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2016年10月

10月31日 山形地裁
山形市の山林で、職業不詳の男性=当時(29)=を殺害し財布などを奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた26歳の男性に対し、懲役26年(求刑30年)を言い渡した。
寺沢真由美裁判長は「計画性が高く、強い殺意に基づく執拗で悪質な犯行。財産的被害も軽視できず結果は重大」と指摘。「実行行為の一部で重要な役割を果たしたが、犯行による利得の意図はなかった。法定刑の下限の無期懲役は重すぎる」と述べた。
判決によると、被告は27歳男性=強盗殺人罪などで起訴=、同じく27歳男性=1審懲役25年、控訴=と共謀して2014年10月29日ごろ、同市八森の山林で、被害者を刃物で刺すなどして殺害。遺体を遺棄した上、奪った財布に入っていたパチンコ会員カードを使い、パチンコ店から約53万円相当の景品をだまし取ったとされる。

10月31日 前橋地裁
江戸時代の尊王思想家、高山彦九郎(1747〜93年)ゆかりの高山神社(群馬県太田市本町)に放火したなどとして、非現住建造物等放火や常習累犯窃盗などの罪に問われた59歳の男性に対し、野口佳子裁判長は「安易で短絡的な犯行」として、懲役12年(求刑17年)を言い渡した。

10月28日 長野地裁松本支部
今年2月、同居する兄をナイフで刺して死なせたとして、傷害致死罪に問われた49歳の弟に対し、野沢晃一裁判長は懲役7年(求刑8年)を言い渡した。
判決は「自身の資格試験勉強に集中するため、被害者に家を出るように求めるなど犯行に至る要求や経緯は身勝手で、犯行も悪質」と指摘しつつ、「犯行後、止血を行い、遺族が減軽を求めている」ことなどを考慮したとしている。被告は控訴する方針。
判決では、被告は2月21日夜、兄(当時52歳)と口論になり、用意していたナイフで兄の両太ももを刺し、失血死させた。

10月27日 神戸地裁
昨年12月、硫化水素中毒による自殺を装い夫(33)を殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた33歳の妻に対し、「命を軽視した自己中心的犯行」として懲役6年(求刑8年)を言い渡した。
佐茂剛裁判長は判決理由で、当時は家庭内別居状態だったが、離婚や別居しても自立できる経済力がなく、「夫が死ねば生活を守れる」と考え、殺意を抱いたと指摘。約4カ月前から準備を始めたことや、自殺を装うことを事前に計画したと認定した。
被告は公判で、殺害しようとしたと認める一方、自殺の偽装は否定していた。
判決によると、昨年12月13日未明、自宅で夫の入浴中、浴室隣の脱衣所で、入浴剤とトイレ用洗剤をバケツに入れて硫化水素ガスを発生させ、殺害しようとした。夫は、硫化水素中毒で約20日間の重症になった。

10月27日 広島地裁
昨年9月、女性=当時(46)=の首を絞めて殺害し、遺体を遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた交際相手の53歳男性に対し、懲役18年(求刑20年)を言い渡した。
判決理由で丹羽芳徳裁判長は、「既婚者の被告が、被害者に一緒に暮らすなどと持ち掛けていたが、うそを続けるのが困難になり殺害した」と指摘した上で「強い殺意があり、反省しているとは言い難い」と述べた。
殺人を依頼されたとする被告の主張については、不自然で信用できないとして退けた。

10月28日 山口地裁
アパートの管理人室に押し入り、オーナーの86歳男性の首を絞めて現金や貴金属などを奪って逃げたとして強盗傷害などの罪に問われている34歳男性に対し、「高齢の被害者の首を絞めるなどの行為は粗暴で悪質だ」として懲役7年6か月(懲役9年)の判決を言い渡しました。
大寄淳裁判長は「被告は金の工面に困り以前住んでいたアパートの管理人が貴金属を身につけていたことを思い出し犯行に及んだ」と指摘、「高齢の被害者の上に馬乗りになって首を絞め、身につけていた物などを奪う行為は粗暴で悪質だ」と。

10月27日 水戸地裁
男子中学生を身代金目的で誘拐しようと準備したほか、知人男性から財布を奪ったなどとして、身代金目的拐取予備や強盗致傷などの罪に問われた、いずれも中国籍の26歳と25歳の両被告に対し、小笠原義泰裁判長は懲役4年6月(求刑8年)を言い渡した。
誘拐準備について小笠原裁判長は判決理由で「手錠やロープなどの準備は犯行計画メモの内容に沿っている。実行に至る相当の危険性が認められる」と指摘し、弁護側の「両被告は無罪」という主張を退けた。
判決などによると、2人は昨年8~11月、男子中学生を誘拐して親族から現金3千万円を奪う計画を立て、監禁する場所を下見し、手錠などを用意した。別の事件で、同11月に26歳被告方で中国人男性をロープで縛って、金品を奪おうとしてけがを負わせた。

10月25日 東京地裁
青森県弘前市の不動産会社社長を殺害し、資産約1億8400万円を奪ったとして、強盗殺人や詐欺などの罪に問われた知人の66歳と54歳の両被告に対し、石井俊和裁判長はいずれも求刑通り無期懲役を言い渡した。
66歳被告は強盗殺人の共謀を否定したが、石井裁判長は「66歳被告が発案し、54歳被告を引き入れた」と認定。その上で「金のためには他人の生命さえ顧みない非常に悪質な犯行だ」と非難した。

10月21日 水戸地裁
昨年9月、乳児院から引き取ったばかりの次男=当時(3)=に暴行し死亡させたとして、傷害致死罪に問われた33歳の母親に対し、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
北村和裁判長は、知的障害がある被告の責任能力を認定した上で「身寄りがない中で4人の子育てに追われ、ストレスを募らせていた」と指摘。「援助を求める能力が低い被告の特性から、助けを求めなかった点は非難できない」と述べ、執行猶予が相当とした。
茨城県中央児童相談所は、次男を保育所に入所させる条件で昨年8月末、乳児院から母親に引き渡していたが、保育所への入所が延期されている間に事件が起こった。児相も入所の延期を把握していなかった。
判決によると、母親は昨年9月5日、自宅で靴を左右逆に履き、注意しても聞かない次男にいら立ち、腹などを3回蹴って床などに頭を強打させ死亡させた。

10月21日 名古屋地裁岡崎支部
元派遣社員の女性を殺害したとして、殺人と死体遺棄罪に問われた25歳の元人材派遣会社員に対し、懲役13年(求刑18年)を言い渡した。
近道暁郎裁判長は、体格差のある被害者の上に馬乗りになって首を絞めた犯行は「強い殺意に基づく人が死亡する危険性の高い行為」と指摘。無断欠勤を注意したことに対して、暴言を吐くなどした被害者の言動に怒りを持つのは自然だが、「殺害行為にまで及ぶことには飛躍がある」と述べた。

10月21日 和歌山地裁
長女(39)の首をロープで絞めて殺害したとして殺人罪に問われた67歳の父親に対し、懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
浅見健次郎裁判長は判決理由で「境界性人格障害を患った長女からの暴力に耐え、長期間にわたり通院させるなど治療に尽くしてきた」と指摘。「精神的、肉体的に限界を迎えた末の犯行で、強く非難することはできない」と述べた。

10月19日 さいたま地裁
今年2月、自宅で同居する長女=当時(43)=の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われた68歳の母親に対し、守下実裁判長は「被害者を献身的に養育してきた」などとして、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑6年)を言い渡した。
判決で守下裁判長は、首の骨が折れるまでスカーフで絞め続けた犯行態様を「強い殺意に基づき、酌むべき事情はない」と指摘。統合失調症で自宅療養中だった長女の症状について、犯行直前は重篤なものではなかったとして、「病気に対する偏った見方があり、病状と適切に向き合うことができなかった。殺害に至った経緯は短絡的で非難は免れない」と述べた。
一方で、被告が長年にわたり長女を養育してきた点を考慮。「精神的に追い詰められ、周囲から疾病に対する適切なアドバイスもなかった。長女の将来への不安を一人で抱え込み、殺害を決意した意思決定過程を強く非難することはできない」とした。柳被告が反省の姿勢を見せている点などを踏まえ、「社会との適切な関わりの中で偏った思考を是正する必要がある」と判決理由を述べた。
長女は昨年、統合失調症の診断を受け、入退院を繰り返した。自宅療養中だった事件直前の2月初旬には、食事や薬を拒み、会話が成立しなかったという。公判で被告は「病気が再発したと思った。回復してもまた繰り返すと思い、娘は普通に生きていけないと思ってしまった」と話していた。

10月19日 神戸地裁姫路支部
民家で2月、養父母を殺害したとして、殺人の罪に問われた息子(19)に対し、木山暢郎裁判長は懲役10年以上15年以下(求刑無期懲役)の不定期刑を言い渡した。
木山裁判長は2人を殺害した結果の重大性を指摘する一方、「何の準備もせず稚拙な見通しで犯行に及んだ。計画性はなく人格的な未熟さが目立つ」と未成年である事情を考慮。量刑の理由について「時間はかかるが、専門家の助言などで更正が期待できる」と述べた。

10月19日 宮崎地裁
実母の首を絞めて窒息死させたとして殺人罪に問われた56歳の娘に対し、岡崎忠之裁判長は、懲役3年・保護観察付き執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。

10月18日 岐阜地裁
昨年1月、男性が切り付けられた事件に絡み、殺害を指示したとして殺人未遂の罪に問われた47歳と48歳の男性に対し、山下博司裁判長はそれぞれ懲役5年(求刑8年)を言い渡した。

10月17日 横浜地裁
老人ホーム内で無理心中を図って認知症の妻(当時84歳)を殺害したとして殺人罪に問われた83歳の夫に対し、懲役3年(求刑5年)を言い渡した。

10月17日 新潟地裁
盗み目的で住宅に侵入し女性にけがをさせたとして、住居侵入と強盗致傷の罪に問われた67歳の男性に対し、懲役9年(求刑12年)を言い渡した。

10月13日 大阪地裁
昨年9月、ベトナム国籍の男性3人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた31歳の被告=ベトナム国籍=に対し、村越一浩裁判長は懲役20年(求刑25年)を言い渡した。

10月7日 東京地裁
覚醒剤約20㌔を密輸したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)などの罪に問われた46歳のウガンダ国籍の被告に対し、懲役14年・罰金900万円(求刑18年・罰金900万円)を言い渡した。入江猛裁判長は、持ち込んだ覚醒剤が約66万回分、末端価格で約14億円相当だったと指摘。「国内に流通すれば深刻な害悪が引き起こされる危険性があった」と非難した。
判決によると、被告は昨年11月、コーヒー袋に小分けした覚醒剤をスーツケースに隠し、ウガンダから羽田空港に密輸した。
判決は、土産物としては不自然に量が多いことなどから、「友人から日本へのお土産として受け取った」とする被告の主張を退け、組織的な密輸だったと認めた。

10月6日 神戸地裁姫路支部
認知症の妻=当時(79)=の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた82歳の夫に対し、藤原美弥子裁判長は懲役3年・執行猶予5年(求刑5年)を言い渡した。
判決は「家族は被害者の介護に協力的ではなく、ヘルパーがいない時間帯は、被告がほとんど1人で介護し、腰や足の悪い高齢の被告にとって大きな負担となった」と指摘。
その上で、「先の見えない介護が続く中、肉体的、精神的に疲弊した状態であったことなどを考えれば、殺害を決意した心理状態を大きく非難できない」と述べ、自首したことなども考慮して執行猶予を付けた。

10月4日 東京地裁
肥満症患者向けに処方する向精神薬を、診察せずに大量に転売したとして、麻薬特例法違反などの罪に問われた58歳の元医師に対し、懲役6年6カ月・罰金400万円(求刑9年・罰金500万円)と追徴金6473万円を言い渡した。稗田雅洋裁判長は「大規模に行われた悪質極まりない犯行だ」と述べた。
判決によると、被告は2014〜15年、東京都港区六本木で経営していたクリニックから宅配便で送るなどの方法で、男女4人に向精神薬「サノレックス」計約27万錠を約6500万円で譲り渡した。また、昨年1〜7月には計約110万錠を転売目的で所持したほか、同クリニックのサイトで「ダイエットピル、全国で最安値」と書いた広告を載せるなどした。
判決は、被告が一時期、国内で出荷される同薬の半数近くを入手し、密売していたと指摘。「過去に比較すべき事例がないほど大規模で、依存症による健康被害を起こしかねず、社会に大きな危険をもたらす行為だ」と批判した。

10月4日 名古屋地裁
男性に暴行して重傷を負わせ現金を奪ったとして、強盗致傷の罪に問われブラジル国籍の29歳の男性に対し、懲役3年(求刑10年)を言い渡した。
「暴行の時点で金品を奪う意思があったかは疑問の余地がある」として傷害と窃盗罪の成立にとどまると判断した。
判決理由で堀内満裁判長は「被害者にしつこく付きまとわれた末の突発的な犯行で、殴る前に金品を得ようとした形跡はない」と指摘。捜査段階での被告の自白にも「調書にあいまいな表現があるなど信用性に疑問がある」と述べた。

10月3日 仙台地裁
昨年3月22日ごろ、自宅で兄(57歳)の頭を金属製のハンマーで殴り殺し、同年10月下旬までに、兄と母(87)の遺体を相次いで自宅敷地内に遺棄したとして、殺人と死体遺棄罪に問われた56歳の女性に対し、懲役13年(求刑16年)を言い渡した。
加藤亮裁判長は「無抵抗の兄の頭部を目掛けてハンマーを振り下ろした行為は、突発的とはいえ、死亡させる危険性は高く、悪質だ」と述べた。

10月3日 福岡地裁小倉支部
昨年1月、小学5年の女児が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた47歳の男性に対し、柴田寿宏裁判長は「最悪の性犯罪で刑事責任は重大だが、死刑が相当とは認められない」として、無期懲役(求刑死刑)を言い渡した。
問われた罪は、女児に対する殺人、死体遺棄、強姦致死、わいせつ目的誘拐の四つ。判決はすべての罪が成立すると認めた。一方で殺害に計画性がなく、過去の同種の事件で無期懲役となった事例が多数あり、それらと比べても残虐性や猟奇性は高くないと判断。遺族の被害感情や社会的影響を考慮しても、死刑は相当ではないと結論づけた。
被告は9月の初公判で「殺意はありませんでした」などと述べ、死体遺棄以外の罪を否認。強姦致死ではなく強制わいせつ致死に当たるなどと主張していた。
検察側は、被告が2度にわたり女児の首を圧迫していることから、殺意はあったと指摘した。また別の女児らに対する性犯罪の前科があり、今回はさらに悪質化していると主張。「生命軽視の度合いが大きく、更生は困難」として死刑を求めていた。
起訴状などによると、被告は昨年1月31日、元妻の実家そばで、遊びに来ていた女児に声をかけ、わいせつ目的で誘拐。市内の民家に連れ込んで強姦し、首を絞めて殺害したうえ、遺体をバッグに入れて自宅に帰り、2階押し入れに遺棄したとされる。

10月3日 熊本地裁
強盗致傷などの罪に問われた40歳の男性に対し、溝国禎久裁判長は懲役6年(求刑7年)を言い渡した。

投稿者 : いらないインコ|2016年11月12日