは、この議論の行く末に政府は心配や懸念を感じているということですか。

1-e1397901276348もちろんだ。考えてごらん、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら触れる(何のこっちゃ)。国民には天皇という象徴の立場への理解を求めてきた。疲れてきたから退位したい。摂政を置いても解決しない。象徴天皇の務めが途切れず安定的に続くよう国民の理解を切望するって。天皇が言っていることは政治的言動以外の何ものでもないのだ。マッカーサーだって吉田茂だって、生きていたら驚いて死んでしまうくらいの話さ。

001181このまま話をすんなり進めるのは大変だという思いでいっぱいなのかしら。

1-e1397901276348 少なくともそのことをひどく恐れているのは確かだ。議論らしい議論は封殺して、それこそ物音も立てずに天皇制をがっちり固めてしまいたい。

hiyokosyoumen1 「1代限り」論が盛んです。

1-e1397901276348 今、安倍政権は皇室典範には手を付けずにそこに着地させようとしている。もっとも困ったことに「世論」は典範を変え、すべての天皇が生前退位できるようにしようと言ってるというので、てんやわんやさ。

001177衆参両院議長だの各政党の領袖などが集まってひそひそ議論をしているが、これほど怪しい風景はないですよね。憲法第1章の決まりをひっくり返すような話を国民に隠れてひそひそ進めることがどうして好ましい話になるのでしょうか。

1-e1397901276348ま、これからだ。この話をみんなで真剣に考えるようにしないと。

001177裁判員制度を議論するくらいの気分で、これでいいのか天皇制って議論したいものですね。

hiyokoyoko1今日はいつにもまして長い話でしたね。ボクにはちょっと背伸び感ありって感じでしたが…。

20160418inkoうん、たまにはよいことだよ。勉強、勉強ってね。。

  

 

投稿:2017年2月21日

「人を裁く怖さ感じた」裁判員の感想の正しい読み方

001177 1月18日、ブロック紙『河北新報』が「〈裁判員裁判〉経験者『人を裁く怖さ感じた』」というタイトルで、裁判員裁判の現在を報道する記事を出しました。

 hiyokosyoumen1 久しぶりですね。それにしてもこの経験者は裁判員をやるまでは、「人を裁く怖さ」なんて考えもしなかったんでしょうか。

 1-e1397901276348 いろいろ意見はあろうが、まずはその記事とやらを拝見しようじゃないか。

 001177 次の記事ですね。

 裁判官、検察官、弁護士の法曹三者と裁判員裁判の経験者3人が17日、仙台地裁で裁判員裁判の在り方を巡り意見交換した。制度の改善点を探るのが狙いで、同地裁が主催した。
強姦(ごうかん)致傷事件で裁判員を務めた男性(69)は「裁判員になって初めて責任の重さや人を裁くことの怖さを感じた」と語った。同じ事件に参加した女性教員(57)は「被告を加害者と言い換えれば、若い裁判員も理解しやすいのではないか」と提案した。
「被告に質問しても『分かりません』と繰り返すばかりだった」。殺人事件で裁判員を経験した女性(53)はこう振り返り、素人による証拠調べの難しさを指摘した。
仙台弁護士会の松倉健介弁護士は「正確さと分かりやすさの両立は難しいが、平易な言葉でゆっくり話すことの重要性を学んだ」と語った。

HP201642221うーむ、うーむ。こりゃ議論しなければならないことがてんこ盛りだな。

 001177 まだ材料があります。この記事の10日後の1月28日の同紙に投書が載りました。裁判員経験者と裁判員制度に対する批判ですね。

 20160418inko それはおもしろい。で、なんと。

 001177 次のように言っています。「元裁判員発言 危うさ示す」というタイトルの投書です。投書者は石川雅之さんという仙台市の行政書士さん(55歳)。

      18日の本紙朝刊宮城版に載った記事「裁判員経験者『人を裁く怖さ感じた』」        を読み、以前から持っていた裁判員制度への疑問がますます大きくなりました。
記事
に、裁判員を務めた57歳の女性が、「被告を加害者と言い換えれば、若い裁判員も理解しやすいのではないか」と提案したと書かれていたからです。
被告人イコール加害者ではありません。裁判で有罪が確定するまでは何人も無罪と推定されることは、刑事裁判の鉄則です。そもそも、被告人が本当に犯罪を行ったのかどうかを審理するのが裁判ではありませんか。
にもかかわらず、被告人を最初から加害者呼ばわりするのであれば、裁判の意味がなくなるばかりか、宮城県で起きた松山事件のような冤罪をこれまで以上に生み出しかねません。
裁判員を実際に経験した人がこのような発言をするということに、素人が裁判に関わる危うさが端的に示されていると思います。
裁判員制度は「市民感覚を裁判に反映させる」として始まりましたが、これでは法への無知と無理解を裁判に反映させてしまうのではないでしょうか。この制度は見直すべきだと私は考えます。

HP201642221 うーむ、うーむ。

 001177まだ続きがあります。1月30日、同じ仙台市にお住まいの三浦あやのさん(会社員)から、当欄に投稿がありました。

 1月18日付け『河北新報』に「〈裁判員裁判〉経験者『人を裁く怖さ感じた』という記事が掲載されました。裁判員経験者が言ったことは、
・裁判員になって初めて責任の重さや人を裁く怖さを感じた(69歳男性)
・被害者を加害者と言い換えれば、若い裁判員も理解しやすいのではないか(57歳女性教員)
・被告人に質問しても「分かりません」と繰り返すばかりだった(53歳女性)
 何か言わねばと思っていたところ、1月28日、同紙の投稿欄「声の交差点」に「元裁判員発言 危うさ示す」という投稿がありました。まさに私が思っていたことです。
 投稿された方は、57歳女性の発言を問題視されています。要約すると、「被告人イコール加害者ではない。被告人を最初から加害者呼ばわりするのであれば、裁判の意味がなくなるばかりか、宮城県で起きた松山事件のような冤罪をこれまで以上に生み出しかねない。裁判員を実際に経験した人がこのような発言をすることに、素人が裁判に関わる危うさが端的に示されている」
 これまでインコさんも「無罪推定を知らない人が裁判をやっている」と指摘されていましたが、やはり、改めて大きな問題だと思います。この方が言われる「裁判の意味がなさないばかりか冤罪の可能性もある」という指摘に大賛成ですが、ただ1つ、賛成できないところがあります。それは、最後に「この制度は見直すべきだ」と書かれていたところです。見直しではなく「この制度は廃止すべきだ」です。でも、そう書けば、掲載されなかったかも知れません。

HP201642221うーむ、うーむ、うーむ。

 hiyokowarai1 ボクは三浦さんの意見に全面的に賛成します。

 001177 「裁判官、検察官、弁護士の法曹三者と裁判員裁判の経験者3人が裁判員裁判の在り方を巡り意見交換した」と言うのですが、経験者はたった3人しか出席しなかったというのがまず大きな驚きです。仙台地裁では去年1月~11月に13件の裁判員裁判の判決が言い渡されています。1件に8人の裁判員と補充裁判員がついたとして104人が経験者になった計算です。それだけ対象者がいるのに、どうしてこれしか集まらないのか。「良い経験をした人たちの同窓会」として盛り上がらないのか。そこから議論をすべきでしょう。

 hiyokosyoumen1 裁判官と検察官と弁護士が何人出席したのかわかりませんが、難しい顔した法律家たちに問い詰められる3人の市民という図ですね。か・わ・い・そ。

 20160201 意見交換会は全国の地裁・地検・弁護士会で行われているのだが、どこもかしこも元気の良い集まりにはなっていないようだな。

001177 石川さんが批判された57歳の女性教員は裁判員裁判が十分理解されていない現状を指摘し、69歳の男性は責任の重さや人を裁くことの怖さを感じ、53歳の女性は素人による証拠調べの難しさを述べたというのですから、3人に共通するのは「言葉にならない深刻な思い」ですよね。良い経験をさせてもらったという喜びの言葉はどこにもない。

 1-e1397901276348 ここに裁判員経験者のホンネがにじみ出ている。裁判所がいくら意見交換会に参加してくれと呼びかけても出て行かないのはそういう感想を持っているからなのだ。

 hiyokosyoumen1 「被告を加害者と言い換えれば、若い裁判員も理解しやすいのでは」という発言はどうですか。

 001177これはいろんな角度から論じられそうですね。

 1-e1397901276348 この女性教員は、「被告を加害者と言い換えないと事件を理解することが難しい」と言ってる訳だが、被告人を悪いことをした者と考えないと事件を理解することが難しいというのはまことにそのとおりなのだ。さすがは先生だけのことはある。

 001178まね0 さすがは先生って、インコさんらしい皮肉…

 hiyokosyoumen1 「事件の理解は容易ではない」というのは?

 1-e1397901276348 被疑者や被告人には憲法や刑事訴訟法でさまざまな権利が認められている。言いたくないことは何も言わないでよいという黙秘権が保障されている。有罪判決が下る瞬間まで被告人は無罪であるという前提で対応しなければならないという無罪推定の原則もある。これは被告人が自身の刑事責任を認めている場合でも守らねばならない大原則だ。どんな悪者であろうと処断する際に権力はルール違反を犯してはならないという法定手続きの保障という憲法上の権利もある。

 hiyokosyoumen1 悪い奴は徹底的に取り締まるだけだと考えている人たちには、わかりにくい話ばかりですよね。

 1-e1397901276348 事件の真実というのはそもそも極めてわかりにくいものだ。真相解明の過程で人権侵害を犯してはならないというルールも市民の中にはよく分からないという人もいよう。人を犯罪人と断罪するにはたくさんのハードルを乗り越えることが求められている。「本当は難しい刑事事件」を指摘したところまではこの教員の言説は正しいが、その決着を被告人=加害者と言い切ればよいという結論に持って行ったところで完全におかしくなった。そこを石川さんは鋭く突いている。

 001177  被告人を加害者=悪者と断定する立場に立とうということは、刑事捜査や刑事裁判をめぐる最も基本的で大切だけれども一見わかりにくい原則をこの際全部うっちゃってしまえということですから、これは教員らしくもない暴論ですね。

 1-e1397901276348 危ない危ない。このような考え方の行く先には冤罪事件がひしめき、被告人の弁解に耳を傾けない空気が一気に広まるだろう。

 001177 この教員以外の裁判員経験者たちは、責任の重さや人を裁くことの怖さを感じたり、素人による証拠調べの難しさを述べたりしているので、悩みや苦悶の渦中にいまだにいることを告白しているように読めます。この皆さんは「もう裁判員はやりたくない」とおっしゃっているんでしょうね。

 HP201642221 意見交換会の場でどういう言い方をしたかはわからないが、ホンネで言えばそうに違いない。

 001177「もう1度やりたいか」という質問はタブーになっていのかも知れませんね。でも、この女性教員の「見方を変えよう論」にはルーツがあるように思います。裁判員制度が始まる時期に、最高裁長官や検事総長や日弁連会長たちが、刑事裁判は簡単にできる、難しいことは何もないとそろい踏みして言い募りました。見方を変えれば難しいことは何もなくなり、すべては簡単になる。

 1-e1397901276348そのとおりだ。この女性教員は、最高裁長官たちが吹聴した「刑事裁判簡単論」を正直に受け止めた口かも知れん。刑事責任に関して小難しい理屈はいらないと言い切った最悪の下手人は最高裁長官や検事総長や日弁連会長たちだということだけは、きちんと押さえておきたいな。

hiyokosyoumen1 ところで、この女性は「被告を加害者と言い換えれば、若い裁判員も理解しやすいのではないか」と提案したということですが、「若い裁判員」と特に言ったのは、裁判員になる人たちが中高年に集中しているためでしょうか。この意見交換会に出席した人たちも50代2人と60代1人というのだから、失礼ながら決してお若いとは言えないし。

001181  さてどうでしょう。最高裁事務総局が2012年12月に発表した「裁判員裁判の実施状況の検証報告書」では、裁判員の年齢分布は基本的に国勢調査の人口比とよく合致している、つまり世代的には均等に分布していて、どこかの年齢層に偏っていることはないという評価でした。

 1-e1397901276348 そんなデータはわからんぞ。状況を正確に知るには、裁判員や補充裁判員に選ばれる前の出頭候補者の年齢層を見なければならない。選任期日には裁判長や検察官や弁護人の考え方が選任の過程に反映する。若い裁判員を選びたいと思えば若い者が選ばれる可能性が高まる。応じて出頭した若い候補者が少なければ選ばれる確率は高くなる可能性がある。裁判員裁判への世代的な距離関係、つまり厭うか厭わないかを知ろうとすれば、出頭段階での年齢分布をみる必要があるのだ。

 001177 最高裁は「出頭候補者の年齢分布」を発表していません。

 hiyokosyoumen1 当然調べているはずですよね。

  1-e1397901276348もちろんだ。若い人たちの出頭率が高まっていれば、誰から聞かれなくても、いそいそと自分から発表するだろうよ。

001177 それだけではなく、最高裁は、2012年以来4年間以上も経つのに、実施状況の検証の続報を出していません。この間裁判員の出頭率はどんどん落ち、審理は長期化し、調べをする証人の数も増えている。その状況が明らかになるのを恐れているのでしょうか。

 20160418inko裁判員法が報告を義務づけているのだから、いずれ発表しなければならないことは明らかだ。どう弁明、釈明するのかに腐心しているのだろう。

 001177 そこにこんな現場の声や投書が報道されると、最高裁としてはにっちもさっちもいかないところにまた追い込まれるのでしょう。

 hiyokosyoumen1 仙台弁護士会の松倉健介弁護士は「正確さと分かりやすさの両立は難しいが、平易な言葉でゆっくり話すことの重要性を学んだ」と語ったそうですが。

 20160517114 なんという素っ頓狂というか調子っぱずれの応答なのか。ご本人が付け足し程度に言った話を河北の記者が針小棒大にまとめたのかもしれないが、記事チェックの機会がなかったとは思えない。裁判員裁判の問題性をめぐる論点は「正確さと分かりやすさの両立」でも「平易な言葉でゆっくり話すことの重要性」でもない。

 001177 このような制度がこのまま続いてもよいのかという基本的な問題にこの弁護士さんが正面から答えていないということですね。

1-e1397901276348もう1つ私の意見を言いたい。制度の見直しを言う石川さんの意見に三浦さんが反対しているところだ。

 hiyokosyoumen1 そうそう、そこですよそこ、ボクが気になったのは。

 1-e1397901276348 インコは石川さんは「制度廃止」と明言されたのに、編集者からそこは「見直し」にして貰えないかと言われ、この投書が掲載されることを重視して、石川さんは妥協されたのではないかと思う。

 hiyokosyoumen1 そんなことがあるのですか。

 1-e1397901276348 おおあり名古屋の金のしゃちほこだ。私の疑惑が邪推だというのなら、『河北』の編集者は私の指摘は間違いだとはっきり言ってほしい。私は頭を丸めてお詫びする。

 hiyoko2-1……。

 1-e1397901276348さて、1つ提案をしたい。全国の地裁のホームページが裁判員経験者の意見交換の要旨を掲出している。私はこの報告は実際の議論を正確に再現していないのではないか、種々手が加えられているのではないかという疑問を強く持っているのだが、それにしてもこれは経験者の言葉が漏れ伝わってくる貴重な情報資料だと思っている。

 001181 確かにそうかも知れませんが、で、提案の内容は。

 1-e1397901276348 皆さんのご当地の意見交換会の実情に目を向け、元裁判員たちの言葉とホンネを探る作業に協力していただきたいということだ。それは深い猜疑心と見抜く力を持っていればやりきれる。

 001177岐阜地裁で行われた意見交換会では、「あなたは裁判員に裁かれたいか」と聞かれ、出席した6人の元裁判員たちのうち5人が裁判員に裁かれたくないと答えたことが報道されましたね。

 hiyokowarai1 わかりました。私もその分析報告を楽しみに待ちます。ところで、先輩は今日はすごくまじめ路線でお話をまとめられましたね。

 20160418inkoいやいやこれが私の本来の姿。自分で言うのは何だが、まぁそんなところだ。

 201600814 うぅうーん

615801

投稿:2017年2月5日

インコ新年のごあいさつ

あけましておめでとうございます。
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

今年は酉年。またの名をインコ年と申します。株相場では「申酉騒ぐ」との格言があり、株が乱高下するようですが、裁判員制度でも「制度を廃止しろ」と申酉も騒いでおります。しかし、出頭率と拒否率は乱高下することなく、順調に下がる一方でございます。最高裁が発表した制度開始から昨年(2016年)10月末現在の出頭率の表をここに掲載致します。

%e8%a1%a8なぜ、昨年10月末かと申しますと、最高裁がちゃっちゃと発表しないからです。1月中旬に11月末現在、おそらく2016年の最終統計は2月中旬か下旬になるものと思われます。それはさておき、制度始まった年の出頭率リ上(選任手続期日に出頭した裁判員候補者数/選定された裁判員候補者数)は40.3%、昨年10月末は24.3%、出頭率リ下(選任手続期日に出頭した裁判員候補者数/選任手続期日に出席を求められた裁判員候補者数)は83.9%から65.4%に下落しております。

ただし、ここに来て下落率が若干、鈍ってきた感もありますが、どちらにしても昨年を下回ることは間違いなく、回復はしないでしょう。この24.3%の人たちの中にも「拒否するために出てきた」という人がいますので、制度は2割弱の人(日当がほしい人、お上の御用が嬉しい人とお上に逆らえない人)に支えられているということです。昨年のトピックスのおおとり川村理弁護士の「投稿ージャカルタ事件と裁判員裁判」にあるとおり、様々な問題が噴出しております。

刑事裁判がこのような状況で良いはずがありません。インコはこの天下の悪法を今年こそ廃止するため頑張る所存で、ここに改めて信念のごあいさつを申し上げます。

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柚木ミサトさんが描いてくださいました。柚木さんのブログはこちらhttp://www.yugi.jp/

 

投稿:2017年1月1日

投稿ージャカルタ事件と裁判員裁判

弁護士 川村 理

 私は、2016年9月21日から11月24日にかけて、通称「ジャカルタ事件」の裁判員裁判を担当した(第1審の主任弁護人)。

 もともと私は、裁判員制度反対論であり、裁判員裁判を積極的に担うことを予定していなかったが、果たしてこれを担当してみると、予想どおり、裁判員裁判は、被告人・弁護人の防御権を大きく後退させ、裁判員の都合ばかりを優先させるとんでもない代物だった。

 私の担当した事件は、いわゆる公安事件であり、罪名は、殺人未遂罪と偽造有印公文書行使罪であった。ちなみに、その事件の発生は1986年5月という今から約30年前である。被告人は、事件につき無実であると主張したが、検察官は懲役15年を求刑し、判決は懲役12年の有罪実刑判決であった。

 以下、この裁判の幾多の問題点の中から、特に裁判員裁判特有のおかしさを中心に、私が経験した事実のうち、公表して差し支えない部分を報告しておきたい。113106

<公判前整理手続き>
本件の公判請求(起訴)は、2015年の3月13日(殺人未遂)と同年4月3日(虚偽公文書偽造)の2回に分けて行われた。

 前者の起訴罪名は裁判員対象事件であったため、本件は、公判請求後直ちに公判前整理手続きに付された。裁判員対象事件である以上、現行法上、この手続きを回避することはできない。

 その後の公判前整理手続きは、2015年10月23日から2016年9月1日まで、合計15回実施された(被告人はいずれも出頭)。また、それ以外の法曹三者による進行協議期日は、合計13回行われた。

 公判前整理手続きと言えば、それにより証拠開示の範囲が拡大されるから、被告弁護側に有利な面が多いと指摘する制度推進派の弁護士がいる。

 しかしながら、自身の体験に基づけば、かかる評価は間違いである。
本件においては、検察官の請求証拠、開示証拠は併せて約900点程あり、確かに大量の証拠が開示されたため、コピーに要する費用や手間が大変なほどであった。しかしながら、これら大量の開示証拠のうち、弁護側の立証として実際に活用できるものはごくごく僅かなものでしかなかった。

 また、これら大量の開示証拠も、一度に全部が開示となるのではなく、極めて五月雨式に、そろりそろりと開示されるのであり、この点では従来の検察の手口にはなんら変わりがなかった。このような証拠開示制度を積極的に評価することはとてもできない。

 さて、従来、本件のような公安事件においては、「大衆的裁判闘争」という言葉もあるように、弁護団、被告人の闘いを傍聴人(支援者)が支援し、裁判の現状を広く社会にも訴えることにより、「主戦場を法廷の外」におき、社会に裁判の不当性を訴える中でその勝機を探っていくという手法が一般的であった。

 しかしながら、公判前整理手続きは、それが非公開であるから、この種の戦術に持ち込むことが非常に困難となる。傍聴席に誰もいない静かな法廷に、被告人・弁護人は時に孤立感すらを感じたものだ。なお、本件において、弁護人は公判前整理手続きの公開を裁判所に対し求めたこともあったが、全く歯牙にもかけられなかった。

 また、公判前整理手続きにおいては、被告人の主張や立証を公判開始前に明示する必要があり、それを行わない限り、後の弁護側の立証には制限を受けることになる。ことに本件の場合、被告人は事件当時は他国にいたというアリバイの主張をしたため、ある程度の主張の事前明示が避けられず、このような現状は、そもそも被告の黙秘権行使との関係で大いに疑問がある。さらに、弁護人は、被告人のアリバイを示すための証人も用意したが、この証人の証言内容についても、公判前に概要を明らかにせよとの制度まで存在する。

 つまり公判前整理手続きの現実は、公判前に被告・弁護側の主張立証を裸にして検察官の前に晒すことなのである。検察・警察は、豊富な人的物量を用いて公判前にこれを潰しにかかってくることはもちろんだ。

 なお、こうした公判前整理手続きの結果、本件公判は、後述のとおり、約21期日が予定され、10分単位で細かくスケジュールが組まれた。304555

 <裁判員の選任手続き>
本件における裁判員の選任手続きは、2016年9月5日に実施された。
裁判員候補者の総数は220名あったのに対し、当日の出席は40名(当日の辞退希望は8名)であった。
その結果、本件の裁判員候補者の出頭率は約18%ということになり、最近の平均出頭率が約23%であることに対するとやや低い数値ということになるが、本件公判が後述のとおり合計21回もの多数開廷を要するものであったことを考えると、この数字の評価は微妙である。

<地獄の連日的開廷>
本件では、9月21日の初公判から11月1日の最終弁論に至るまで、概ね週4開廷のペースにて20回の期日(午前10時から午後5時までが基本)が実施された。そして11月24日に,21回目の期日が実施され,判決が言い渡された。いわゆる連日的開廷の強行である。

 元東京地裁所長である池田修氏の書物「解説 裁判員法」によれば、長期にわたる事案においては、連日的開廷といえども週3日程度の進行が適当であるかのように書かれてあるが、昨今の東京地裁の実務では、これ以上の公判ペースが組まれる現状にある。

 そして本件でも、週4日を基本とする公判予定が組まれ、弁護人の反対によるも、結局この公判日程で押し切られた。

 ところで、連日的開廷は、民間人たる弁護士にとっては、まさに地獄のような手続きである。開廷の最中、基本的に弁護士は他の事件が一切できないことは勿論、開廷前約1ヶ月あたりから事前準備のためにやはり他の事件をこなす余裕はなくなってくる。連日的開廷は、従来の裁判のように基本的には次回期日の準備を・・・という準備のあり方ではとうてい立ち向かえないのであり、冒頭陳述の準備から証拠のまとめ、尋問事項の準備など多くの項目を同時的に準備することに迫られるためだ。従って、私の場合、開廷前の1ヶ月は本件のみに集中する日々となった。

 そして、本件のように「20回越え」の審理になると、連日的開廷の最中に気力・体力を持たせることも大変にしんどい。個人の資質もあろうが、私の場合は、始まって1週間で目にクマができ、2週間目以降は疲労から知能が低下して簡単な言葉の言い違えをするようになった。

 また、連日的開廷はそれが終わると今度は急に暇になる。これは、私が連日的開廷が開始される前にその他の事件を都合を終結させるなどの措置を執ったため、瞬間的に手持ち案件が皆無に等しい状況を呈したためである。私の場合、業務が通常の状況に戻るのに、裁判終結後、約1ヶ月を要した

 結果、私は、本件の連日的開廷により、その前後を含めた合計3ヶ月間、他の事件に携わることができない状態となってしまった。定額の給与が保証されている公務員や高額の弁護士報酬を得られる案件であればいざ知らず、本件のように連日的開廷が長期化すれば、担当弁護士の生活にも本格的な危機をもたらすのである。311993

 更に、公判前整理手続きによって予定を整理した連日的開廷は、そもそも「訴訟は水物」と言われる裁判の本質に合致しない。訴訟の最中に予期しない突発的な出来事が生じ、それに対する対応が必要な場合でも、事前に立てた公判予定との関係でこれをどうするか、という事態にしばしば陥り、場合によっては、予期せぬ出来事への対応力が落ちてくる。これは、民間人たる弁護側において、特に顕著であり、これにきちんと対応しようとすれば、多額の資金を用いて多くの弁護人を確保する必要が出てこよう。が、多くの被告人はその資金を有しないであろう。

 連日的開廷は、裁判員に負担をかけないためと称して、裁判員裁判において本格導入されたものであるが、明らかに被告・弁護側に不利でしかない、とんでもない制度である。もともと「戦車と竹槍」に比較される検察と弁護との力関係をさらに拡大しているのだ。

<法廷の警備>
本件は、いわゆる過激派の事件であり、工藤会の「裁判員声かけ事件」の直後に実施された案件でもあるためか、法廷の警備は極めて厳重に実施され、多数の法廷警備員が配置につき、傍聴人の所持品検査はボディタッチを含む厳格な形態で実施された。また、傍聴人の出入り口には、「裁判員に接触することを禁止し、仮に裁判員に威迫や請託をすれば処罰する」旨の注意書きが大書されていた。

<法廷通訳問題>
本件は、証人尋問に関する法廷通訳に多くの問題があるとして報道され、最後は読売新聞が2016年11月29日の社説で問題を取り上げた。

 具体的には、特定の通訳人の翻訳に「約200カ所の誤訳」があるとされ、裁判所はその正確性を検証するために鑑定を実施したというものである。

 この問題につき、ここでは3点の問題点を指摘しておきたい。
 まず、法廷通訳の問題は、従来から指摘されてきたにもかかわらず、これに抜本的な解決を見ないまま今日に至っているということ。 

 本件誤訳問題は、本件が、長期事案であるがゆえに、たまたま鑑定という対応が可能になったに過ぎず、3日や5日で終わるという一般の裁判員裁判では問題が看過されていた可能性が強い。つまり、多くの事案では、誤訳問題が気付かれずに埋もれている可能性がある。

 また、担当弁護人としては、上記通訳鑑定に対しても、本来は緻密な対応が必要と言えたが、連日的開廷に起因する各種問題ゆえに、これに対する十分な対応がなしえなかったという反省がある。636993

<判決の評価>
前記のとおり、被告人に対しては懲役12年の有罪実刑判決が言い渡された。そもそも、本件被告人は、事件への関与を完全に否定していたのであり、この主張が受け入れられなかったことについて、担当弁護人としては、憤りの気持ちで一杯である。

 しかしながら、事実認定の問題については、今後の控訴審手続きもあるため、ここでは触れず、判決の量刑判断の問題について一言述べておきたい。

 本件は、検察の求刑が15年であったのに対し、判決は12年であったから、いわゆる8掛けということになり、従来の実務からも、本件は、相場通りの結果であったともいうこともできよう。

 しかしながら、判決文の量刑理由の中身を読むと、ここに裁判員裁判の特質がよく出ていた。なんと、この判決は、被告人に対する死刑や無期懲役の可能性を検討していたのである。

 本件は、求刑15年の事案であるし、死者が一人も出ていない事件であるから、本来なら、死刑や無期懲役が問題となることはありえない。しかしながら、本判決は、最終的にそれが否定されたにせよ、評議ではこれが一旦は問題とされたからこそ、その部分が判決文にも載っているのであろう。裁判員裁判の厳罰化はこのようなところにも顔を覗かせているのだ。639428

<裁判員の記者会見の問題>
判決後、例によって、裁判員による記者会見が行われた。
記者会見の中身は、報道でしか知らないが、おやおやと思った裁判員の感想を1点指摘しておく。
それは23歳の女性裁判員が、「自分が生まれる前の事件だったのでよく調べて審理に臨んだ」とコメントした点である。

 そもそも裁判員は、その選任の際、法廷で取り調べられた以外の証拠で認定判断をしてはならぬ旨、裁判長から注意を受けている。にもかかわらず、この女性裁判員は、法廷外で自ら調べたことを頭に入れ、それを念頭に評議に臨んだ可能性がある。最近の朝日新聞の「裁判員物語」にも似たような裁判員の私的調査の出来事が美談のように書いてあったが、実は法廷外の出来事から心証を取るというのはとんでもないルール違反だ。

 私がたまたま体験したに過ぎない一つの裁判員裁判でもこのようなことがあるのだから、似たような事象(例えば、裁判員が、被告人の名前をネット検索して情報を集め、それに基づいて心証を形成していくなど)は、全国の裁判員裁判で頻発している可能性がありそうだ。

<小括>
色々と裁判の経験から感じた問題を並べてみたが、考えてみれば、このような問題点はいくつもの裁判員制度反対運動がかねてから指摘していたことばかりである。私としても、実際の裁判員裁判の経験で得られた新たな発見(制度の問題点という意味で)はほとんどなく、「裁判員裁判でまともな弁護ができない」ことを改めて痛感したというばかりである。

 現在、国民の多くは裁判員候補者として動員されることを拒絶しており、大きく見れば、裁判員制度はすでに崩壊的危機に瀕していることが明らかだ。しかしながら、制度は形式上は生きている。したがって、制度の被害者ともいうべき被告人、弁護人は、今も不当な闘いを強いられている。
このことに想いを致し、今後も裁判員制度に反対の声を強めていこうと思う。

 また、機会があれば、本件についての補足報告をするかもしれませんが、その節はよろしくお願いいたします。

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投稿:2016年12月31日

廃止宣言で日弁連が権力に貢いだもの

001177 インコさんは、裁判員制度にお詳しいだけでなく、死刑制度にもお詳しいんだそうですね。

HP201642221いや、お詳しい…というよりも詳しい…というかな、たいしたことはないが、まぁ、うん。

hiyokowarai1先輩、今日は珍しくはっきりしませんね。

001181こういう雲行きの時は危険です。ちょっとお聞きしたかっただけなのに変に刺激しちゃったかな。

1-e1397901276348日弁連が10月7日、人権擁護大会で死刑制度の廃止宣言を採択したっていう話だろ。ほら君たちも話したさそうな顔してるじゃないか。

001178まね0自分でしょ、話したいのは。

知ってますよ。新聞は大会前からずいぶん話題にしてましたから。hiyokosyoumen1

001177死刑存続が社是の『読売』は、10日以上前の9月25日に「『死刑廃止』日弁連に波紋 宣言採択へ 被害者遺族ら反発  存続派抗議声明で応戦も」と挑発的な長い見出しを掲げました。東京本社版は何と6段組みでしたね。

hiyokosyoumen17日の宣言採択を報じた翌8日の報道も本文140行を超える大報道です。「日弁連『死刑廃止』宣言 被害者支援派は反発 機運高まらず 「殺したがるばかども」寂聴さん批判 遺族反発 実行委謝罪」と、これまた見出してんこ盛りの7段組み。寂聴さんがシンポジウムのビデオメッセージで「殺したがるばかども」と言ったのは、被害者や遺族をばか呼ばわりしたようにとられたと実行委員会が謝罪したんだそうです。

001177一方、死刑廃止に親近感を持つ『朝日』は、10月3日に「『死刑廃止 20年までに』 日弁連表明へ/世論は容認多数 袴田事件で変化 『情報公開必須』」の見出しで報道。宣言採択の報道は「『死刑廃止』日弁連が宣言 採択参加7割弱の賛成で 世界的な潮流 背景に冤罪」とありましたね。

1-e1397901276348まぁ、そんなところだ。

 

 20160517114ところで、宣言のタイトルは「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」と言ったな。死刑廃止を言うだけじゃないと妙に強調したような言い方をしたところがくせ者だ。さて、この宣言採決の票数をヒヨコ君知ってるかね。

hiyokosyoumen1786人が出席して、賛成が546、反対が96、棄権が144でした。棄権が多かったですね。どうして廃止と存続にすっきり分かれなかったのだろう。

20160418inkoそこを聞きたいか。よくぞ言ってくれた。

hiyokoyoko1いえ、聞きたいとは言ってませんが。

001178まね0ムリです。話して下さいと言っているのと同じです。

1-e1397901276348インコは、見たくれは飲んだくれでも、死刑廃止論者の端くれのつもりだ。

001178まね0何の脈絡もなく、韻を踏みましたね。そしてくれゆく秋と。

1-e1397901276348えっ、なにくれだって?

001181(ばっくれ…)

HP201642221だが、死刑廃止運動を進めている弁護士たちの動きには正直言って、強い違和感を覚えたな。

hiyokosyoumen1正面から廃止を訴えていないんですか?

1-e1397901276348いない。壇上に並ぶ廃止宣言起草者たちの顔には確信も気迫も窺えなかったとか、怯えているようにさえ見えたという話だ。

hiyokosyoumen1態度が堂々としていないと。

1-e1397901276348宣言の内容の問題だ。一言で言えば、起草者たちは死刑という刑罰をなくせれば後はどうでもよいと思っている。それがおろおろしたり怯えたりする原因になっている。

hiyoko2-1どこでそう感じるのですか。

1-e1397901276348なんと言っても、この人たちが言う「人間としての尊重とか人間性の回復」とかの言葉の意味が何ともいい加減なのだ。

hiyokosyoumen1宣言文の中に出てくる言葉の意味を問題にしているんですね。

1-e1397901276348宣言は「刑罰制度は罪を犯した人を人間として尊重することを基本とするものでなければならない」と言っている。それならこの人たちが提案する「仮釈放の可能性がない終身刑」はどうして検討の対象になり得るのか。

hiyokosyoumen1宣言は「仮釈放のない終身刑」をこの際、検討の対象にしようと言ってるんですか。

1-e1397901276348それが今回の宣言の最大のポイントと言ってもよい。

001177「仮釈放の可能性がない終身刑」はやっぱり「罪を犯した人を人間として尊重すること」に反するじゃないかという訳ですね。

1-e1397901276348宣言は「刑罰制度は人間性の回復と自由な社会への社会復帰と社会的包摂に資するものでなければならない」という。それなら、どんなことがあっても一生「自由な社会」から隔絶され、何があっても「社会復帰や社会的包摂」とは無関係のまま死んでいかなければならない刑はやっぱり「あってはならない」人権侵害刑だろう。

hiyokowarai1しびれるっ。ボクもそう思います。

001178まね0よく考えてから言ってもいいのよ、急がなくていいからね。

1-e1397901276348「死刑は絶対に許されず、絶対終身刑は検討に値する」とどうして言えるのか、起草者たちは一言も言わなかったな。

001177宣言の提案理由中には次の説明があります。

死刑を廃止するに際して、死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること。代替刑としては、刑の言渡し時には『仮釈放の可能性がない終身刑制度』、あるいは、現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重し、仮釈放の開始時期を20年、25年等に延ばす『重無期刑制度』の導入を検討すること。ただし、終身刑を導入する場合も、時間の経過によって本人の更生が進んだときには、裁判所等の新たな判断による『無期刑への減刑』や恩赦等の適用による『刑の変更』を可能とする制度設計が検討されるべきである」。

hiyokoyoko1何を言っているのかよくわかりません。

1-e1397901276348わからんか。キミはまだまだ未熟だが、これがわからないのはキミが未熟過ぎるせいではない。

hiyokoyoko1あの、いろんなこと一度に言わんといてくんなまし。

1-e1397901276348未熟な者はときどき方言に逃げる。

001177それはほとんどいじめですよ。い・け・ず。

1-e1397901276348そうだっか、ほな説明しまひょか。「仮釈放は絶対にない。ただし更生が認められたら刑を変える」と言ったら、子どもでももっとちゃんと説明しろって言うだろ。

001177絶対終身刑も死刑と同じように基本的人権を侵害するときっと言われる。それをかわすように工夫しなくちゃならない。だからこんな言い方になった。

hiyokosyoumen1でも、「絶対に」というのは「例外なく」ということですから、「絶対」と「抜け道付き」は両立しません。こういうのを自己矛盾って言うんじゃなかったでしたっけ。

20160418inkoおう、しびれるぞ。キミもかなり成熟した。

001177つまり、あちら立てればこちらが立たず、結局、何を言っているのかわからない論旨になったんだと思うのです。

 

1-e1397901276348言いたいことはまだある。重罰化・重刑化と言われる昨今の傾向をこの宣言は間違いなく助長する。

hiyokosyoumen1これで重罰化・重刑化がいっそう進むと。

1-e1397901276348もう一度引用文を見てごらん。「現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を20年、25年と加重し」などと言ってるだろ。だが現在でも下獄して10年で無期刑者の釈放の検討が始まるなんてまったくあり得ない。160910sizuoka11

hiyoko2-1そのことは刑事事件に関与している弁護士や刑務所収容者の支援運動に関わっている人たちには常識と言っていいんでしょうか。

1-e1397901276348もちろんさ。そういう状況の下で「仮釈放の開始時期を20年、25年等に延ばそう」などと言ったらどうなるか。

001177日弁連は仮釈の検討開始を不当に遅らせている現状を批判しないと宣言することになります。

hiyoko2-1それじゃ重罰化容認宣言しゃないですか。

001177法務省はそう言って喜ぶでしょうね。最近の重罰化傾向にはすさまじいものがあります。その傾向を批判しなければいけない日弁連が逆に容認するような主張に及んだことに私も驚きます。

1-e1397901276348内閣府が2014年に行った世論調査では、終身刑を導入した場合にも死刑は廃止しない方がよいと思うという意見が51.5%もいたとされる。こういう「世論」を背景にして法務省は死刑をそのままにして絶対終身刑導入の検討に勇んで進む。

001177「死刑をやめて絶対終身刑へ」のつもりが、「死刑も絶対終身刑も。そしていっそうの重罰化へ」に進んでしまうと。

hiyokosyoumen1宣言のタイトルは「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」でした。刑罰制度全体を改悪させる水路作りに日弁連は協力したことになるんですか。

20160517114そう思いたくないが、事実を冷静に見ればそうなるな。

 

 

hiyokosyoumen1『読売』が予測したように、今回の大会では「被害者支援運動」をしているという弁護士たちが宣言に反対する立場から発言したようですね。

1-e1397901276348宣言起草者たちはどうしてその人たちに正面から向き合わなかったのか。腫れ物に触るように被害者や被害者支援弁護士に対応した。一貫してそらし、かわし、避け続けた。

001177犯罪被害者がこの社会で置かれた状況をきちんと考えることは大切だと思います。しかし、死刑制度を考える時に被害者と被告人・確定囚を対決的に捉えるのは正しくないと思います。

1-e1397901276348被害者支援弁護士たちはまさしく対決的に捉えていたが、起草者たちも実は同じ視点に立っていた。「決して被害者の立場を無視している訳ではない」などと弁解するのは同じ線上にいることに他ならない。私たちは本当に被害者の立場に立つ、あなたたちの言う「被害者の立場」とはどういうものなのか、そこをはっきりさせようというような姿勢はまったくなかった。

hiyokosyoumen1それが正面から廃止を訴える姿勢かという疑問に結び付いてくるんですね。

001177私、宣言を丁寧に読みましたが、読めば読むほど中途半端な姿勢を感じました。

1-e1397901276348「被害者支援運動」に妙に気を使い、奥歯に物が挟まったような言い方をしながら、何とかこの辺で許して頂戴よと言っている。これでは確信も気迫も失せようし、何かに怯えもするだろう。

001177何が何でも廃止宣言を取ってしまいたいという姿勢に会場の弁護士たちが白け、それが棄権票を増やす原因になったのでは。

1-e1397901276348そのとおりだろう。宣言採択後に記者会見をした日弁連副会長が「被害者の声にしっかりと耳を傾け、宣言の実現に尽くしたい」と話したと報道された。私はそれがこの宣言の本質を示していると思ったな。

 

hiyokosyoumen1今回の死刑廃止宣言は裁判員制度の廃止とどう繋がるのでしょうか。

1-e1397901276348そこだ。はっきり言おう。日弁連中枢はもちろんだが、死刑廃止を言う人たちの多くが裁判員制度廃止を言わないところに大きな問題がある。

hiyokosyoumen1どうして言わないのでしょうか。

1-e13979012763481つに、裁判員裁判になると死刑判決が減ると思ったということがある。

hiyokosyoumen1でも実際に死刑判決が減っていないことがわかったら、裁判員制度反対に舵を切りなおせばいいのでは。

1-e1397901276348それほど簡単じゃない。日弁連中枢は裁判員制度採用の旗振り役を買って出てこの制度を実現させた。その日弁連に死刑反対を表明させたいと考えれば、とても裁判員制度に反対なんて言えない。

hiyokosyoumen1それっておかしくないですか。

1-e1397901276348いや、この話は日弁連中枢がなぜ裁判員制度の旗振りをしたかというところに行き着くのだ。政府は、国民の司法動員を国策として位置づけた。だが、日弁連は勝手に陪審制への一里塚だなどと言い募り、何の根拠もなく国民の健全な常識を司法に反映させるのだなどと言いまくった。

hiyokosyoumen1裁判員制度は簡易・迅速・重罰という戦時司法を支える仕組みだという見方があるとか。

1-e1397901276348確かにその要素がある。こんな情勢の下で政府・法務省が自ら進んで究極の刑罰「死刑」を手放すと考える方がおかしい。そしてその政府・法務省に日弁連はすり寄っている。これを何とかしようと言うなら、激しい闘いが欠かせない。

001177死刑廃止論者は裁判員制度反対の先頭にも立って、日弁連中枢や政府・法務省の姿勢を厳しく批判し、その中から死刑廃止への道筋を切り開いて行くべきだということですね。

1-e139790127634811月23日の『読売』の論点欄に、全国犯罪被害者の会の元代表幹事が「死刑廃止運動と弁護士会」というタイトルで投稿している。この人は人権擁護大会でも発言していた。

hiyokosyoumen1で、なんと。

1-e1397901276348死刑廃止のような会員の意見が分かれるテーマを日弁連の名前で追求するのはやめろと言っている。

hiyokosyoumen1でも、そんなこと言ったら日弁連は憲法に関わるあらゆるテーマについて何一つ物が言えなくなりませんか。

1-e1397901276348そのとおりだ。ただし、1箇所だけは本当のことを言っている。

hiyokosyoumen1どこですか。

1-e1397901276348「内閣府の最新の世論調査では死刑容認が80.3%、廃止が9.7%。『国民の健全な常識の反映が欠かせない』として裁判員制度を実現させた日弁連は、この矛盾をどう考えるのか」というところだ。

hiyokosyoumen1ここに裁判員制度が登場しますか。

1-e1397901276348よく出てくるこの死刑容認の数字は、警察庁や法務省や内閣府が死刑存続論を大宣伝してかすめ取ったもので、まともな議論のベースにすること自体が問題なのだ。

001177殺人事件などの犯人の凶悪性を社会背景と切り離して強調するのも、言って見れば死刑存続論の変形版ですよね。

1-e1397901276348うん。その程度のことはきっとこの投稿に対する反論権行使として日弁連の誰かが書くだろう。

001177問題は裁判員制度と日弁連の関係ですね。

1-e1397901276348そうだ。こんな数字にウソが潜んでいるのと同じように、裁判員制度は国民の健全な常識を司法に反映させる仕組みなどというのはまったくのデマ。しかし日弁連中枢は一貫して「健全な常識論」を言った。そして裁判員制度に賛成した人たちや反対しなかった人たちはみなその「健全な常識論」を受け入れた。

001177存続派はそこを突いて、「健全な常識論」を支持していながら「80%という常識」をなぜ支持しないのかと切り込んだ。

1-e1397901276348これにきちんと反論できる「裁判員制度賛成の死刑廃止論者」はおそらくいまい。はっきり言って、死刑制度に正面から反対と言い切れる人というのは、国民に国民を死刑台に送らせたり一生刑務所に送り込ませたりすることに反対する人たちに限られるのではないか。

001177だから、死刑廃止を検討する代わりに重罰を受け入れるというと議論になるのです。「廃止しろ」、「廃止する」じゃなくて、「検討する」というだけですよ。しかも、裁判員による判決は死刑判決を減らすどころか、裁判官裁判なら死刑にならなかったような事件まで死刑にしてしまい、求刑越え判決も連発しています。そこをまったく問題にしなかった。

hiyokosyoumen1現在の死刑廃止論者たちのあいまいさが今回の大会でも浮き彫りになったのではないかという訳ですね。

1-e1397901276348そのとおりだ。死刑存続と裁判員制度存続と被害者の異様重視は、異常司法の同根の産物なのだ。

hiyokowarai1今回は先輩の力説をお聞きしてボクも勉強になりました。

1-e1397901276348キミも結構成長したぞ。日頃からの勉強が大切だ。ま、私を見習って頑張りなさい。

001177(それを言わなければ成長するんだけど) このところ議論の幅が広がっているインコさん、肩の力を抜いてやって下さいね。

 

 

投稿:2016年11月29日

ひらりひらりと桐の葉落ち、トラ、トラ、トラのウソを斬る

1-e1397901276348急に世界も日本も騒がしくなったな。051677

001177米国の大統領選の結果ですね。

hiyokosyoumen1予想大はずれで不動産王のトランプが元大統領夫人で元国務長官のヒラリーに勝ったんで、世の中ひっくり返るような大騒ぎです。

001177米国では比較少数者が勝つ選挙制度の在り方を根本から考え直す必要があるなんて言われてますね。

hiyokosyoumen1メディアは予想の外れを国民に謝罪し、今後は世論調査の手法を変えるとか言ってます。

1-e1397901276348みんな何というアホ話の世界をさまよっているのかと思うな。

001177大騒ぎと言えば、卒倒寸前まで慌てふためいたのがアベ首相ですって?

hiyokowarai1しばらくトランプとはコンタクトをとらんぷが良いって周りが言ったら、すごく怒ったとか。

001178まね0焦ってる人に冗談は通じません。

hiyokosyoumen1政治の世界の要人というのは、こうなったらこう、ああなったらこうするっていつもかなり先を読んで行動しているものじゃないのでしょうか。

1-e1397901276348彼らもみんなそのつもりでいたのだが、その誰も彼もが読み違えたという訳さ。こういう姿を見せられると、彼らの読みなるものがどれほどいい加減なものかよくわかる。そのことをわからせてくれたありがとう、と言っておこう。

hiyokosyoumen1偉そうに物を言っている人たちが実はどうしようもない浅薄な連中だと。それにしてもこの方の慌て方は尋常ではありませんでした。

001177ゴルフグッズ抱えてニューヨークに飛びましたね。各国の首脳で誰よりも早くトラにあったのがアベ首相ですって。出発直前、この人は羽田でトラを2度も「大統領」って呼んでました。

hiyokosyoumen1人間性を見せる旅って粗忽者の顔見せってことですか。民進党の誰とかがみっともない朝貢外交だと批判したとか。

1-e1397901276348朝貢か。居ても立ってもいられず、会わないではいられなかったというところだろう。つまり世界で一番慌てたのがアベ首相ということだ。

hiyokowarai1♪慌てん坊のアベ首相♪ 就任前にやってきた♪ 急いでりんりん

001178まね0はいはい、でもきんきらトラ御殿で1時間半くらいしゃべったら、トラと信頼が築けると確信できたんですって。ゴルフと選挙と家族の話をすると国家と国家の信頼が繋がるって…。

1-e1397901276348それは全部ウソ話だ。

001177ヒラ陣営がトラのしゃべってることは70%ウソだと言ったら、トラ陣営はヒラは100%ウソをしゃべってると応えたそうですね。

1-e1397901276348それは全部正しい。

001177アベ首相とトラがうまく繋がっていないのは確かでしょう。ゴルフグッズの交換なんてどう考えても変です。用意したのが両方ともゴルフクラブだったらと冷や汗三斗だったんじゃ。

hiyokosyoumen1会談内容は発表されませんでした。就任前の大統領予定者との非公式の会談で現職大統領に失礼だからとか。

1-e1397901276348ウソ言え。良い話が出なかっただけさ。何も言わないことにしたのなら、「再び会って広く深く話すことで一致した」と公表するのもおかしい。社交辞令の当選祝いと趣味と家族の話以外に話らしい話はなかったので、近々話し直すということにした。

hiyokosyoumen1トラも人事問題でひどく忙しい最中なんでしょ。

1-e1397901276348在日米軍の駐留経費の問題やTPP撤退の問題でうれしい話が聞けたら黙っていられる人ではない。

001177アベ首相は選挙運動中の忙しいヒラに、当選を信じてわざわざ会いに行きました。そしてその結果をべらべらしゃべりました。失礼というなら一候補者に会いに行く方がもっと現職に失礼でした。

hiyokosyoumen1今回は成果がなかったとは死んでも言えないということでしょうね。

1-e1397901276348御殿でのこの人の引きつった笑顔がすべてを物語っている。だいたい1時間半程度で信頼が確信できる関係なんだっら、どうしてこんなに慌てなくちゃいけないかっていうことだ。

hiyokosyoumen1ボクの友人たちはみんな笑っています。それにしてもアベ首相は結局トラのパフォーマンスに利用されたのでしょうか?

1-e1397901276348俺があんなに毒づいた国のボスがさっそく俺んちまで表敬訪問に来たんだぜ、俺の指定で向こうはアベ1人、こっちは娘夫婦も立ち会わせたさ。君たちももうそろそろ反トラデモなんか止めて俺を大統領らしく扱えよ。まぁ、そんなところだろう。

001177トラの勝利に腰を抜かしたのは政治家だけではありません。マスコミもしっかり腰を抜かしていまだにリハビリの歩行練習をしています。

hiyokosyoumen1全メディア総ぶっ倒れと言ってもよいでしょう。読者・視聴者の皆さん、私たちと一緒にふらふらして下さいって言ってるような感じです。

001177「トランプ現象」が今年の流行語大賞にノミネートされました。

1-e1397901276348その言葉を作ったのはマスコミだろう。自分が予測できなかったのに他人ごとみたいに言ってみせるのは何ともいやらしいな。だいたい「現象」なんて皮相的だよ。

hiyokosyoumen1自分たちが読めなかったことをごまかして不透明と言い換えるずるさに通じます。

1-e1397901276348大事なことは、みんなようやくそのずるさが見えるようになってきたということさ。461433

hiyokosyoumen1河島英五ですか…。

001178まね0話題を変えましょう。

 

hiyokosyoumen1トラ・ヒラ戦争の結果は本当のところどう受け止めればいいのでしょうか。この際そこをはっきりさせたいと思います。

1-e1397901276348確かにそうだな。そういう話になったら、ここはしばらくぶりに教授にも参加していただこうじゃないか。

0249090きみ、私が通りかかったのを見てさっそく捕まえたな。だがインコ君、少し聞いていたが、話が難しくなったと思って逃げてはいかんぞ。

201600814インコさん・先輩、話が難しくなったと思ってここは逃げてはいけませんよ。逃げちゃダメです。

1-e1397901276348いやいや、おもしろくて逃げるどころじゃないですよ。

001177いろんなことがありました。ガラスの天井を破るというヒラをサンダースがウォール街の先兵と罵倒したり、億万長者の排外主義者に白人労働者が喝采の雄叫びを上げたり…。

0249091うーむ。トラ・ヒラ戦争の結果をずばり一言で評すればだ。そう、猛毒と劇毒の闘いで劇毒が勝ったということだな。どちらもしっかり有毒。喜ぶのもおかしければ大泣きはもっと論外。アベ政権だけではなく、マスコミまでがヒラが負けたとうちひしがれている。ヒラってそんなに良い候補だと君たち思ってたのかねと聞きたくなるな。

hiyokosyoumen1トラは保護主義、ヒラは自由貿易推進なんて言われていましたが。

0249091全然わかっていない。どちらも正真正銘の米国第一主義だ。国益にヒラヒラ飾りを付けて世界全体のためみたいな修辞満載にするか、それともホンネをずけずけ言ってしまうかという違いに過ぎない。どちらにしても世界は米国のためにある。

001177佐良直美の世界かしら。

hiyokosyoumen1そうかも知れないけれど古すぎます。

1-e1397901276348核軍縮やTPPや地球温暖化への対応など、言い方はいろいろでも、米国は明確に自国の利益にかなうかどうかを行動基準にしてきた。違いを大げさに言うのはおかしい。2人の違いはええかっこしいか格好をつけないかの違いくらいのものなんだから。

001177そう言えばヒラもTPPに消極的でしたね。

0249091トラが保護主義、ヒラが自由貿易主義なんて区分をするのなら、共和党なんて自由貿易主義の牙城だ。米国に限ったことじゃない。独、仏、英、日…、どこの資本主義国も自国経済第一だ。TPPにしがみつくアベ首相はトヨタよりGMの利益を重視しているなんて誰が思うか。それが資本主義の第1法則だ。

hiyokosyoumen1猛毒と劇毒の闘いで劇毒が勝ったというと、つまりこれからは救いようのない地獄行きということになりますか。

0249091それは違う。勝った負けたは人の世の常。ではない、選挙戦の結果というレベルの話だ。もう少し奥深く見よう。貧困大国の貧しい多くの人たちが米国の政治や経済の在り方にノーを突きつけた。その意思と要求をトラがかすめ取った。見えにくいが、見抜かなければいけないところは実はそこだ。負けたのは米国の政治や経済の支配のありようなのだ。

1-e1397901276348米国の衰退凋落にはもう何十年の歴史がある。新自由主義とかグローバリズムとかいうのも、落ち行く米国が少しでも生き残ろうと仕掛けたバトルだった。

hiyokosyoumen1米国はもう世界の警察官ではないなんてトラは言ってましたね。

1-e1397901276348それはオバ大統領も言っていた。言いながら彼はイラク・中東・イスラエルと戦争政策を続けたがね。

001177トラ選後の記事で、「世界の資本主義的システムが構造的な危機を迎えている」という見方を読みました。

0249091米国の社会学者イマニュエル・ウォーラーステインやフランスの歴史学者エマニュエル・トッドなどの見方だ。英国のEU離脱もあって、その見方は今世界に広がっている。

001177でも、新聞を開くと、いまだに「保護主義はダメだ」なんていうトラ退治風社説を見ます。

1-e1397901276348この国の政府、財界、マスコミを覆う病は重篤だ。アベ首相と一緒に慌てふためいた連中が今もって情勢から取り残されているというか、情勢をごまかして解釈する側に回っている感じがする。

0249091そう、ごく一部の者たちが社会の一般的な論調を独占していて、自分たちが世論形成の責任者だと自認している。

1-e1397901276348多くの人たちが置かれた状況やそれを背景にした意見がとことん隠されている状況を打ち破らなければいけない。

001177マスコミは、いまだにトラはこれから何を言い出すかわからないとか、我が国はトラ一派に人脈が乏しいとか、もっと過去の日米関係の評価をさせようとか、扇動政治から距離を置くのではとか、それこそしょうもない話を言い募っています。

hiyokosyoumen1この間、『朝日』が社説で、「戸惑ってばかりはいられない。腰を落として冷静に対処するしかない」と書いていました。「ばかりはいられない」と「するしかない」という言葉に論説委員の絶望感がにじみ出ているように思いました。

0249091戸惑っているのは誰々で、腰を落として冷静に対処しなければならないのは誰々なのかということだ。

hiyokosyoumen1トラは大多数の貧困層の労働者の声を拾い上げてこれからの米国の政治経済の改革目標に本当にしてゆくのでしょうか。

0249091それはない。きんきら御殿に住みながら電気代も払えない人たちの生活をどうして守れるかということだ。口先介入で票をかすめとった連中は所詮それだけの奴らさ。必ず大衆を裏切り、貧困労働者をますます苦しめる。裏切られたことを知った怒りの大きさを考えてごらん。韓国の朴退陣要求のすさまじい広がりを見てみなさい。

001177サンダース候補に期待し、それがダメになってトラに期待した人たちって多いんでしょうね。

1-e1397901276348なんて言ったって6000万という票だからね。99パーセントの民衆のかなりがここに入っていることは間違いない。それが反乱を起こす。

hiyokowarai1やっぱり張り子のトラだと。

2016051714………

001177米国大統領選の結果はいまだに激しい余震が続いていますが、これからどのように動いて行くのでしょうか。

0249091米国も今はまだ争乱の前兆だ。選挙に顔を覗かせた民意はこれから本震になって米国自身や日本やそれこそ世界中を揺るがすだろう。

001177選挙と民意は必ずしも一致しませんよね。改憲勢力が3分の2を占めたからと言って、世論は決してそんなに改憲を支持していません。

1-e1397901276348世論が改憲支持多数になったってその世論を誰が作ったっていう問題が残るぞ。

0249091支配の姿から見れば、トラの排外主義や開けっぴろげのアメリカ第一主義でメキシコだけでなくヨーロッパ諸大国との攻防が確実に激しくなる。イエレンはもう心配しているが確実に規制緩和に突き進む。ロシアや中国との関係も対決強調論と対決回避論の激化の中で舵取り不能になる。基軸帝国主義国から諸列強のはざまに揺れる一資本主義国という地位に落ち込み、再び強さを取り戻すというトラの方針は結局惨憺たる結論に向かう。決着の道は戦争ということももちろん考えられる。

001177ごまかしながら沈んで行く姿から、はちゃめちゃに沈没して行くスタイルに変わるということですか。司法長官は不法移民に厳格で、CIA長官は茶会運動所属で、安保担当補佐官は移民やテロ対策の強硬派として知られる人だそうですから、統制基調の対決路線で突き進むのは間違いないでしょうね。

0249091民衆の動きから見れば、米国大統領選挙の歴史にかつてない「かすめ取り選挙の落とし前を付ける動き」に火が付く。騙された民衆は怒りの出口を求めて動き出す。米国経済は貧乏人を大量に作り出して集約した富で形成されているのだから、米国の富を根底から再分割するという「革命的暴挙」抜きにはトラ支持貧民は幸せを獲得できない。火が付くのはデトロイトだけではない。騒然たる米国社会の予兆はもう姿を現している。「トラは我々の大統領ではない」というプラカードはヒラ支持者が握っていると思ったらとんでもない間違いだ。

hiyokosyoumen1だからアベ首相は明日は我が身と恐れおののいたんだ。

001177韓国だって何十万、何百万という民衆の動きを1年前に予測した人はほとんどいなかったでしょう。

hiyokosyoumen1アベ首相も開けっぴろげ抑圧方針に転換するのでしょうか。「えっ、キミはアベノミクスを本気で信用していたの?」なんてね。461434

 

001177最後に、私たちの「裁判員制度反対」について考えたいと思います。今回の選挙はこの制度の今後にはどう影響するのでしょうか。また、私たちは今回の選挙からどういう教訓を引き出せばよいのでしょうか。

0249091今回の大統領選のトラ勝利で私たちが肝に銘じるべきことは、物事を上品そうなウソやまやかしでコーティングして物を言っていた候補が負けたということだ。

hiyokosyoumen1トラはどうしてそういう戦略をとらなかったんでしょうか。

0249091あからさまに言い切ると言ったって所詮はかすめ取り戦術の話なんだが、結局投票者のほぼ半分を獲得した。格好を付けてごまかした方は敗退し、格好を付けても見抜かれると感じた方はその狡猾さで頭1つ抜いた。

001177「格好を付けても見抜かれる」と言えば、真実を隠蔽してきたのは裁判員制度の最大のまやかしでした。「国民の司法理解」などという言葉にくるんで国民動員の本質を隠す。マスコミには「市民参加」などといかにも受けそうな言葉を使わせた。処罰条項は残しながら「嫌なら裁判所に来なくてよい」とお茶を濁した。

hiyokosyoumen1それでも圧倒的な国民から「ノー」を突きつけられてしまいました。

1-e1397901276348米国大統領選でアベ政権も制度推進派もやっぱりぎりぎりの局面に立たされている。アベノミクスの破綻。クロダ日銀の破綻。司法の世界では15年来の新自由主義改革の全破綻。とりわけタケサキ裁判員制度の破綻。みんなウソばればれ・ごまかし透け透けの風景がそこに広がっている。

0249091ウソとまやかしで固めた国策の真実を白日の下にさらし、批判を集中する絶好の機会が生まれたということだ。本当のことを見せず、言わせず、聞かせずの政策を画策しても、それが通用しない状況が海の向こうで生まれた。歴史に後戻りはない。それは日本でも同じように騙し言葉に簡単に騙されない気運が一気に広がり強まる予兆だ。

hiyokosyoumen1なるほどそういう関係ですか。

1-e1397901276348またおもしろくなってくるな。君たち、もうひとがんばりしよう。

(注)
今回、登場する仮名文字の姓名はすべて実在する人物のもので、架空のものではありません。どうして半欠け仮名にしたのかですって? 短縮表現の趣味です、はい。

189831

         

投稿:2016年11月20日

「憲法と裁判員制度を考える」 集会を開催しました

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」11月6日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

北海道裁判員制度を考える会では11月5日、日体大の清水雅彦先生をお招きし、集会を開催しました。
雪まじりの雨という悪天候の中、30名もの人たちに集まって頂きました。
ありがとうございました。判員に対する声掛けを行った工藤会組員が起訴され、その裁判が始まりました。

  清水先生には、「憲法改悪の動向と緊急事態条項など自民党改憲案の問題点」と題して講演して頂きました。
自民党憲法改正草案を元に、本来の意味で憲法の意義から遡っての解説であり、憲法は国家を縛るためのものであるというものです。
健康にまで国家が介入してくる健康増進法なども考えさせられる問題です。
タバコ問題も例に挙がりました。タバコに対する国家による規制の問題です。
しかし、他方で清水先生は、他者の人権に対する尊重ということについても、本当に理解しているのかという問いかけをされていました。
本来、自分がタバコを吸いたい自由と、それを嫌う人の自由との調和です。迷惑を掛けるような吸い方はもっての他なのですが、こういった集会が終わった後で、みんなで飲みに行ったりすると途端にタバコを吸う人がいるが、これは問題だと。
少なくともその場に集まっている人たちの意向を確認することもなく吸い出すというのは他者の人権を考えていない点で護憲と言っている人でも本当の意味での憲法を理解していない。
灰皿があるからだというように言う人もいるが、「パブロフの犬」だそうです。
名言です。非常に感銘を受けました。
私自身は、分煙については罰則付きで進めるべきと考えてはいますが、憲法の考え方の例えとして非常にわかりやすかったです。

 私は、当会事務局として「新共謀罪など一連の治安立法と裁判員制度」として報告を行いました。
さて、裁判員制度と憲法改悪は関係があるのかと言われそうですが、大いに関係があります。
裁判員制度が陪審のための一里塚とか、えん罪防止のためになるのか、などという狭い発想でしか理解できないようであれば、憲法改悪との関係は理解できないでしょう。しかし、それは発想そのものが誤りです。
もともとの裁判員制度の目的は、国民に対して統治に責任を持て、そのためには裁判官と一緒になって刑事被告人を裁けということにあります。
制度を提言した司法制度改革審議会意見書(2001年6月)にはそのように書いてあります。
国政モニターからの裁判員制度に対する疑問 疑問に正面から答えない法務省

 自民党憲法改正草案では、国民に対して義務を課し、国家のための憲法となっています。この思想は裁判員制度の思想と全く同じなのです。というよりも裁判員制度がそのように制度設計がなされているということです。
捜査機関の捜査手段も拡充されたり、国家が国民を取り締まるための共謀罪であったりとこの間の一連の刑事司法の改悪は治安政策そのものです。
このような制度は廃止するしかありません。

557907

投稿:2016年11月12日

講演会「裁判員制度は終わりだ」に参加して

友人に誘われ、9月30日に東京の大井町で開かれた講演会に参加しました。
興味深いお話しをお聞きし、後日、私の短い感想をこの欄にお送りしたところ、多くの皆さまにご紹介したいので詳しく報告してもらえないかとスタッフの方からお願いを受けました。私は難しいことはよくわからない、間違ったことを書いたら申し訳ないと申し上げたのですが、どうしてもということで、講演のメモに基づいてなんとかまとめてみました。間違いがあったらどなたか訂正していただけるとありがたいと思っています。

 講演のタイトルは「裁判員制度は終わりだ、この力で改憲阻止へ」でした。50人近くの方が参加していたでしょうか。年配の方が多いように思いました。
講師は高山俊吉さんという弁護士さんで、裁判員反対の運動の中心になっている有名な方だとお聞きしました。
司会者はこの方のお話はとてもおもしろいですよというようなことをおっしゃり、期待してうかがいました。確かに重大で深刻なことをこの方は不思議におもしろく説明されました。542672

 (強引なお願いにお応えいただいたことに感謝します。
以下、ところどころに小見出しを入れさせていただきました。インコのマネージャー)

裁判員制度の歴史
はじめに制度の歴史を簡単に話されました。
司法制度改革審議会という組織が平成13年に政府に答申したことで裁判員制度を作る方針が確定し、裁判員法を作成する組織が政府に設けられ、法案づくりが進み平成16年に裁判員法が成立した。実施まで5年間をかけた準備が行われ、平成21年に裁判員制度が実際に実施され、今年までに約9000人の被告人に裁判員裁判が行われている。

判員裁判の特徴
裁判員裁判の特徴は、 生命に危害を与えた事件を中心に重大な刑法犯罪に絞って審理をすることになっていて、その数は刑事事件全体の約3%しかない、それこそ悪質の上にも悪質とされる凶悪犯罪の審理について国民を参加させることにしたところに特徴があるのだそうです。

審理は3、4日程度で終える超短期裁判が多く、公判が始まる前に公判前整理手続という準備作業を実施し、裁判の争点とか証拠を調べる方針をそこで確定する作業を裁判官と検察官と弁護人が行うのだそうです。裁判員は参加しないらしく、裁判員裁判というのは公判が始まる前に大勢がが決まってしまうのではないかという印象を受けました。高山さんは、重大裁判は短い期間で裁判が終わり、それほど重大ではない裁判は長い期間をかけて審理するという不合理もこの制度は含んでいると指摘されました。569834

裁判員制度の目的
裁判員制度の目的は「主権者の司法参加」だなどと格好のいい説明がマスコミなどによって言われているが、本当は、国民に対して権力的な司法教育を施し、国民に秩序維持は大事だと思うように1人ひとりの物の考え方を作り直させることにあり、そしてこれを通して「心の改憲」を実現することにあるのだと高山さんは強調されました。そういえば、赤紙というのが戦前あったなとふと思いました。

  主権者は司法に自ら参加しているのではなく理不尽にも司法に動員されている。お上の考え方が結局正しいというような上から目線で物を見たり考えたりする人間を育成することに制度の目的があるのだということを強く訴えられました。

  ここがこの日のお話しの中心でした。「心の改憲」というのは、憲法何条を変えるとという論議の前にこの国の秩序を守るのは何をおいても大事だとかこの国を敵から守るのは大事なことだとかいう姿勢や気分を国中に広げることで、憲法を変える時期が来ているという気分をこの国の空気にする動きを指すのだろうと私は思いました。

制度の現状の特徴
しかし、実施7年、裁判員制度はもはや破綻しているというのが高山さんのご指摘です。
具体的に言えば、起訴から判決までの期間が当初の約5か月から約10か月と2倍に延びた。審理期間を短くすることが重要な目的だったのに、裁判官裁判時代より長くなった。公判前整理手続期間が実施当初の約3か月から今や約8か月と3倍近くかかっている。取り調べ証人の数も1.6人から3.0人と2倍近くに増えた。無罪率が裁判官裁判時代の83%に下がった。裁判所への出頭率が約40%から約23%に激減し、無断欠席が約16%から約35%に激増した。
そのようなご説明でした。571566

制度崩壊の兆候
政府や最高裁が予定した短縮の裁判化が思いどおりに進んでいないどころか、彼らの目で見てもすべての局面で制度は破綻している。国を挙げた大宣伝にもかかわらず、あるいは大宣伝のおかげでといった方がいいのかも知れないがと高山さんは会場を笑わせましたが、政府・最高裁は国民を巻き込むことに失敗し、制度に反発する気持ちを国民に固めさせてしまいました。

 裁判員をやりたくないと答える国民が85%を超え、国民に権力的な司法教育を施す狙いも秩序維持の立場に立つ物の考え方を国民に定着させる目的も破産してしまった。今裁判所に出てくる人たちの多くは政府や最高裁から出頭を望まれている人たちではなくなっている。もともとこの国の秩序を守ることは大事なことだと思っているごく少ない人たちしか裁判所に出かけていかない。

 最近のマスコミが裁判員制度の破綻状況を無視できなくなっていることは、福岡地裁小倉支部の「裁判員声かけ事件」で一気に強まったようで、全国紙や地方紙が徐々に裁判員制度の破綻を正直に言うようになってきていると高山さんは紙面を紹介しながら説明されました。みんなが裁判員をやりたくない、やらないという空気がこの国に満ち満ちている。この勢いで制度を終焉に追い込みましょうというのが結びの言葉でした。570213

度と改憲・戦争の現実的危機
高山さんは、ここで話題をこの国の改憲の情勢から朝鮮半島をめぐる危機のお話しに進められました。

 詳しいご紹介の力はありませんが、少しだけご紹介させていただきます。 韓国国防省が7月、中華人民共和国の反対を押し切って高高度迎撃ミサイルTHAAD(サード)を韓国に配備する決定を発表したことは朝鮮半島に戦争の危機が切迫していることを端的に示すものだと説明されました。サードは米陸軍が開発した射程200キロの弾道弾迎撃ミサイルシステム。習近平中国国家主席は、朴槿恵韓国大統領に、「問題の不適切な処理は地域の戦略的な安定の助けにはならず、矛盾を激化させる」と批判したそうです。

 在韓米軍は間もなく部隊をソウル南郊に移動し、ソウル中心部の在韓米軍司令部も近く南に移動することにしたそうで、こういう新態勢は韓国では臨戦態勢に備える新戦力配置と受け止められているとも話されました。

 実際、8月には米韓合同演習が実施され、米太平洋軍は、米空軍攻撃軍団の地球規模攻撃軍団の基幹戦力である戦略爆撃機B52、B1、B2の3機種をアジア太平洋地域に同時展開し、3機種はグアム・アンダーセン空軍基地から南アジア~北東アジア上空をデモ飛行したそうです。

 また8月下旬には、米韓7万5千人が参加して合同軍事演習が実施され、高水準の対テロ演習として金正恩委員長の斬首を含む「作戦計画5015」が実施されました。金正恩斬首作戦とは驚くほかありません。朝鮮人民軍総参謀部はこの演習は「規模・内容・性質において北朝鮮を対象とする全面的な核戦争演習」以外のものではないと断じ、「演習投入全敵に対し決戦態勢をとり核先制攻撃を仕掛ける」と警告した上、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射して日本の「対空識別圏」に落下させ、9月9日には、今年1月以来5回目の核実験を実施しました。534935

 韓国大統領は、金正恩委員長を殺害するKMPR作戦を公表し、これに対し北朝鮮は、「斬首作戦を展開する兆しが見えたら、核弾頭を搭載したノドンの即時発射命令につながる」と声明。韓国大統領は韓国国防省等に「金正恩委員長自らが脅威を感じる新たな軍事対応の検討」を指示し、閣議では「核ミサイルが1発でも発射されれば、北の政権を終わらせる覚悟で報復態勢を維持せよ」と叱咤したと報道されています。

  そして10月中旬、黄海で実施する米韓合同海上訓練に米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」と一緒に戦略爆撃機B1を参加させ、北朝鮮指導部施設の精密攻撃訓練を集中的に行う「大規模制裁・報復」作戦が公表され、これはもう実施されました。

 安倍首相が、9月26日、臨時国会の所信表明の中で、スタンディングオベイションを議場に求めたことは広く知られましたが、高山さんは、「今この時も緊張感をもってこの国を守っている海保・警察・自衛隊員に敬意を示す拍手を送ろう」と言った首相の言葉は、スタンディングオベイションを求めたこと以上に、戦争前夜の緊張態勢にあることの自覚を国民に求めたことに注目しなければならないと強調されました。

裁判員制度の危機と改憲・戦争の危機
高山さんは、裁判員制度に反対する力と戦争を止める力はその根のところがつながるひとつの戦いだとおっしゃいました。

 この間の戦争法の成立と施行はこの国が朝鮮半島に戦争を仕掛けて出て行く前触れと見なければならず、その貫徹には改憲がやはり欠かせないと彼らは考えている。そしてそのためには裁判員制度の定着が必須の前提だったのに、そのもくろみは打ち破られた。彼らの戦略が一角から崩れつつある。そのことに確信をもって戦争勢力の息の根を止める行動に立ち上がろうとまとめられました。

 いつか来た道、戦争再来の危機の時。私たちが肝に銘じなければならないことをこの日の高山さんのお話で確信しました。
11月18日には日比谷公園から最高裁に向けて裁判員制度反対の街頭行動が予定されているそうです。自ら身体を動かして裁判員制度に反対する世論と反戦の国民行動を結びつけ、改憲阻止の大きな流れを作っていきたいと思いました。

以上

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投稿:2016年10月17日

裁判員に対する声掛け事件

マスコミ、刑事法学者が裁判員制度に賛成する論拠が破綻したことを意味する

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」9月17日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

裁判員に対する声掛けを行った工藤会組員が起訴され、その裁判が始まりました。
罪状認否では、1人は否認し、1人は認めています。

裁判員に対する声掛けは、基本的には接触自体が禁止されています。
裁判員法73条
何人も、被告事件に関し、当該被告事件の裁判員又は補充裁判員に接触してはならない。
2 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。

罰則は78条ですが、ここでは単なる接触ではなく威迫した場合になります。
裁判員法78条
被告事件に関し、当該被告事件の裁判員若しくは補充裁判員若しくはこれらの職にあった者又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
2 被告事件に関し、当該被告事件の裁判員候補者又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他のいかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者も、前項と同様とする。

裁判員に接触を禁止することは非常に問題があります。かつて読売新聞の記者が接触したことがあり、読売新聞が自己批判するに至っていますが、取材の自由すら制限してしまうもので民主国家ではあるまじき規制なのです。

もっとも威迫ということになると、裁判員でなくとも問題になりうるものです。裁判官に対して威迫すれば公務執行妨害の容疑にもなります。
工藤会の組員というだけで通常は声を掛けられれば、その目的(意図)はわかりすぎるくらいわかりますから、誰であっても怖くなるのは当たり前です。
暴力団であるが故にそれを誇示すること(相手が認識していることを含む)だけで震え上がるのは当然です。
従って声を掛けただけという被告人の主張には大分、無理があるように思います。
もっとも裁判員法が憲法違反であれば守られる法益はなくなるかといえば、単なる脅迫罪の適用もあり得ることですから、裁判員法=違憲=無罪にはなりません。

さて、この事件を契機に検察側は、工藤会の事件はすべて裁判員裁判の適用除外を請求する方針を固めたそうです。
裁判員裁判ではなくなる、職業裁判官のみの裁判になることが「決定」しました。もともと暴力団犯罪のようなものについては、選ばれる国民が拒否するであろうからという理由で適用除外が制度化されたものです。
刑事裁判のために必要だから導入されたものではなく、あくまで国民「参加」のための制度だからです。

朝日新聞には識者として元裁判官の森炎(ほのお)弁護士のコメントが掲載されています。
裁判員声かけ、元組員が無罪主張「脅迫の意図なかった」」(朝日新聞2016年9月16日)
「裁判員の安全をどう確保するかは制度導入時から想定されており、課題として認識していたはずだが、実際に事件が起きた。裁判所は十分な体制をとっていなかったと言われても仕方ない。裁判員の安全確保は裁判所の責任だ。
一方で、暴力団が関わる裁判を安易に裁判員裁判の対象から外すのは、司法の民主化に逆行する。裁判所が所内の警備や帰宅時の送迎などの安全策をきちんと講じるとともに、今回のような違反者を厳正に処罰することを通じて、再発を防ぐべきだ。」

裁判所が体制を取らなかったのが問題だという意見ですが、具体的に裁判所がどのような対応が取れたというのでしょうか。
敷地内であれば可能でしょうが、敷地を出てしまえば、裁判所としてはどうしようもなくなります。
先般、私はこの裁判所の安全体制について文書開示請求を行ったところ、「裁判員等の送迎」の項目があり、送迎も1つの方法として検討されていることがわかります。但し、具体的な方法については「裁判員等の安全確保に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報(裁判員等の送迎方法等)が記載されており」としてこの部分が一部不開示になりました。

( )の部分が不開示ですが、大したことは書いていないでしょう

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とはいえ、この送迎で安全が確保できるかといえば、そうは行かないでしょうし、送迎も一部の裁判員裁判に限定されるでしょうから、送迎から除外された裁判員には不満(不安)が募ることになります。
実際にこのような安全確保など無理な話です。過去には被告人(組関係ではありません)が裁判員にお前の顔を覚えておくと言った事件もありました。
裁判員にとっては暴力団関係者以上に怖いだろうし、そのような声に出して言わなくても、実は被告人の逆恨みを買っているかもしれません。
それでいて裁判員制度の意議なるものを強調して、「安易」に対象から外すのは問題という主張も、呼びつけられる国民からすればたまったものではありません。
裁判員が顔を見られないようにするなどできるのだろうか いびつな刑事裁判

この適用対象からの除外することについては、制度が始まる前から、裁判員制度に反対する立場からの批判がありました。
暴力団関係者の事件に「市民感覚」は反映されなくていいのですか。

この批判は、裁判所や検察庁などの国に対する批判としては実は的外れです。
国民をして統治機構の一員に動員し、統治に対する責任を果たせというのが制度趣旨ですから、工藤会を除外していくという検察の方針は、決して制度趣旨に反しているわけではないからです。
国政モニターからの裁判員制度に対する疑問 疑問に正面から答えない法務省

誰に向けられた批判かといえば、裁判員制度は「市民感覚」の反映とか「民主化」だなどと後から勝手に制度理由を作り上げたマスコミや刑事法学者たちに対する批判です。
マスコミや刑事法学者(特に現状の刑事裁判に批判的な「進歩的」な刑事法学者)は、統治責任論は組みすることは出来ません。
そこで、「市民感覚」の反映とか言って、マスコミは国民動員を正当化しようとし(本来の制度趣旨では国民が動員に納得しないのは明らかだから)、刑事法学者は、刑事裁判の改革(えん罪防止)として位置付け、裁判員制度に賛成することを合理化しようとしたのです。
従って、上記のような批判(暴力団事件には「市民感覚」は反映しなくてよいのか)には相当、悔しい思いをしているのです。だから「制度趣旨が~」と声高に叫び、適用対象から外すことを批判し、裁判員の身の安全確保について裁判所を非難しているのです。員

上記の朝日新聞のコメントについては批判として筋違いであり、マスコミや刑事法学者たちの裁判員制度に対する位置付け(刑事裁判の改革によるえん罪防止)には無理があったということを認めるべきでしょう。

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投稿:2016年9月29日

『読売新聞』投稿読者の考える裁判員裁判

1-e13979012763489月6日、『読売新聞』のコーナー「気流」に、「裁判員務め達成感」と題する投稿が掲載された。

hiyoko2-1「嫌悪感投稿」は問答無用に不採用でしょうが、「達成感投稿」というのも最近は珍しいですね。

001177投稿者は東京都練馬区に住む59歳の主婦野口紀子さん。記事を貼り付けます。
160911i
hiyoko2-1終わった後は「一つのことを成し遂げたすがすがしさを感じて貴重な体験になった」ですか。うーん。

001177際限もなく毎日同じことを繰り返し、家族からはやって当たり前と見られているような人たちからすれば、「達成感」とか「すがすがしさ」とか「貴重な体験」もわかるような気がします。

1-e1397901276348主婦一般をそのように断じるのはちょっと問題だがね。裁判員はやりたくないという主婦はものすごく多い。そのこともちゃんと頭においておかねばならない。

001177れはそうですけどね。この方どう思っていたか知りませんが、現実の裁判にはテレビドラマのような華々しさはもちろんありません。行うのは緻密な作業そのものです。ただし以前ならこの作業が何ヶ月にもわたって行われるのが当たり前でした。今はそれがほんの数日だけです。野口さんにわかってほしいのは、たった数日、表面をなぜるような審理をすることを「緻密な作業」とは言わないということです。

hiyoko2-1厳しいですね。

1-e1397901276348厳しいと言えば厳しいがそれは真実だ。経験したことのない経験をした、実態をありていに言えば、自分には日ごろ経験しない特別の世界だったという程度のことなんだな。

001177非日常を味わえ、裁判長からは丁重にねぎらわれて大いに満足したのでしょう。

1-e1397901276348裁判所などという「おそろしいところ」に出かけていったら、裁判長から「それぞれのお仕事を横に置いて裁判という国家の大事に関わって下さったことに心からお礼を申し上げる」なんて頭を下げて言われた。「皆さんが裁判に関わられた意味を私たち裁判官は肝に銘じてこれからの仕事に活かさせていただきます」なんてそれこそ気持ちをくすぐる言葉が裁判長の口から滝のように流れ出た。生まれて初めての褒め言葉で疲れ切った神経を癒そうというもくろみ。そのように言えと最高裁が事細かに指示しているのだ。

001177この裁判長ご挨拶の直後に裁判員たちの「アンケート調査」が行われるんでしょ。そこで裁判員たちに変な回答を書かれたら、裁判長の指導成績に×が付きますよね。

1-e1397901276348そうさ、裁判長も必死さ。ここで裁判員たちのご機嫌をとっておかねばと、歯の浮くような言葉を恥ずかし気もなくかけまくる。

001177「一つのことをやり遂げた達成感」は、主婦にとっては特別な体験でしょう。おまけに日当も出る。小遣い稼ぎにもなる。主婦が家を空けることを快く思わない夫や家族がいても、「お上の御用」で外出の堂々たる名目もできる。うっとうしい毎日から少しは解放される。

hiyoko2-1意地悪な見方ですね。

001177いけずは文化どすえ。

hiyoko2-1なるほど、そういうのをいけずと言うんですか。でもその解放感やら達成感やらは、犠牲にされる被告人にとっては、ふざけるなっていう話じゃないでしょうか。

1-e1397901276348キミも結構いけずだぞ。ところで、マネージャーは京女やなくて難波のこいさんやろ。きつねが狸に化けたらうどんが蕎麦に…、でも京都のたぬきは餡かけで…

001177本題に戻りましょう。刑事裁判の目的は何かです。何度も言ってますが、刑事裁判は市民の社会見学の場でも主婦に異体験をさせる場でもありません。どうしてもというのならば、司法アミューズメントセンターを作るとか各地のAM施設に裁判ゲームなんかを設置させたらよろしおます。

hiyoko2-1気になるのは、「裁判所が一般市民の感覚による司法判断を求めている」というところです。裁判官は、法的な解釈などわかりづらいこと、難しいところを丁寧に説明しなければなりませんが、裁判員の理解力もそれぞれでしょうし。正直言って現場の裁判官が素人感覚の司法判断を本気で裁判員に求めているとか、裁判員の意見を参考にしているとはとても思えません。この話にはどこかにウソがあるような。

001177この方はとても素直な方なのでしょう。目の前にいるプロの裁判官から「あなたの判断が必要」とやさしく言われても疑うことを知らないお人好しです。裁判官にすれば、最高裁が制度を推進している以上、お客様の裁判員にはそう思って貰うしかない。野口さんはとても満足しているらしいので、この事件の裁判官たちは最高裁から覚えめでたいでしょう。

hiyoko2-1「意見はしっかり伝えたつもり」とありますが、それが判決に反映されたかどうかは書かれていないです。

001177「つもり」って言ったって伝わったかどうかわからないでしょ。「つもり」には前もっての計算や前もっての考えという意味もありますが、「実際はそうでないのに、そうであるかのような気持ちになる」っていう意味もあります。つまり自己満足っていうことです。

1-e1397901276348しっかり伝えたつもりでどうなったのか。裁判官にしっかり伝わって採用されたのか。伝わったはずが伝わらなかったのか。

001181この間、東京地裁には裁判員裁判の無罪判決はないように思います。野口さんが参加した裁判も判決は有罪だったのではないでしょうか。そうだとすると、「伝えたつもり」の意味は極めてシリアスな話になってきます。

hiyoko2-1「意見はしっかり伝えたつもり」というのは、被告人が有罪になることを前提に、あなたはこのように更生したらどうかなど、自分の意見を伝えた「つもり」という話になるのではないでしょうか。そうだとしたらそれこそ上から目線の生き方指導ですよね。

001178まね0こういう人は、死刑判決を言い渡すような事件でも、「あなたはやっぱり死んでお詫びして貰うしかない方ですね」なんて、案外平気で言えてしまうかも知れません。

1-e1397901276348何にせよ、裁判官にすれば、裁判員に「私の意見を取り入れて貰えた」と思わせて帰らせれば良いだけだからな。

001177いえいえ、私はしっかり反映されたと思いますえ。何と言うても、裁判官の方々が丁寧に説明してくれはったことで導き出された貴重な意見どすぇ。裁判官たちにとっては自分の意見を反芻して市民の言葉として言ってくれたってなりますやろ。

1-e1397901276348ほんまにいけずな言い方でんな。

001177同じ日の新聞に、5日付けで大阪高裁長官から最高裁判事にご栄転の菅野博之さんの抱負が載っています。「裁判には人の人生や会社の命運がかかっている。一つひとつを誠実に見ていきたい」

1-e1397901276348ほう、そうかね。人の人生、いや命さえかかっている刑事裁判を「素人の貴重な体験の場」に提供しておいて、「誠実にみていきたい」もないだろうが。

001177私はある意味、これは正直な回答だと思います。「見ていきたい」とは単なる希望、「見ていく」と断言した訳ではないですから。

hiyoko2-1見ていってどうするんだ、見てるだけかとも言えますね。とかくこういう話には中身がないってことっすね。

001177そう。今でも最高裁は、裁判員制度で刑事司法が壊れていき、現場の裁判官が疲弊していくのを「見ているだけ」です。これからも「見ていくだけのつもり」なのでしょうね。

20160418inko「つもり」には、酒宴最後の酌という意味もあるらしい。今日はいつになくマネージャーが激しいというか元気だった。その記念をかねてわれわれは制度終焉の前祝の宴と行こう。

hiyokowarai1賛成です。

 

投稿:2016年9月11日

国政モニターからの裁判員制度に対する疑問 

疑問に正面から答えない法務省

弁護士 猪野亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」8月30日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

国政モニターの方からの裁判員制度の疑問とそれに対する法務省の回答です。
裁判員制度について(回答:法務省)平成28年8月29日掲載

モニター裁判員制度疑問

法務省の回答は、見事にお役所回答です。
これが回答の根幹部分です。
「約7年にわたる裁判員制度の運用により、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判内容に反映されることによって、司法への国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることになるという制度に期待された効果が実現しつつあると認識しています。」

制度に期待された効果とは、どのような形で実現されてきたのでしょう。

東京高裁の死刑判決破棄を最高裁は是認しましたが、マスコミからも最高裁批判が飛び出しました。
最高裁 裁判員裁判の死刑判決を認めず!
オウム元信者に対する東京高裁の無罪判決などもそうですが、モニターの方が提示した質問には全く答えていません。モニターの方の趣旨は、裁判員の感覚(意見)が反映されているというのであれば、それに従った判決(結論)にならなければおかしい、ということです。
法務省の回答は、はっきりとずらしています。
もっとも法務省には正面から答えることはできません。今さらながらに裁判員制度の本質を示すことになってしまうからです。
法務省の回答の意味は、国民が裁判員として裁判官とともに評議を行い、国民を関与させた、そういったことで司法が直接、国民に依拠している体裁を作り出し、権力側に立つという自覚をしろというものです。それをわかりにくくして回答すると上記のような回答になるのです。

もともと裁判員制度を提唱した司法審意見書では次のように述べられています。
「21世紀の我が国社会において、国民は、これまでの統治客体意識に伴う国家への過度の依存体質から脱却し、自らのうちに公共意識を醸成し、公共的事柄に対する能動的姿勢を強めていくことが求められている。国民主権に基づく統治構造の一翼を担う司法の分野においても、国民が、自律性と責任感を持ちつつ、広くその運用全般について、多様な形で参加することが期待される。」

このような内容で法務省が回答できるはずもないので、官僚答弁のような回答になったということです。
この視点から回答すれば、次のようになります。

【法務省が本来回答すべき内容】
裁判員の身の安全については、ご自身で守って頂くよりありません。裁判所の敷地を出れば裁判所(国)の責任ではありませんし、国家の一員としての責務ですからその自覚を持つことが求められています。
裁判官が従来の判決を下すということについては、地裁では評議によって裁判官だけでなく裁判員がともに考えて出した結論ということになります。それが従前の量刑と変わらないとしても、評議に参加した裁判官、裁判員によって出された結論であることに自信を持って下さい。その裁判員は国民を代表して参加したのですから、参加していない国民も同様に共感してください。
高裁、最高裁で裁判員が関与した判決が破棄されることもありますが、だからといって裁判員が関わった判決の意義が失われることは全くありません。裁判員も時にはその判断が間違うことがあるのも仕方ないことであり、むしろ国家の一員として関与したのですから、そこに自信を持つことが大事なことです。
裁判員となることは国民としての義務ですから、その点はご理解ください。
報酬についても相応の基準となっていることをご理解ください。
裁判官の批判をかわすことが目的ではなく、あくまで裁判員とともに結論を出すことについてご理解ください。

このような感じになりますが、この程度の回答が何故、できないのか不思議です。
制度についても、相変わらず裁判員の辞退率は65%前後、出頭率は25%を切っていて、瀕死の状態です。
裁判員制度に関する速報値(2016年6月) 工藤会による影響の有無は?

だから法務省は「安心して裁判に参加していただけるような環境を整えることが重要」と述べているのですが、もう後がないからです。

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投稿:2016年9月10日

新刊ご案内『裁判員制度はなぜ続く』

前著『裁判員制度廃止論』に続く渾身の163131ii
裁判員制度告発書(花伝社)。
制度最末期の現実が鋭く解剖されている。著者は、福島ストレス訴訟の原告で元裁判員の一審代理人。
その経験を踏まえて展開される2011年11月16日最高裁大法廷判決の徹底批判がコア。完膚なきまでに叩く。
最高裁のどこが最高なのか、そのお粗末さと愚劣さは判決のすべてに恥をさらして表出する。
最高裁は、法務省は、そして提灯を振りまくった日弁連・マスコミは、怒りの指摘に反論できるか。できなければ白旗を揚げて非を認めろ!
水に落ちたイヌは二度と浮かび上がらせてはならない。
今という時期、制度に疑問を持つ人、反対する人にも制度の「しまい方」を考えるために熟読を強くお勧めしたい。 byインコ

 

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投稿:2016年8月26日

『朝日』はどこへいく 「不買8割」の危うい悪夢 !?

1-e1397901276348溜まってた新聞の山の中に、『日経』よりも10日ほど前に裁判員制度を論じた『朝日』の社説があるのを発見した。7月20日号だ。

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おっと今度は前振りなしの直球ですね。

1-e1397901276348新しい新聞が上に積まれていたので、『朝日』の紹介が『日経』より後になった。『朝日』をテーマにするのを後に回したわけではない。

焦る(はいはい、わかりました。)

1-e1397901276348日経』と差を付けたと言われるのは心外なので、今回も全文をご紹介する。タイトルをみてごらん。さすがは『朝日』だ。

hiyokoyoko1(なんかずいぶん構えてますね。)

                        »•l‚̂Ђ܂í‚è

1-e1397901276348タイトルがすべてを決めると言ってもよい。このタイトルは「暴力団の組幹部が裁判員を威圧した。だが動揺することなく裁判員制度の崇高な意義をもう一度確認して前へ進もう」ということだ。さぁ、また議論してみようじゃないか。

hiyoko2-1ボク、最初のところでちょっと引っかかります。

1-e1397901276348ぅ、また最初のところか。いいだろう、聞こうじゃないか。

hiyoko2-1「裁判員を威圧」とありますが、威圧したことは確定している事実でしょうか。

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裁判所から出てきた裁判員たちに2人の男が「よろしくね」なんて声をかけたっていうことでした。

1-e1397901276348裁判員たちは不安を感じたと言っている」という報道もある。だが、声をかけたとされる男たちが脅したと認めているという報道はみてないな。

hiyoko2-1対立するかもしれないこと、確定的な結論が出てないことについては慎重な態度をとるのがメディアに求められる基本的な姿勢ではないかと。

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少なくとも威圧に?をつけるとか、「」をつけるくらいの配慮はすべきでしょうね。

1-e1397901276348出だしのところでこの社説は失格だと言いたい訳だ。

hiyokosyoumen1そこまでは言いませんが、脇の甘い文章だと思います。

15005011おぉ~

1-e1397901276348ヒヨコ君に脇が甘いといわれては大『朝日』の面目は立たんな。いい加減さがこんなところにも表れているというのは確かだ。

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(ほほ、なんかこの子はこのところずいぶん成長してきたような。)

1-e1397901276348内容に入ろう。「声かけの後、参加を辞退する裁判員が相次ぎ、職業裁判官だけで審理をやり直すことになった。ゆゆしい事態である」ときた。ゆゆしいとはどういうことだ。

hiyoko2-1広辞苑によれば、ゆゆしいは由々しい。「神聖なので触れてはならない、忌まわしい、うとましい、気がかりである、恐ろしいほど優れている、容易でない、すばらしい、勇ましい」などと説明されています。

1-e1397901276348いろんな意味がある言葉だが、そうするといったいそのどれなんだ。話の筋から言って優れているとかすばらしいとか勇ましいということではなさそうだな。触れてはならないも忌まわしいもうとましいもちょっと違うだろう。

hiyoko2-1そうすると「気がかりである」ですかね。

1-e1397901276348んなところだな。だが、「市民参加命(いのち)」の『朝日』はどうしてこんなところで市民生活でほとんど使わない小難しい言葉を急に使うんだ。ヒヨコ君だって昨日の試験の結果はゆゆしいなんて言わんだろう。

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「気がかりな事態である」と言えばいいだけなのに、難しそうにひびく言葉を使って飾ってみたかったんでしょ。

1-e1397901276348小賢しい。で、何がゆゆしいのだ。声かけか、相次ぐ辞退か、それとも審理のやり直しか。

hiyoko2-1続いて「最初から裁判官裁判にしておけばよかったという声もあるがそれは違う」と言っているところからすると、ゆゆしいのは裁判官裁判に切り換えたことではないですか。

1-e1397901276348裁判員法は裁判員裁判の対象事件も例外的に裁判官だけでやることを認めている。だがそれは例外中の例外でめったなことでは裁判官裁判にしてはいけないはずだと社説は言っている。

hiyoko2-1ということは、この事件の公判は、声かけがあっても裁判員の辞退が相次いでも断固裁判員裁判で押し通すべきだったのに、小倉支部がころり裁判官裁判に変えてしまったのはけしからんと言っているんでしょうか。

1-e1397901276348はっきりしないが、そうではなく、裁判員裁判は本来はやはり裁判員裁判として進行させ、裁判員の安全には万全の対策を講じるべきだったという一般論を言ってるようだな。

001177

この事件の公判について言えば、こんな状態になってしまったら裁判員裁判を通すのはもうムリです。殺人未遂の裁判員裁判が開かれるので裁判所に来てくれという通知が小倉支部から来たら、誰だって「あの事件だ!」って気づきます。喜んで出て行く裁判員候補者はたまたま選ばれた組関係の人たちだけでしょう。

1-e1397901276348社説は、「『無理して裁判員裁判をやる必要はない』という方向に流れてしまっては私たち社会全体が理念を放棄し、無法に屈することになりかねない」と言っている。

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大風呂敷を広げましたね。「主権者として司法権の行使にかかわり、ふつうの感覚を裁判に反映させる」のが市民の司法参加の意義だとして、その理念を社会全体が放棄してしまっていいのか、それも暴力団の無法の前にひざまずいてしまっていいのかと来ました。

1-e1397901276348国民の85%がもうその理念を投げ捨てたいと言っているということを『朝日』の論説委員は完全に無視している。見て見ぬふりだ。

hiyokosyoumen1「無法に屈する」って言うけれど、国民の圧倒的多数が処罰の威嚇をものともせず、不出頭を断行していますよね。国はもう国民の無法に屈してるんと違いまっか。

1-e1397901276348突然の関西弁はやめなさい。ただし、私たちの社会全体がもう裁判員制度の理念なんとやらをしっかり放棄していて、この国の司法権力は国民の無法総反乱にあえなく屈しているというヒヨコ君の見方は極めて正確だ。

001181私もひと言。社説は「国民と直接結びつくことによって司法の基盤を強固にし、行政や立法をチェックする権能を高める」と言ってますが、裁判員制度にはそんな目的があったんでしたっけ。

1-e1397901276348それこそ、『朝日』のでっち上げだ。いや、革新政党や日弁連もそれと似たようなことをいっているから、ねつ造は彼ら全体の連帯責任だがね。

hiyoko2-1どこがねつ造ですか。

1-e1397901276348「国民と直接結びつくことによって司法の基盤を強固にする」というのは正しい。もっともそれは、国民を直接裁判に関わらせることでこの国の司法の正統性を多くの国民に知らしめれば、お国の司法は引き続き安泰盤石だと言っている。つまり司法の基盤を強固にするというのはひどく権力的な意味なのだ。

hiyoko2-1後半の「司法の基盤を強固にし、行政や立法をチェックする権能を高める」はどうですか。

1-e1397901276348これがとんでもない大うそ。裁判員制度の目的にはそんなことはまったく入っていない。考えてごらん。市民参加で行政や立法をチェックする権能を高めるなんてことを、行政や立法の中心にいる連中が考え出したりするはずがないだろう。政府や国会が自分たちの横暴を国民にチェックしてもらうためにこの制度を導入したなんてどこで議論し、どこにそんなこと書いてあるか言ってみろってことだよ。

001177

どこでも論じられていないことを『朝日』は制度の目的であるかのように言っているということですね。

1-e1397901276348そう、このねじれでたらめ路線が『朝日』の社是だ。その徹底ぶりは、もう最高裁さえ言わなくなった「おおむね順調」論をこの期に及んでも言い募っているところによく表れている。

001177

危機を正面から論じようという『日経』とはだいぶ姿勢が違いますね。

1-e1397901276348大違いだ。一番重要なことを言っておこう。もう一度前号『日経』評論は「制度終焉詔勅」の序章かの『日経』大島氏の論考を読み返してごらん。「制度否定派が『ほら見たことか』と持ち出しがちな数字だが、この『不都合な真実』こそ直視すべきだろう。それなくしては裁判員制度の課題は語れない」というくだりがあった。

hiyoko2-1ありました、ありました。大島さんは、「裁判員制度はいらないインコ」のブログを見てくれているのかなぁと思いました。

1-e1397901276348しかし、『朝日』の社説は、85%のノンにも触れず、出頭率たった23%にも触れていない。そして、裁判員制度に反対する意見や運動をそれこそ徹底的に無視し、その存在そのものにまったく触れない。世の中に否定意見や反対運動など何もないという風情だ。

hiyoko2-1前は少しは紹介していたと聞きましたが。

1-e1397901276348多少は紹介していた時期もあったが、制度に対する市民の反応が厳しくなるほど提灯記事が増え、異論排除に徹するようになった。

hiyoko2-1そういえば思い出しました。『朝日』は昨2015年1月5日に「信頼回復と再生のための行動計画」という立派な計画を発表しています。

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その「理念」の内容は次のとおりでした。

1.公正な姿勢で事実に向き合います
事実に基づく公正で正確な報道こそが最大の使命です。社外からの指摘に謙虚に耳を傾け続けます。事前・事後のチェック体制をしっかり構築し、間違いは直ちにただす姿勢を徹底します。
2.多様な言論を尊重します
読者とともにつくる新聞をめざします。多様な価値観や意見を紙面に反映するとともに、朝日新聞の記事や論説に対する異論・反論も幅広く掲載するフォーラム機能を強化します。今まで以上に複眼的な見方を意識した記事を増やします。
3.課題の解決策をともに探ります
よりよい明日をつくっていくために、社会の仕組みや生活に密着したテーマについて幅広く考える情報を提供します。問題点の指摘にとどまらず、みなさまと課題を共有し、多角的な視点でともに解決策を探るメディアへと進化させます。 

 001177この一つひとつの理念を裁判員制度にあてはめるとどういうことになるのかこの新聞社に尋ねたいですね。 

1-e1397901276348制度命(いのち)で提灯記事を書く新聞社が、「事実に基づく公正で正確な報道こそが最大の使命」だとか「多様な価値観や意見を紙面に反映させるとともに異論・反論も幅広く掲載する」など、聞いて呆れ読むのも恥ずかしくなる。

hiyokosyoumen1こういうのを「計画倒れ」とか「絵に描いた餅」とか言うのでしょう。「ののちゃん」が早朝から勉強して夏休みの宿題は7月中に終わらせるぞと立てた「夏休み勉強計画」みたいなもんかな。

001177

はいはい、「ののちゃん」は無謀な計画は最初から立てないでしょう。それよりも「朝日はどこへいく『不買8割』の危うい現実」なんていうエッセイがどこかの新聞に登場する前に我が姿を鏡に照らして脂汗でも流した方がよさそうですね。

hiyoko2-1ボクもそう思います。

1-e1397901276348今回は2人ともやたら冴えているな。お疲れ様と言ってあげよう。私がインコのお山を長期不在にするのは意外によいことかも知れん。

201600814それはちょっと問題が違うと思います。

 

 

投稿:2016年8月16日