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2017年12月

12月26日 水戸地裁
2015年に路上で男性(50)をクロスボウ(洋弓銃)で撃ったとして、殺人未遂などの罪に問われた39歳の男性に対し、懲役12年6月(求刑15年)を言い渡した。
判決理由で寺沢真由美裁判長は「通行人を無差別的に狙った極めて危険な犯行で、強い非難に値する」と述べた。弁護側は「縁石を狙った」などとして傷害罪の適用を訴えていたが、「被害者を標的として、高い殺傷能力を有するクロスボウの矢を発射した」と殺意を認定した。
判決によると、被告は15年4月15日午前1時500分ごろ、たまたま自転車で通りかかった男性にクロスボウの矢を放ち、右脚に矢を貫通させてけがを負わせた。

12月26日 千葉地裁
路上で昨年12月、21歳のベトナム人の遺体が発見された事件で、殺人罪などに問われた24歳のタイ人に対し、高橋康明裁判長は「あまりにも浅はかで、短絡的な犯行」として懲役13年(求刑14年)を言い渡した。判決理由で高橋裁判長は「被告はけんかの生じそうな状況に自ら飛び込み、予期した通り対峙した被害者を積極的に攻撃した」と指摘。弁護側の主張する正当防衛や過剰防衛は成立しないとした。
判決によると、被告は昨年12月25日、路上で、被害者に対し殺意を持って包丁で背部を突き刺すなどして殺害したとしている。

12月26日 横浜地裁
勤務先の保育施設で女児15人にわいせつな行為を繰り返したとして、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた36歳の元保育士に、懲役15年(求刑18年)を言い渡した。
被告は、保育施設で2015年、当時生後4カ月の男児が死亡した事件で傷害致死罪に問われており、来年1月に同地裁で初公判が予定されている。
深沢茂之裁判長は「他の保育士がいない時間帯を狙うなど、計画的かつ常習的で卑劣極まりない」と指摘。「立場を悪用し、被害児童の未熟さと信頼に乗じた。悪質性は際立っており、厳しい非難に値する」と述べた。
判決によると、15~16年、2市の保育施設で、当時1~6歳の女児15人に、計50回にわたりわいせつな行為をした上、裸を携帯電話で撮影してデータを保存するなどした。

12月26日 横浜地裁小田原支部
 赤信号を無視して交差点に進入、ミニバイクの男性=当時(38)=を乗用車ではねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に問われた少年(19)に対し、安藤祥一郎裁判長は懲役4年以上8年以下(求刑5年以上10年以下)の不定期刑判決を言い渡した。
弁護側が故意に信号を無視していないと主張し、危険運転致死罪の成立が争われた。
安藤裁判長は、判決理由で、少年が赤信号を交差点の停止線約130㍍手前で認識していたのに減速せず、故意に無視したと認定。「酌むべき経緯や動機は見当たらない」と指摘し「交通法規を守ろうとする意識が欠如しているといわざるを得ない」とした。
判決などによると、少年は昨年8月16日午前2時半ごろ、県道交差点で、制限速度を約40㌔超える時速約90㌔で乗用車を運転。赤信号を無視し交差点内に進入、左側から直進してきたミニバイクの男性をはねて死亡させた。
弁護側は控訴について「これから検討する」としている。

12月25日 水戸地裁
昨年6月、42歳の女性を釣り具のフィッシュピックで刺して殺害し、近くの川に遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた18歳の少年に対し、小笠原義泰裁判長は、求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡した。
小笠原裁判長は判決理由で、少年が被害者を60回以上突き刺したことなどを「執拗で危険性が高く、被害者に与える苦しみは大きい」と指摘。通りすがりの女性を襲ったことについても「通り魔的な犯行で、理不尽さや身勝手さは非難に値する」と述べた。
保護処分を求める弁護側の主張に対しては「被告人なりに罪の重大性を自覚している」とした上で、「保護処分を許容できる特別な事情は認められない」と退けた。
判決によると、少年は昨年6月30日夜、農道をサイクリング中、「人を刺したい」などと考えて、自転車で通りかかった被害者の背中や頭などをフィッシュピックで多数回突き刺して殺害し、遺体を川に遺棄したとしている。

12月25日 千葉地裁
 国道交差点で6月、乗用車と大型トレーラーが衝突し、横転したトレーラーの男性が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)などの罪に問われた車の43歳男性に対し、金子武志裁判長は「非常に危険で無責任」として、求刑通り懲役10年を言い渡した。
金子裁判長は「アルコールの影響を強く受けた危険性が高い悪質な運転。死亡事故は起こるべくして起きた」と指摘、弁護側の交差点の構造が複雑で赤信号を見落とし過失運転にとどまるとの主張を退けた。

12月25日 最高裁
オウム真理教による東京都庁郵便爆弾事件で殺人未遂ほう助罪に問われ、1審の裁判員裁判で懲役5年、2審では逆転無罪となった46歳の元女性信者に対し、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は検察側の上告を棄却した。
無罪が確定する。5人の裁判官全員一致の意見。

12月25日 和歌山地裁
 幼い娘2人を連れて無理心中を図ろうとしたとして、殺人未遂の罪に問われた29歳の母親に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑4年)を言い渡した。
判決によると、母親は、当時6歳の長女の手を引き、また、生後1ヵ月の次女を抱きかかえたまま海に入り、溺死させようとしたとされる。2人の子どもは、近くにいた男性が異変に気付き、救命措置を行うなどしたため無事。
検察側は、「抵抗できない未来ある子どもたちを自殺に巻き込んでおり、動機は短絡的で身勝手だが、さまざまな悩みや不安を抱えて無理心中を図った経緯に酌むべき事情がある」と。一方、弁護側は、「精神疾患の影響であり、殺意は強いものではなく、自分の意思で犯罪を思いとどまり、救命措置を行うなどしていて、中止未遂が成立する」と主張。
判決は「自己の意思により、犯罪を中止したもの」として、中止未遂が成立するとしたうえで、「次女と長女を道連れにしようとしたことは到底許されるものでなく、動機は身勝手なものと言わざるを得ない」と。

12月22日 仙台地裁
  仙台、長野両市で知人らを暴行し現金を奪ったとして、強盗致傷罪などに問われた共に指定暴力団系組員の33歳男性に懲役15年(求刑18年)、43歳の男性に懲役14年(求刑18年)を言い渡した。
判決は「計画的に役割分担し、被害者の骨が折れるほどの強烈な暴行を加えた犯行態様は悪質極まりなく、非難は免れない」と結論付けた。

12月22日 福岡地裁
上司から預かったチワワが死んだことをごまかす目的で自宅アパートに放火し、計3棟を全焼させたとして、現住建造物等放火罪に問われた28歳の男性に対し、懲役5年(求刑6年)を言い渡した。
判決では、被告は勤務先の代表者から命じられ、3階建てアパートの自室でチワワを飼育していた。そのチワワが死んだことが発覚するのを恐れ、2月12日夜、アパートの車庫で段ボールに火を付け、アパートや隣接する住宅など計3棟を全焼させた。
被告は公判で、代表者から日常的に暴力を受け、チワワを預かる際にも「何かあれば、娘にも同じようにする」と脅されていたことから、考え抜いた末に不慮の火災で死んだことにしようと思い付き、火を付けたと主張。平塚裁判長は「代表者に恐怖心を抱いていたことは認められるが、放火が他者の生命、財産を重大な危険にさらすことは明らかで、余りに短慮で身勝手」と述べた。

12月21日 奈良地裁
自宅で昨年12月、生後5カ月の長女を暴行し死亡させたとして、傷害致死罪に問われた24歳の父親に対し、無罪判決(求刑8年)を言い渡した。
西川篤志裁判長は判決理由で、捜査官から追及を受け、家族をかばうために犯行態様について供述を変遷させた疑いがあると指摘。「虚偽の自白をした可能性があり、信用性に欠ける」と主張した。長女の頭のけがについても証拠の裏付けがないと述べた。
検察側は論告で、被告が普段から顔を殴るなどし「暴力がエスカレート」と指摘。弁護側は布団に誤って落としたのが原因だと主張していた。

12月20日 東京地裁
アパートで中国人留学生=当時(24)=を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた中国籍の26歳の大学院生に対し、家令和典裁判長は求刑通り懲役20年を言い渡した。
家令裁判長は、被害者の首には10カ所以上の刺し傷があり、ナイフを持って待ち伏せしていた被告には強固な殺意があったと認定。もみ合った際に偶然刺さったとする弁護側主張を「不合理で信用できない」と退けた。
判決によると、被告は昨年11月、元交際相手の中国人女性に復縁を迫ったが断られ、女性が身を寄せていたアパートに帰宅した被害者をフルーツナイフで刺して殺害するなどした。

12月19日 金沢地裁
 パチンコ店で昨年11月、アルバイトの女子大学生(当時19歳)を包丁で切りつけ重傷を負わせたとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた48歳の男性に対し、田中聖浩裁判長は、傷害と銃刀法違反の罪を適用し、懲役4年6月(求刑13年)を言い渡した。

12月18日 宇都宮地裁
 職場の同僚だった女性に性的暴行を加えた上、包丁で切り付けたとして、強姦と殺人未遂の罪に問われている35歳の男性に対し、二宮信吾裁判長は懲役14年(求刑12年)を言い渡した。
弁護側は「女性の出血に気付き、背中を刺したり殴ったりした行為を被告の意思で中止した」として中止犯の成立を主張していたが、二宮裁判長は「被告は生命を救うための最低限のことをしていない」とし、弁護側の主張を認めなかった。また、被告の犯行態様を「身勝手さが極まっている」と非難し、求刑を上回る量刑を言い渡した。
判決によると、6月2日未明、20代の女性宅で、女性の首を絞めて脅した上で強姦し、その後、女性が110番通報すると、背中を包丁で刺して重傷を負わせた。

12月18日 千葉地裁
 2016年7月、金物店内に侵入した男がバッグを奪った上、追い掛けてきた会社員男性=当時(26)=を刺して逃げた強盗事件で、建造物侵入と強盗殺人未遂の罪に問われた60歳男性に対し、野原俊郎裁判長は「相当強い力で刃物を突き刺し危険な犯行」などとして、懲役12年(求刑14年)を言い渡した。
公判で弁護側は、被告から押収したバタフライナイフのDNA型鑑定結果の信用性は低いとして「別人の可能性がある」と無罪を主張していた。

12月18日 横浜地裁
オートバイにしがみついた男性を振り落として走ってきたトラックにひかせたとして、傷害致死罪に問われた23歳の男性に対し、懲役5年6月(求刑8年)を言い渡した。
弁護側は、信号を待っている間に被害者の男性(当時46歳)が前に立ちはだかったことに対する正当防衛だとして、無罪を主張していた。
片山隆夫裁判長は「被告がオートバイを発進させた行為は正当防衛に当たる」と認定。一方で、「その後に走行させた行為は過剰防衛に当たる」とし「道路脇に停車することもできたのに、危険な走行を選択した」と指摘した。その上で、「防御の意思だったとしても非難が低減するものではない」と量刑の理由を述べた。
判決によると、被告は2015年5月、市道で、ミラーが接触したなどとしてオートバイの前に立った男性の脇を避けながらオートバイを発進。オートバイの後部に男性がしがみついた状態で走行して男性を転倒させ、対向車線を走行中のトラックにひかせて死亡させた。

12月15日 高松地裁
 自宅で妻を殴り死亡させたとして、傷害致死罪に問われた69歳夫に対し、懲役5年(求刑5年)を言い渡した。
三上孝浩裁判長は判決理由で「落ち度のない妻に感情の赴くまま暴行し、身勝手極まりない。反省の態度は見受けられない」と述べた。
判決によると、被告は脳梗塞を患っていた妻=当時(72)=が自分の心配をよそに意に沿わない言動を取っていると思い込み怒りを募らせ、7月14日、部屋の掃除について言い返された際に頭を殴り、急性硬膜下血腫で死亡させた。

12月14日 福島地裁郡山支部
 今年3月、生後まもない娘を殺害した罪に問われていた母親に、懲役2年6か月(求刑5年)が言い渡された。
判決によると被告は、生後20日の娘の鼻や口などを塞いで窒息させ、殺害したとされる。井下田英樹裁判長は「育児への不安を募らせていたにも関わらず、両親などに相談せず、犯行に及んだことは短絡的」と指摘した。一方で「自首をして、反省している」と。

12月14日 千葉地裁
 2016年7月、53歳男性が複数人から暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた42歳の男性に対し、金子武志裁判長は「現場にいた以外に何ら役割を果たしていなかった」などとして無罪(求刑7年)を言い渡した。同事件での無罪判決は2人目。
公判の争点は、男性被告の被害者への暴行と実行犯とされる男たちとの共謀の有無だった。金子裁判長は、暴行を目撃したとする関係者の供述を「内容が曖昧で思い込みの可能性が拭えず、暴行は認定できない」と退け、「男性被告は動けない被害者を車に搬送するのを手伝うなど暴行に対して消極的な態度を取っており、共謀は成立しない」と述べた。

12月14日 横浜地裁
 今年1月、37歳男性を連れ去り死亡させたとして、逮捕監禁致死や死体遺棄罪に問われた39歳男性に対し、懲役15年(求刑20年)を言い渡した。

12月13日 仙台地裁
2015年12月、父親を刺殺したとして殺人罪に問われた当時19歳の元少年(21)に対し、加藤亮裁判長は懲役11年(求刑14年)を言い渡した。
弁護側は、元少年が幼少期から激しい夫婦げんかを日常的に目撃する心理的虐待「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」で健全な人格が育たなかったと主張し、一部執行猶予付き判決を求めていた。
加藤裁判長は「被告の人格や動機の形成に相応の影響を及ぼした点は一定程度酌むことができる」とする一方、「犯行を正当化するほどの落ち度が被害者にあったとは評価できない」と述べ、弁護側の主張を退けた。
判決によると、元少年は15年12月、自宅でアイドルのDVDを大音量で見ていた父親と口論になり、ナイフで胸や背中を約60回刺して殺害した。

12月13日 前橋地裁
 不倫相手の居酒屋経営の男性=当時(41)=を刺殺しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた42歳の女性に対し、国井恒志裁判長は「殺意は突発的だが、互いに不倫関係にありながら男性に別の交際相手がいる可能性を知り、一方的に怒りを強めた身勝手な犯行」として、懲役4年(求刑8年)を言い渡した。
国井裁判長は、男性の腹部の刺傷から、包丁(刃体26㌢)は相当強い力で刺さり、力が加わらなくなったために背骨に到達しなかったと説明。意図的に刺して抜いたとして「男性が死亡するかもしれないと認識していたことを意味し、殺意を強く推認させる」と指摘した。事件当時、現場は蛍光灯が点灯し、包丁と分かった上で手に取ったことも、殺意を強く推認させるとした。

12月13日 神戸地裁
 少年(当時18)が知人の少年2人から暴行を受け死亡した事件で、19歳少年に懲役6年以上8年以下(求刑6年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。
共犯の少年(19)には今月、懲役7年以上9年以下の不定期刑判決が出ていた。

12月12日 秋田地裁
 2007年12月、55歳女性の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた66歳の男性に対し、懲役17年(求刑20年)を言い渡した。弁護側は控訴する。
被害者の右手に付着していた微物から11年に検出され、16年の再鑑定で検出されなかった被害者と被告の混合DNAの信用性が最大の争点だった。
三浦隆昭裁判長は、秋田県警のDNAの保管状況や鑑定作業の過程などから「被告人のDNAが混入したことを疑わせるに足りる合理的な可能性は認められない」と判断。交際相手の男性を巡るトラブルから犯行に及んだ点に「被害者を逆恨みし、あまりに自己中心的で身勝手」と非難した。
被告は「何もやっていない」と起訴内容を全面否認。弁護側は鑑定作業などでDNAが混入したと主張し、無罪を求めていた。

12月12日 福島地裁
自宅寝室で無理心中を図り、認知症の妻を包丁で刺して殺害したとして、殺人罪に問われた90歳の男性に対して、懲役3年6月(求刑7年)を言い渡した。
宮田祥次裁判長は「被告は家庭内で孤立感を強め、体力の衰えも感じて将来を悲観し、精神的に追い詰められていた」などと指摘。ただ、妻が介護老人施設に入院していたとして「介護に疲れている状態ではなく、執行猶予相当ではない」と判断した。

判決によると、被告は今年4月5日午前9時50分~11時55分ごろ、施設から一時帰宅していた妻=当時(85)=の腹部を包丁で刺すなどして殺害した。自身も腹部を切って自殺を図り、一時入院した。

12月12日 新潟地裁
 入院患者の首を絞め殺害しようとしたとして殺人未遂罪に問われた27歳の男性に対し、山崎威裁判長は懲役2年6月(求刑5年)を言い渡した。

12月11日 千葉地裁
 覚醒剤約171㌔を混ぜた液体をテキーラに偽装して密輸入するなどしたとして、覚せい剤取締法違反罪などに問われた40歳の男性に対し、高木順子裁判長は懲役20年・罰金1千万円(求刑25年・罰金1千万円)を言い渡した。
判決によると、被告は2015年、末端価格40億円以上にあたる覚せい剤を混ぜた液体を、テキーラの瓶約1千本に詰めて密輸入した。

12月11日 岡山地裁
知人男性を刺殺したなどとして、殺人などの罪に問われた33歳の男性に対し、懲役16年(求刑18年)を言い渡した。
弁護側は被告の心神喪失や心神耗弱を主張していたが、後藤有己裁判長は「通常の精神状態で犯行に及んだ」と責任能力を認めた。
判決理由で後藤裁判長は、電話での口調を巡りトラブルになった男性から「しまいしてやる」などと言われ、危害を加えられると思って犯行に及んだと認定。被告の意思決定には統合失調症などが相当程度の影響を及ぼしたとする一方、犯行前後には合理的な行動を取っていたとして「犯行は相応に非難されるべきだ」と指摘した。その上で量刑について「被害者の背中の傷は肺の一部まで達し、犯行態様は危険で結果は重大」と述べた。

12月07日 東京地裁
 覚せい剤約3.9㌔を密輸しようとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたナイジェリア国籍の男性2人に対し、家令和典裁判長は、違法薬物と認識していたとは言えないとして無罪(いずれも求刑15年・罰金800万円)を言い渡した。
家令裁判長は、男性2人は国際的な密輸組織と頻繁に電話をしていたとしたが、密輸前後に組織からの連絡はなかったと指摘。「回収役としては不自然で、違法薬物と認識していたとは認められない」と述べた。

12月06日 京都地裁
 昨年3月、指定暴力団神戸山口組系の組事務所に発砲したとして、銃刀法違反などの罪に問われた指定暴力団山口組系組員ら2人のうち、組員の42歳男性に懲役13年・罰金20万円(求刑15年・罰金20万円)、元組員の34歳男性に懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑3年)を言い渡した。

12月06日
 社員寮で同僚を殺害して約120万円を奪ったとして強盗殺人罪などに問われた21歳の男性に対し、求刑通り無期懲役を言い渡した。
丹羽芳徳裁判長は「身勝手な犯行で酌量の余地はない」と述べた。 判決では、被告は昨年9月14日、寮の非常階段で被害者(当時19歳)の頭や背中を消火器で殴って失血死させ、所持していた約120万円を奪った。
弁護側は強盗の犯意と殺意を否定していたが、丹羽裁判長は「被害者が多額の現金を持っていることを犯行前に知っていた」として強盗目的を認定。うつぶせに倒れた被害者の頭を重さ約5キロの消火器で殴るなどした犯行態様から、殺意の存在も認めた。

12月06日 佐賀地裁
女性の胸を触り、顔を殴るなどしてけがをさせたとして、強姦致傷と建造物侵入の罪に問われた24歳の男性に対し、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
吉井広幸裁判長は判決理由で「暴行の程度は弱いものではない」と指摘しつつ、人けのないプレハブ小屋に女性が1人でいるという状況が偶然にそろい、以前から漠然と抱いていた強姦に対する興味を実現させようとしたもので、「犯意が強固であったとは言えない」とした。

12月4日 千葉地裁
 2016年7月、男性が暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死罪に問われた53歳の男性に対し、松本圭史裁判長は「男性が被害者から殴られたことに知人の男らが立腹したりして、男性の意思とは無関係に暴行した可能性を排斥できない」として、男性に無罪(求刑12年)を言い渡した。
判決によると、男性は昨年7月23日夜、被害者とトラブルになった男の自宅付近に行ったところ、男性と被害者との間で何らかのトラブルになり、男性が殴られ転倒。その後、男らが栗田さんを殴る蹴るなどの暴行を加え、死なせた。
検察側は男性と知人の男らに共謀があったなどと主張していた。

12月04日 神戸地裁
 岸壁で18歳の少年の遺体が見つかった事件で、傷害致死などの罪に問われた19歳の少年に対し、芦高源裁判長は「場所を変えながら執拗な暴行を加えた」などとして、懲役7年以上9年以下(求刑8年以上12年以下)の不定期刑を言い渡した。
芦高裁判長は判決理由で「多額の金銭を要求して被害者に空き巣の実行を命じた上、失敗に立腹して暴行を加えた」として経緯や動機に酌量の余地はないと指摘。別の19歳少年=傷害致死罪で起訴=が先に暴行したとしながらも「従属的とはいえず、果たした役割は大きい」と結論づけた。

12月01日 津地裁
 昨年10月、中学2年生(当時14歳)が少年少女4人から集団暴行を受け死亡した事件で、田中伸一裁判長は、傷害致死罪に問われた少年(17)に対し、懲役5年以上8年以下(求刑5年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。
弁護側は他の3人も怒りを持って暴力を振るったこと、幼少期に養父から虐待を受けるなどして素行障害があったことを挙げ、家裁に再び移送して少年院送致の保護処分とするよう求めていた。
判決は、「犯行に終始積極的で主体的に関わり、主たる役割を果たした」と指摘、少年が被害者の頭をトイレの木製パネルに数回たたきつけたり、他の3人に暴行を促したりしたと認め、年下で体格的にも大きく劣り、明らかに弱い立場の被害者に4人で一方的に暴力を振るったのは悪質と。被害者とのトラブルを相談されたのがきっかけだが、暴行開始を提案しており、動機に酌むべき点はないとも述べた。
そして、暴力に肯定的な価値観があって素行障害と診断され、養父の虐待などがその要因となった可能性はあるとしつつも、「社会生活を送って周囲の状況に応じた言動が取れており、障害の影響があったとしても限定的」と判断し、刑罰を科すべきだと結論づけた。
他の3人は昨年11月、第1種(初等・中等)少年院送致とされた。

12月01日 那覇地裁
 2016年4月に発生した米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元海兵隊員で33歳の軍属に対し、柴田寿宏裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
弁護側は、殺意はなく殺人罪は成立しないとして「有期刑が相当」と主張していた。

投稿者 : いらないインコ|2017年12月30日