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2017年12月

12月26日 水戸地裁
2015年に路上で男性(50)をクロスボウ(洋弓銃)で撃ったとして、殺人未遂などの罪に問われた39歳の男性に対し、懲役12年6月(求刑15年)を言い渡した。
判決理由で寺沢真由美裁判長は「通行人を無差別的に狙った極めて危険な犯行で、強い非難に値する」と述べた。弁護側は「縁石を狙った」などとして傷害罪の適用を訴えていたが、「被害者を標的として、高い殺傷能力を有するクロスボウの矢を発射した」と殺意を認定した。
判決によると、被告は15年4月15日午前1時500分ごろ、たまたま自転車で通りかかった男性にクロスボウの矢を放ち、右脚に矢を貫通させてけがを負わせた。

12月26日 千葉地裁
路上で昨年12月、21歳のベトナム人の遺体が発見された事件で、殺人罪などに問われた24歳のタイ人に対し、高橋康明裁判長は「あまりにも浅はかで、短絡的な犯行」として懲役13年(求刑14年)を言い渡した。判決理由で高橋裁判長は「被告はけんかの生じそうな状況に自ら飛び込み、予期した通り対峙した被害者を積極的に攻撃した」と指摘。弁護側の主張する正当防衛や過剰防衛は成立しないとした。
判決によると、被告は昨年12月25日、路上で、被害者に対し殺意を持って包丁で背部を突き刺すなどして殺害したとしている。

12月26日 横浜地裁
勤務先の保育施設で女児15人にわいせつな行為を繰り返したとして、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた36歳の元保育士に、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
被告は、保育施設で2015年、当時生後4カ月の男児が死亡した事件で傷害致死罪に問われており、来年1月に同地裁で初公判が予定されている。
深沢茂之裁判長は「他の保育士がいない時間帯を狙うなど、計画的かつ常習的で卑劣極まりない」と指摘。「立場を悪用し、被害児童の未熟さと信頼に乗じた。悪質性は際立っており、厳しい非難に値する」と述べた。
判決によると、15~16年、2市の保育施設で、当時1~6歳の女児15人に、計50回にわたりわいせつな行為をした上、裸を携帯電話で撮影してデータを保存するなどした。

12月26日 横浜地裁小田原支部
 赤信号を無視して交差点に進入、ミニバイクの男性=当時(38)=を乗用車ではねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた少年(19)に対し、安藤祥一郎裁判長は懲役4年以上8年以下(求刑5年以上10年以下)の不定期刑判決を言い渡した。
弁護側が故意に信号を無視していないと主張し、危険運転致死罪の成立が争われた。
安藤裁判長は、判決理由で、少年が赤信号を交差点の停止線約130㍍手前で認識していたのに減速せず、故意に無視したと認定。「酌むべき経緯や動機は見当たらない」と指摘し「交通法規を守ろうとする意識が欠如しているといわざるを得ない」とした。
判決などによると、少年は昨年8月16日午前2時半ごろ、県道交差点で、制限速度を約40㌔超える時速約90㌔で乗用車を運転。赤信号を無視し交差点内に進入、左側から直進してきたミニバイクの男性をはねて死亡させた。
弁護側は控訴について「これから検討する」としている。

12月25日 水戸地裁
昨年6月、42歳の女性を釣り具のフィッシュピックで刺して殺害し、近くの川に遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた18歳の少年に対し、小笠原義泰裁判長は、求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡した。
小笠原裁判長は判決理由で、少年が被害者を60回以上突き刺したことなどを「執拗で危険性が高く、被害者に与える苦しみは大きい」と指摘。通りすがりの女性を襲ったことについても「通り魔的な犯行で、理不尽さや身勝手さは非難に値する」と述べた。
保護処分を求める弁護側の主張に対しては「被告人なりに罪の重大性を自覚している」とした上で、「保護処分を許容できる特別な事情は認められない」と退けた。
判決によると、少年は昨年6月30日夜、農道をサイクリング中、「人を刺したい」などと考えて、自転車で通りかかった被害者の背中や頭などをフィッシュピックで多数回突き刺して殺害し、遺体を川に遺棄したとしている。

12月25日 千葉地裁
 国道交差点で6月、乗用車と大型トレーラーが衝突し、横転したトレーラーの男性が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた車の43歳男性に対し、金子武志裁判長は「非常に危険で無責任」として、求刑通り懲役10年を言い渡した。
金子裁判長は「アルコールの影響を強く受けた危険性が高い悪質な運転。死亡事故は起こるべくして起きた」と指摘、弁護側の交差点の構造が複雑で赤信号を見落とし過失運転にとどまるとの主張を退けた。

12月25日 最高裁
オウム真理教による東京都庁郵便爆弾事件で殺人未遂ほう助罪に問われ、1審の裁判員裁判で懲役5年、2審では逆転無罪となった46歳の元女性信者に対し、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は検察側の上告を棄却した。
無罪が確定する。5人の裁判官全員一致の意見。

12月25日 和歌山地裁
 幼い娘2人を連れて無理心中を図ろうとしたとして、殺人未遂の罪に問われた29歳の母親に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。
判決によると、母親は、当時6歳の長女の手を引き、また、生後1ヵ月の次女を抱きかかえたまま海に入り、溺死させようとしたとされる。2人の子どもは、近くにいた男性が異変に気付き、救命措置を行うなどしたため無事。
検察側は、「抵抗できない未来ある子どもたちを自殺に巻き込んでおり、動機は短絡的で身勝手だが、さまざまな悩みや不安を抱えて無理心中を図った経緯に酌むべき事情がある」と。一方、弁護側は、「精神疾患の影響であり、殺意は強いものではなく、自分の意思で犯罪を思いとどまり、救命措置を行うなどしていて、中止未遂が成立する」と主張。
判決は「自己の意思により、犯罪を中止したもの」として、中止未遂が成立するとしたうえで、「次女と長女を道連れにしようとしたことは到底許されるものでなく、動機は身勝手なものと言わざるを得ない」と。

12月22日 仙台地裁
  仙台、長野両市で知人らを暴行し現金を奪ったとして、強盗致傷罪などに問われた共に指定暴力団系組員の33歳男性に懲役15年(求刑18年)、43歳の男性に懲役14年(求刑18年)を言い渡した。
判決は「計画的に役割分担し、被害者の骨が折れるほどの強烈な暴行を加えた犯行態様は悪質極まりなく、非難は免れない」と結論付けた。

12月22日 福岡地裁
上司から預かったチワワが死んだことをごまかす目的で自宅アパートに放火し、計3棟を全焼させたとして、現住建造物等放火罪に問われた28歳の男性に対し、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。
判決では、被告は勤務先の代表者から命じられ、3階建てアパートの自室でチワワを飼育していた。そのチワワが死んだことが発覚するのを恐れ、2月12日夜、アパートの車庫で段ボールに火を付け、アパートや隣接する住宅など計3棟を全焼させた。
被告は公判で、代表者から日常的に暴力を受け、チワワを預かる際にも「何かあれば、娘にも同じようにする」と脅されていたことから、考え抜いた末に不慮の火災で死んだことにしようと思い付き、火を付けたと主張。平塚裁判長は「代表者に恐怖心を抱いていたことは認められるが、放火が他者の生命、財産を重大な危険にさらすことは明らかで、余りに短慮で身勝手」と述べた。

12月21日 奈良地裁
自宅で昨年12月、生後5カ月の長女を暴行し死亡させたとして、傷害致死罪に問われた24歳の父親に対し、無罪判決(求刑8年)を言い渡した。
西川篤志裁判長は判決理由で、捜査官から追及を受け、家族をかばうために犯行態様について供述を変遷させた疑いがあると指摘。「虚偽の自白をした可能性があり、信用性に欠ける」と主張した。長女の頭のけがについても証拠の裏付けがないと述べた。
検察側は論告で、被告が普段から顔を殴るなどし「暴力がエスカレート」と指摘。弁護側は布団に誤って落としたのが原因だと主張していた。

12月20日 東京地裁
アパートで中国人留学生=当時(24)=を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた中国籍の26歳の大学院生に対し、家令和典裁判長は求刑通り懲役20年を言い渡した。
家令裁判長は、被害者の首には10カ所以上の刺し傷があり、ナイフを持って待ち伏せしていた被告には強固な殺意があったと認定。もみ合った際に偶然刺さったとする弁護側主張を「不合理で信用できない」と退けた。
判決によると、被告は昨年11月、元交際相手の中国人女性に復縁を迫ったが断られ、女性が身を寄せていたアパートに帰宅した被害者をフルーツナイフで刺して殺害するなどした。

12月19日 金沢地裁
 パチンコ店で昨年11月、アルバイトの女子大学生(当時19歳)を包丁で切りつけ重傷を負わせたとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた48歳の男性に対し、田中聖浩裁判長は、傷害と銃刀法違反の罪を適用し、懲役4年6月(求刑13年)を言い渡した。

12月18日 宇都宮地裁
 職場の同僚だった女性に性的暴行を加えた上、包丁で切り付けたとして、強姦と殺人未遂の罪に問われている35歳の男性に対し、二宮信吾裁判長は懲役14年(求刑12年)を言い渡した。
弁護側は「女性の出血に気付き、背中を刺したり殴ったりした行為を被告の意思で中止した」として中止犯の成立を主張していたが、二宮裁判長は「被告は生命を救うための最低限のことをしていない」とし、弁護側の主張を認めなかった。また、被告の犯行態様を「身勝手さが極まっている」と非難し、求刑を上回る量刑を言い渡した。
判決によると、6月2日未明、20代の女性宅で、女性の首を絞めて脅した上で強姦し、その後、女性が110番通報すると、背中を包丁で刺して重傷を負わせた。

12月18日 千葉地裁
 2016年7月、金物店内に侵入した男がバッグを奪った上、追い掛けてきた会社員男性=当時(26)=を刺して逃げた強盗事件で、建造物侵入と強盗殺人未遂の罪に問われた60歳男性に対し、野原俊郎裁判長は「相当強い力で刃物を突き刺し危険な犯行」などとして、懲役12年(求刑14年)を言い渡した。
公判で弁護側は、被告から押収したバタフライナイフのDNA型鑑定結果の信用性は低いとして「別人の可能性がある」と無罪を主張していた。

12月18日 横浜地裁
オートバイにしがみついた男性を振り落として走ってきたトラックにひかせたとして、傷害致死罪に問われた23歳の男性に対し、懲役5年6月(求刑8年)を言い渡した。
弁護側は、信号を待っている間に被害者の男性(当時46歳)が前に立ちはだかったことに対する正当防衛だとして、無罪を主張していた。
片山隆夫裁判長は「被告がオートバイを発進させた行為は正当防衛に当たる」と認定。一方で、「その後に走行させた行為は過剰防衛に当たる」とし「道路脇に停車することもできたのに、危険な走行を選択した」と指摘した。その上で、「防御の意思だったとしても非難が低減するものではない」と量刑の理由を述べた。
判決によると、被告は2015年5月、市道で、ミラーが接触したなどとしてオートバイの前に立った男性の脇を避けながらオートバイを発進。オートバイの後部に男性がしがみついた状態で走行して男性を転倒させ、対向車線を走行中のトラックにひかせて死亡させた。

12月15日 高松地裁
 自宅で妻を殴り死亡させたとして、傷害致死罪に問われた69歳夫に対し、懲役5年(求刑5年)を言い渡した。
三上孝浩裁判長は判決理由で「落ち度のない妻に感情の赴くまま暴行し、身勝手極まりない。反省の態度は見受けられない」と述べた。
判決によると、被告は脳梗塞を患っていた妻=当時(72)=が自分の心配をよそに意に沿わない言動を取っていると思い込み怒りを募らせ、7月14日、部屋の掃除について言い返された際に頭を殴り、急性硬膜下血腫で死亡させた。

12月14日 福島地裁郡山支部
 今年3月、生後まもない娘を殺害した罪に問われていた母親に、懲役2年6か月(求刑5年)が言い渡された。
判決によると被告は、生後20日の娘の鼻や口などを塞いで窒息させ、殺害したとされる。井下田英樹裁判長は「育児への不安を募らせていたにも関わらず、両親などに相談せず、犯行に及んだことは短絡的」と指摘した。一方で「自首をして、反省している」と。

12月14日 千葉地裁
 2016年7月、53歳男性が複数人から暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた42歳の男性に対し、金子武志裁判長は「現場にいた以外に何ら役割を果たしていなかった」などとして無罪(求刑7年)を言い渡した。同事件での無罪判決は2人目。
公判の争点は、男性被告の被害者への暴行と実行犯とされる男たちとの共謀の有無だった。金子裁判長は、暴行を目撃したとする関係者の供述を「内容が曖昧で思い込みの可能性が拭えず、暴行は認定できない」と退け、「男性被告は動けない被害者を車に搬送するのを手伝うなど暴行に対して消極的な態度を取っており、共謀は成立しない」と述べた。

12月14日 横浜地裁
 今年1月、37歳男性を連れ去り死亡させたとして、逮捕監禁致死や死体遺棄罪に問われた39歳男性に対し、懲役15年(求刑20年)を言い渡した。

12月13日 仙台地裁
2015年12月、父親を刺殺したとして殺人罪に問われた当時19歳の元少年(21)に対し、加藤亮裁判長は懲役11年(求刑14年)を言い渡した。
弁護側は、元少年が幼少期から激しい夫婦げんかを日常的に目撃する心理的虐待「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」で健全な人格が育たなかったと主張し、一部執行猶予付き判決を求めていた。
加藤裁判長は「被告の人格や動機の形成に相応の影響を及ぼした点は一定程度酌むことができる」とする一方、「犯行を正当化するほどの落ち度が被害者にあったとは評価できない」と述べ、弁護側の主張を退けた。
判決によると、元少年は15年12月、自宅でアイドルのDVDを大音量で見ていた父親と口論になり、ナイフで胸や背中を約60回刺して殺害した。

12月13日 前橋地裁
 不倫相手の居酒屋経営の男性=当時(41)=を刺殺しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた42歳の女性に対し、国井恒志裁判長は「殺意は突発的だが、互いに不倫関係にありながら男性に別の交際相手がいる可能性を知り、一方的に怒りを強めた身勝手な犯行」として、懲役4年(求刑8年)を言い渡した。
国井裁判長は、男性の腹部の刺傷から、包丁(刃体26㌢)は相当強い力で刺さり、力が加わらなくなったために背骨に到達しなかったと説明。意図的に刺して抜いたとして「男性が死亡するかもしれないと認識していたことを意味し、殺意を強く推認させる」と指摘した。事件当時、現場は蛍光灯が点灯し、包丁と分かった上で手に取ったことも、殺意を強く推認させるとした。

12月13日 神戸地裁
 少年(当時18)が知人の少年2人から暴行を受け死亡した事件で、19歳少年に懲役6年以上8年以下(求刑6年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。
共犯の少年(19)には今月、懲役7年以上9年以下の不定期刑判決が出ていた。

12月12日 秋田地裁
 2007年12月、55歳女性の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた66歳の男性に対し、懲役17年(求刑20年)を言い渡した。弁護側は控訴する。
被害者の右手に付着していた微物から11年に検出され、16年の再鑑定で検出されなかった被害者と被告の混合DNAの信用性が最大の争点だった。
三浦隆昭裁判長は、秋田県警のDNAの保管状況や鑑定作業の過程などから「被告人のDNAが混入したことを疑わせるに足りる合理的な可能性は認められない」と判断。交際相手の男性を巡るトラブルから犯行に及んだ点に「被害者を逆恨みし、あまりに自己中心的で身勝手」と非難した。
被告は「何もやっていない」と起訴内容を全面否認。弁護側は鑑定作業などでDNAが混入したと主張し、無罪を求めていた。

12月12日 福島地裁
自宅寝室で無理心中を図り、認知症の妻を包丁で刺して殺害したとして、殺人罪に問われた90歳の男性に対して、懲役3年6月(求刑7年)を言い渡した。
宮田祥次裁判長は「被告は家庭内で孤立感を強め、体力の衰えも感じて将来を悲観し、精神的に追い詰められていた」などと指摘。ただ、妻が介護老人施設に入院していたとして「介護に疲れている状態ではなく、執行猶予相当ではない」と判断した。

判決によると、被告は今年4月5日午前9時50分~11時55分ごろ、施設から一時帰宅していた妻=当時(85)=の腹部を包丁で刺すなどして殺害した。自身も腹部を切って自殺を図り、一時入院した。

12月12日 新潟地裁
 入院患者の首を絞め殺害しようとしたとして殺人未遂罪に問われた27歳の男性に対し、山崎威裁判長は懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。

12月11日 千葉地裁
 覚醒剤約171㌔を混ぜた液体をテキーラに偽装して密輸入するなどしたとして、覚せい剤取締法違反罪などに問われた40歳の男性に対し、高木順子裁判長は懲役20年・罰金1千万円(求刑25年・罰金1千万円)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年、末端価格40億円以上にあたる覚せい剤を混ぜた液体を、テキーラの瓶約1千本に詰めて密輸入した。

12月11日 岡山地裁
知人男性を刺殺したなどとして、殺人などの罪に問われた33歳の男性に対し、懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
弁護側は被告の心神喪失や心神耗弱を主張していたが、後藤有己裁判長は「通常の精神状態で犯行に及んだ」と責任能力を認めた。
判決理由で後藤裁判長は、電話での口調を巡りトラブルになった男性から「しまいしてやる」などと言われ、危害を加えられると思って犯行に及んだと認定。被告の意思決定には統合失調症などが相当程度の影響を及ぼしたとする一方、犯行前後には合理的な行動を取っていたとして「犯行は相応に非難されるべきだ」と指摘した。その上で量刑について「被害者の背中の傷は肺の一部まで達し、犯行態様は危険で結果は重大」と述べた。

12月07日 東京地裁
 覚せい剤約3.9㌔を密輸しようとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたナイジェリア国籍の男性2人に対し、家令和典裁判長は、違法薬物と認識していたとは言えないとして無罪(いずれも求刑15年・罰金800万円)を言い渡した。
家令裁判長は、男性2人は国際的な密輸組織と頻繁に電話をしていたとしたが、密輸前後に組織からの連絡はなかったと指摘。「回収役としては不自然で、違法薬物と認識していたとは認められない」と述べた。

12月06日 京都地裁
 昨年3月、指定暴力団神戸山口組系の組事務所に発砲したとして、銃刀法違反などの罪に問われた指定暴力団山口組系組員ら2人のうち、組員の42歳男性に懲役13年・罰金20万円(求刑15年・罰金20万円)、元組員の34歳男性に懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑3年)を言い渡した。

12月06日
 社員寮で同僚を殺害して約120万円を奪ったとして強盗殺人罪などに問われた21歳の男性に対し、求刑通り無期懲役を言い渡した。
丹羽芳徳裁判長は「身勝手な犯行で酌量の余地はない」と述べた。 判決では、被告は昨年9月14日、寮の非常階段で被害者(当時19歳)の頭や背中を消火器で殴って失血死させ、所持していた約120万円を奪った。
弁護側は強盗の犯意と殺意を否定していたが、丹羽裁判長は「被害者が多額の現金を持っていることを犯行前に知っていた」として強盗目的を認定。うつぶせに倒れた被害者の頭を重さ約5キロの消火器で殴るなどした犯行態様から、殺意の存在も認めた。

12月06日 佐賀地裁
女性の胸を触り、顔を殴るなどしてけがをさせたとして、強姦致傷と建造物侵入の罪に問われた24歳の男性に対し、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
吉井広幸裁判長は判決理由で「暴行の程度は弱いものではない」と指摘しつつ、人けのないプレハブ小屋に女性が1人でいるという状況が偶然にそろい、以前から漠然と抱いていた強姦に対する興味を実現させようとしたもので、「犯意が強固であったとは言えない」とした。

12月4日 千葉地裁
 2016年7月、男性が暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死罪に問われた53歳の男性に対し、松本圭史裁判長は「男性が被害者から殴られたことに知人の男らが立腹したりして、男性の意思とは無関係に暴行した可能性を排斥できない」として、男性に無罪(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、男性は昨年7月23日夜、被害者とトラブルになった男の自宅付近に行ったところ、男性と被害者との間で何らかのトラブルになり、男性が殴られ転倒。その後、男らが栗田さんを殴る蹴るなどの暴行を加え、死なせた。
検察側は男性と知人の男らに共謀があったなどと主張していた。

12月04日 神戸地裁
 岸壁で18歳の少年の遺体が見つかった事件で、傷害致死などの罪に問われた19歳の少年に対し、芦高源裁判長は「場所を変えながら執拗な暴行を加えた」などとして、懲役7年以上9年以下(求刑8年以上12年以下)の不定期刑を言い渡した。
芦高裁判長は判決理由で「多額の金銭を要求して被害者に空き巣の実行を命じた上、失敗に立腹して暴行を加えた」として経緯や動機に酌量の余地はないと指摘。別の19歳少年=傷害致死罪で起訴=が先に暴行したとしながらも「従属的とはいえず、果たした役割は大きい」と結論づけた。

12月01日 津地裁
 昨年10月、中学2年生(当時14歳)が少年少女4人から集団暴行を受け死亡した事件で、田中伸一裁判長は、傷害致死罪に問われた少年(17)に対し、懲役5年以上8年以下(求刑5年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。
弁護側は他の3人も怒りを持って暴力を振るったこと、幼少期に養父から虐待を受けるなどして素行障害があったことを挙げ、家裁に再び移送して少年院送致の保護処分とするよう求めていた。
判決は、「犯行に終始積極的で主体的に関わり、主たる役割を果たした」と指摘、少年が被害者の頭をトイレの木製パネルに数回たたきつけたり、他の3人に暴行を促したりしたと認め、年下で体格的にも大きく劣り、明らかに弱い立場の被害者に4人で一方的に暴力を振るったのは悪質と。被害者とのトラブルを相談されたのがきっかけだが、暴行開始を提案しており、動機に酌むべき点はないとも述べた。
そして、暴力に肯定的な価値観があって素行障害と診断され、養父の虐待などがその要因となった可能性はあるとしつつも、「社会生活を送って周囲の状況に応じた言動が取れており、障害の影響があったとしても限定的」と判断し、刑罰を科すべきだと結論づけた。
他の3人は昨年11月、第1種(初等・中等)少年院送致とされた。

12月01日 那覇地裁
 2016年4月に発生した米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元海兵隊員で33歳の軍属に対し、柴田寿宏裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
弁護側は、殺意はなく殺人罪は成立しないとして「有期刑が相当」と主張していた。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月30日

2017年11月

11月30日 長野地裁松本支部
 2015年12月に一家3人の頭などをハンマーで殴り殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われた45歳の男性に対し、野沢晃一裁判長は懲役19年(求刑20年)を言い渡した。
野沢裁判長は判決で「被害者の身体的、精神的な被害は重大」と指摘。被告が男性をハンマーで殴った後、妻と長男に対しても警察へ通報することなどを阻止するために頭部を複数回殴っており「死亡させる危険性の高い行為と分かっていた」とし、被告側が否認していた妻と長男への殺意も認定した。
また、被告が自身の不正発覚を防ぐために男性宅に火を付けた現住建造物等放火罪については、炭化した柱の状態などから「既遂と認められる」と認定。火が柱などに燃え移っておらず未遂としていた被告側の主張を退けた。
判決によると、アパートの建築などを行う会社の営業担当社員だった被告は、営業成績を上げるために被害者男性に無断でアパート建築の契約書を偽造し、トラブルとなった男性に責められ逆上。15年12月25日午後5時半すぎ、男性と妻、長男の頭部などをハンマーで複数回殴り、いずれも頭部に重傷を負わせるなどした。また、同月18日午前2時半ごろ、男性宅の1階の掃き出し窓に挟まれていた新聞紙に火を放ち、窓付近の柱などに燃え移らせるなどした。
被告が勤めていた会社は、契約手続きでチェック態勢に不備があったとし、被害者と和解のための話し合いをしているとした。

11月30日 山口地裁
 別荘敷地内に昨年、41歳男性の遺体を遺棄したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた46歳男性に対し、弁護側が主張した同意殺人罪の成立を認めず、懲役18年(求刑23年)を言い渡した。

11月28日 千葉地裁
 2016年7月、自宅に放火し、同居する父母を焼死させたとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた48歳の男性に対し、懲役27年(求刑無期懲役)を言い渡した。
楡井英夫裁判長は判決理由で、「両親にガソリンをかけてライターで点火し、焼殺した犯行は危険かつ残虐」と指摘。「会社経営を巡って両親と口論になったことで、突発的に殺意が生じたものの、強くはなかった」と述べた。
弁護側は「ガソリンはまいたがライターで点火していない。覚醒剤を使用していて心神喪失状態だった」と無罪を主張した。
判決は「事件当時、着火したことを現場で認めており、他の原因による引火の可能性も低い。被告は消火活動も行っており、完全責任能力があった」と退けた。 その上で「無期懲役を検討すべき事案だが、急性覚醒剤中毒による幻覚などが動機の形成に影響し、責任能力の低下も認められる」などと、有期懲役とした理由を述べた。

11月27日 千葉地裁
 中国古来の武器「狼牙棒(ろうげぼう)」で近くに住むバングラデシュ人男性を殴ったとして殺人未遂罪に問われた54歳の男性に対し、金子武志裁判長は「殺意があったと認定できる」として、懲役4年(求刑8年)を言い渡した。
判決によると、被告は4月13日午後10時50分ごろ、駐車場内で、殺意をもって、狼牙棒(全長約186㌢、重量約2.3㌔)を男性の頭にむけて2回振り下ろし、頭蓋骨骨折など全治1カ月の重傷を負わせたとしている。
狼牙棒は宋代に発達したとされる金属製の棒状の武器。よろいの上から打撃を与えるため、先の部分に多数のとげが付いており、殺傷能力が高い。

11月27日 新潟地裁
 同居する母親を殺害したとして、殺人の罪に問われた21歳の男性に対し、山崎威裁判長は懲役9年(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、被告は2月6日、自宅の浴室で入浴していた母=当時(52)=をハンマーで何回も殴った上で、頭を手で押さえつけて顔を浴槽に沈めて窒息死させた。犯行動機については、自らを発達障害の一種のアスペルガー症候群などを抱える身に産んだことや、母親からお金を貸すように度々求められたことから、自殺の道連れにしようと考えたと指摘した。
山崎裁判長は判決理由で「犯行は残酷で計画性が高く、動機も身勝手」と指摘するとともに「被害者を恨んだことには同情すべきところもある」とした。
検察側は論告で、被告が凶器を準備し、殺害や逃走の方法などをインターネットで検索していたことから「計画性は高く、殺意は強い」と指摘。
弁護側は弁論で「被告は母親からお金の借用を求められてストレスをためるなど、衝動的な犯行の側面が強く、精神障害も影響している」として、執行猶予付き判決を求めていた。

11月27日 甲府地裁
 19歳の少年が集団で暴行を受け死亡した事件で、27歳の男性に懲役6年(求刑8年)を言い渡した。
判決によると被告は今年6月、住宅でほかの男と共謀して、被害者を暴行し死亡させたとされる。
これまで被告は、他の男と共謀していないと起訴内容を一部否認していたが、丸山哲巳裁判長は、主犯格の男と交互に暴行を加えていたことから共謀が認められると指摘。頭を足で踏みつけたり、金属製パイプで殴ったりと、命を奪うほどの激しい暴力を加えたと。

11月27日 大阪地裁
  認知症の母=当時(90)=の言動に腹を立て、拳で殴って死なせたとして、傷害致死罪に問われた62歳の女性に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
村越一浩裁判長は「高齢で歩行困難な母をそれなりに強い力で一方的に殴打しており、比較的危険で悪質だ」と指摘。一方、周囲の支援が限られた中で長年介護を続けてきたと認定し「用意した食事を食べてもらえず、心ない言葉を言われたことが暴行につながった」と述べた。
検察側は介護の事情は動機に影響せず、直前の飲酒が理由で怒りを抑えられなかったと主張したが、退けた。

11月24日 静岡地裁浜松支部
2015年、信号無視して交差点に車で突っ込み、1人を殺害、4人にけがをさせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた中国籍の34歳の被告に対し、山田直之裁判長は求刑通り懲役8年を言い渡した。
弁護側は、被告は事件当時、統合失調症のため心神喪失状態だったと主張。刑事責任能力や殺意の有無が争点だった。
判決で山田裁判長は、統合失調症の影響は限定的で、「いら立ちの発散として衝動的にアクセルを踏んだ」と指摘し、完全責任能力があったと判断。交差点内に歩行者がいることを認識していたとして、殺意も認定した。

11月23日 前橋地裁
 昨年11月、同居の母親の首を絞めて殺害し自宅に放火したとして殺人と非現住建造物等放火の罪に問われた41歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役11年(求刑20年)を言い渡した。
鈴木裁判長は、魚を焼く母親の首にひもを巻き付け謝罪を無視して締め殺した犯行態様は「執拗かつ冷酷で悪質と言うしかない」と指摘。一方、他者とのコミュニケーションに支障をきたす被告の自閉症スペクトラム障害は「犯行に至る経緯に相当程度影響した」とし、被告が前向きに生きる姿勢を見せ親族も支援を申し出たことから「再犯の可能性は高くない」とした。
公判では被告の幼少期に出奔、22歳になって突然戻ってきた母親との同居が生み出す被告の葛藤が明らかになった。母方の祖母の家に1人置き去りにされた被告は祖母の家で引きこもり生活を送り、記憶も定かでない母の出現に戸惑った。
身勝手で祖母とも衝突し家の掃除もしない母親の粗暴さに憎しみを募らせ、2003年には祖母と衝突した母親を殴り傷害容疑で逮捕されている。母親とは会話しない日々が続いたが13年、祖母が介護施設に入所。2人だけの生活の中、自閉症もあって負の感情が膨らんだとみられる。引き金は母親のずさんな料理。ガスコンロの上に餅網を敷き直接魚を置いて焼くのでガス台はすすだらけになる。掃除はきれい好きな被告の役割だったが、3日連続で焼き続けた昨年11月18日午後1時ごろ、焼きながら笑う母親の背後からひもで首を絞めた。自宅に火を放ち自殺をはかるが、熱さに耐えきれず2階ベランダから飛び降りた。

11月22日 東京地裁
2016年、大家の男性を殺害し妻に重傷を負わせたとして、殺人などの罪に問われた25歳の女性に対し、園原敏彦裁判長は懲役17年(求刑20年)を言い渡した。
園原裁判長は「攻撃は執拗で理不尽な犯行だ」と指摘する一方、検察側の「滞納家賃の支払いを免れたかったのが動機だ」とする主張は「断定できない」と退けた。
量刑理由については「服役中の支援計画が立てられ更生に一定の期待が持てることも考慮した」と述べた。

11月22日 徳島地裁
 昨年6月から今年2月にかけて市養護老人ホームで起きた連続不審火事件で、2件の出火について現住建造物等放火未遂の罪に問われた46歳の元職員に対し、坂本好司裁判長は懲役3年(求刑5年)を言い渡した。
判決理由で坂本裁判長は、被告が火を付けた後に消火器を持ち出していたことなどから「建物に燃え移る可能性があると分かって放火した」と指摘。「職場でいじめを受け精神的に追い詰められたことは同情に値するが、犯行が正当化されるものではなく、重大な結果を招きかねなかった」と非難した。

11月22日 福岡地裁
 交際中の女性を殺害して長崎市の公園に遺棄したなどとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた52歳の男性に対し、中田幹人裁判長は「殺意が認められない」として殺人罪の成立を認めず、傷害致死罪を適用した上で懲役10年(求刑・無期懲役)を言い渡した。
中田裁判長は「被害者への火炎放射は広範囲にやけどを生じさせるとは言えず危険性は判然としない。電気ポットによる殴打も1回だけで、硬膜下血腫も小さく殺意は認定できない」と述べた。 判決によると、2015年5月、自宅で被害者(当時41歳)の頭にライターと可燃性スプレーを使って火炎を浴びせ、ホテルで電気ポットで1回殴って呼吸不全で死亡させた。遺体は公園に運んで放置した。
被告は死体遺棄罪以外については無罪を主張しており、判決を不服として控訴する方針。

11月21日 千葉地裁
 障害のある長男=当時(38)=を殴って死なせたとして傷害致死の罪に問われた64歳の男性に対し、市川太志裁判長は「暴行の程度は軽い」などとして懲役3年・執行猶予3年(求刑3年)を言い渡した。
判決で、市川裁判長は「長男が死に至ったのは、罹患していたスタージ・ウェーバー症候群という持病に起因する特性や出血しやすく、止血されにくいという体質が相応に影響している」と判示。
被告が長男の持病や体質を熟知しながら頭部を殴打したとする検察側の主張を「頭部への打撃を避けるべきなどと医師から指導があった様子はうかがえない。乗馬など危険が伴うスポーツを相当期間にわたり体験していたなどの長男の生活状況にも照らすと、頭部への暴行を強く非難するのは酷」などと退け、「犯行について心から後悔している」などと執行猶予付き判決の理由を述べた。

11月21日 東京地裁立川支部
 飲食店で居合わせた男性とけんかになり、腹部を蹴って死亡させたとして、傷害致死罪に問われた54歳の男性に対し、無罪(求刑5年)を言い渡した。川本清巌裁判長は「致命傷となったけがは第三者の暴行による可能性が排斥できない。暴行については正当防衛が成立する」と認定した。
川本裁判長は男性が腹部を蹴ったかどうかについて、目撃証言などから「腹部を蹴ったとは推認できない」と指摘。致命傷とされた腸間膜損傷の出血については、被告とけんかした後に「(男性以外の)第三者が危害を加えて生じた可能性を排斥できない」と述べた。
その上で男性が加えた頭突きなどの暴行は「身を守る範囲だった」として正当防衛が成立すると判断した。

11月21日 佐賀地裁
 昨年9月、体が不自由な妻=当時(71)=を自宅で殺害したとして、殺人罪に問われた71歳の夫に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。佐賀地検、弁護側双方とも控訴しない方針とみられる。
弁護側は公判で、妻が殺害されることを承諾し、被告は心神耗弱だったと主張していた。吉井広幸裁判長は判決理由で「妻は犯行時までに承諾した様子は一切なく、強く抵抗することが困難な状態だった」「犯行当時、被告に合理的な行動を取る思考力や判断力が残されていたと考えられる」と述べ、いずれの主張も退けた。
一方で「被告は孤立し、前途を悲観して心中を決意した。適切な支援が行き渡るような医療や公的支援、地域社会のより良い仕組みがあれば犯行は避けられた」と指摘した。20年以上に及ぶ介護や、同様の事件の半数以上が執行猶予となっている点を踏まえて量刑を判断したと説明した。

11月20日 岐阜地裁
 介護していた夫=当時(77)=を刺殺したとして、殺人罪に問われた75歳の妻に対し、菅原暁裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
殺害について夫の承諾があったかが争点となったが、判決は「承諾はなく、被告人が被害者の承諾があるものと誤信したこともなかった」と判断。「被告の公判供述は信用性に乏しい」などと指摘した。 量刑理由では「30年以上、ほぼ1人で被害者の介護を献身的に行い、自身も自律神経失調症などを患いながら、被害者の身勝手とも思われる言動に耐えてきた」などとして「犯行に至る経緯、動機には十分酌むべき点がある」と述べた。

11月20日 長崎地裁
同居していた叔父を刺殺したとして、殺人罪に問われた52歳の男性に対し、懲役10年(求刑14年)を言い渡した。小松本卓裁判長は「犯行動機は短絡的で、非難は免れない」と述べた。
判決によると、被告は同居していた叔父(当時81歳)から生活態度などを注意されることを逃れようと、昨年8月26日午後9時ごろ~午後11時ごろ、叔父の背中を洋包丁(刃渡り18㌢)で数回突き刺し、外傷性血気胸と出血性ショックで死亡させ、殺害した。
争点になった被告の責任能力について、小松本裁判長は「犯行当時、被告は精神障害により行動制御能力が減退していたが、その影響は一定程度にとどまっていた」として、完全責任能力を認めた。

11月18日 熊本地裁
介護疲れから妻を殺害したとして、殺人罪に問われた74歳の男性に対し、船戸宏之裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
判決によると、以前から体調不良だった妻は昨年4月の熊本地震後、原因不明の足の痛みなどが悪化。同被告は介護の負担が増した上、痛みを訴える妻の姿に耐えかね、今年4月8日、自宅アパートで、寝ていた妻の首をタオルで締めて殺害した。
判決理由で船戸裁判長は「強い殺意に基づく犯行で結果も重大。しかし、被告は献身的な介護を続け、妻が施設への入所を拒否したなどの事情がある」と指摘。「真摯に反省しており、社会内で妻の供養に努めるのが相当だ」と述べた。

11月14日 岐阜地裁
 集団登校中の小学生を車ではねて殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた69歳の男性に対し、求刑通り懲役8年を言い渡した。
鈴木芳胤裁判長は「無防備な児童に背後から衝突した行為は、一歩間違えば多数の死者を出し極めて危険で悪質」と述べた。判決によると、被告は昨年6月30日朝、市道で小学生の列に乗用車で突っ込み、はねられた児童9人が軽傷を負った。

11月07日 前橋地裁
同居していた男性をサバイバルナイフで複数回刺したとして、殺人未遂の罪に問われた39歳の男性に対し、国井恒志裁判長は懲役6年(求刑10年)とサバイバルナイフ1本没収を言い渡した。
国井裁判長は判決理由で、居候先の男性が食料を用意せず、帰宅しなくなるなどして関係が悪化したため、一方的に不満をぶつけようとしてサバイバルナイフで刺したと指摘。そのうえで「動機は身勝手だが、殺意は突発的に生じたもので首や心臓を狙っていない」とした。

11月07日 京都地裁
京都、大阪、兵庫で起きた青酸連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた70歳の女性に対し、中川綾子裁判長は起訴された4事件についていずれも有罪と認定し、検察側の求刑通り、死刑を言い渡した。
弁護側は判決を不服として控訴した。
資力ある高齢男性との結婚・交際と死別を繰り返した被告の生活が事件で注目されたが、裁判では被告と男性たちの死を結びつける直接証拠が乏しく、弁護側は無罪を主張していた。
被告は、夫や交際相手の男性に対する殺人3件と強盗殺人未遂1件の罪で起訴された。判決によると、2007年12月〜13年12月、遺産目的や預かった金の返済を免れるため、夫(当時75)や、交際相手のH氏(同71)、S氏(同79)、H氏(同75)に青酸化合物を飲ませて殺害、または殺害しようとした。
判決はまず、被告が処分したプランターから青酸が入った袋が見つかったことから、被告が一般には入手困難な青酸を持っていたと認定した。その上で、被告が被害者と夫婦や交際相手という間柄のため、疑いを持たれず青酸を服用させることが可能だったと指摘。被告が死亡前後に遺産の取得に動いたといった経緯も踏まえ、「犯人は被告しか考えられない」と述べ、遺産や金銭的利益を得る目的で被害者に青酸を飲ませたと判断した。
弁護側は、被告は認知症が進み、責任能力も訴訟能力もないとして無罪を訴えていた。この点について判決は、認知症は軽症で、13年12月時点でメールの文面に問題がなかったことからも事件時、認知症は発症していなかったとして、完全責任能力を認めた。
量刑について判決は「金銭欲のために人命を軽視した非常に悪質な犯行で、結果は重大。極刑を選択せざるを得ない」とした。公判はこの日で38回目。6月26日の初公判から135日を費やし、裁判員制度が始まってから2番目に長い裁判となった。

11月02日 千葉地裁
 覚醒剤をスーツケースに隠して密輸したとして、覚せい剤取締法違反罪などに問われたフィリピン国籍の47歳女性に対して、市川太志裁判長は「覚せい剤が隠されていることを認識していたと強く認められる事情は見当たらない」などとして無罪(求刑13年・罰金500万円)を言い渡した。
判決などによると、女性は2016年11月、マレーシアから成田空港に覚せい剤約3㌔を密輸したとして逮捕され、同年12月に千葉地検が起訴していた。
検察側はスーツケースの状態などから「違法薬物が隠されていると密輸組織から告げられていたはず」などと主張。これに対して、弁護側はマレーシアで男にだまされて運んだとして、「覚せい剤などが隠されているとは知らなかった」と無罪を主張していた。

11月02日 甲府地裁
 住宅で19歳の少年が集団で暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた23歳の男性に懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
丸山哲巳裁判長は「事件の主犯格で、無抵抗の相手に繰り返し暴行した犯行は悪質性が高く、同情の余地はない」と指摘。
弁護側は刑が重過ぎるとして、控訴する方針。

11月02日 大阪地裁
 自宅マンションで別れ話を切り出した女性(当時21)を殺害したとして殺人罪に問われた26歳男性に対し、飯島健太郎裁判長は懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年7月、かつて同居していた女性の首を持っていた包丁で複数回切りつけて失血死させた。
公判で弁護側は、被告は解離性同一症(多重人格)で犯行時は心神喪失状態にあったとして無罪を主張。検察側は、解離性同一症ではなく責任能力があったとしていた。判決は被告が解離性同一症だったと認めたが、犯行時は行動制御能力に問題はなかったと判断した。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日

2017年10月

10月31日 津地裁
ガソリンスタンド3店で店員にけがをさせたり現金を盗んだりしたなどとして、強盗傷害と窃盗の罪に問われた41歳の男性に対し、田中伸一裁判長は懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
判決によると、被告は1月13日午前4時20分〜同5時45分ごろ、共犯の男(当時20歳)と共謀し、乗用車を盗み、GS3カ所で現金計約23万円などを奪った。うち1カ所で店員の両腕をバールで数回殴り、骨折などのけがをさせた。
田中裁判長は「短時間に複数のGSを回り、犯行後、車の焼却などの罪証隠滅工作をして計画的。複数回服役したにもかかわらず、出所後わずか半年で犯行に及んでおり厳しい非難を免れない」とした。
共犯の男には4月に、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑3年6月)の判決が出た。

10月31日 福岡地裁
路上で2016年2月、予備校生(当時19)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた元少年(21)に対し、懲役20年(求刑22年)を言い渡した。平塚浩司裁判長は、元少年の責任能力を認め「被害者に落ち度はなく、無念さは察するに余りある」と述べた。
判決によると、元少年は同じ予備校に通っていた被害者に交際を申し入れたが断られた。その後、被害者が自分の秘密を言い広めたと考えるようになり殺害を決意。路上においてナイフ2本で多数回刺したり、おの1丁で殴ったりして殺害した。
争点は、元少年の責任能力の有無と程度だった。弁護側は「幻聴があり、統合失調症の影響で、心神喪失か心神耗弱だった疑いがある」と主張。判決は、精神鑑定を担当した医師の証言などから、元少年には精神障害などがあり犯行に影響を及ぼしたと認めたうえで、約10分後に自首するなど善悪の判断はついたとし、さらに、数日前に大学入試の2次試験を受けるなど自分の行動をコントロールする能力はあり、完全責任能力があった、と判断した。
平塚裁判長は量刑の理由について「背後からいきなり襲いかかり、馬乗りになるなどしながら59カ所もの傷を負わせて殺害した。態様はしつようであまりに残忍。被害者は将来のある若さで突如、命を奪われ、遺族が厳しい処罰を望むのも当然。同種事案の中でも重い部類に属する事案だ」と説明した。

10月30日 千葉地裁
昨年7月、53歳男性が複数人から暴行を受け死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた右翼団体「潔心塾」構成員の47歳男性ら3人に対し、松本圭史裁判長は「粗暴かつ危険な犯行」などとして、中心となって暴行したとされるO被告に懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
O被告の後輩で33歳のI被告は同8年(同9年)、同団体創設者で顧問の55歳男性=同罪で起訴=の下で運転手をしていた39歳のM被告には同4年(同7年)。
判決で松本裁判長は「被害者が一方的にO被告方に押しかけたことや、被害者の言動に恐怖を感じたなどとする経緯や動機は理解できる」とした一方で「明らかに度を越えた暴行。数的に勝る状況を作り出し、O被告は死因に最も寄与した激しい暴行を加えた」と指弾。I被告については「O被告とともに中心となって暴行しており、責任は大月被告に次ぐ」とし、M被告については「O被告とI被告の間から数発手を出し、うち1回は首付近に当てた。その後は暴行をやめて消極的な態度を示した」と判示した。
O被告の弁護側は「被害者側の落ち度が事件の原因」として同4年6月が相当、I被告の弁護側は「他の仲間との共謀はない」などと傷害罪を適用した上で同2年が相当、M被告の弁護側は「致命傷となる暴行は加えていない」などとして執行猶予付き判決を主張していたが、松本裁判長は「5〜6人で取り囲み自分以外の者の暴行を認識していなかったとは、到底考えられない。暗黙の内に互いに意を通じて暴行しており、共謀が成立する」と退けた。
判決によると、3人は顧問らと共謀し昨年7月24日午前0時ごろから同30分ごろまでの間、駐車場などで、被害者の顔や胸、腹などを多数回にわたり殴る蹴るなどの暴行を加え、同2時ごろ、同市内の病院で被害者を多発外傷による出血性ショックで死亡させた。
同事件で地裁は10月11日、48歳男性に懲役4年の実刑判決を言い渡している。

10月30日 東京地裁
生後3カ月の長女を浴槽に沈め殺害したとして、殺人罪に問われた39歳の女性に対し、島田一裁判長は「統合失調症による妄想に強く影響されていた」として、心神耗弱だったと認定、懲役3年・執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。
島田裁判長は、被告には2012年春頃から統合失調症の症状がみられ、不妊治療を経て16年10月に長女を出産した後、幻聴などの症状が悪化したと指摘。「長女を死なせてあげないといけない」という妄想的な確信が強くなり、追い詰められた状態で犯行に及んだとした。

10月27日 那覇地裁
2015年2月に自宅で妻=当時(73)=の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた76歳の男性に対し、柴田寿宏裁判長は「第三者の犯行可能性が排除できない」と検察側の立証が不十分と指摘し、無罪(求刑17年)を言い渡した。
09年に始まった那覇地裁の裁判員裁判で、完全無罪の判決は初めて。
判決で柴田裁判長は、遺体発見時に外部から侵入可能だった妻の寝室の掃き出し窓について「事件当時には完全に閉まっていたとは限らない」と指摘。「開いていた窓から侵入した可能性が残る以上、第三者の犯行可能性は排除できない」と判示した。
検察側は、「掃き出し窓には外部から侵入した場合に残る痕跡はなかった」とす鑑識担当警官の証言などを基に、「妻の死亡推定時刻には自宅に妻と被告人しかいない。自宅内に争ったり物色されたりした形跡はなく、証拠上は被告人が犯人と考えた方が整合的だ」と訴えた。
だが柴田裁判長は、事件当日の鑑識活動で窓の状況を撮影した写真がないとし、警察の鑑識活動が不十分だと認定。「物色された痕跡がないからといって、窃盗目的の侵入が否定されたことにはならない」とした。
弁護側の大井琢弁護士は「不十分な証拠で逮捕・起訴した」と県警や那覇地検を批判。「男性を苦しめることになるので、控訴するべきでない」と訴えた。
地検の白井智之次席検事は「判決を精査し、上級庁とも協議して適切に対応したい」とコメントした。県警捜査1課は「判決については承知しているが、県警としてコメントできる立場にない」とした。
男性は、15年2月に自宅で妻の首を圧迫して殺害したとして、昨年12月に起訴された。

10月26日 高知地裁
 2015年、警察官に自転車で衝突し、死亡させたとして、重過失致死罪に問われた少年(19)の判決があり、山田裕文裁判長は禁錮3年・保護観察付き執行猶予5年を言い渡した。
少年は傷害致死罪などに問われていたが、8月4日の裁判員裁判の判決当日に地裁が検察側に訴因変更を打診。地検が応じて期日が延期されたうえ、裁判員裁判の対象外になったため、裁判官だけで審理をやり直した。
判決によると、少年は15年8月14日夜、歩道を無灯火の自転車で走り、制止しようとした男性警部(当時25)に衝突。転倒させて意識不明の重体とさせ、10月に死亡させた。求刑は禁錮2年以上4年以下の不定期刑だった。
少年は、パトカーに停止を求められたが加速して逃走し、警察官ら数人が前方の歩道にいるのに気づいたが、時速約45㌔で疾走したとして、12月に傷害致死と公務執行妨害の非行内容で高知家裁に送致された。その後、家裁は検察官送致(逆送)と決定し、高知地検は傷害致死と公務執行妨害の罪で起訴した。

10月25日 佐賀地裁
民家に押し入り住民にけがをさせたなどとされる事件で、強盗傷害や窃盗の罪に問われた33歳の男性に懲役8年(求刑10年)、同じく48歳の男性に懲役6年(同9年)を言い渡した。
吉井広幸裁判長は判決理由で、土木作業員の被告に指示されたという実行役の受刑者の男(27)による供述を「内容が一貫し、十分信用できる」などとして、両被告の共謀を認定した。
判決によると、両被告は受刑者の男と共謀、昨年6月24日に当時80代女性方に侵入して現金を要求し、けがをさせた。昨年6月に3人で7件、同年5月には受刑者を除く2人で1件の盗みなどを働いた。

10月24日 静岡地裁沼津支部
2012年2月、自宅で無理心中を図り息子2人を殺害したとして殺人の罪に問われた48歳の女性に対し、菱田泰信裁判長は懲役10年(求刑15年)を言い渡した。
犯行当時の被告の責任能力の有無が争点となっていた。菱田裁判長は軽度のうつ状態などの精神障害はあったが影響は限定的で無理心中を決意した後も冷静に合理的に行動していた―などと指摘し、「完全責任能力があった」と認定。弁護側の「心神耗弱であった」との主張を退けた。
量刑理由については「2人の尊い命を奪った結果は重大で、何の罪もない子どもを理不尽に巻き込むことは許されない」と非難しつつ、「自身も自殺しようとして高次脳機能障害を抱えるなど、動機や経緯に酌むべき事情がある」とした。

10月23日 大阪地裁
アパートで管理人の男性が刃物で殺害された事件で、79歳の男性に対し、懲役14年(求刑16年)が言い渡された。
判決によると、被告は、去年5月、住んでいたアパートの玄関で、管理人の男性(当時74)の対応に腹を立てて、果物ナイフを男性の胸などに突き刺して殺害した。
逮捕当時、被告は、「頼み事をしても何もしてくれず、不満だった」と供述していて、裁判の争点は、被告に殺意があったかどうかと、精神障害や酒の影響による責任能力の「程度」だった。
判決は、殺傷能力がある凶器を使っている点や、犯行前後の行動に異常な点はみられないことなどから「完全責任能力があった」と認定。一方で、「犯行直前に被害者と口論した段階では、その経緯や刺した方法などからは、強い殺意があったとは認められない」と。

10月17日 東京地裁
交差点でタクシーに衝突し、運転手ら5人を死傷させたなどとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた21歳の男性に対し、河本雅也裁判長は「交通ルールを無視した危険極まりない運転だ」と述べ、懲役17年(求刑20年)を言い渡した。
河本裁判長は、整備不良でパトカーの追跡を受けた被告が、飲酒運転の発覚を恐れて逃走したと指摘。弁護側は「赤信号を認識していなかった」と主張したが、判決は「時速約160㌔で交差点に進入しており、信号に従う意思がなかったことは明らかだ」と退けた。

10月12日 大阪地裁
昨年9月、自宅で不動産会社店長(当時34)に対して、刺身包丁で4回切りつけてけがをさせた上、逃げ出した店長を追いかけ、店舗でも包丁を振り回して、「殺すぞ」などと店員らを脅した罪に問われた67歳男性に対し、懲役11年を言い渡した。
被告は「合い鍵」をめぐって店長がうそをついたと思い込み、嫌がらせを白状させる目的で犯行に及んだとされ、裁判は、殺意の有無と精神障害の影響による責任能力の有無が争点となっていた。
判決は、「人が死ぬ危険性が高い行為だったことは明らか」と指摘。「精神障害の影響は限定的で、完全責任能力があった」と認定した。

10月11日 和歌山地裁
和歌山市で昨年10月、当時の指定暴力団神戸山口組系紀州連合会の会長だった男性を暴行して死亡させたとして、傷害致死などの罪に問われた指定暴力団山口組系の55歳の組幹部ら4人に対し、武田正裁判長は、懲役8年6月~同7年を言い渡した。求刑は組幹部を含む3人が懲役10年、ほか1人は懲役8年だった。
事件では他にも同じ組の幹部を含む4人が同罪などで起訴されている。
武田裁判長は判決理由で「被告らは、被害者が対立関係にある暴力団の会長だと認識し、暴行の意思を通じ合わせていた」と共謀を認定。「事件は会長の執拗な挑発が原因で、突発的に発生した」としたが「集団で取り囲み、一方的に頭部を蹴るなど危険な犯行だ」と指摘した。
判決によると、8人は共謀し昨年10月9日午前1時ごろ、被告らの組と関係する和歌山市内の飲食店で騒いでいた当時の紀州連合会会長を路上に連れ出し、頭部付近を複数回蹴るなどして死亡させた。会長の知人にも暴行を加えた。

10月07日 大阪地裁堺支部
当時3歳の長男を死なせ、遺体を山中に埋めたとして、傷害致死、死体遺棄などの罪に問われた36歳の父親と33歳の母親に対し、真鍋秀永裁判長は、父親に懲役7年、母親に懲役3年を言い渡した。
判決によると2015年12月、父親は、寝付かなかった長男の頭部を平手でたたき、壁に打ち付けるなどして翌日ごろに死亡させた。母親も夫の暴行を止めず、放置した。遺体は両被告が昨年5月、河原に埋めた。父親はその後も長男が生きているように装い、児童手当をだまし取ったとされる。
公判で母親は傷害致死には関与していないと主張。判決も「父親に寝かし付けを頼んだからといって、暴行の意思連絡があったとは言えない」と述べたが、「父親が暴行を加えることを阻止する義務があった」として、傷害致死の幇助にあたると認定した。

10月6日 札幌地裁
アパートで昨年10月、過去に雇用していた住人の男性を仕事上の恨みから刺殺したとして、殺人などの罪に問われた52歳の男性に対し、懲役18年(求刑20年)を言い渡した。
弁護側は公判で、男性が被告の会社を2010年に退職後、報道機関に「悪徳業者だ」とうその情報を流し、被告が仕事を失ったと主張。男性にも落ち度があり、懲役13年が妥当としたが、金子大作裁判長は「行政処分を複数回受けるなど、法令順守の観点からかなり問題があった。全く根拠のない誹謗中傷ではない」と退けた。

10月06日 大阪地裁
 60代の元交際女性を殺害しようとしたとされる66歳の男性に対し、懲役4年6ヵ月を言い渡した。
裁判で被告は、「自らナイフを突き刺したのではなく、転倒した時に偶然刺さってしまった」と殺意を否認していた。
判決は、「被害者の傷は、被告が意図的に刺したことで生じたものと認めるのが合理的」と指摘。「被害者への執着心からナイフを持って自宅を出発した時点で、すでに殺意を持ち、被害者を殺害して自分も死ぬつもりでナイフを突き刺した」と認定した一方、被害者が、「被告を許す」と言っている点を考慮した。

10月05日 長野地裁松本支部
温泉施設玄関先で2015年10月、43歳男性が射殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪で起訴された指定暴力団山口組系組幹部の50歳男性に対し、野沢晃一裁判長は「危険かつ冷酷」とし、有期刑の上限の懲役30年(求刑無期懲役)を言い渡した。
弁護側は「事実認定に納得できない」として控訴する方針。
野沢裁判長は「当初から殺意を持って被害者を追いかけ、頭部に向けて拳銃を発射したことを強く推測させる」と指摘。被害者が被告の所属する暴力団から対立する別の暴力団に移籍しようとしていたことを知ると、周囲に危害を加えるような言葉を発しており、「事件前から射殺の意思があった」と認定した。
弁護側は、被害者が襲いかかってきたため、払いのけようとして誤って発砲した―とし、殺人罪と銃刀法違反罪(発射)について無罪を主張していた。同裁判長は捜査段階では意図的に発射したとの趣旨の供述をしており、「信用できない」と退けた。量刑理由では、銃器を使用した殺人事件としては「重い方に位置する」とする一方、組織的な犯行と比べると「無期懲役を選択することはためらわれる」とした。

10月05日 岐阜地裁
自宅に放火し、障害のある妹を殺害したとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた59歳男性に対し、懲役12年(求刑20年)を言い渡した。
被告は生活に困窮して自殺を決意し、「妹は一人では生きていけないから、一緒に連れて行こうと思った」という。菅原暁裁判長は公判で明らかになった経緯を踏まえ、「死を回避する努力を放棄していた」と厳しく批判した。

10月04日 福岡地裁小倉支部
 生後約3カ月の長女を浴槽に沈めるなどして死なせたとして、傷害致死罪に問われた32歳の母親に対し、松藤和博裁判長は懲役4年6月(求刑6年)を言い渡した。
判決によると、昨年12月17日、ラブホテルで、元交際相手の33歳男性=殺人罪で起訴=と共謀し、2人の間に生まれた長女を浴槽に沈め、頭に暴行を加えて死亡させた。
判決は、直接暴行したのは父親と認定。その一方で、被告に関し、事件前にも長女への暴行を目撃したり、予告されたりしたとして「暴力が振るわれる可能性が高いと十分認識しながら、被害者をホテルに伴い、2人きりにするなどした」と非難した。

10月03日 神戸地裁
一方通行の道路を逆走して死亡事故を起こし、逃走したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)やひき逃げなどの罪に問われた38歳の男性に対し、芦高源裁判長は「覚せい剤使用の発覚を恐れ、追跡するパトカーから逃げるために危険な運転をしており、動機は身勝手」と述べ、懲役11年(求刑13年)を言い渡した。
芦高裁判長は判決で、「事故直前も赤信号の無視や逆走を繰り返し、交通の安全より逃走を優先した危険な運転」と指摘。事故後に現場を立ち去った点も「非常に悪質」と非難した。

10月02日 大阪地裁
生後2カ月の孫を揺さぶって暴行し死なせたとして傷害致死の罪に問われた67歳の祖母に対し、飯島健太郎裁判長は「首もすわっておらず、抵抗できない乳児を強く揺さぶっており、同情する事情はない」として懲役5年6カ月(求刑6年)を言い渡した。
判決によると、被告は2016年4月、孫をゆさぶるなどして頭部に大けがを負わせ、急性硬膜下血腫などにより約3カ月後に死亡させた。当時、被告が一人で乳児と2歳の姉の面倒を見ており、母親は外出していた。
被告は逮捕直後から一貫して「やっていません」と否認、弁護人も「孫を可愛がっており、虐待の兆候も動機もない」として無罪を主張していた。しかし判決は、乳児の脳障害は故意に外力が加えられたことによるものと指摘。「被告以外に強い衝撃を与えうる人物はいない。泣きやまないなどの理由で突発的に暴行を加える可能性はある」と結論づけた。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日

2017年09月

09月29日 東京地裁
公園内の池で、女性=当時(88)=の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われた29歳の男性に対し、石井俊和裁判長は「責任は非常に重い」として求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決で石井裁判長は「生活費を得たいという身勝手な動機で計画性もうかがえる」と指摘。「他者の生命に対する極端な冷淡さは誠に恐ろしい。一生をかけて償わせるのが相当」と述べた。
公判で検察側は、被告が被害者宅から現金約35万円を奪ったと指摘。弁護側は、現金を持ち出しておらず、殺人罪にとどまると主張していた。石井裁判長は、部屋を物色した痕跡がないことなどから「現金を奪ったとは認められない」とする一方、キャッシュカードの保管場所を聞き出そうと脅迫していたことを認め強盗殺人罪を適用した。

09月29日 大津地裁
実父の再婚相手だった女性=当時(52)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われた45歳の女性に対し、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
判決によると、被告は2014年10月13日、女性の自宅で、腹部などを多数回、刃物で刺して女性を殺害。また、収入があるにも関わらず11年5月から10月まで、生活保護費102万円余を不正に受給した。
判決理由で、伊藤寛樹裁判長は、全身に計21カ所の刺し傷があったことから「非常に強い攻撃意思があった」と殺意を認定。さらに「台風の風雨に紛れて、ひそかに犯行を遂げることを画策した」と計画性も指摘した。
弁護側は「実父と女性の不倫、結婚により家庭が崩壊された。恨みを持つ相当の理由がある」などと主張したが、伊藤裁判長は「被告には、恨みの感情を乗り越えていく十分な人生経験と周囲の支えがあった」として退けた。

09月28日 さいたま地裁
今年1月、元妻の交際相手の男性を殺害したとして、殺人などの罪に問われた36歳の男性に対し、高山光明裁判長は「相当に執拗で、残忍極まりなく、非常に悪質」と懲役17年(求刑18年)を言い渡した。
判決で高山裁判長は、自動車内で無抵抗だった被害者の胸部を狙い、刃渡り11.8㌢の折り畳み式ナイフで少なくとも14回刺した犯行について「殺意は確定的かつ強固だった」と指摘した。さらに、父として子ども2人の面倒を見ていた被告が、被害者から「父親らしいことを何もしていないくせに」と言われて激高したことには同情の余地がある一方、怒りのままに殺害に至ったのは「あまりに短絡的で、強い非難に値する」と述べた。
弁護側は突発的な犯行だったとして、懲役10年以下が相当と主張していた。

09月27日 秋田地裁
4月に住宅敷地内で、この家の70代男性を刃物で殺害しようとしたとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた31歳の男性に対し、三浦隆昭裁判長は懲役4年6月(求刑8年)を言い渡した。
被告の殺意を認定し、「男性ともみ合った際に偶然ナイフが体に刺さった」として傷害罪の適用を求めた弁護側の主張を退けた。

09月26日 広島地裁
2015年6月、インスリン製剤を投与するなどして大学生(当時24歳)を殺害し現金を奪ったとして、強盗殺人と詐欺の罪に問われた知人の44歳男性に対し、、求刑通り無期懲役を言い渡した。
詐取した金の返済を免れようとした動機について、安藤範樹裁判長は「短絡的で身勝手。酌むべき余地はない」と指摘。弁護側は「薬物の投与は被害者を弱らせ、金の返済を免れるため」と殺意を否定していたが、安藤裁判長は「大量に投与した時から(死んでも構わないという)未必の殺意はあった」と退けた。
判決によると、被告は、被害者の自宅で、株式購入名目でだまし取った100万円の返済を免れるため、被害者に多量の睡眠薬を服用させ、インスリン製剤を注射。湯を張った浴槽につけて殺害し、現金9万円を奪った。

09月26日 高知地裁
生後10カ月の長女を死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた42歳の女性に対し、山田裕文裁判長は「傷害致死事案の中では悪質な部類に属する」として、懲役4年(求刑5年)を言い渡した。

09月23日 仙台地裁
同僚のトラック運転手の男性を包丁で刺して殺害したとして、殺人罪に問われた54歳男性に対し、懲役10年(求刑13年)を言い渡した。
加藤亮裁判長は「殺傷能力の高い包丁で腹や胸を刺した」と殺意を認定。弁護側は「男性から先に模造刀で攻撃された」と正当防衛を主張したが、判決は「助けを求めることができたはずで、反撃は正当化できない」と退けた。

09月22日 和歌山地裁
元暴力団員を殺害したとされ、15年間の逃亡の末、逮捕された55歳男性に対し、懲役14年を言い渡した。
元暴力団幹部の被告は、1999年9月、路上で、当時の組関係者2人と共謀して、暴力団の元組長代行の男性(当時56)を拳銃で撃ち殺害したとされる。
裁判は、被告が犯行の指示役だったかどうかが争点だったが、判決は、「拳銃を用意し、実行役に殺害を指示した」として、被告の犯行と断定。15年間の逃亡についても、「長期にわたり逃亡した上、公判においても全く反省の態度がみられない」と厳しく非難した。

09月22日 福岡地裁
覚醒剤約100㌔を密輸したとして覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)などの罪に問われた、指定暴力団山口組系元組幹部(70)と、同神戸山口組系元組幹部(69)に対し、足立勉裁判長はそれぞれ懲役27年・罰金1千万円(求刑30年・罰金1千万円)と懲役25年・罰金1千万円(求刑通り)を言い渡した。
判決によると、2人は昨年2月、東シナ海で国籍不明の船から覚醒剤約100㌔(末端価格約70億円)を漁船で受け取り、鹿児島県徳之島町に陸揚げして密輸した。
足立裁判長は、70歳被告が密輸グループのまとめ役で、69歳被告が現場で他の組員らに陸揚げなどを指示したと認定。「密輸された覚醒剤は膨大な量で、極めて悪質」と指摘した。

09月20日 青森地裁
昨年12月、自宅に放火したなどとして、現住建造物等放火と覚せい剤取締法違反の罪に問われた36歳男性に対し、古玉正紀裁判長は懲役4年(求刑6年)を言い渡した。
被告は放火を否認していたが、古玉裁判長は「客観的状況と矛盾するもので信用できない」との判断を示した。量刑理由には「被告が思い詰めた精神状態だったことは認められるが、自業自得という面が大きい」と指摘。実父が被告の社会復帰後に再び同居する意向を示していることなどの情状も考慮したとした。
判決によると、被告は自宅に火を放ったほか、自宅で覚せい剤を使用した。

09月20日 神戸地裁
金融業の女性=当時(78)=宅に男が押し入り現金などが奪われた事件で、強盗致傷や窃盗などの罪に問われた37歳の男性に対し、小倉哲浩裁判長は懲役6年6月(求刑9年)を言い渡した。
判決によると、複数の男と共謀し、昨年5月22日午前0時半ごろから同0時45分ごろ、駐車場で乗用車1台などを盗み、その後、同市の女性宅に侵入し、女性の腕や足を結束バンドで縛って全治約1週間のけがを負わせ、現金約140万円やネックレスなどを奪った。
小倉裁判長は判決で「女性の拘束や金庫の運搬など重要な役割を果たしたが、強盗の立案には関与せず、事前の計画や指示に基づき行動した」と指摘した。

09月19日 鳥取地裁
昨年4月、自宅で母親と妹(当時56歳)に熱湯をかけ、妹を死なせたとして傷害致死罪などに問われた61歳の男性に対し、辛島明裁判長は懲役6年(求刑10年)を言い渡した。

09月16日 千葉地裁
民家で1月、外壁などが焼けた火災で交際していた女性の両親宅に放火したとして現住建造物等放火罪に問われた24歳男性に対し、市川太志裁判長は「一線を越えた行為で動機は身勝手」などとして、懲役5年(求刑7年)を言い渡した。
市川裁判長は判決で「交際相手との思い出を消してしまいたい、つらい思いをすっきりさせたいという思いから放火を決意し実行した。ガソリンやガスボンベなど燃焼力の高いものを大量に使用し危険性が高く結果も重大」と指弾した。
弁護側は「犯行当時の精神状態も冷静な判断ができず追い詰められていた」などとして執行猶予付き判決を求めていたが、「複数の店舗であらかじめ燃料を購入するなど放火の違法性も認識し、冷静な判断ができなかったとは言えない」と退けた。
判決によると、被告は1月9日、女性の両親から結婚を反対され交際を解消。放火すれば自分のつらい気持ちがすっきりするなどと思い込み女性の両親宅に放火を考え、ガスボンベ9本や着火剤、ガソリン約32㍑を購入した。1月11日、午後5時10分ごろ~同6時20分ごろまでの間、両親宅の外壁などに用意した燃料やガソリンの一部をまきライターで火を付けた新聞紙で放火。同宅の外壁や仏間天井などを焼損させた。

09月15日 名古屋地裁
2015年12月、イラン人男性=当時(27)=を刃物で刺して死亡させたとして、傷害致死罪に問われたイラン国籍の被告(34)に対し、奥山豪裁判長は懲役3年6月(求刑5年)言い渡した。
判決理由で奥山裁判長は、「複数人が共謀し、凶器を使って暴行を加えた悪質な犯行」と指摘。被害者への直接的な暴行には及ばなかったとしたものの、「被害者のおびき出しに協力した」などとして、被告の共謀は成立すると判断した。
判決によると、被告は他の5人の男性=いずれもイラン国籍=と共謀、現場付近で被害者のワンボックス車の進路を車でふさいで停止させ、腕や足を刃物で突き刺すなどして出血性ショックで死亡させた。

09月15日 熊本地裁
去年8月、父親を刃物で刺したとして殺人未遂の罪で起訴された32歳の息子に対し、懲役3年・執行猶予5年(懲役5年)を言い渡した。
判決によると被告は自宅で、殺意を持って父親の背中や腕などを刃物で刺し、殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われていた。
船戸宏之裁判長は被告の殺意を認めたうえで、被告に対する被害者からの日常的な態度に問題があったことや被告が犯行直後に自首していることなどを指摘。

09月13日 東京地裁
マンションで2016年1月、同居していた当時3歳の幼児を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた21歳の男性に対し、懲役8年(求刑9年)を言い渡した。家令和典裁判長は、「被害者の苦痛は非常に大きかったと考えられ、わずか3歳で生涯を閉じた被害者に同情の念を禁じ得ない」と述べた。
判決によると、被告は同年1月25日夜、マンション室内で幼児を放り投げて収納ケースにぶつけたり、顔を殴ったりしたほか、頭にかかとを打ち付ける「かかと落とし」などの暴行を加え、同月27日未明、外傷性硬膜下血腫で死亡させた。
公判で弁護側は「『かかと落とし』はしていない」などと主張したが、判決は「暴行を具体的に述べた幼児の母親の証言は信用できる」と退けた。

09月13日 大阪地裁
自宅で生活費を巡って口論となった内縁の妻に暴行を加えて死亡させた罪に問われた53歳の男性に対し、懲役5年(求刑7年)を言い渡した。
検察側は、被告が酒を飲むと日常的に暴力を振るっていたと指摘。今回の犯行後は、被害者の異変を察知していたのに119番通報せず、4日間も遺体を放置していたと。一方、弁護側は、「頭を狙って蹴るという明確な意図はなく、1度きりの暴行で、危険性や悪質性の高いものとはいえない」などと主張。
判決は、「被害者のパチンコによる浪費が、生活費を圧迫するかなりの要因だったのに、被害者が今後の生活費について真剣に考えようとしないことに腹を立てた被告の心情自体は理解できる」と指摘した一方、「そもそも暴力は正当化できず、飲酒や暴力を自制せずに同じような行為が繰り返されていた末での犯行」と非難した。

09月13日 奈良地裁
 空き家の庭から68歳男性の遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄罪に問われた近くに住む35歳の男性に対し、西川篤志裁判長は「確実に被害者を死に至らしめる犯行」として懲役16年(求刑20年)を言い渡した。
西川裁判長は判決理由で、「被害者の言動は、通常殺意を抱くようなものではない」と指摘。「生命軽視の度合いは高く、遺体を土中に埋めて遺棄した点も考慮すべき」とした。
判決によると、被告は昨年12月29日ごろ、勤務先の建設事務所資材置き場に停車中の車内で、ロープのようなものと腕で被害者の首を絞めて殺害。翌30日ごろ、空き家の庭に、袋に入れた遺体を埋めた。

09月12日 千葉地裁
昨年7月、53歳男性が複数人から暴行を受け死亡したとされる事件で、傷害致死の罪に問われた48歳男性に対し、松本圭史裁判長は「粗暴かつ危険な犯行」として懲役4年(求刑8年)を言い渡した。
松本裁判長は量刑理由で「多人数で明らかに度を越えた苛烈な暴行を加えた」と指弾。被告自身の暴行は「被害者の死亡結果に大きな影響を与えるものではなかった」とする一方、共犯者らの暴行を見ていたことなどから「その責任は決して看過できるものではない」と判示した。
判決によると、47歳男性=同罪で起訴、55歳男性=同=両被告ら8人と共謀し同年7月24日午前0時ごろから同30分ごろまでの間、駐車場などで、被害者に全身を多数回にわたり殴る蹴るなどの暴行を加え、同2時ごろ、病院で被害者を多発外傷による出血性ショックで死亡させた。

09月12日 大津地裁
同僚をスパナで殴ったとして殺人未遂の罪に問われた46歳の男性に対し、伊藤寛樹裁判長は懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。
判決によると、会社で悪感情を募らせていた同僚の64歳男性の頭部や顔を、殺意を持ってスパナで複数回殴打し、全治2週間のけがを負わせた。
被告側は、殺意はなかったと主張していたが、伊藤裁判長は被害者の傷の状態などから殺意を認定し「強い攻撃意思に基づいて行われた凶悪な犯行」と述べた。

09月11日 東京地裁
2016年6月、京浜運河に浮かんだスーツケースから中国籍の34歳女性の遺体が見つかった事件で、殺人罪や死体遺棄罪などに問われた38歳の夫に対し、島田一裁判長は「殺意を認定するには疑問が残る」と述べ、傷害致死罪を適用し、懲役10年(求刑18年)を言い渡した。
判決によると、被告は同年6月22日、自宅で被害者と口論になり、布団をかぶせて口などを圧迫し、死亡させた。検察側は公判で「首を強く圧迫しており、強い殺意がある」と主張したが、判決は「被害者を黙らせるため、口だけを押さえていると思い込んでいたことも十分あり得る」と退けた。

09月08日 前橋地裁
児童養護施設で児童相談所の男性職員を刃物で切りつけたとして殺人未遂などの罪に問われた41歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役8年(求刑10年)と包丁1本没収を言い渡した。
鈴木裁判長は判決理由で、「殺傷能力のある包丁で頭部などを多数回切りつける一方的かつ執拗で、強い殺意に基づいて行われた犯行」と指摘。「殺人未遂事件の中では重い部類に位置する」とした。

09月08日 名古屋地裁
アパートで住人の53歳男性が殺害された事件で、殺人と窃盗の罪に問われた53歳の男性に対し、吉井隆平裁判長は懲役15年(求刑17年)を言い渡した。
判決によると、被告は被害者に無視されたと思い頭をたたいたところ、声を出されたため殺害した。吉井裁判長は判決理由で「被害者に落ち度はなく、動機は理不尽で身勝手」と指摘。「強固な殺意に基づく執拗な犯行」と結論づけた。
判決によると、被告は11年11月27日、被害者の首をタオルで絞めて窒息死させ、現金約3千円とテレビ一式(時価8千円相当)を盗んだ。
被告は事件発生から約5年後の昨年12月、愛知県警に逮捕された。トラック運転手だった09年ごろに交流サイト(SNS)で被害者と知り合い、仕事の途中に被害者の自宅に立ち寄っていた。

09月02日 山形地裁
2009年12月、生まれたばかりの男児を殺害したとして、殺人罪に問われた34歳の母親に対し、兒島光夫裁判長は「男児は鼻口部をふさがれ窒息死し、殺害したのは被告であることに疑問を生じない」として、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。被告は一貫して無罪を主張していた。
判決理由で兒島裁判長は、「男児の存在を知っていたのは被告だけで、数分間にわたり鼻口部を閉塞し続けた行為に迷いはなく、強い殺意がうかがわれる」とした。その上で、「法廷でうその供述をするなど反省がない」と指弾した。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日

2017年08月

08月28日 さいたま地裁
昨年8月、当時16歳の少年に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた17歳の少年に対し、佐々木直人裁判長は懲役5年6月以上9年以下の不定期刑(求刑6年以上10年以下)を言い渡した。
少年が被害者を最後に川に沈めた行為を巡って、弁護側は公判で「被害者の意識を取り戻そうとしただけ」と主張していたが、佐々木裁判長は「仮に意識を回復させる目的があったとしても、一連の暴行態様が悪質であるのは揺るがない」などと述べ、弁護側の主張を退けた。一方で、主導的な立場で関与したのは別の18歳の少年(懲役6年以上9年以下の不定期刑が確定)とした。
事件では少年5人が逮捕され、今回の判決も含めて無職少年2人が傷害致死罪で有罪判決を受け、中学生3人が少年院に送致された。

08月25日 甲府地裁
フィリピン・マニラで2014〜15年、保険金をかけた男性2人を何者かに射殺させたとして、殺人罪などに問われた43歳の男性に対し、検察側の求刑通り死刑を言い渡した。
丸山哲巳裁判長は「人命を金銭獲得の手段にした巧妙で計画的な犯行で、人命軽視の度合いが甚だしい。死刑はやむを得ない」と述べた。
判決によると、被告は、44歳の受刑者(殺人罪などによる無期懲役で服役中)らと共謀し、14年10月19日に32歳の男性を、15年8月31日から9月1日の間に42歳の男性を、いずれも保険金を受け取るためにマニラで何者かに射殺させた。
被告は、捜査段階から事件への関与を否定し、無罪を主張していた。

08月09日 東京地裁
小学生の女児の頬をなめた上、悲鳴を上げた女児の顔を殴ってけがをさせたとして、強制わいせつ致傷などの罪に問われた41歳の男性に対し、前田巌裁判長は「年少の被害者にとって恐怖や嫌悪感は計り知れない」として、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。
判決で前田裁判長は、「いたずらしてやろうという意図は明らか」とする一方、「自身の抱える問題について十分に理解していない」として、性犯罪者処遇プログラムを受講させる必要性を指摘し、保護観察付きとした。

08月08日 岐阜地裁
脳性まひなどの障害で体が動かない状態だった三男=当時(46)=を病院から車で連れ出し、ビニールひもで首を絞めて殺したとして、殺人罪に問われた75歳の母親に対し、懲役4年(求刑6年)を言い渡した。
被告は、三男の死因を持病の発作による呼吸困難と主張したが、鈴木芳胤裁判長は、解剖医の証言などから、死因は首をひもで絞められたことで、絞めたのは被告と認定。実刑判決の理由を「愛する母親に突然、首を絞められた被害者の悲しみは大きく、その苦しみも相当なものだった」と指摘した。
犯行動機については、保険金で借金を返済するために自殺を考えたが、自身の保険金だけでは足りないため「三男の遺産も充てようと考え、三男を殺して、自分も死のうと考えるようになった」と認定。「短絡的な判断」と批判した。

08月05日 大分地裁
アパート自室に火を付けたとして、現住建造物等放火罪に問われた52歳の男性に対し、懲役6年(求刑8年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年6月22日午後9時15分ごろ、鉄筋コンクリート4階建てアパートの自室で布団などにカセットコンロで火を付け、自室を全焼させたとしている。
弁護側は、被告は当時酒を飲んでおり、責任能力がなかったと主張していたが、今泉裁判長は「被告は犯行の中核的な記憶を保持し、責任能力を有していた」と、これを退けた。

08月04日 大阪地裁
香港から1㌔余りの覚醒剤を密輸したとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)と関税法違反(禁制品輸入)の罪に問われた中国籍の24歳男性に対し、覚せい剤取締法違反罪の成立を否定し、関税法違反(無許可輸入未遂)罪で懲役1年(求刑12年・罰金500万円)を言い渡した。
増田啓祐裁判長は、男が共犯者から「金塊を密輸して税金を免れる仕事」と説明を受け、手荷物の中身を金塊と認識していた可能性が否定できないと判断。金塊を無許可で輸入しようとした行為のみを有罪とした。その上で「安易に高額のお金を稼ごうとした結果だ。まっとうな仕事を選んでお金を稼ぐようにしてほしい」と諭した。

08月02日 大阪地裁
生後9カ月の次女を床に落として死亡させたとして、傷害致死罪に問われた31歳の母親に対し、懲役3年(求刑6年)を言い渡した。
西野吾一裁判長は「何ら抵抗できない乳児に対する犯行で、相当悪質と言わざるを得ない」と指摘。ワンルームマンションで次女を含む子ども3人を育てる中、無理解な夫にストレスをため込んだ末の犯行で同情できる部分もあるとしたが、「同種事案に照らし軽い部類とは言えない」と述べ、実刑を選択した。

08月01日 金沢地裁
ホテルで昨年11月、女性を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた31歳の男性に対し、田中聖浩裁判長は懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
田中裁判長は判決理由で「出会い系サイトで知り合った被害者に入れ墨があり、別の男にゆすられると思い込んだほか、被害者に冷たい態度を取られ、不満から憎しみが生じた」と認定、「思慮の浅い判断と身勝手な思考から生じた動機で酌量の余地に乏しい」と述べた。
判決によると、被告は昨年11月16日、ホテルで女性(当時22歳)の背中や胸を、持っていた包丁で刺して死亡させた。
傍聴していた遺族は取材に「懲役16年は軽すぎる。被告を許せない」と憤った。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月29日

2017年07月

07月27日 岡山地裁 昨年5月足に障害がある同居の54歳の兄を一酸化炭素中毒にして殺害し、自身も大量の薬を飲み自殺しようとしたとして、殺人罪に問われた50歳の妹に対し、懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。
判決理由で後藤有己裁判長は「少なくとも犯行の1カ月以上前から殺害を考え、必要な道具を購入するなど強い殺意に基づく計画的犯行」と指摘。一方で「兄の介護を一人で担い、施設入所もかなわず、介護が終わりなく続いていくことに強い不安と絶望感を抱いていたことも十分に理解できる」とした。

07月24日 神戸地裁姫路支部
2015年9月、スナック経営の女性=当時(32)=をビルから落として殺害したなどとして、殺人と暴行、脅迫の罪に問われた52歳の指定暴力団神戸山口組系組員に対し、木山暢郎裁判長は「女性が飛び降りたとみても不自然ではない」として殺人と脅迫を無罪とし、暴行罪で懲役1年4月(求刑22年)を言い渡した。
被告は15年9月22日未明、商業ビル5階から、女性を路上に落として殺害したなどとして起訴されたが、弁護側は「女性が自ら手すりを越えて落ちた」として、殺人と脅迫について無罪を主張していた。
判決理由で木山裁判長は、転落前に被告が女性に暴行を加えて口論となった点を踏まえ、「女性が突発的に自殺を決意した可能性が否定できない。殺害する動機にも疑問が残る」と指摘。検察側の「被告が女性を持ち上げて落とした。強固な殺意があった」とする主張を退けた。脅迫罪は「暴言の域を出ない」とし、暴行罪のみを認定した。

07月21日 静岡浜松支部
昨年4月、母親ら家族4人を殺傷したとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた32歳の長男に対し、山田直之裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
公判では責任能力が争点となり、弁護側は心神耗弱状態だったとして、刑の減軽を求めていた。山田裁判長は、精神科医の証言を基に「(事件は)自尊心が強く極端な行動に出やすい元来の性格によるものだ」と述べ、完全責任能力があったと判断した。
判決によると、被告は昨年4月22日午前0時半〜3時ごろ、自宅で祖母=当時(83)=と母=同(62)=、姉=同(32)=の胸などをサバイバルナイフで突き刺すなどして殺害し、父に1カ月の重傷を負わせた。

07月21日 神戸地裁
マンションで昨年12月、仲間とともに60代の男性に暴行し、男性宅の現金約1千万円を奪ったとして、強盗致傷と住居侵入の罪に問われた28歳の男性に対し、懲役7年6月(求刑9年)を言い渡した。
判決理由で小倉哲浩裁判長は、グループでの被告の役割について「連絡調整や実行役への指示、監督をする要だった」と指摘した。
判決によると、被告は既に有罪判決を受けた男らと共謀し、昨年12月23日、男性に対し殴ったり粘着テープで縛ったりする暴行を加え、金庫にあった現金を強奪した。男性は頭などに約2週間のけがを負った。

07月20日 山形地裁
昨年12月、自宅で同居する81歳の父親をナイフで数回突き刺し、殺害したとされている54歳の男性に対し、兒島光夫裁判長は懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
兒島裁判長は「父親の認知症がかなりのスピードで悪化していた時期で、被告は覚悟していた以上の介護の負担を感じた」と述べた。その一方で、「介護の期間はわずか20日間で、周囲のサポートを受けられる環境にあった」と指摘。「犯行は被告の衝動的な性格による影響が大きく、介護の悩みを主な動機とした事件の中では重い部類に入る」と。

07月19日 名古屋地裁岡崎支部
知人女性(当時71歳)を死なせたなどとして、傷害致死、死体遺棄、窃盗罪などに問われた40歳の男性に対し、野村充裁判長は懲役11年(求刑15年)を言い渡した。「身勝手な理由で犯行に及び、強い非難に値する」と指摘した。

07月19日 大阪地裁堺支部
当時3歳の長男を浴室に閉じ込め、暴行し死なせたとして、傷害致死などの罪に問われた24歳の母親に対し、傷害致死罪を無罪とし、傷害と監禁の罪で懲役2年6月・執行猶予5年(休憩12年)を言い渡した。
傷害致死事件について、長男に対する33歳の養父=懲役9年の一審判決確定=の暴行を被告があおったかどうかが争点だった。
検察側は「(暴行時に)『大丈夫かな』と聞くと、被告が『大丈夫やろ』と答えた」とする受刑者自身の公判供述を証拠として提出したが、武田義徳裁判長は判決理由で「迫真性がない」として退けた。

07月19日 福岡地裁
妻を暴行死させたなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた韓国籍の56歳男性の差し戻し審の裁判員裁判で、中田幹人裁判長は傷害致死罪の成立を認めず傷害罪にとどまるとして懲役7年6月(求刑15年)を言い渡した。
1審・福岡地裁判決(2014年9月)は傷害致死罪を適用して懲役14年6月としていたが、2審・福岡高裁判決(15年8月)は暴行と妻の死亡との因果関係を否定。被告が暴行後にバランスを崩して転倒し、妻に覆いかぶさったことが死亡につながった恐れがあるとして、審理を福岡地裁に差し戻した。
中田裁判長は「(暴行で死亡したとの検察側の主張は)一つの可能性にとどまり、なお合理的な疑いが残る」と指摘。傷害罪を適用した上で「犯行は執拗で相当悪質」と指弾した。

07月14日 大阪地裁
パチンコ店で2012年3月、かばんを奪おうとして従業員にけがを負わせたとして、強盗致傷の罪で起訴された37歳の男性に対し、伊藤寿裁判長は、無罪を言い渡した。
警察は現場から逃走した車のナンバーの目撃情報から昨年10月、男性を逮捕したが、捜査段階から否認していた。ナンバーの目撃者とされた証人が公判で当時の状況を「全く覚えていない」と証言しており、判決は「男性以外が犯人の可能性が十分ある」と述べた。検察側が防犯カメラに映った犯人と男性の特徴が一致しているとした点も、「見た目の雰囲気が似ているという程度」と判断した。

07月12日 千葉地裁
アパート2階で昨年4月、女性が腹部を刺されるなどして殺された事件で、強盗殺人と強盗未遂、窃盗、住居侵入などの罪に問われた30歳男性に対し、楡井英夫裁判長は「強固な殺意に基づく残忍な犯行」などとして、求刑通り無期懲役判決を言い渡した。弁護側は「(被害者が)静かにならず、困惑して首を刺した」などとして、懲役25年程度が相当と主張していた。
判決で楡井裁判長は「悲鳴をあげて抵抗を続ける被害者の首を包丁で刺し、致命傷を与えたと認識しながらさらに首や腹を複数回、突き刺すなど執拗かつ残忍」と指弾。「初めから殺害目的ではなかったが、住人に気付かれて抵抗された場合に住人を傷つけることを想定しており、悪質で危険性が高い」と非難。楡井裁判長は「アルバイトの収入が減り、遊興費が足りなくなったという動機は身勝手で短絡的。何の落ち度もない被害者は突然命を奪われた。強盗殺人の中で軽い部類ではない」と量刑理由を述べ、「遺族の処罰感情も峻烈を極めている。極刑を望むのは当然だが、あらかじめ殺害を計画したわけではなく、究極の刑罰である死刑を適用すべき事案ではない」と、遺族を気遣った。
弁護側は「父親から過干渉を受けていた。一番認めてもらいたい相手に自分の意見を否定され、他人がどう思っているかを考える共感性が低くなった。過干渉の結果、ストレスへの対処が下手で衝動性が高くなり、社会性の未成熟の要因となって今回の犯行に現れた」として、被告一人に責任を負わせるべきではないと主張してきた。
判決で楡井英夫裁判長は「人格形成に家庭環境が影響していたとしても、被告の家庭環境が際立って特異であったとまでは認められない」と判断。「当時29歳の被告が父親とけんか別れをして家出し、単身生活を始めた数カ月後に、欲望を満たすために決断した犯行に、父親との幼少期からの関係が意味のある事情とは認められない」と、弁護側の主張を退けた。

07月11日 札幌地裁
ツルハシで上司の頭を殴ったとして殺人未遂罪に問われた24歳の男性に対し、島戸純裁判長は「被害者が死亡した可能性もある危険な犯行」として懲役3年(求刑5年)を言い渡した。
判決によると、被告は2月27日、勤務先で指導役の男性(当時64)から注意されたことなどに腹を立て、ツルハシ(重さ約1.7㌔)で男性の側頭部を殴り、頭蓋骨骨折などの重傷を負わせた。
弁護側は公判で「発達障害があり、死亡する危険性を判断できなかった」と傷害罪にとどまると主張したが、島戸裁判長は「頭部を狙って相当強く殴っており、死亡する危険性が高いことを分かっていた」と退けた。

07月11日 さいたま地裁
昨年8月、当時16歳の少年を死なせたとして傷害致死罪に問われた18歳の少年に対し、栗原正史裁判長は懲役6年以上9年以下の不定期刑(求刑6年以上10年以下)を言い渡した。
起訴内容は昨年8月22日未明、河川敷で他の15〜17歳の少年4人とともに、暴行して意識混濁の状態にさせ、川に沈めて溺死させたなどというもの。被告の少年と17歳の少年が起訴され、ほかの3人は「従属的だった」などとして少年院に送られた。検察側の冒頭陳述によると、少年は、被害者が会うのを避けようとしたことに腹を立て、「タイマン」と称して年下の少年らに命じるなどして1人ずつ被害者に暴行。16歳の少年が救急車を呼ぼうと提案したのに反対したり、年下の少年らと「現場にいなかったことにしよう」などと口裏合わせをしたりしたという。論告で検察側は、暴行を「執拗で強烈」と述べ、少年が5人の中で年長だったことなどから「発言力が強い。役割は主導的で重大」などと指摘。弁護側は「十分な育て直しがないまま社会復帰すれば、再犯の恐れが高まる」などと訴え、刑事罰でなく少年院送致などの保護処分が適切だとして、家裁に事件を移すよう求めていた。

07月08日 福井地裁
20代女性宅に侵入、乱暴しけがを負わせたなどとして、住居侵入と強姦致傷、強制わいせつ、県迷惑防止条例違反(盗撮)の罪に問われた43歳の男性に対し、渡邉史朗裁判長は「女性の人格や尊厳を無視し、犯行をエスカレートさせた」として懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
判決理由で渡邉裁判長は強姦致傷について、凶器で脅して手を縛り、殴ったり「殺す」と脅すなど「あの手この手で制圧している」と指摘した。口にシャワーの水を噴射し続けた行為は「多大な苦痛と恐怖を与える強烈な暴行」と非難。「性的自由を侵された程度は、同種事案の中でひどい部類」とし「生活や人生を一変させられた被害者が、法廷で悲痛な心情を訴え、厳罰を求めるのはもっともだ」と述べた。
強制わいせつについては「単なる行き当たりばったりの犯行とは到底いえない」とした上で、盗撮を3回した後、約1年足らずの間に強制わいせつ、強姦致傷に至った犯行を「計画性が徐々に高くなっている」と述べた。一方で「反省の弁を述べ、再犯に及ばないと誓っている」などとした。
判決によると、被告は昨年6月12日未明、無施錠だった県内女性のアパート玄関から侵入、女性の口をふさぎカッターナイフで脅迫。女性の両手首をビニールテープで縛り、頭を拳で殴って洗面所まで引きずり、シャワーヘッドで口に水を入れるなどの暴行を加えた上で乱暴、約2週間のけがを負わせた。昨年1月3日夜には、歩道を歩いていた10代女性の後ろから口をふさいで脅し、胸を触るなどのわいせつ行為をした。2015年7~9月には、同県敦賀市白銀町の公園の公衆便所で3回、スマートフォンで女性の尻などを撮影した。

07月07日 岡山地裁
1万円札をカラープリンターで偽造して使用したとして、通貨偽造・同行使罪に問われた62歳の男性に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑3年)を言い渡した。

07月07日 高知地裁
山中で、死亡当時44歳の男性の遺体が見つかった事件で、殺人や死体遺棄罪などに問われた41歳の男性に対し、山田裕文裁判長は「被告の刑事責任は誠に重大」として、懲役23年(求刑25年)を言い渡した。

07月06日 旭川地裁
昨年5月、飲酒運転の乗用車がワゴン車と衝突し、38歳の女性が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた52歳の男性に対し、佐藤英彦裁判長は危険運転致死罪の成立を認め、被告に懲役10年(求刑14年)を言い渡した。
危険運転致死罪が成立するかどうかが争点だった。
判決理由で佐藤裁判長は「飲酒の影響により自制心が著しく低下し、安全に運転するのに必要な判断能力を喪失した状態にあった」として、飲酒による精神面への影響を認定し、危険運転致死罪の成立を認めた。

07月06日 前橋地裁
女性の体を触るなどしたとして強制わいせつ致傷などの罪に問われた36歳の男性に対し、國井恒志裁判長は懲役4年(求刑7年)を言い渡した。
國井裁判長は判決理由で、「被告には性犯罪の常習性が認められる」とした上で、「性欲を満足させるための身勝手な犯行。動機は強い非難に値する」と指摘した。
判決によると、被告は昨年6月から9月にかけて、県内や埼玉県内の路上を通行していた10~20代の女性3人に対し、押し倒し胸や下半身を触るなどの暴行を加え、そのうち1人の顔を膝蹴りし、けがを負わせたとしている。

07月06日 宮崎地裁
昨年8月、泥酔した乗客の男性を路上に置き去りにし、交通事故で死亡させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた67歳の元タクシー運転手に対し、懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。
岡崎忠之裁判長は判決理由で「男性が泥酔して身動きができない状態と知りながら、置き去りにした。車にひかれて死亡させる危険性が非常に高い行為だった」と指摘。タクシー運転手としての義務違反は重大で「自首の成立を考慮しても実刑が相当だ」と述べた。
判決によると、被告は昨年8月27日、タクシーの車内で寝込んだ自営業の男性=当時(38)=を市道の中央付近に放置し、軽乗用車にはねられる事故で死亡させた。

07月05日 名古屋地裁
住宅で84歳の女性が殺害され現金が奪われた事件で、強盗殺人や非現住建造物等放火などの罪に問われた無職、落合勝大被告(30)の裁判員裁判の判決が5日、名古屋地裁であった。山田耕司裁判長は「強い殺意に基づく執拗な犯行で動機も身勝手」とし、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
弁護側は「パニックになって静かにしてほしい一心で首を絞めた」などと殺意を否認していた。判決で山田裁判長は「5分前後かけて被害者の首を絞め続けた。(首付近の)骨が折れていた」などと殺意を認定。その上で「責任は重大。反省の態度などを考慮しても酌量の余地はない」とし、有期刑を求める弁護側の主張を退けた。
判決によると、被告は昨年6月5日、被害者宅に侵入し現金約140万円を盗んだ。同28日にも同宅で約40万円を奪い、建物外に出たところを被害者に発見され、首を締めて窒息死させた。証拠隠滅のため、居間兼台所で遺体にかぶせた布団などに食用油をまいて点火し、遺体や建物を焼いた。

07月04日 水戸地裁
 信号を無視して時速約114㌔で国道交差点に進入し、14歳の中学生を乗用車ではねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた29歳の男性に対し、小笠原義泰裁判長は懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
裁判では、被告が故意に赤信号を無視したか否かが争点となり、危険運転致死罪が成立するかに焦点が絞られていた。小笠原裁判長は判決理由で「信号に従う意思があれば減速があったはず。しかし、被告は(約200㍍)手前の交差点を時速110㌔台で走行し、事故現場を通過している」と指摘。赤信号を故意に無視したと結論づけ、同罪が成立すると判断した。
弁護側は「直進可能を示す青色矢印が出ていると軽信した。信号に従う意思はあった」と主張していたが、小笠原裁判長は「過去にその交差点で停止せずに通過できることが多かったという点のみだ。具体的な根拠がない。被告はこれまでに10回程度は直進矢印のない赤信号で停止した経験もある」などとして退けた。
また、量刑の理由については「無謀で非常に危険な運転。被害者に落ち度はなく、理不尽な事件によって遺族らの悲しみは大きい」と説明。また、被告が事故の約8カ月後に無免許で運転していることに言及し、「交通法規を守ろうとする意識の希薄さといえる」と指摘した。

07月04日 鹿児島地裁
 スナック従業員を暴行し死亡させたとして傷害致死の罪に問われた元スナック経営の57歳の女性と51歳の男性に対し、懲役4年6月と懲役6年6月(いずれも求刑7年)を言い渡した。

07月03日 福島地裁郡山支部
建設会社敷地内で、同僚=当時(46)=を集団で暴行して死亡させ、現金を奪ったとして強盗致死罪などに問われた58歳の男性に対し、懲役18年(求刑25年)を言い渡した。
井下田英樹裁判長は「強度の暴行を執拗に加え、残忍な犯行」と指摘。ただ共犯者らを制止する発言もあったとして「従属的関与にとどまる」と述べた。
判決によると、被告は仲間と共謀して2015年9月5日、建設会社事務所で、被害者の頭を木刀や椅子などで繰り返し殴って死亡させ、現金約40万円やキャッシュカードを奪うなどした。男6人が起訴された一連の事件で一審判決は5人目。うち強盗致死罪などで62歳男性が懲役30年、53歳男性が懲役26年の判決を受け、いずれも控訴した。51歳の男性は無罪が確定した。

07月01日 大阪地裁
2015年12月、当時25歳の女性の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人や死体損壊・遺棄罪などに問われた31歳の男性に対し、柴山智裁判長は「犯行は極めて執拗かつ残虐」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。
公判で弁護側は、死体損壊や遺棄を認める一方で「病死や第三者による殺害の可能性がある」と強盗殺人罪については否認していた。
柴山裁判長は医師の鑑定結果などから、死因は「何者かに首を圧迫されたことによる窒息死」と判断。被告が事前にインターネットで遺体の切断方法などを検索し、事件当日に被害者を装うメールを送っていたことなどを挙げて「被告が殺害したと考えなければ説明が困難」と指摘した。 その上で「金品を強奪する目的で殺害し、失踪を装うため遺体を徹底的に損壊して遺棄した」と結論づけた。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月28日

2017年06月

06月30日 大阪地裁
自宅で介護に疲れて妻を殺害したとして、殺人罪に問われた76歳の男性に対し、懲役4年6月(求刑6年)を言い渡した。西野吾一裁判長は「被害者に落ち度はなく、理不尽な犯行だ」と指摘した。

06月30日 大分地裁
昨年12月、当時37歳の男性を殺害し、山林に遺体を遺棄したとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われた40歳の男性に対し、今泉裕登裁判長は求刑通り懲役18年を言い渡した。弁護側によると、控訴しない。

6月17日 宇都宮地裁
実家で昨年8月、母親を刃物で刺殺したとして殺人罪に問われた47歳の男性に対し、二宮信吾裁判長は、経済苦から自殺を考えていた被告が「実母を自殺の道連れに殺害したことは強い非難に値する」として求刑通り懲役12年を言い渡した。
弁護側は公判で、被告が母=当時(79)=から殺害を依頼されていたと主張しており、同意殺人罪が成立するかが争点だった。
二宮裁判長は判決で、同意の有無について、被告は軽度の知的障害があるものの「母から『死にたい』と言われても本気にしていなかった」として「母が死を望んでいるという思い込みはなかった」と判断。同意殺人罪の成立を否定した。

06月15日 さいたま地裁
昨年1月、次女(当時3歳)に冷水をかけ放置するなどして虐待し死亡させたとして保護責任者遺棄致死罪などに問われた24歳の実母に対し、高山光明裁判長は求刑通り懲役13年を言い渡した。
検察側は論告で「低栄養状態だった次女に被告らが必要な治療を受けさせなかったため死亡した」と指摘。弁護側は日常的な虐待は認めたが、死亡したのは同居のO元被告(26)=同罪などで懲役12年6月が確定=が冷水をかけて浴室に放置したのが原因とし、懲役5年が妥当と主張していた。

06月15日 神戸地裁
文化住宅前で昨年5月、上階の物音に立腹して住人女性と次女を死傷させたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた68歳の男性に対し、川上宏裁判長は懲役24年(求刑30年)を言い渡した。
川上裁判長は判決で「強固な殺意に基づく悪質な犯行。残された家族のショックも大きい」と指摘。女性宅の物音に腹を立てた点については「音を不快と感じるかは人それぞれで、過敏に反応したとしても非難することはできない」との見解を示した。 判決によると、同被告は昨年5月19日、同住宅前の路上などで上階に住む女性(62)の頭をハンマーで殴るなどして重傷を負わせ、女性の次女=当時(33)=の首や胸を包丁で突き刺すなどして殺害した。

06月12日 宇都宮地裁
 アパートで昨年12月、交際相手だった女性=当時(28)=を殺害したとして、殺人などの罪に問われた27歳の男性に対し、佐藤基裁判長は「動機は身勝手で、酌むべき事情があるとはいえない」として懲役17年(求刑懲役18年)を言い渡した。

06月09日 横浜地裁
 現金を奪うため路上で4人の男性を次々と襲ってけがを負わせたとして、強盗致傷などの罪に問われた33歳の男性に対し、近藤宏子裁判長は「被告に(現金の)強取の目的が認められない」として強盗致傷罪を適用せず、傷害罪などで懲役7年(求刑12年)の判決を言い渡した。
判決によると、被告は昨年5月18日午後11時半から19日午前1時ごろまでの間、川崎市麻生区の路上で、通行人の男性4人をハンマーで殴るなどして重軽傷を負わせた。うち1人からは、暴行後に現金1万1千円を奪った。
公判で検察側は一連の暴行はいずれも現金が目的だったと主張したが、近藤裁判長はこのうち3人への暴行について、「被告に強取の目的をうかがわせる言動は見当たらない」と指摘。実際に現金を奪った1人の事件についても、「暴行を終えた後に強取の目的が生じた可能性がある」として、傷害罪と強盗罪の併合罪が妥当とした。
その上で、「被告は職場での出来事で抱いた憤まんから、八つ当たり的に事件に及んだ可能性も考えられる。動機は極めて身勝手で厳しい非難に値する」と量刑理由を述べた。

06月09日 佐賀地裁
財布入りのバッグを盗み、車で逃げる際に男性をひいてけがをさせたとして、強盗致傷などの罪に問われた54歳の男性に対し、懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
被告は公判で「ひいた記憶がない」と主張し、「暴行の故意」の有無が争点になっていた。判決理由で吉井広幸裁判長は、被害男性の供述から故意と認定し、「強盗致傷ではなく窃盗罪が成立する」とした弁護側の主張を退けた。
判決によると、被告は昨年7月21日午後3時15分ごろ、工事現場で駐車中のトラックから財布が入ったバッグを盗み、乗用車で逃げる際、持ち主の男性をひき2カ月のけがをさせた。

06月09日 名古屋地裁
 2015年12月、イラン人男性を刃物で刺して死亡させたとして、傷害致死罪に問われたイラン国籍の被告2人に対して、奥山豪裁判長は33歳の被告に懲役4年(求刑7年)、44歳の被告にも懲役4年(同6年)を言い渡した。
裁判長は、判決理由で「複数人で刃物を使って攻撃した行為は危険で、計画性も高い」と指摘し、共謀が成立すると判断した。
判決によると、両被告は他の4人の男と共謀し、男性被害者=当時(27)=のワンボックス車の進路を、車でふさいで停止させた上、別の車を追突させた。さらに、男性の腕や足を刃物で突き刺すなどし、出血性ショックで死亡させた。

06月07日  福島地裁郡山支部
 いわき市の男性が暴行を受け、現金などを奪われ死亡した事件で、強盗致死と死体遺棄などの罪に問われた53歳の男性に対し、井下田英樹裁判長は懲役26年(求刑30年)を言い渡した。
判決理由で井下田裁判長は「暴行前に、K被告(62)=強盗致死罪などで懲役30年、控訴審で公判中=らと話し合い、男性から金品を奪うことを認識しており、被告の弁解は信用できない」と指摘。その上で「床に倒れた男性に木刀やアイスピックなど複数の凶器で執拗な暴行を加えるなど、残忍で悪質」とした。
判決によると、被告は2015年9月5日午後8時から同11時ごろにかけて、仲間と共謀して男性=当時(46)=の頭などを木刀などで殴り、現金約40万円とキャッシュカードなどを奪った上、暴行して死亡させた。さらに同6日午前7時から正午ごろにかけて、重機を使って同社敷地内に男性の遺体を埋めるなどした。

06月04日 松山地裁
11年前、松山市のアパートに侵入しこの部屋の当時22歳の女性を車に連れ込んで監禁した上で乱暴しけがを負わせた罪に問われた48歳の男性に対し、末弘陽一裁判長は「人格を無視した身勝手、卑劣な犯行で、女性に与えた精神的苦痛は大きい」などとして、懲役12年を言い渡した。女性は事件の1年後に自殺。
検察は「女性は被害後、自傷行為を始めるようになり、その苦痛は計り知れない」などとして懲役14年を求刑したのに対し弁護側は「女性とは同意があった」として無罪を主張した。
判決は、「被告の供述には変遷や不自然な点があり信用性に乏しい」と指摘。そのうえで、「女性の人格を無視した身勝手な意志決定は強い非難に値し、卑劣で執ような犯行によって女性が受けた精神的苦痛は重大だ」などとした。

06月02日 大阪地裁
覚醒剤など計約60㌔を香港から密輸したとして、麻薬特例法違反(業としての不法輸入)や覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などの罪に問われた中国籍の36歳男性に対し、香川徹也裁判長は懲役19年・罰金1千万円(求刑22年・罰金1千万円)を言い渡した。
末端価格は40億円以上とみられ、検察側は論告で「60万回分の使用量にも相当し極めて大量だ。一部は国内に拡散した」と指摘。弁護側は密輸組織内では補助的な役割だったとして懲役5年が相当だと主張していた。
起訴状などによると、いとこ(32)=麻薬特例法違反、覚せい剤取締法違反などの罪で起訴=らと共謀し、昨年1~6月、10回にわたり覚醒剤など計約60㌔を香港から営利目的で発送し、関西空港に持ち込んだとしている。

06月02日 岡山地裁
整体の施術を装い女性2人の体を触るなどしたとして、強制わいせつ致傷罪などに問われた48歳の男性に対し、「施術を受けるために無防備な状態であることに乗じ、犯行を繰り返した点は強い非難に値する」と述べ、被告に求刑通り懲役4年を言い渡した。
弁護側は「わいせつな行為はしていない」などと無罪を主張していたが、判決理由で江見健一裁判長は「被告の行為を被害者が勘違いしたとは考えがたいし、被害者の供述には特徴的な内容が含まれ、信用性が高い」と退けた。その上で「不合理な弁解に終始し、反省の態度も見られない」と指摘した。

06月01日 宇都宮地裁
隣人女性を平手打ちで転倒させて死亡させたとして傷害致死罪に問われた46歳の男性に対し、佐藤基裁判長は「被害女性から約2年にわたって罵声を浴びたことでストレスが高じ、1度だけ平手打ちした点は相当程度同情できる」として懲役3年・執行猶予4年(求刑5年)を言い渡した。

06月01日 神戸地裁姫路支部
 露店を営んでいた男性の腹を刃物で刺したとして、殺人未遂の罪に問われた50歳の男性に対し、藤原美弥子裁判長は懲役6年6月(求刑8年)を言い渡した。
藤原裁判長は、同被告と男性との間にトラブルがあったとし、「謝罪を求める気持ちや怒りが犯行のきっかけとなった」と指摘。「短絡的な犯行で、男性が命を落とす危険性も高かった」と述べた。

 

投稿者 : いらないインコ|2017年12月28日

2017年05月

05月31日 秋田地裁
 自宅で昨年6月、小学4年の長女を殺害したとして、殺人罪に問われた41歳の母親に対し、懲役4年(求刑5年)を言い渡した。
三浦隆昭裁判長は、被告が犯行当時に「妄想性障害のため心神耗弱状態にあった」と認める一方、長女を殺害して心中しようとした点に関しては、障害の影響が一部にとどまると指摘。被告側の「妄想の影響がなければ犯行に及んだとは考えられない」とする主張を退けた。

5月31日 神戸地裁
兵庫県尼崎市の飲食店で昨年6月、客の女性を刺し、重傷を負わせたとして殺人未遂などの罪に問われた56歳に対し、懲役7年6月(求刑13年)を言い渡した。小倉哲浩裁判長は判決理由で、交際相手とうまくいかないことにいらだち、飲酒の影響もあり、面識がない女性に突発的に殺意を抱いたと指摘。「無防備な相手を背後から深く刺しており、危険で悪質」と述べた。

05月31日 仙台地裁
 遺伝性の難病を患う三男(1)を殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた無職、42歳の母親に対し、小池健治裁判長は「障害を抱える幼い命であっても、全うする大切さに気付き始めた」とし、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
小池裁判長は「被害者は難病を抱えながら限られた命を懸命に生きており、楽にするために死亡させるとの考えは誤っている」と断じる一方、「(同じ難病で)次男を亡くしたつらく過酷な経験を有する被告人にとり、難病と向き合って養育を行う現実を突きつけられ、追い詰められていた」とも述べた。
完全責任能力を有していたかに疑問があるとする弁護側の主張については、被告の鬱病の症状が当時落ち着いていたことなどを挙げ、「著しい影響は認められない」と退けた。
三男の病気は目や耳の機能が衰え、飲み込む力もなくなる厚生労働省指定の難病で、根本的な治療法は確立されていない。

5月30日 東京地裁立川支部
 交際相手の女性を殺害したとして、殺人罪に問われた27歳の男性に対し、川本清厳裁判長は「強固な殺意に基づく無慈悲な犯行」と述べ、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
弁護側は「被害者には抵抗した痕跡がなく、殺害に同意していた」などと主張。刑の軽減を求めたが、川本裁判長は「被告が不意を突いて、抵抗を受けずに殺害することは可能」として退けた。

5月26日 高松地裁
 知人男性に暴行を加え、火を付けて殺害したとして、殺人と現住建造物等放火などの罪に問われた34歳の男性に対し、求刑通り懲役10年を言い渡した。
共に起訴され、一審で懲役18年の判決を受け控訴しているM被告(39)との共謀が争点。三上孝浩裁判長は被告がM被告の指示を受けて被害男性の首を絞めたり、火を付ける紙を集めたりした点から殺害や放火の共謀を認定した。
その上で「生きている相手を焼き殺す極めて残虐な犯行だが、殺害や方法は宮崎被告が決めており、従属的な犯行だった」と指摘した。

5月26日 名古屋地裁
交際相手だった中国人技能実習生の女性=当時(32)=を刺殺したとして、殺人の罪に問われた中国人男性(29)に対し、懲役14年(求刑16年)を言い渡した。
山田耕司裁判長は判決理由で「被害者に拒絶され、強い精神的なショックを受け犯行に及んだと認められるが、動機は身勝手で、酌むべき余地は乏しい」と指摘した。
判決によると、被告は、女性宅を訪問したが、女性から新しい交際相手がいることを聞かされた。 関係を戻そうと翌日、女性宅を訪れ説得したが、受け入れられず激高。団地の通路などで、折りたたみナイフやはさみで女性の首や胸を刺し殺害した。

5月26日 静岡地裁
 同居していた男性(当時68歳)を殺害したとして、殺人の罪に問われた62歳の女性に対し、佐藤正信裁判長は、懲役11年(求刑15年)を言い渡した。

5月26日 広島地裁
昨年1月、250万円の借金の返済を免れようと知人女性の首を絞めて殺害し、遺体を雑木林に遺棄したとして、強盗殺人と死体遺棄などの罪に問われた39歳の男性に対し、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
小川賢司裁判長は判決理由で、犯行に使われたロープは「凶器として用いることを想定して購入した」と指摘。強固な殺意に基づき、背後から首を強く絞めて殺害したと判断した。突発的な犯行だとする弁護側の主張は退けた。

5月25日 さいたま地裁
 昨年1月、3歳児が顔にやけどを負わされたまま放置され死亡した虐待事件で、保護責任者遺棄致死や傷害などの罪に問われた26歳の男性に対し、高山光明裁判長は「無慈悲かつ卑劣」と懲役12年6月(求刑13年)を言い渡した。傷害罪は「犯人性が証明されていない」として無罪を認定した。
シャワーの熱湯で幼児にやけどを負わせたとして起訴された傷害罪について、大河原被告は「自分はやっていない」と一貫して否認。証人出廷した母親(24)=保護責任者遺棄致死罪などで起訴=は「被告がお湯をかけているのを見た」と証言し、双方は真っ向から対立していた。
判決で高山裁判長は、証言について「疑問が残り、信用できない」として「犯罪の証明がない」と無罪を結論付けた。一方、判決は約4カ月にもわたる虐待行為を「無慈悲かつ卑劣で極めて悪質。同種事案の中でも最も重い」と指弾。
弁護側が「被告は主導的ではなく、役割は母親より大きくない」としていた点については、「責任は母親よりも重いとは言えない」としたものの、被告が虐待の大部分を実行し、積極的に関与している点が認められることから「刑事責任が重いことに変わりはない」とした。
判決によると、母親と共謀して、昨年1月8日夜、十分な栄養が与えられずに低栄養状態に陥っていた全裸の幼児に対し、冷水をかけて9日未明まで放置し、免疫力低下による敗血症で死亡させるなどした。

05月24日  大阪地裁
 自宅で妻の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた中国籍の68歳男性に対し、伊藤寿裁判長は、捜査段階の取り調べで被告についた通訳にミスがあったとして、一部調書の信用性を否定した。一方で殺人罪の成立を認め、懲役7年(求刑11年)を言い渡した。
判決理由で伊藤裁判長は、捜査段階の取り調べを録画した映像では、被告が「殺すつもりはない」と供述しているのに、通訳を介した調書では「被害者を殺して黙らせようと思った」と異なる内容が記載されている点を挙げ、「被告が殺害の意欲を有していたとするこの部分は、信用できない」と判断した。一方で、妻の首を両手で数分間にわたって絞めていたことから殺意を認定した。
逮捕直後の取り調べをめぐっては、地裁が選任した別の通訳人による鑑定の結果、誤訳や通訳漏れが120カ所以上あることが判明したという。

05月23日 東京地裁
 東京都江戸川区で2015年に高校3年の女性(当時17)を殺害し、現金を奪ったとして、強盗殺人などの罪に問われた31歳の男性に対し、島田一裁判長は「17歳で将来を絶たれた被害者の無念は察するにあまりある」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。
両親は法廷で死刑を求めていた。判決は「遺族が極刑を望む気持ちも十分に理解できる」とした上で、「死刑の適用は慎重に行われなければならず、公平性の確保にも留意が必要」と述べ、無期懲役が相当だとした。

5月19日 札幌地裁
勤めていた風俗店の元部下の男性=当時(39)=を殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた40歳の男性に対し、中桐圭一裁判長は懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
判決理由で中桐裁判長は「被告は勤務先を辞めた後、金銭を横領し解雇されたといううわさを流されたことなどに不満を抱き、被害者を呼び出して胸や腹を刺した。強い殺意に基づく極めて悪質な犯行」と指摘した。

05月19日 福井地裁
強制わいせつ致傷と強姦未遂の罪に問われた33歳の男性に対し、渡辺史朗裁判長は刑の一部執行猶予制度を適用し、懲役3年、うち6月について保護観察付き執行猶予2年(求刑4年)を言い渡した。

5月19日 東京地裁立川支部
西東京市のアパートで昨年8月、隣人の女性(当時79歳)を殺害したとして、殺人などの罪に問われた31歳の男性に対し、阿部浩巳裁判長は懲役15年(求刑16年)を言い渡した。
判決によると、被告は昨年6月、被害者の隣に引っ越し、大音量で音楽を流していたことを何度も注意された。脅せば注意が止まると思い、同8月1日、包丁を持って被害者宅を訪れたが、騒がれたため首を刺して失血死させた。
阿部裁判長は「態様は非常に危険かつ残忍」と指摘。フィリピンで育った被告は日本語が不自由だったため注意の内容が分からなかったとする点について、「友人に通訳を頼むなどできた」と短絡的な犯行を非難した。

5月18日 福島地裁郡山支部
福島県郡山市の山林で元同僚の男性を殺害したとして殺人や詐欺などの罪に問われた27歳の男性に対し、懲役20年(求刑30年)を言い渡した。
判決理由で井下田英樹裁判長は「自らの借金返済のために被害者をだまし、犯行の発覚を防ぐために殺害を決意しており誠に身勝手。計画性も認められる」と指摘した。
判決によると、被告は昨年5月15日、山林で被害者=当時(25)=の頭などをつるはしで数回殴り殺害した。前日には、被害者の運転免許証を使って消費者金融でキャッシングカードを作り、現金自動預払機(ATM)から現金計100万円を引き出した。

05月18日 前橋地裁
昨年10月、前橋市内の路上で女性に乱暴しけがを負わせたとして、強制わいせつ致傷の罪に問われた42歳の男性に対し、國井恒志裁判長は懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
判決理由で國井裁判長は、乱暴された女性=当時(22)=が「強い処罰感情を持つのは当然」とする一方、「更生への意欲が認められる」とし、保護観察期間中に性犯罪者向け更生プログラムを受けるよう命じた。

05月18日 松山地裁
友人に灯油をかけて火を付け殺害したとして、殺人の罪に問われた49歳の男性に対し、末弘陽一裁判長は、懲役17年(求刑18年)を言い渡した。

5月15日 甲府地裁
自宅にライターで火を付けて全焼させたとして現住建造物等放火罪に問われた64歳の男性に対し、丸山哲巳裁判長は懲役3年4月(求刑5年)を言い渡した。

05月12日 熊本地裁
熊本地震の復旧工事のために滞在していたホテルで、幼馴染で同僚(当時44)の顔や背中を殴ったり踏みつけたりするなどし死亡させ傷害致死の罪に問われた39歳の男性に対し、懲役3年(求刑6年)を言い渡した。
被告は初公判で起訴内容を認めたうえで「被害者を辞めると言い出し、口論になり、カッとなった」と述べ、久裁判長は「突発的な犯行ではあるが、反省を述べ更生の可能性は期待できる」と。

 

投稿者 : いらないインコ|2017年12月28日

2017年04月

4月28日 水戸地裁
マンションで昨年2月、交際相手の女性をナイフで刺して殺害したとして、殺人罪に問われた43歳の男性に対し、寺沢真由美裁判長は懲役13年(求刑18年)を言いした。

4月28日 鹿児島地裁
昨年7~9月、3人の女性を襲い金品を奪おうとしたなどとして、強盗致傷罪などに問われた26歳の男性に対し、懲役4年6月(求刑7年)を言い渡した。
冨田敦史裁判長は「借金などで金に困って金品を強取しようとしており、短絡的で身勝手。被害者の精神的苦痛は相当大きい」などと述べた。

4月27日 宇都宮地裁
長男への殺人、妻への承諾殺人罪に問われた67歳の男性に対し、二宮信吾裁判長は無理心中の事情が全くなかったことを挙げ「子に相談することなく、生命を奪う最悪の選択は安易かつ浅はか」と懲役9年6月(求刑11年)を言い渡した。
長男=当時(32)=の右首は誰が切り付けたかが争われていた。検察側は被告、弁護側は妻=同(65)=と主張。二宮裁判長は遺体の状況から「妻が切り付けた可能性は十分にある」としつつ断定を避けた。
妻が携帯電話契約で支払いきれないほどの金額が請求されると誤信し、無理心中を提案したことを認定。2人の命が奪われた結果の重大性に触れた。夫婦関係や被告の性格などの影響、妻の精神状態も要因としたが、「犯行を回避する種々の手段に十分目を向けなかった」と判示した。

4月27日 佐賀地裁
2人と共謀し、民家に押し入ったり店から現金を盗んだりして計8件の事件に関与したとして、強盗傷害や窃盗などの罪に問われた26歳の男性に対し、懲役5年(求刑8年)を言い渡した。
判決理由で吉井広幸裁判長は、強盗傷害事件に対し「危険かつ執拗で被害者の精神的苦痛は甚大」と述べ、他の事件を含め実行役を果たしたと指摘した。被告には知的障害があり、共謀した仲間から脅されて犯行に及んだとして、量刑を考慮した点も挙げた。

4月19日 前橋地裁
女子大生に後ろから抱きつくなどして、強制わいせつの罪に問われた39歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役3年・保護観察付き執行猶予4年(求刑3年)を言い渡した。
判決理由で鈴木裁判長は、夜間に抵抗する女子大生=当時(18)=を襲ったのは「卑劣な犯行」とした。被害女性の精神的苦痛は多大で「被害結果は重大」と述べた。

投稿者 : いらないインコ|2017年4月30日

2017年03月

03月28日 和歌山地裁
2015年2月、小学5年の男児(当時11歳)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた24歳の男性に対し、浅見健次郎裁判長は懲役16年(求刑25年)を言い渡した。
公判では検察側、弁護側とも被告が事件当時、男児と2歳上の兄(15)に被害妄想を抱き、心神耗弱状態だったと主張し、争点は量刑だった。
検察側は論告で「一方的に多数回切りつけるなど悪質。殺意は強固で、落ち度のない男児の生命が奪われた結果は重大。通り魔的犯行で地域社会に与えた衝撃や不安は甚大」などと指摘。
被告は公判で、起訴内容の認否を変遷させた末、遺族に謝罪し、弁護側は「被告は否認という方法で自分を保っている。謝罪を述べるに至ったのは大きな意味がある」などと情状酌量を求めていた。

03月27日 札幌地裁
建設作業員=当時(50)=に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた57歳の建設会社社長に対し、懲役12年(求刑14年)を言い渡した。元作業員(57)は懲役10年(同11年)とした。
金子大作裁判長は、派遣先で佐被害者が仕事中に居眠りしたと苦情を受けたことに被告が激怒し、感情に任せて暴行したと指摘。元作業員も進んで加担したとし、「動機は身勝手というほかない」と非難した。
判決によると、両被告は昨年1月13日、原被告宅で、被害者の背中や尻などを金属パイプや麺棒で約2時間半にわたり殴って死なせ、遺体を車庫に遺棄した。

03月25日 福島地裁郡山支部
男性が暴行を受け、現金などを奪われ死亡した事件で、強盗致死と死体遺棄、窃盗の罪に問われた50歳の男性に対し、井下田英樹裁判長は「共謀は認められず、刑事責任を問うことはできない」として無罪(求刑12年)を言い渡した。県内での裁判員裁判で無罪判決は初めて。
公判では、被告と、62歳被告=強盗致死罪などで懲役30年、仙台高裁に控訴=ら4人との共謀の有無が争点となった。井下田裁判長は判決理由で「50歳被告は62歳被告らから暴力を受け監禁されていたため、命令に逆らえず(事件)現場に同行した」と指摘、「62歳被告らに抵抗することは困難な状況だった」として共謀関係を否定した。

03月24日 宇都宮地裁
2015年4月、1型糖尿病だった小学2年男児=当時(7)=の両親に指示してインスリンを投与させずに男児を衰弱死させたとして、殺人罪に問われた自称「龍神」の建設業の62歳男性に対し、佐藤基裁判長は懲役14年6月(求刑15年)を言い渡した。

03月24日 さいたま地裁
昨年8月、自宅で同居の母親=当時(90)=の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた69歳の息子に対し、高山光明裁判長は懲役8年(求刑10年)を言い渡した。
判決で高山裁判長は「犯行前日ごろからベルトを準備し、被害者の無防備な隙を見て頸部を強く絞めた殺意は強固であり、犯行は冷静かつ悪質」と指摘。足が不自由だった被告が母の通院に付き添うなど、愛情や責任感を持って母の将来を考えていたことは否定できないとしたものの、「被害者は健康上、特に問題がなく、通常の生活を送れた。被告の意思決定は身勝手で短絡的」と断じた。
また、高山裁判長は、被告が自首した点や罪を償う意思があることを認めた一方、「被害者への謝罪や後悔の言葉がなく、罪に向き合っているとは認め難い」とした。

03月24日 名古屋地裁
名古屋市で知人の高齢女性を殺害し、仙台市で同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大女子学生(21歳、事件当時未成年)に対し、山田耕司裁判長は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
最大の争点だった責任能力の有無について、判決は検察側の主張を認め「一連の事件でおおむね合理的な行動を取り、責任能力はあった」と判断。非常に重い精神障害を理由に「責任能力はなかった」とし、全ての事件で無罪を求めた弁護側の反論を退けた。
10日の論告求刑公判で、検察側は「更生の可能性は極めて乏しく、生涯にわたる償いが必要だ」として無期懲役を求刑していた。
殺人、放火未遂事件を審理した法廷で、元名大生は「人が死ぬ過程を見たかった」「生物学的なヒトなら誰でもよかった」などと衝撃的な発言を繰り返す一方、タリウム事件については「観察目的」と述べ、殺意を否定した。

03月24日 大阪地裁
長男=当時(42)=を殺害したとして、殺人罪に問われた74歳の父親に対し、西野吾一裁判長は「経緯や動機に同情できる余地がある」として懲役3年・執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
西野裁判長は、神経症を患っていた長男が、両手足が不自由で寝たきりの被告の妻に対し、親族に金の無心をするよう複数回にわたって要求し、暴行を加えていたと指摘。妻から長男の殺害を繰り返し依頼され、「精神的に追い詰められた末の犯行だ」と結論づけた。

03月23日 大阪地裁
パトカーの追跡から逃げる途中、信号を無視してタクシーと衝突し運転手を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた46歳の男性に対し、小倉哲浩裁判長は懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
検察側は論告で、飲酒運転の発覚を恐れて信号無視し、事故後は経営する飲食店の男性従業員に身代わり出頭もさせており「身勝手極まりない犯行だ」と指摘していた。
起訴状によると、昨年6月2日未明、時速約70~80㌔で赤信号の交差点に進入しタクシーと衝突。運転手を死亡させ、自分の車の同乗男性も負傷させたのに逃げたなどとしている。

03月22日 千葉地裁
ホテルで昨年7月、女性=当時(28)=の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた36歳の男性に対し、金子武志裁判長は「別れ話を切り出され、他の男性に渡したくないと思い殺害した。動機は短絡的で身勝手」として、懲役13年6月(求刑15年)を言い渡した。
金子裁判長は判決で「後ずさりして逃げる被害者に馬乗りになり、抵抗を押さえつけるまでして首を圧迫し続けた」と犯行態様を非難。「被害者は28歳の若さで将来を奪われ、最愛の娘の成長も見守ることができなくなった」と指摘する一方、「自首して不利な事実も進んで供述するなど、反省の態度を示している」と量刑の理由を説明した。

03月22日 神戸地裁
2015年3月、2家族の男女計5人が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた42歳男性に対し、長井秀典裁判長は「正常な心理で殺害を選択し、実行した」と完全責任能力を認め、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。
公判は被告の事件当時の精神状態や責任能力の有無が争点だった。神戸地裁の裁判員裁判での死刑判決は、14年9月に神戸市長田区で起きた小1女児殺害事件に続き2例目。
長井裁判長は判決で、向精神薬の大量摂取による精神障害が妄想を引き起こし、動機に影響したと指摘。一方で「殺害の実行には影響がほとんどなく、犯罪と分かっていながら、あえて殺害を選択した」と述べた。
さらに「一定の計画性の下で非常に強い殺意があり、動機も身勝手」と強調。「落ち度のない5人もの命を奪った上、犯行を正当化し続けている」とした。
公判で検察側は精神鑑定結果などから「完全な責任能力があった」としたのに対し、弁護側は「精神障害による妄想で善悪の判断ができなかった」として、心神喪失による無罪か心神耗弱による罪の軽減を求めていた。被告は「工作員に仕組まれた完全な冤罪」と主張していた。
被告は10年12月、自分や他人を傷つける恐れがある精神障害者らを行政が強制入院させる「措置入院」により、明石市内の病院に入院。入退院を繰り返し、事件前に実家に戻っていた。

03月21日 さいたま地裁
国道で赤信号を無視して交差点に進入し歩行者と衝突して逃げたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた23歳の男性に対し、危険運転の適用を退け、同法の過失致死と道交法違反の罪に当たるとして懲役4年(求刑10年)を言い渡した。
守下実裁判長は検察側の求刑後、過失致死罪を予備的訴因として追加するよう命じていた。求刑後の訴因変更命令は異例。
検察側は約180㍍手前で赤信号に変わったにもかかわらず、意に介することなく時速約80㌔で進入したと主張していた。守下裁判長は判決で、目撃証言を基に、交差点に入ったのは赤信号に変わって約2秒後だったと認定。「赤信号をことさら無視したとまでは言えない」と述べた。
弁護側は「信号は青だった」などとして、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決によると、昨年4月21日午前4時半ごろ、乗用車を運転し、国道で青信号の横断歩道を渡っていた男性(78)に重傷を負わせて放置し、後続車に男性をひかせて死亡させた。

03月21日 東京地裁
連続強姦致傷事件で懲役9年の実刑判決を受けて控訴中に保釈され、その約2週間後に再び女性に暴行したとして、強姦と監禁の罪に問われた27歳の男性に対し、懲役4年6月(求刑7年)を言い渡した。
大川隆男裁判長は「強姦致傷事件の控訴中に犯行に及んでおり、性犯罪に対する抵抗心が弱く、順法精神も低下している」と述べた。
被告は昨年1月29日、大阪市内の自宅で20歳代の女性3人に乱暴したとして、大阪地裁の裁判員裁判で懲役9年の判決を言い渡された。被告側が控訴して保釈請求し、同地裁が同年2月1日、保釈を許可。東京地裁判決によると、被告は2週間後の同月15日、東京都新宿区のホテル客室に女性(当時22歳)を誘い込み、乱暴した。
大阪の事件はその後、控訴や上告が棄却され、1審判決が確定した。東京の事件の判決が確定した場合、大阪の事件の刑期と合算されて執行される。
東京の事件で弁護側は「女性と合意があった。強姦も監禁もしていない」と無罪を主張。判決は、強姦罪について、女性が交際相手に助けを求めるメッセージを送信していたことなどから、合意はなかったと判断。一方、監禁罪については、「威圧的言動はなかった」として成立を否定した。

03月17日 札幌地裁
76歳男性が昨年5月に自宅で殺害された事件で、強盗殺人罪などに問われた68歳男性に対し、中桐圭一裁判長求刑通り無期懲役を言い渡した。

03月17日 盛岡地裁
現住建造物等放火罪に問われた47歳の男性に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。判決などによると、昨年6月9日午前7時15分ごろ、当時住んでいた自宅の寝室と台所に灯油をまいて火を付け、木造平屋約55㎡を全焼させた。

03月17日  東京地裁
覚醒剤を密輸したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などに問われたポーランド国籍の男性(48)に対し、石井俊和裁判長は「男性には覚醒剤を密輸した認識はなかった」と無罪(求刑・懲役13年、罰金600万円)を言い渡した。
男性は2016年4月、覚醒剤約2.5㌔が隠されたスーツケース1個を英国から羽田空港に運び込んだとして起訴された。判決は、覚醒剤がケースの二重底の中に隠されていたことなどから、「ケースを普通に扱っただけでは不審点に気付くとは限らず、男性が覚醒剤の存在を認識していたとは認められない」と述べた。

03月17日 横浜地裁
男性を刃物で突き刺すなどして殺害し遺体をアパートの床下に埋めたとして、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた、いずれも指定暴力団稲川会系元組員の男性被告2人に対し、片山隆夫裁判長は、懲役18年(求刑20年)と懲役15年(同18年)を言い渡した。 公判で両被告は殺害の事前共謀を否認。殺意についてもそれぞれが否定し、責任をなすりつけ合うような主張をしていた。片山裁判長は判決理由で、両被告が男性を呼び出して暴行を加える以前に、協力して土のう袋やブルーシートを準備していた点に着目。「死体処理に使う以外、合理的用途がない」とし、「事前に殺害を想定していたことを強く推認させる」と述べ、事前共謀や殺意を認定した。 その上で、懲役18年の男性被告について「計画を発案して中心的な立場にあり犯情は悪い」と指摘。懲役15年の男性被告については「果たした役割は重要で、悪質性は木名瀬被告を大きく下回らない」とした。判決などによると、両被告は共謀し、2012年4月、大和市の男性被告の自宅で、指定暴力団山口組系元組員の男性=当時(33)=に睡眠薬入りのカレーを食べさせた後に顔を殴打したり刃物で首を刺したりして殺害。遺体を切断して静岡県伊東市のアパート床下に埋めた。3人は拳銃強盗を企てた仲間で、入手した拳銃を巡りトラブルになったことが事件の発端とされた。

03月17日 名古屋地裁
2015年7月、自治会長(当時65歳)を刺殺し現金入りのバッグを盗んだとして、殺人、窃盗罪などに問われた少年(19)=事件当時高校3年=に対し、堀内満裁判長は懲役8年以上13年以下(求刑10以上15年以下)の不定期刑を言い渡した。
弁護側は事件時に心神耗弱だったと主張した上で、少年院で更生させるのが相当として改めて家裁で審理するよう求めていた。
公判では責任能力や殺意の有無などが争点となった。検察側は論告で、少年が集めたナイフを人に使ってみたいと以前から考え、致命傷を与える刺し方を事前にインターネットで研究し、事件後には血の付いた服を洗うなど、一定の計画性があったと指摘した。
さらに、最初は殺害をためらい、事件で使ったナイフをアタッシェケースに詰め同級生に預けたことなどから、行為の違法性を認識していたとした。これらから精神障害の影響はあるものの軽度で、完全責任能力があったと主張した。
首や顔などを11回も強く刺しており殺意もあったと指摘して「通り魔的で残忍極まりない」と述べ、少年法で有期刑の上限となる不定期刑を求刑した。
一方、弁護側は最終弁論で、少年が生まれつき自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群や自閉症などの総称)で、家庭環境のストレスもあったと指摘した。事件直前には精神的な混乱状態に陥って、偶然通りかかった被害者に突如怒りが湧き、攻撃を思いついた後は行動を制御する能力を著しく低下させていたと主張した。
また、障害の影響で極度のパニック状態に陥り、無我夢中でナイフを振り回したとして殺意を否認した。懲役刑では社会復帰後に再び犯罪を起こす危険性が予測され、障害の特性を踏まえた専門的な指導を実施する必要があり、第3種(医療)少年院などでの処遇が相当と訴えた。

03月17日 大阪地裁
両親の夫婦げんかに割り込み、父親の首に菜箸を刺して死亡させた罪に問われた51歳の男性に対し、懲役3年・執行猶予4年を言い渡した。
判決などによると、被告は去年6月、父親(当時80)が母親に向かって、「死ね」などと大声でののしるのに腹を立て、仲裁に入ったところ、「お前に言われたくない」「まともな仕事を探せ」などと言われたために強い怒りを抑えられず、台所にあった長さ31㌢の菜箸で父親の首を突くなどの暴行を加えて死亡させたとされる。犯行直後、被告は自ら119番通報しているが、「菜箸が刺さった時の状況ははっきり覚えていない」と。判決は「暴行に及んだことは非難されるべき」と指摘する一方、「腹を立てたことには理解できる部分もあり、母親らも被告を許している」と。

3月17日 鹿児島地裁
昨年、同居の女性=当時(67)=を暴行して死なせたとして、傷害致死罪に問われた67歳の男性に対し、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。
判決理由で冨田敦史裁判長は「連日のように執拗かつ一方的に強い暴行を加えており、危険性や悪質性が高い」と述べた。文句を言う被害者を思い通りにさせたいといった動機に「同情の余地は乏しい」と指摘した。
事件当時、認知症の影響で心神耗弱状態だったと認めたが、執行猶予付き判決を求めた弁護側の主張は退けた。
判決によると、昨年2月から3月9日までの間、被害者の全身を孫の手で多数回殴るなどし、全身打撲による外傷性ショックで死亡させた。

03月16日 宇都宮地裁
2016年1月、当時3歳の長女の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた38歳の母親に対し、二宮信吾裁判長は「被告は犯行当時、うつ病で心神耗弱の状態だった」として、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。

03月16日 横浜地裁
昨年2月、長女(当時7歳)と次男(同5歳)を窒息死させたなどとして殺人と殺人未遂の罪に問われた40歳の母親に対し、懲役9年(求刑10年)を言い渡した。安藤祥一郎裁判長は「確固たる殺意に基づき残酷」と指摘した。

03月15日 京都地裁
京都市のマンションで昨年9月、住人で知人の男性=当時(73)=を殺害し、遺体を浴室内に遺棄したとして、殺人と死体遺棄罪に問われた43歳の男性に対し、坪井祐子裁判長は懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
公判で弁護側は、被告は被害者の世話をしていたが、要求がエスカレートしたことなどから殺害を決意しており、「介護疲れの事件に似ている」と主張。しかし、坪井裁判長は判決理由で「自らの意思で世話をやめることもできたはずで、介護疲れの事案と同様とはいえない。犯行は突発的だが、強固な殺意に基づき、犯行態様も非情」とした。

03月14日 千葉地裁
千葉市の病院で精神科に入院中の男性患者=死亡当時(36)=に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死罪に問われた当時の准看護師の63歳の男性と67歳の男性に対し、高橋康明裁判長は63歳男性に罰金30万円(求刑8年)、67歳男性に無罪(同)を言い渡した。
起訴状などによると、両被告は同病院の准看護師だった2012年1月1日、病院内の保護室で、重度の精神障害で入院していた男性に対し、共謀して顔を足で数回踏みつけ、膝で首を押さえつけるなどの暴行を加え、頸髄損傷などのけがを負わせ、そのけがを原因とする肺炎により2014年4月28日に死亡させたとしている。

03月14日 大阪地裁
大阪市のマンションで2014年7月、交際相手を絞殺したとして、殺人罪に問われた38歳の男性に対し、橋本一裁判長は懲役9年(求刑18年)を言い渡した。
被告は「被害者が手をかんできたので、制止するためにブラジリアン柔術の絞め技をかけただけだ」と殺意を否定していた。
橋本裁判長は判決理由で、被害者が危険ドラッグの影響で異常だった可能性はあると指摘。「技をかけた当初は殺意が認められないが、次第に死んでも構わないという心理になっていた」と述べ、殺意を認定した。

03月14日 大阪地裁
強盗強姦未遂などの罪に問われた29歳の男性の裁判で、被告には軽度の知的障害があったことから、伊藤寿裁判長は「警察の取り調べで録音・録画がされておらず、障害に配慮した取り調べだったとは認められない」として、捜査段階の自白調書が信用できないとする判断を示した。その上で、ほかの証拠から被告の犯行を認定し、懲役10年(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年11月、大阪市内で女性から現金を奪い、自宅に監禁して性的暴行を図るなどした。
公判では、被告がどの時点で暴行しようと考えたかが争点となり、検察側は、被告が「最初から性的暴行目的だった」と述べた自白調書を根拠に、悪質性を強調していた。

03月13日 山形地裁
車の運転を巡るトラブルで殺人未遂と傷害の罪に問われた39歳の男性に対し、寺沢真由美裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑7年)を言い渡した。

03月13日 福井地裁
14年と15年に女子高生2人にわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ致傷など2件の罪に問われた23歳の男性に対し、入子光臣裁判長は懲役3年・保護観察付き執行猶予4年(求刑3年6月)の有罪判決を言い渡した。

03月10日 仙台地裁
元交際相手=当時(16)=に暴行して死亡させ、遺体を山林に遺棄したとして、傷害致死罪などに問われた31歳の男性に対し、懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
小池健治裁判長は「被害者の言動に振り回された被告が強い怒りを募らせ、何らかの暴行を加え、死亡させた」として傷害致死罪も適用した。被告の暴行が原因で死亡したかどうかが最大の争点だった。
判決によると、被告は2014年12月11日、東京都杉並区の自宅アパートで被害者の両肩付近を押すなどの暴行を加えて死亡させ、15年3月15日ごろ、空き家になっていた実家裏の杉林に遺棄した。

03月10日 前橋地裁
殺意を持って同居の祖父をハンマーで殴り、逃走先でコンビニ強盗をしたとして殺人未遂と強盗、銃刀法違反の罪に問われた29歳の男性に対し、鈴木秀行裁判長は懲役9年(求刑15年)を言い渡した。鈴木裁判長は就寝中の祖父=当時(73)=の頭を少なくとも19回殴った犯行は「危険性が高く悪質」とした。
起訴状などによると、被告は2014年11月夜、祖父方で犯行におよび逃走。翌年1月15日、横浜市内のコンビニで現金6万6千円を奪った。

03月10日 千葉地裁
畑に女性=当時(18)=を生き埋めにして殺害したなどとして、強盗殺人や逮捕監禁などの罪に問われた22歳の男性に対し、吉井隆平裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
起訴状によると、被告は2015年4月19日夜、共犯の元少女(20)や男性被告(22)=いずれも強盗殺人罪などで1審無期懲役、控訴=らと共謀し、千葉市中央区の路上で女性を乗用車に乗せ、両手足を緊縛するなどして監禁。車内で財布やバッグを奪い、翌20日未明、畑に掘ってあった穴に女性を入れて土砂で生き埋めにし、殺害したとしている。
公判で被告は「逮捕監禁については間違いないが、強盗殺人などについては否認する」と、起訴内容を一部否認していた。
弁護側は、少女と物の貸し借りをめぐってトラブルになった女性を脅すのが目的で、「女性が死亡したのは被告にとって予定外だった」と主張。計画性のない場当たり的な犯行だったと訴えていた。

03月10日 東京地裁
覚せい剤の密輸事件をめぐり、タイ警察が行ったおとり捜査の違法性が争われた裁判で、稗田雅洋裁判長は違法性を認めず、被告の男に懲役17年・罰金800万円(求刑20年・罰金1000万円)を言い渡した。
男性は69歳の暴力団関係者。タイ警察が密売人を装い、押収した覚せい剤を被告側に届けた捜査手法について、弁護側は「日本では許されない手法のおとり捜査だ」と主張していた。
稗田裁判長は「日本で通常用いる捜査手法ではないが、各国の手法は法制度により異なる」と指摘。タイ警察は自国の法律に基づいて覚せい剤を届けており、密輸後の日本の捜査にも違法はなかったと判断した。
判決によると、被告は指定暴力団稲川会系組員(53)らと共謀し、2014年4月にタイから覚せ
い剤約11㌔を密輸した。

03月10日 広島地裁
衰弱した生後8カ月の長男を放置し、死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた父親(42)と母親(23)に対し、小川賢司裁判長はいずれも懲役9年(求刑10年)を言い渡した。
判決は、長男の栄養状態が悪化していたことを知りながら、十分とは言えない量の粉ミルクしか与えず、病院にも連れて行かなかったなどと指摘。生活保護費を趣味や嗜好に費やした生活ぶりにも触れ、「必要な保護を与えることに困難があったとは言えない。親として果たすべき責任を放棄した」と述べた。

03月09日 旭川地裁
昨年8月に病院で父親を包丁で刺し殺したとして、殺人などの罪に問われた60歳の男性に対し、佐藤英彦裁判長は「父を殺害し、自分のつらい状況などすべてをなくしたいという身勝手な犯行」として、懲役7年(求刑10年)を言い渡した。
判決理由で佐藤裁判長は「十分に準備した上で頸部を包丁で多数回突き刺しており、強固な意思に基づく犯行」と指摘。一方で「父への恨みなどではなく、(入院中の)身体拘束から解放してやりたいとの動機もあった。適応障害により柔軟に物事を考えるのが困難だった」と情状酌量の理由を述べた。

03月08日 岡山地裁
コンビニで2015年、商品を盗み、駆け付けた警察官を包丁で切り付けたなどとして殺人未遂などの罪に問われた36歳の男性に対し、無罪(求刑5年)を言い渡した。
松田道別裁判長は判決理由で、男性は統合失調症で幻聴なども慢性化していたとの鑑定結果を採用し、犯行当時、「強く興奮して十分な思慮を行えなかった」と指摘。「自らの行為が犯罪であることを理解しながらあえて犯行を行ったとは言えず、心神喪失の状態だった」とした。
判決によると男性は、自宅から約1㌔離れたコンビニに包丁を手に持って行き、商品の缶ビールやバナナを店内で飲食。駆け付けた警察官を切り付けるなどした。

03月08日 高松地裁
強盗殺人などの罪に問われた43歳の男性に対し、野村賢裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。判決によると、被告は昨年8月、アパートに一人で住んでいた42歳の団体職員が玄関ドアを開けた際に侵入。被害者の首を手で圧迫して殺害し、財布やキーケースを奪った。
判決は殺意について「生命を奪う行為で、危険性も容易に認識できた」として認定。そのうえで「身勝手で卑劣かつ残忍な犯行で、落ち度のない尊い命を奪った」と指摘した。

03月07日 青森地裁
昨年5月、自宅で夫の首をパソコン用ケーブルで絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた58歳の女性に対し、鎌倉正和裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
被告は精神疾患を抱える夫(当時63歳)の面倒を一人で見ていたが、飲酒運転や暴言を繰り返す夫の症状が改善されないと思い込み、犯行に至った。
公判では、被告も睡眠不足や気分が落ち込む「持続性抑うつ障害」になっていたとし、責任能力の有無が争点となっていたが、鎌倉裁判長は「自らの手で何とかしなくてはと思い詰め、他の解決策に目を向けなかった」と指摘し、責任能力を認めた。
判決言い渡しの後、鎌倉裁判長は「裁判員や裁判官たちから伝えたいことがある」と切り出し、「頼れる子どもたちがいて、頼れば手を差し伸べてくれることは十分わかったと思う。被害者の命を奪ったことと向き合い、つらいこともあると思うが、しっかり生きて責任を果たして」と読み上げた。
メッセージの内容は裁判員と裁判官で協議したといい、記者会見で男性裁判員(32)は「家族が被告を気にかけてほしい」と話した。

03月03日 宇都宮地裁
多量の睡眠導入剤を入れたみそ汁を夫に飲ませて殺害したとして、殺人罪に問われた64歳の女性に対し、佐藤基裁判長は、懲役5年(求刑10年)を言い渡した。
判決によると、被告は2014年8月8〜10日、自宅で夫(当時71歳)に睡眠導入剤を溶かしたみそ汁を飲ませて殺害したとしている。
弁護側は事件当時、被告は心神喪失状態だったなどとして無罪を主張していたが、佐藤裁判長は「現実を踏まえた判断のできる人間が目的実行に向けて合理的に行動した」と結論づけ、刑事責任能力を認めた。
一方、被告の性格については、長期間にわたって精神障害を患っていることや障害への理解が浅い父親に育てられた環境が影響したと指摘。そのため、「(被告の)意思決定に対する非難の程度は相当低い」として、検察側の主張を一部退けた。

03月03日 千葉地裁
昨年3月、生後5カ月の長女を殺害したとして、殺人罪に問われた39歳の母親に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。金子武志裁判長は事件当時被告が「産後うつ病」の影響で心神耗弱状態だったと認め、「服役より治療を優先すべきだ」と結論づけた。
被告は事件前の昨年2月、産後うつ病と診断されていた。病気が事件に影響した点は検察側と弁護側に争いがなく、争点は責任能力の有無と程度だった。
判決は、被告が殺害を何度か思いとどまっていたとして「善悪を区別し、行動を制御する力は残っていた」と判断。心神喪失状態で刑事責任は問えないとする弁護側主張を退けた。家族が処罰を望んでいないことなどをふまえ執行猶予とした。
判決によると、被告は、療養のため滞在していた夫の実家で、長女と心中しようと考え、首を絞めて窒息死させた。

03月03日 大阪地裁
国道で7人が死傷した交通事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた45歳の男性に対し、伊藤寿裁判長は懲役11年(求刑12年)を言い渡した。
被告は事故当時、制限速度が時速50㌔だったのに時速163㌔走行しており、伊藤裁判長は「制御するのが困難になる危険な走行で悪質だ」と指摘した。
判決によると、被告は15年1月4日、乗用車を運転中に対向車線にはみ出し、対向車線を走行していた乗用車と衝突。この車に乗っていた80歳男性ら2人を死亡させ、5人に重軽傷を負わせた。

03月02日 福岡地裁
不動産仲介会社で女性店員ら2人をおので襲うなどしたとして、殺人未遂罪などに問われた57歳の男性に対し、懲役11年(求刑15年)を言い渡した。
平塚浩司裁判長は、「強固な殺意に基づく凶悪で、あまりにも悪質な犯行」と述べた。被告は犯行時、妄想性障害を患っており、弁護側は「心神喪失の状態だった」として無罪を主張していた。
平塚裁判長は判決で、被告が「同店舗などから嫌がらせを受けている」との妄想が影響を与え、心神耗弱状態だったと認定。しかし、「(事件は)被告の元来の性格に基づくもの」と述べ、刑事責任能力はあったと結論づけた。
判決によると、被告は女性店長と女性店員(ともに30歳代)の頭部をおので切りつけ殺害しようとしたほか、店内に灯油をまき、ライターで点火しようとした。

03月01日 大阪地裁
トラックで自転車に衝突し、男性(当時68)を引きずって殺害したとして、殺人と自動車運転死傷処罰法の過失運転致傷罪などに問われた25歳の男性に対し、遠藤邦彦裁判長は殺人罪の成立を認めたうえで「残虐な行為で動機も身勝手だ」と述べ、懲役10年(求刑13年)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年12月、交差点で、自転車の男性に衝突。現場から逃亡しようと、男性と自転車を約160㍍先の駐車場まで引きずったほか、トラックを前後させて後輪で2度ひくなどして死亡させた。
弁護側は「衝突後に男性を引きずっていた認識はなく殺人罪は成立しない」と主張したが、判決は「自転車に衝突した際、被害者も転倒させ引きずっていると認識するのは当然」として退けた。

投稿者 : いらないインコ|2017年4月16日