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緊急記者会見 制度廃止方針発表

記者会見場の苦しい空気
昨日午後9時、法務省大会議室で、政府・最高裁の共同記者会見が開かれた。時間も異例、共同の記者会見も異例とあって、朝刊記事の準備に追われていた各社の一線記者が駆けつけ、外国特派員も参加する会見になった。菅義偉内閣官房長官と今崎幸彦最高裁事務総長が並んで会見が始まった。

 菅官房長官は次のように述べた。03eee5ba
「安倍政権が最大の司法チャレンジと位置づけて進めてきた『裁き方改革』の実行計画がまとまった。その中核は裁判員制度の廃止に向けた手順検討の開始である」。
続けて今崎事務総長は、「政府と並行して事務総局内部で検討を進めてきたが、裁判員制度はその歴史的使命を果たしたと評価されるというのが、事務総局と裁判官会議の大方の見方になった」と述べた。
菅長官のいつも以上にふてくされた顔つきと今崎事務総長のあまりにもうつろな表情に事態の重大性が浮き彫りになり、記者たちは騒然となった。

 菅長官の説明は次のようなことだった。
裁判員制度を根付かせようと処罰を伴う参加方式をとったことで、国が責任を問われる裁判が起こされたばかりか、この間裁判員経験者の中から何人もの自殺者が出た。行き過ぎた参加強制は制度の安定的維持を害するという点で最高裁と意見が一致し、やりたくない者にはやらせないという方針に転換したが、その結果、出頭者は大きく減少した。
テレワークなど出頭しないで裁判に参加する方法や病気治療と裁判員の両立を図る罹患裁判員総合病院の設立などの方策も検討し、また繁忙期を中心に裁判員参加の上限規制を設けるなどの改革も試験的に実施した。
しかし、国民の不参加の流れは甚だしく、抵抗を少なくしようとした結果、制度の安定をかえって損ねさせた。このことは遺憾ながら認めざるを得ない。そこでこの際、裁判員制度の廃止を検討することにした。

 今崎事務総長は次のように述べた。20160525-OYT8I50045-N
裁判員の参加が少なくなっていることは事実だが、裁判員裁判に参加した裁判員や補充裁判員からは「参加して良かったとか、良い経験をした」という感想が圧倒的だ。
国民の間には我が国の司法の正統性に関する信頼が深まり、自身がわざわざ裁判に参加しなくてもこの国の裁判官たちは良い裁判をしているという信頼感というか安心感が醸成されたのではないか。
その意味でこの制度は歴史的な使命を果たし終えたと評価している。私の意見は最高裁の裁判官会議の検討を踏まえて申し上げている。

追及する記者と逃げる有責当事者 
記者たちはいっせいに質問の手を挙げた。官房長官は、目ざとく『朝日』の大久保真紀記者を指名した。記者は目を赤くして、「要するに裁判員制度は破綻したということか」と尋ねた。長官は「破綻という言葉は使わないことになっている。我々はこのような事態を一定の困難な状態という」と答えた。記者は「そんな」と言ったままハンカチで目を押さえた。
『共同通信』の記者が、森友学園問題で大きなダメージを受けた安倍内閣は人気回復策として制度廃止を掲げたのではと質問した。官房長官は記者を睨み、「断じて違う、首相は国民の信用を失ったら首相も議員も辞めるとまで言っている。信なくばたったひとり、もとい信なくば立たずだ。偏見に満ちたメディアは会場を去ってほしい」と述べた。IMGP0856
ニューヨークタイムズの特派員は「Godless!」と叫んだ。

 『東京』の記者は「困難を自ら作った政府がその困難を取り払うことで人気を得ようと考えるのはおかしいと言われたら」とたたみかけた。長官は色をなして、「裁判員制度は政府・自民党だけではなく、全野党が賛成してできた。皆さんも基本的に賛成した。破綻の責任はみんなにある」と答えた。どこかの記者が「長官自身も破綻という言葉を使ってますが」と声を上げたが、長官は「不規則発言はやめ給え」と応じた。

 今崎事務総長への質問に移った。指名された『読売』は「裁判員を務めたほとんどの人たちが良い体験をしたと言っていたということだが、安定して実施しているのならわざわざ止めることはないのでは」と尋ねた。事務総長は、「裁判員と補充裁判員の経験者総数は7万4000人ほど。良い体験をした95%というのは7万人。有権者総数1億人の0.07%にとどまる」と答えた。これには記者が「1年1万人なら、1億人になるには1万年かかる計算だが」と質問。事務総長は「人口減少情勢を考えるともう少し早く国民皆裁判員が実現するのでは」と答弁。失笑とため息が広がった。

 『日経』の記者が「官房長官から裁判員の自殺の話が出たが、裁判官の自殺は出ていないのか」と質問。事務総長は「裁判官の自殺は裁判員制度が始まってから10人だ。しかし、裁判員裁判のために自死したと言い切れる例はない」と答弁。記者は「言い切れる例とは」と再質問すると、「その趣旨の遺書があったというようなことだ」と答えた。『TBS』の記者が「きちんとした調査はしていないのか」と聞くと、「きちんとしたとはどういうことか」などと答え、またため息が広がった。

 「このところ高浜原発の再稼働容認とか、伊方原発の差し止め却下など、司法が行政にすり寄る判断が続いている。裁判員制度も内閣が止めるというので最高裁も追随しているということでは」と『日本テレビ』の記者が質問。今崎事務総長は「司法の行政追従が指摘されるが、裁判員制度はいずれ終わるということは私たちの世界ではかねてから考えられていた」と答えた。これには記者は「先ほどは人口減少を考えれば1万年もかからないとか何とか言っていたではないか」と尋ねたが、事務総長は答えなかった。

竹崎前最高裁長官はyjimage7G04IBIO
 『NHK』の記者が竹崎博允前最高裁長官の私宅を深夜直撃訪問。政府・最高裁の記者会見の模様を伝えて意見を聞くと、前長官は情報を事前に知らされていたようで、落ち着いて次のように語った。「この制度はそんなに長く続けられるものとも続けるべきものとも思っていなかった。だいたい、私はもともと国民が裁判に参加することに意味があるとは考えていない」。
驚いた記者が「ですが、竹崎さんは制度推進の旗を振って最高裁長官になられた」と聞くと、竹崎氏は「まあね」と答え、続けて「ただ、ボクはもともと市民の司法参加には意味がないと言っていた。当時、鳩山邦夫法務大臣はサイバンインコのゆるキャラなんかに扮してうれしそうにしていたが、後に実は私も反対だったなんて言っていた。私は正統派の消極論者で自分の意見を以前からはっきり言っていた」と語った。
記者が「そういうのを変節と言うのでは」と聞くと、竹崎氏はかすれただみ声で「まあね」とまた答えた。どうやらこの言葉はこの人の癖らしい。

 記者が「裁判員を経験した市民がほとんど良い経験をしたと言ってるという話でしたが」と聞くと、竹崎氏はにやっと笑って、「感想は日当を貰う前に聞かれるんだよ。つまりそういうことさ」と答えた。
かくして、制度構想から16年、実施から8年。この制度はついに幕を下ろす方向が確定した。

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昨年の4月1日の当欄で、寺田逸郎最高裁長官が死亡していたことを報じましたが、その後、寺田長官と酷似する人物が長官として執務をしているとの報道に接しました。影武者ダミーであるかどうか判然としませんが、裁判員いらないインコは引き続き真相究明に向けて鋭意調査いたします。新事実が明らかになった時はあらためてお知らせいたします。

投稿:2017年4月1日