~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
「精神的負担の軽減を言うなら制度の廃止でしょ!」をアップしたところ、東京地裁本庁刑事部の「申合わせ」がインコの元に届きました。
青字の【深読みメッセージ】はインコのコメントです。
裁判員の精神的軽減に関する申合わせについて
平成25年7月19日 東京地裁本庁刑事部
【申合わせ事項】
1公判前整理手続段階における配慮
○ 遺体写真等の刺激の強い証拠については、両当事者の意見を聴取した上で、要証事実は何か、それとの関係でその証拠が真に必要不可欠なものなのか、その証拠の取調べが裁判員に過度の精神的負担を与え、適正な判断ができなくなることがないのか、代替手段の有無等も考慮しつつ採否を慎重に吟味する。
【検察官へのメッセージ】
裁判員が参加する刑事裁判は、真実の発見よりも裁判員に過度の精神的負担を与えないことの方を重視するものになりました。(いや、元々そうだったんですけど、この際、特に強調しておきます)。血の海の写真は赤ワインに変えましょう。肉はパンで代用します。
代替手段の工夫にあなたの出世がかかります。代替手段は写真ではなくイラストやコンピュータ・グラフイックスなどが考えられますが、手直し・脚色・変形など創意工夫でやることです。
もうこれからは現場写真を克明に撮影するなど、警察官に指示する必要はありません。何が必要不可欠かは伝統にとらわれず考える時代になったのです。
2 選任手続以前の配慮
○ 事前質問票は裁判官が遺漏なく目を通し、精神的不安を訴えたり、その兆候が見られたりする裁判員候補者がいた場合には、必要に応じ、追加の事情聴取や個別質問における聴取事項等を検討する。
○ 関係職員との間で裁判員候補者からの問い合わせに対応する際には、その不安を考慮した懇切な対応を心掛けるよう、認識の共有化を徹底する。
【裁判員候補者へのメッセージ】
今まで裁判官がまともに目を通していなかった事前質問票に今後は目を通すことになりました。イヤだというあなたの言葉を裁判官が必ず読むことになったのです。不安を強く強く訴えましょう。彼らは「兆候」にも配慮しなければいけないことになったのですから、その責任は重大なのです。
質問票には、「どうしても出頭しろというなら、改めて連絡をよこせ」と書いて返送しましょう。「追加の事情聴取」も要求しましょう。これで彼らはお手上げです。
職員の回答が納得できない場合は、「それが裁判官の考えなのですね」と厳しく確認を求めましょう。彼らは「認識の共有化を徹底」しているはずですから。
3 選任手続における配慮
○ 取調べの必要性が高いと判断されたために、裁判員に重い精神的負担がかかる遺体の写真等の証拠を取り調べることを決定している場合は、オリエンテーションにおける事案の内容の説明等に付随して、そのような証拠が取り調べられる予定である旨を裁判員候補者に告げ、不安のある裁判員には個別質問を申し出ることができる機会を十分に保障するようにする。
○ 前記の場合において、個別質問では、裁判員候補者の不安の内容を具体的に聴取し、裁判員の精神的負担に対する配慮についても丁寧に説明した上で、参加への支障があるかどうかを確認し、辞退の拒否を検討する。
【裁判官へのメッセージ】
裁判員に重い精神的負担がかかる遺体の写真等の証拠を取り調べる予定であることを裁判員候補者に告げた時に、不安のある候補者が「やりたくない」と言った時にはどうしたらよいか、そんなことは自分で考えなさい。
「精神的負担に対する配慮についても丁寧に説明」って何のことかって、それも自分で考えなさい。
短いやりとりでそんなことは判断できません、ですと? それもあなたの仕事になったのです。
ぶっちゃけ言えば、イヤがる奴はどんどん辞退させろってこと。国賠起こされたらたまんないものね。
えっ? そしたらだれも来んようになったって!?
4 審理、評議における配慮
○ 裁判官は、審理、評議を通じて、裁判員の様子に十分気を配り、些細な変化を感じ取った場合でも適切に声をかけるなどして話を聞き、場合によっては辞任を申し出てもらうよう勧めることも柔軟に検討する。
○ 裁判官は、評議において、刺激の強い証拠によって裁判員の精神が動揺し、証拠に基づく理性的な評議が阻害されていないか、ということに注意する。
【裁判員へのメッセージ】
裁判官は被告人の様子や検察官の様子や弁護人の様子に気を配るほか、あなたたちにも気を配るんですと。「些細な変化を感じ取る」というのですから、あなたのまばたきや、おでこのシワや、もしかしたら心臓の鼓動も感じ取るのかも。そうしたら「適切に声をかける」んだって。その具合次第で辞任もあるっていうのだから、裁判が始まった途端に、イヤだイヤだという雰囲気を身体中で現すことね。翌日出頭しなくてもそれは裁判官の責任だから、安心して行くの止めちゃいましょう。
刑事裁判の証拠なんて、平生の生活で見たこともない感覚で刺激の強い証拠ばかりですよ。どんな裁判でも「精神が動揺」しない裁判員なんていませんからね。評議が辛ければ、サッサと裁判員を辞めてよいということなんですよ。
5 判決宣告後の配慮
○ 判決宣告後であっても、裁判員の精神的負担軽減は裁判官の職責であり、職員任せにせず自ら誠実に対応する。
○ 裁判員が職務を終えるにあたり、裁判官から適切な説示を行い、裁判員の精神的負担の軽減を図る。その際、①結論は裁判員と裁判官の全員で十分な意見交換を行いながら議論を尽くして出したものであり、裁判員が一人で全ての責任を負うものではないこと、②職務を終えた後であっても、体調の不良その他不安や疑問を感じた場合にはいつでも裁判官に相談できること、③メンタルヘルスサポート窓口の案内を改めて伝えることなどが考えられる。また、守秘義務の範囲を誤解して、裁判員経験者が「親しい者にも裁判に関する話ができない」というような苦痛を感じることがないよう、守秘義務の範囲についても改めて適切な説明を行うことが考えられる。
○ 死刑を宣告するような重大な事件では、事件の体験を共有した者同士が連帯感を持ち得るような配慮をすることが重要であり、例えば、事後に裁判官、裁判員が、一堂に会して話をする機会を設けることなども考えられる。また、裁判員等経験者から、経験者同士の交流のため他の裁判員等経験者の連絡先を知りたい旨の要望があった場合には、相手方の了解を前提に連絡先を伝える。
○ 関係職員との間で、心身に不調を感じた裁判員等経験者から連絡があった場合には、まずは丁寧に話を聞いた上で、合議体を構成した裁判官と直接話ができるように手配するよう認識を共有化する。裁判官は、場合によっては裁判員等経験者と面談を行うなどして、裁判員の精神的負担軽減に努める。
【最高裁へのメッセージ】
「判決宣告後も、裁判員の精神的負担軽減に自ら誠実に対応せよ」っていうのは、つまり何をしろというのか?
「裁判員が一人で全ての責任を負うものではない」と言われても、不安が解消しないと言われたらどうするのか?
で、いつから「親しい者」に評議の秘密を漏らしたり、多数決の内訳を説明したりして良いってことになったの? 「親しい者」の定義は、裁判員経験者がそう思えば良いってことでオッケー? 「改めて適切な説明を行う」というのは、これまでの裁判員法に関する最高裁の説明を改めるということなのか。
「事後に一堂に会して話をする機会を設ける」って、誰を呼んで何を話すのか。
ところで、裁判官はカウンセラーの資格・能力をいつから持ったのか? 一人ひとりの裁判員にいつまで責任を負い続けなければいけないのか? 一生面倒をみろってか? それともメンタルヘルスサポートと同じで1人5回まで話を聞けば良いのか?
「良い経験をした者90数%」という最高裁報告とこの神経ピリピリ状態とはどういう関係になるのか。「裁判員経験者のほとんどが良い経験をした」という話がインチキ話であることを公に認めたことになるんじゃないの。
結論。こんな文章を書かなければならないところにまで、とうとう裁判員裁判は来てしまったんだね。往生際が悪いよねぇー。
投稿:2013年8月4日