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ちょっとスッキリした控訴審判決

オウム裁判に疑問を持つ一市民

 「『オウム』になら微罪でもなんでも徹底的に糾弾する。彼らには人権なぞない」。長く言われてきた言葉だ。何とか落ち着いて聞ける話を聞いたというのが今回の判決の第一印象。11月27日の毎日新聞を取り上げる。
 <菊地被告無罪>爆発負傷者「誠に残念」 裁判員、疑問の声との見出しで、「1審を担当した裁判員経験者からは「市民参加の意味は何なのか」と戸惑いの声が上がった」と。054819

「市民参加の意味は何なのか」というのは、つまり「市民参加」は三審制度を否定する制度だということだろうか。裁判員の市民感覚判決は「神聖にして侵すべからず」とでも言いたいようだ。おかしな話。

 被告の主任弁護人の高橋俊彦弁護士(45)は「1審では、運んだ薬品が毒物や劇物であるという認識が、人を殺す危険性の認識にすり替えられた。控訴審は危険性についてきちんと認定してくれた」と評価したという。

 知らずに毒物を運び、知らないままそれを使い、別の人が事件を起こしたというのなら、運んだ人に殺意があったと言い切れないのはあまりにも当然。
「市民感覚」というのは、「危険らしいものを運ぶのだから、人を殺すことを認識していて当然」となる感覚なのだろう。「事実はどうあれ市民の感覚としては認識しているという理屈になって当然」というものらしい。

  被害者は「被告は長年逃亡を続けており、罪の意識は十分持っていたはず。無罪判決は、その事実を法廷でしっかりと立証できなかったということで、誠に残念」とコメントしている。

待ってほしい。人が逃げるのは犯人である場合に限られない。犯人でないなら正々堂々と出てきて身の潔白を証すべきだというのは、権力の理屈以外のなにものでもない。
彼女が逃げた当時の状況を思い出す。信者は、鞄の中にカッターナイフを入れていたとだけで逮捕された時代である。「走る爆弾娘」と言われ、全国に指名手配されたら、逃げて当然だろう。私なら逃げますね。

 1審で裁判員を務めた男性会社員(34)は「控訴審で刑が軽くなることはあるかもしれないと思っていたが、まさか逆転無罪とは。自信を持って出した判決なのでショックだ」と話したという。

どうして「自信を持って」判決が出せるのか。「自分の感覚は正しい」と言い切れるのか。裁判所内で下にも置かぬ歓待を受け、何か発言すれば、「さすが市民の方は目の付け所が違う」とかなんとか煽てられ、「万能感」を持ってしまったということかな。あなおそろし。

1審では教団元幹部らの証言が食い違った。事実をどう認定するかが難しく、評議は約3週間続いた。男性は「事件から年月が経過し、被告の内心の認定に頭を悩ませた。決め手となる証拠もなく、真剣に話し合った」と打ち明け、「裁判員を務めた意味が何だったのか考えてしまう。直接的証拠があり、市民も判断しやすい事件に裁判員の対象を限ったほうが良いのではないか」と語った。 103807

いやはやである。3週間も裁判にかかりきりになれる市民が頭を悩ませ、真剣に話し合ったと報じる。決め手になる証拠がない事件で「真剣に話し合って」有罪にしてしまう大胆さ。「直接的証拠があり、市民も判断しやすい事件に対象を」というが、何のために市民がそんな事件の裁判に関わらなければならないのか? 『毎日新聞』は、どうしてそのことを問題にしないのだろう。あなおそろし。

検察幹部からは「まったく予想していなかった判決」などと驚きや疑問の声が相次いだ。判決が井上嘉浩死刑囚の証言が不自然に詳細だと指摘した点について、ある幹部は「井上死刑囚らの頭の中は今もあの時代で止まり、それぞれの場面の記憶が非常に鮮明だ。時間の経過だけで、直ちに捏造と疑うべきではない」と首をひねった。

オウムには13人に死刑判決が出ている。その根拠の中心にいるのは井上。各人の証言がバラバラになる中で、彼だけが一貫して検察の意にぴったり沿う証言を次々に行った。検察幹部とすれば井上証言が否定されることは耐えられないのだろう。

おかしいと思わないか。多くの証人や被告人の中で、たった一人彼だけがひたすら検察の言うとおり希望するとおりの証言をすることが。その証言を基本にして死刑判決が出ていることが。

一方でオウム事件捜査を担当した警視庁OBのOさん(67)は「被告の当時の上司だったT死刑囚らから、被告に事件の計画を話したという供述を得られなかった記憶がある。状況証拠を詰め切れたとは言えず、判決は致し方ない気もする」と話した。

 そう言うことです。

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投稿:2015年11月28日

「裁判員候補者名簿登載通知」の学術総合研究

世間は3連休というのに、相変わらず3羽は鸚哥大学の研究室に集まっている。よほど学問が好きなのか、行くところがないのか、まあ先立つものがないのだろうけれども・・・。

001177さてさて、「裁判員候補者名簿登載通知」の「寺田親書」見ましたか。

006311000見ました、見ましたよ。別名「裁判員制度」の「解体新書」ですよね。感動の涙にむせんでルンルンでした。

1-e1397901276348冗談は休み休み言ってくれないか。だいたい世の中には言ってよい冗談と書いてよい冗談がある。

001178まね0何を言っているのやら。

1-e1397901276348今日は学術的に迫ろう。インコの最も得意とするテーマだ。

006311000それは言う冗談ですか、書く冗談ですか。

1-e1397901276348アホ、世の中には言ってよいことと言っちゃいけないことがあるのだぞ。

006311009へっ、大冗談の構えだぁ、これは。

1-e1397901276348寺田親書の出だしのところはなんと書いてあった、キミ。

006311000えーと。見出しは「最高裁判所長官からのごあいさつ」です。本文の冒頭は「このたび、法令の手順に従った抽選の結果、あなたが裁判員候補者に選ばれたことを御連絡いたします。来年一年間に、具体的な事件で裁判官とともに裁判をする裁判員に選任される可能性があることを御承知おきいただきたいのです」とありますね。で、寺田長官の顔写真と。

1-e1397901276348文章論として言えばだ。こんなくそ面白くもない文章を真剣に読む市民はいないということだ。読まれる文章と言うのは、例えば「10席あまりのちいさなちいさなビストロ。猫の絵画に囲まれながら食べ応えのあるビストロ料理とおいしいワインでおくつろぎください」ってなメッセージカードだね。これに可愛い猫の写真なんか入れて店の前にそっと並べてご覧。正当な理由のない入店拒絶は処罰の対象なんて言わなくてもお客さんはどんどん入ってくれるのよ。それも自分からお金を払って。そこんところちょっと考え直したら、隼町の再考裁長官さん。

006311009先輩は鳥なのに猫好きだったんすか。オ・ド・ロ・キ。で、これが学術的と。

1-e1397901276348いやいや、ここまでは話の入り口よ。噺家ならここで羽織をちょいと外すところさ。

001177どんどん行きましょう、レベルの高い読者が待ってますから。

1-e1397901276348うん。今日は、裁判員候補者名簿がどのように作られ、どのように候補者に知らせる仕組みになっているのかという、ま、「裁判員候補者名簿」原論とでも言えばいいかな、それを講義する。案外知られていないところだろうと思ってね。

006311000そう言えば、ボクには「最高裁判所」っていう大きな字がドーンと載っている仰々しい封筒っていうイメージしかないな。

1-e1397901276348裁判員候補者名簿が作られるまでを説明しよう。まず、各地の地裁は、毎年9月1日までに、翌年に必要になると見込む候補者の数を管轄区域内の市町村に割り当て、その数字をその市町村の選挙管理委員会に通知せよということになっている。こういう決まりはすべて裁判員法に書かれている。

001181地裁も大変ですね。翌年の「収益見通し」を立てなければならない商店主のようなもの。

1-e1397901276348そういうこと。出頭率のさらなる低下をこのくらいと見込んで、その分かさ上げもしなければいけない。

006311000そしてここに選挙管理委員会が登場するんですね。だから、裁判員になるのは参政権に似たようなものだなんていうのかしら。

001177それは関係ありません。早とちりです。

1-e1397901276348地裁から通知を受けた選管は、保管している選挙人名簿に登録されている者の中から地裁指定の員数をくじで選ぶ。

006311000へーっ。クジっておみくじみたいなヤツですか、それともこよりなんか使うのか…。大吉なんて書いてあったりしたらどうするんかな。

1-e1397901276348クジのやり方までは裁判員法に書かれていない。実際には最高裁と総務省が相談してクジの方式を全国的に統一しているに違いない。大吉も小吉もあるわけがないだろ、トンチキめが。

006311000はーい、このクジは、大吉と凶しかなくってですね。選挙人名簿に番号振って、大吉は何番と何番、当たりの凶は何番と・・・。

1-e1397901276348(無視して)選管は、くじ引きの結果に基づいて、候補者の氏名、住所、生年月日の一覧表を作る。これを「裁判員候補者予定者名簿」という。裁判員候補者になる者を決めるのは地裁で、選管はその前段階だから、候補者に「予定者」がくっつく訳だ。

006311000ややこし。いかにもお役所。

1-e1397901276348で、選管は10月15日までにこの「予定者名簿」を管轄の地裁に送らなければならない。

006311000選管も本来の仕事以外のことをさせられて大変だな。

1-e1397901276348そりゃ大変だよ。それにその作業の過程で情報漏れを起こしたりしたら、重大な責任問題になるし。

006311000それで、各地の選管は、いつ、どこで、どのようにその予定者っていうのを選んでるんですか。

001177すべて霧の中。よらしむべし、知らしむべからずっていう感じなのでしょう。

1-e1397901276348さて、地裁は、選管から予定者名簿を受け取ったら、これに基づいて「裁判員候補者名簿」を作らなければならない。基本的には予定者名簿がそのまま候補者名簿になる。

006311000なるほど。

1-e1397901276348けれど、予定者名簿に載っている者がもう死んでいるとか、衆議院議員の選挙権を持たないとか、欠格事由(義務教育未終了、禁錮以上の刑を受けた、心神故障者)があるとか、就職禁止事由(国会議員、裁判官、弁護士など)があるとか、そういうことがわかったら、地裁は、裁判員候補者名簿から外さなければならない。

006311000地裁はどういう方法でそういう人たちを探し出すのでしょうか。

1-e1397901276348わからん。これも霧の中。国会議員や裁判官ならすぐわかるだろうが、ほとんどは直ちにはわからない人たちだ。でも統計表などを見るとここでばっさり大量に削られている。どうしてこんなにたくさん削れるのかわからないね。

006311000ずいぶん中途半端な状態なんですね。

1-e1397901276348そのとおりです。さて、この段階で、今回の騒ぎの「裁判員候補者への通知の段」に入る。

「裁判員候補者名簿登載通知」ですね。

1-e1397901276348そう、そのことについて、裁判員法第25条は次のように規定している。「地方裁判所は、…裁判員候補者名簿の調製をしたときは、当該裁判員候補者名簿に記載をされた者にその旨を通知しなければならない」。今回はこの通知をした訳だ。さぁ、ここまでの話で候補者名簿登載通知をめぐる説明は理解できたかね。ヒヨコ君。

006311009いや、ちょっと待って下さい、先輩。理解できないところがあります。

1-e1397901276348なるほど。そりゃどこかな。

006311000これまでの一連の先輩の話はすべて裁判員裁判を実施する地裁の話でした。どうしてここに、最高裁判所や最高裁長官の話が出てくるのでしょうか。

1-e1397901276348いやはや、はやいや。いや何を言っているのか、自分でもよくわからんが、キミはよくそのことに気がついてくれた。そこを話すのが今日の学術講演の中心だったのだ。

006311000ボク、そんな凄いことを言ってるんですか。自分じゃ全然気がついていませんけれど。

1-e1397901276348気がつかずにそれだけのことを言えるのは、天才かもしれない。いや天災かな。説明しよう。候補者名簿登載通知までのすべての作業は地裁の仕事なのだ。法律の条文はすべて「地裁は……をしなければならない」という規定ぶりになっている。

006311000たしかにそうですね。そうなっています。

1-e1397901276348ここには終始一貫、最高裁の出番はない。何から何まで地裁が執り行うように法が義務づけている。考えてみれば、裁判員裁判をやるのは地裁だし、裁判員を選び出して裁判を実際にやるのも地裁の仕事だ。そこに他から口出しをしたら裁判の独立に対する侵害になりかねないね。

006311000でも、登載通知は最高裁が送ってきています。

1-e1397901276348そこがインチキなのだ。通知書面の表紙にどでかい字で「最高裁判所」と印刷されている。でも内容をよく読むと、通知文書の発信人は各地の地裁になっている。つまり、建前は本文にあり、表紙はインチキということだ。

006311009どうしてそんなことを。

1-e1397901276348それは、最高裁の「威光」を前面に押し出したいという権力臭ふんぷんの手口なのさ。汚らしい奴らよ。

006311009日本中で誰よりも法律を守れと言わなければならない最高裁が、法を犯してまで地裁の仕事を最高裁の仕事のように見せかけることについて、いったいどう弁明しているのでしょうか。

1-e1397901276348釈明らしい釈明は何もしていない。したくてもできないだろうね。忙しい地裁の仕事をお手伝いしているのだというような説明もあるが、それは到底説明にならない。「ぶっちゃけ、最高裁の権威で国民を恫喝しようとしているのです」と言えば正直なのだがね。

001177さぁ、そこに寺田最高裁長官のご登場と来たのですね。さっきヒヨコ君が読んでくれた冒頭の一文にもう一度目を通してご覧なさい。

006311000「このたび、法令の手順に従った抽選の結果、あなたが裁判員候補者に選ばれたことを御連絡いたします」。

1-e1397901276348法令の手順に従った抽選が行われたことだとか、その結果あなたが裁判員に選ばれたことだとかの事実は、地裁が超高度の守秘義務をもって情報を独占しなければならないことで、最高裁といえどもその実情を知っていてはいけないはずなのに、その情報をもう手にしましたよと公然と言い切ったことになる。

001177これはもう途方もないおかしさですね。

1-e1397901276348それだけじゃない。「御連絡いたします」と来た。裁判員法の定めによって「ご連絡する」のは厳格に地裁と決められている。最高裁ではない。いわんや最高裁長官などでは断じてない。

006311000めちゃくちゃ。

1-e1397901276348もともとこの通知封筒の表紙に最高裁判所と印刷されていること自体に問題がある。インコはこれまでもそう言ってきたけれど、今回の最高裁長官の連絡挨拶を見て、この違法状態は極限に達したと思ったね。

006311000なるほど。今日は完全に学術講演です。

001177インコさんは、今日は触れなかったですが、実際の発送作業をやっていのは民間業者で、その業者は最高裁が入札で決めているんですよね。そして、その業者に各地裁・支部がデータを送り込んでいるはずです。

1-e1397901276348そう。インコは「地裁」と一括りにいってきたけれど、それは裁判員裁判を開く地裁本庁と地裁支部をまとめて言っていたもので、実際には本庁や支部が別々に準備をすることになる。

001178まね0それにしても、どうしてここまで最高裁は暴走するんでしょう。また、これから先どこまでこの長官は暴走するんでしょうか。

1-e1397901276348それは何度も言っているように、裁判員制度がもうどうしようもないところまで来ていることに関係します。背に腹は代えられないということです。長官にすれば、文句あるヤツはもう一度出前講義に行ってから言えなんていう気分なんでしょう。

001177出頭率はこれからもどんどん下がりそうです。また芸能人を出すか、またまた天皇を引っ張り出すか。

006311000売れ行き最悪に落ちた商品に応援を買って出るタレントがいるとすれば、それは人気落ち目の人たちだけでしょう。

1-e1397901276348ここで、インコは一句。そう、最近は皆さんが短歌や狂歌をよくするので、インコは都々逸で迫ります。

006311000都々逸ってなんですか? 

001177口語による定型詩のことで、七・七・七・五の音数律に従うのが基本です。

1-e1397901276348下がる一方 出頭率に 恥をしのんで 顔晒す

001177インコさん、都々逸はやはり恋歌でなければ。
出前座敷(講義)は お呼びがなくて 送りし文も 袖にされ

1-e1397901276348すが、いかにもお茶を挽いてる売れない芸妓って感じが出てますね。千客万来の夢見てもダメってことだよ、テラダ君。
儚い夢に 威信かけても 終い時だよ ダメ制度

001176おおー、折句、織り込み都々逸ですね。

006311000折句って?

001177頭の文字を拾ってごらんなさい。では、みなさん、ご一緒に

おたけび2は・い・し・だ

 

投稿:2015年11月23日

福岡・街頭宣伝&集会の感想 byインコのマネージャー

006311000

11月14日の福岡、街頭宣伝、博多にわかときて、いよいよ集会報告ですか。僕、福岡へ連れて行ってもらえませんでしたので、楽しみにはしているんですけど。

001178まね0ちょっと拗ねた物言いですこと。残念ながら、詳細な集会報告はやりません。

006311000なぜですか?

001177福岡の「市民のための刑事弁護を共に追求する会」も、「裁判員制度に反対する埼玉市民の会」と同じく、きちんとした報告集を出されるからです。ただ、ここで福岡の集会などに触れられた「追求する会」の前田ヒソカさんのブログ「白い狼のため息」と、講師を務められた猪野弁護士のブログをご紹介いたしましょう。

前田ヒソカさんのブログ「白い狼のため息」から
裁判員制度はいらないインコと博多にわかと「マスコミが伝えない裁判員制度の真相」

「弁護士 猪野亨のブログ」から
裁判員制度に反対する福岡の集会に参加してきました

006311000それでも福岡市での集会報告がこれだけではあんまりです。

001177わかりました。それでは、街頭宣伝での特別報告、そして猪野弁護士の講演に対する感想をご報告させて戴きます。

=街頭宣伝にて=

137266裁判員制度に反対しんなしゃっとね?

001177はい、そうです。
137266

裁判員に呼び出されたら絶対に行かないけんと。

001177え、無視して大丈夫です。

137266罰則がなんや言うてなかったと?

001177はい、罰則規定はありますが、これまで処罰された人はいません。でも病気になった人はいます。

137266ああ、そうやったとばい。えずか写真やなんや見たら素人はそうなるたい。病気にばなりよったら、誰が責任取ってくれるたい。

001177誰も責任取りません。病気になって国賠訴訟を起こした人がいます。国は裁判員を務めて病気になったことは認めました。

137266うんうん、当然、国が補償せんといかんたいね。

001177でも、国は、いつでも辞退できたし、辞めることもできたのに、それをしなかったあんたの責任と言って・・・

137266国は、なんば言うとうとね。国はそげんこつ言うとうとね。行くだけアホらしかと。ほんまに行かんでも何もなかとね。呼び出されても無視してよかと。

001177はい、大丈夫です。どうしてもご心配なら、病気になったり、何かあったら責任とって全部、補償すると約束してほしい、そのことを書面に書いて約束してくれるなら、裁判員をやっても良いと言えば。

137266げんこつ国が約束する訳なかと。ほんなら行かんでも良かとなるね。あんたくさ、頭良かとね。安心して断るったい。

=講演で改めて感じたこと=

 柔らかい語り口、優しい言葉遣い、でも、推進側やマスコミに対して手厳しい批判を展開された。ino1114この中で、特に印象に残ったのが、

本来、裁判員というのは、どういう立場かというと、国家から任命されて裁判に関わるのですから、国家権力を行使する立場です。ですから、裁判官と同様に批判の対象、国民、有権者がその権力行使に関して批判の対象としなければならないのです。
ところが、その批判を許さない。これは、権力行使に対する口封じ、権力批判を許さないということと同じことです。それを、裁判員を守るためと称して、一切の批判を許さない。

と仰った部分です。権力を行使した者への批判を許さない、匿名で権力を行使し、絶対批判されない存在として何をしても持ち上げられる、問題があれば、それはきちんと「説示」をしなかった裁判官の責任。一般市民にとってこの体験は心地良いことでしょうが、これの行き着く先を想像すると戦慄します。そして、「説示したのか」という批判は、裏返せば、「裁判官は、国民を教導しろ」ということになると思います。つまり、裁判官は、一般国民の教化を目的として、きちんと教え導けと・・・衣の下から鎧が見えたということですね。

 また、裁判員に負担をかけないため、として、行われるべき証人尋問や証拠調べがなされなかったり、逆に調書で済むところを裁判員が退屈するからと証人として呼ぶなど、誰のための裁判かという指摘の中で、鑑定医のことに触れられました。

鑑定人が鑑定を行って鑑定報告書が出るんですけれども。裁判所が、鑑定報告書をそのまま文書で出されると、裁判員には分かりませんと。ですから、わざわざ、法廷へ鑑定人に来てもらって、鑑定人に対する尋問という形でやらせた。すごいですよ。約5時間。被告人質問も聞かせてということですから、鑑定人に対しては膨大な負担が掛かるんですね。「鑑定人は、裁判員裁判になったら、鑑定書を提出するだけでなく、出廷しての説明が必要となり、裁判所に通う回数も増えた」ということで、すごい負担が増えている。

でも、裁判所は、お客様の裁判員のためには、そうしたいんだということです。調書を朗読されると裁判員はわかりませんと。単調で眠くなるみたいですね(笑)。証人を呼んで、証人尋問のような形でやってくれないと理解し難いので、そうしてくれと。要するに、裁判員のために、みんな来なさいということなんです。訴訟関係者はね。

誰のための裁判か。裁判員のための社会科見学、裁判員のお勉強のためにやっていると言わざるを得ないような状況です。

鑑定医(だけではないですが)への加重負担という観点からの批判は、余りして来なかっただけに、改めて問題に気付かされました。

さらに、質疑応答の中で、元裁判員で制度推進の旗振り役をやっている人について、参加者から「ファシスト的なものが突出してきているのでは」という質問がありました。猪野さんも「『自分たちが』と、統治機構の中に組み込まれていくことを無批判にやっていくことはどういうことなのか、裁判員制度でも問われてしかるべき」、「国家機関の中に取り込まれる形で、自分たちみんなでやっていきましょう、みたいな機運が高められていったとき、果たしてどうなのか」、「今、戦争法案が出てきて、国家のために、どう動員していくかというところと、本当は重なってくるのかな」などと指摘されました。

確かに、市民の権力行使を批判させず、統治機構へ組み込んで、御国のためにみんなでやっていこう、となると、行き着くところは全体主義、ナチス国家のようなものになるのではないでしょうか。
それが制度の狙いでもあった訳ですけれども。

その他、裁判員制度について多様な角度から様々な問題を指摘された講演会でした。

001177みなさま、講演報告をお楽しみに

解剖医と監察医の問題については、猪野弁護士のブログをご覧下さい。

全件検査? 検視、解剖体制はどうするのか 実現可能性を考えれば裁判員制度に関わっている場合ではない

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投稿:2015年11月19日

博多にわか「裁判員制度いらんばい」爆笑上演

8niwaka1-e139790127634811月14日の街頭宣伝で2回、市民集会で1回上演されて、好評を博した、いのうえしんぢ氏作「博多にわか・裁判員制度いらんばい」。道行く人の笑いを誘い、市民集会でも会場を沸かせました。

001177いのうえしんぢ氏は、博多では、現代の川上音二郎と評されているそうですね。

1-e1397901276348うです。その作品を上演してくださったのが、S夫さんとY子さん。お二人の格好は、「博多ぶらぶら」のキャラクター。博多の有名なお菓子「博多ぶらぶら」、その意匠は、福岡を代表する祭り「博多どんたく」の傘鉾のイメージに、2代目の顔を描いたパッケージがあって、それがこのキャラクターになったとか。

001177そして、お二人が演じる「博多にわか」とは、博多仁和加(にわか)振興会事務局によりますと、
半面を着け、博多弁で会話し、会話の後に地口のオチをつけて、話を決着させるもの。日常生活や世相を反映させたものや温かいユーモアに包まれた内容のものがある
とのことです。

1-e1397901276348博多にわか」の発祥には、主に4つの説があるようで。

001177大阪生まれの難波のこいさんのわたくしとしては、「大阪俄伝播説」を取りたいですわ。これは全国的にも通説になっています。俄は数人による段物スタイルで当時の歌舞伎役者のまねやストーリーのパロディ化などがあり、また武士社会への不満などを笑いに変えていったと言われています。

admin-ajax[1]では、「博多にわか」、ウェブ再演で、裁判員制度を笑い飛ばしてください。

Y子:裁判員制度って知っとうね?
S夫:あぁ!法律の事を全然知らん素人の市民が、裁判の判決を決める仕事ばさせられることやろ。
Y子:そうそう、医者が一緒にするから大丈夫って、外科手術で素人にメスば握らせるようなもんたい。
S夫:責任もてんたいねぇ。そして知っとうね、裁判員制度って、男性よりか女性の方が求められるらしかね。
Y子:本当?初めて聞くけど?
S夫:そらぁくさ、手術だけに必要なのはメス!
9niwaka
Y子・S君:はい、裁判員制度いらんばい!

////

S夫:裁判員制度の通知の来る人に、なりとうなくて嫌ばい!ってえずがる人と、全然怖がらん人がおるったいね。
Y子:人間はいろいろタイプのあるけんね。そうやろうね。
S夫:でもね、私立高校出身と県立高校出身とやったら、私立高の方がビビらんとばい。
Y子:そらぁなんでね?
S夫:えずか通知もろうたら、県立高校出身者の方が、こうりつこう。
S夫・Y子:はい、裁判員制度いらんばい!

////

S夫:こないだ女性の下着コーナーに行ったらくさ、尻の方がヒモになっとるごたぁスゴイのば見たったいね。
Y子:そらぁTバックっていう下着たい。しかし、また急に下ネタやね。裁判員制度には何も関係なかろうもん。
S夫:いやいや、裁判とTバックは重要な関連性があるったいね。
Y子:全然意味がわからん。なんねそらぁ?
S夫:裁判もTバッグも、どっちもハンケツが出ます
Y子・S夫:はい、裁判員制度、いらんばい!10niwaka

////

Y子:裁判員制度について質問のあるっちゃけど。
S夫:なんな?
Y子:もしもくさ、裁判員になれって連絡の来たら、どうするね?
S夫:そらぁ突き返すよね。
Y子:カッコよかね、いさましかねぇ!どうやって?郵便で送り返せばいいとね。それとも直接裁判所に行って突き返すとね。
S夫:いさましかけんね、郵送たい。
S夫・Y子:はい、裁判員制度、いらんばい!

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投稿:2015年11月17日

11月14日福岡での街頭宣伝にインコが参加!

11月14日午前11時30分から福岡市・天神のパルコ前にて、「裁判員制度反対市民集会」開催のお知らせと、「裁判員制度反対、出頭拒否」を呼びかける街頭宣伝が行われました。
この宣伝には、「はかたにわか」も行われ、道行く人の笑いを誘い、そこには集会講師として札幌から福岡入りされた猪野亨弁護士とインコの姿も・・・。

集会と街頭宣伝の主催は、「市民のための刑事弁護と共に追求する会」。そして「福岡市民救援会」の若いみなさんも応援にかけつけ、賑やかな街頭宣伝に!

そこで、インコはどうしていたかというと・・・

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7fukuokaほんとは、ちゃんと働きました!写真は「追求する会」の筒井共同代表と

雨の中、みなさま、お疲れ様でした。この後、インコは、女子中学生の団体から「かわいいと」「かわいいかね」と言われて囲まれ、ご機嫌でした。

投稿:2015年11月16日

裁判員制度反対の「はかたにわか」と市民集会のお知らせ

緊急のお知らせです!

11月14日午前11時30分から福岡パルコ前にて、
裁判員制度反対の「はかたにわか」が行われます。

また、午後2時からは、裁判員制度はいらない市民集会が開催されます。読者のみなさまにはお馴染みの猪野弁護士が札幌から来られます。

「マスコミが伝えない裁判員制度の真相」
著者・猪野亨(いの・とおる)弁護士
を講師に迎えて

と   き   2015年11月14 日( 土)
          午後1時 30分 開場
午後2時~4時30分

ところ   ふくふくプラザ5階 視聴覚室
電話092-731-2929  (福岡市中央区荒戸3丁目番39号)
参加費  無 料

☆ 講師プロフィール☆
1968年生まれ,神奈川県出身。北海道大学法部を卒業後, 1998年に弁護士登録。2000より、いの法律事務所開設。札幌弁護士会所属。2007年より「北海道裁判員制度を考える会」事務局として,裁判員制度廃止に向けた街頭活動や学習会などを行う。また,ブログで司法の問題について広く発信している。(著書より引用)


呼びかけ  市民のための刑事裁判を共に追求する会

共同代表  渡邉富美子 (元弁護士)      筒井 修(Tシャツ訴訟原告)
事務局   福岡市中央区赤坂1-3-12-2F   TEL 092-741-0410
李法律事務所 弁護士 李博盛

36558966

 

投稿:2015年11月12日

裁判員裁判 PTSD訴訟 二審も請求棄却

ますます国民は裁判員制度を拒否する 

弁護士 猪野 亨

下記は「弁護士 猪野亨のブログ」11月03日の記事です。
猪野弁護士のご了解の下、転載しております。

 福島地方裁判所で行われた裁判員裁判で、残虐な遺体の写真をみた女性がPTSDを発症し、国賠訴訟を提起した件で、一審棄却に対する控訴審裁判の判決が10月29日にありました。
控訴棄却、つまり国賠請求は棄却されました。

 原審では憲法違反のみの主張でしたが、控訴審では個々の裁判官、検察官の訴訟行為自体の過失を問題にし、その点の判断が示されました。
その骨子は、遺体写真の提示などについては「裁判員の心理的負担軽減のための工夫が求められる」としながらも「立証に必要な証拠で、検察官・裁判官の権限行使に相当性があった」と判断し、国に落ち度(過失)はなかったとしました。

 検察官や裁判官の訴訟行為に相当性があったというのですが、それならば現在、裁判員裁判で横行している白黒化やイラスト化はどのように説明するのでしょうか。本来であれば相当性はあるのに裁判員が卒倒したり、やりたくないとどんどん辞退してしまうからやむなく、そうしてやっているだけだと説明するのでしょうか。
他方で、高裁判決は、辞退できるから合憲としました。国側の主張をそのまま認めただけでの判決です。
しかし、そもそも遺体の写真について見る必要があると強調していたのが最高裁です。
裁判員に遺体の写真を見せるべき? 当然、見るべきものです 見るべきでないというのであれば制度の廃止こそ筋201508221134307aa
 このようにQ&Aで述べていたにも関わらず、いつの間にか改変されていたのです。
しかも遺体写真を見たくないという理由で「辞退」を認めるようになったのは、このPTSD発症に対する国賠訴訟が提起され、マスコミによって大々的に報じられた後です。
控訴審判決は、明らかに裁判員制度という国策を擁護するための不当判決です。

ところで、この国賠訴訟で問題になった遺体の写真などを見なければならない、これこそ裁判員制度の問題点です。
最初に想定されていたのは、あくまで義務として見るということでした。これは裁判員制度を国民の教育の場として制度設計がなされているからです。
国民の側から遺体の写真を見たいなどと言ったことはありません。裁判員制度が国民からの求めで導入された制度ではないことがよくわかります。
国民に遺体の写真を見てでも耐えよというのが制度の目的だったのですが(だから義務として規程さているのです)、今やそれが全く不可能となり、辞退を広く認めるようになった結果、「辞退」(拒否)率も上昇していくばかりです。遺体の写真を見たくないと言っているのに、裁判所が辞退を認めなければ「合憲」とする根拠が失われてしまいます。
現在、裁判員「辞退」が日々、増加中! 焦る最高裁長官寺田氏の最後のお願い
H277辞退

「辞退」(拒否)率の上昇だけでなく、そればかりか最高裁が毎年行っている意識調査でも平成26年度でも「参加したい・参加してもよい」は過去最低を更新し、逆に「あまり参加したくない・義務でも参加したくない」は過去最高を更新しました。
裁判員意識調査(平成26)

裁判員制度の実態が知られるにつれて、国民が拒否するのは必然でした。
裁判員制度はいよいよ国民に見限られたということでもあります。
国民に受け入れられなかったような裁判員制度は廃止しかありません。

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投稿:2015年11月4日