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ストップウォッチ裁判長のザル事件

1-e1397901276348裁判所という世界にもどこぞの中央官庁の役人のようなやつがいるんだな。

hiyokosyoumen1もり・かけ事件が司法部にも波及しましたか。598906

1-e1397901276348それは早とちりだ。裁判官や書記官が「記録は消えた」とか「記憶に基づいて言う」事件が発生したのだ。

hiyokosyoumen1それを波及・拡大・ウィルス・ひありと言わないで何と言いますか。

1-e1397901276348マネージャーは知ってるだろう。簡単に説明してくれ。

001177 豪快な「やりまわし」のだんじりで知られる岸和田の大阪地裁岸和田支部で昨年10月、裁判員裁判連続逆転で知られる大阪高裁で今年7月に舞台が開かれました。
女性をはねてけがをさせたとして自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)の被告人に禁錮1年4月、執行猶予3年の判決を言い渡した「だんじり支部暴走の段」。 そして、このほどこれを大阪高裁が正した「逆転高裁差戻しの段」です。

20160418inkoおいおい、いくら文楽の大阪でも「段」はないだろう。

001177すみません、私が上方の出なのでつい言葉が滑りまして…。

hiyokowarai1その事件ならボク知ってます、早くそう言ってくださいよ。被害者の家族が公判の場で被告人への質問をしたいと裁判官に申し出た。裁判官が許可すれば被害者の家族も被告人に直接質問ができる。ただし裁判官は検察官の意見を聞くことなど一定の手続きを経ることが必要とされている。
しかし、裁判官はその手続きを怠り検察官に意見を聞くこともしなかった。ところが公判経過を記録する手続調書には、「裁判官が検察官に意見を聞き、検察官は『裁判官の許可が相当だと思う』と意見を述べた」と書かれていた。「調書の記載は事実と異なる」と弁護人がクレームを付けた。そういう話でしょ。

20160418inkoひよこ君だいぶ詳しいようだな。だが、そんなにはやることはない。話はいま始まったところだ。

001177裁判官は毎回の公判経過の要点を調書に記録しなければなりません。稲田防衛相も弁護士をしていました。話は民事ですが、稲田氏の裁判所出頭の事実が調書に書かれていたことで、森友学園の代理人として訴訟活動をやっていたことが明るみに出ました。

hiyokowarai1その話も大阪やないでっか。記録に基づくとか記憶に基づくとかの歴史的迷言が登場したあの話でんな。

001177怪しげな関西弁はやめなさい。この裁判官は「大崎良信」という経験25年超のベテラン判事です。

1-e1397901276348実際に手続調書を作るのは書記官だが、調書は裁判官の指示に基づいて作り、裁判官がチェックする。

001177立会い検察官は副検事だったとか。

1-e1397901276348交通事故事件などでは検事ではなく副検事が立ち会うことが多い。もう一つ言っておく。刑事裁判で被害者が被告人に質問するのは2008年に導入された「被害者参加制度」による。刑事訴訟法第316条の37に規定されている。この制度は刑事裁判の基本構造を壊す危険なものだと私は考えるが、そのことはひとまず措く。

hiyokosyoumen1措いてください。

1-e1397901276348被告人の刑事責任を追及する立場に立って質問するのは本来は検察官だ。そこで刑事訴訟法は、被害者の不適切な質問で審理が混乱するのを避けるために、被害者が被告人に質問したい時は質問事項を明らかにして検察官にそのことを申し出て、検察官はこれに意見を付けて裁判所(裁判官)に通知することを義務づけている。

hiyokosyoumen1弁護人が法廷で「検察官の意見が必要ではないか」と聞いた時、大崎裁判官は「だから検察官は許可相当だって言ってるんだよ」とはねつけたとか。1審判決の後、弁護人は岸和田支部に「この事件の審理では検察官は意見を述べていない」と異議申立書を提出しました。大崎裁判官は裁判の後にも、「検察官から意見が明確に述べられ、裁判官と書記官がそのことを確認しており、申立てには理由がない」という回答書面を出しています。

001177弁護人は、訴訟手続きに違法があると控訴し、これを受けて大阪高裁の福崎伸一郎裁判長は一審書記官の証人調べを実施しました。

hiyokosyoumen1書記官の証言というのは異例のことですよね。

001177出廷した書記官は「裁判官が『意見は』と聞くと、検察官は『相当と思料します』と言ったと記憶している」などと証言し、「ICレコーダーでも録音していたが、昨年11月、パソコンの更新の際に消してしまった」とも証言しました。

hiyokowarai1何とも蕎麦屋の匂いが…。

001177しかし結局、福崎伸一郎裁判長は7月6日、「1審の裁判官があえて事実と異なる意見を書記官に記載をさせた可能性を否定できず、審理の公平性に疑念を抱かせる。一審判決には公判の結論に影響を及ぼす明らかな法令違反がある」と結論付け、「意見を述べた」と記載された裁判官作成の書面は事実ではないと認定、審理を大阪地裁に差し戻す判決を言い渡しました。

1-e1397901276348検察側も「副検事は意見を述べていない」との結論をまとめていたこともあって、高裁は一審の裁判官・書記官の態度を不埒と断じたようだな。

hiyokosyoumen1控訴審の判決後、弁護人の赤堀順一郎弁護士は「司法の根幹を揺るがす行為だ」と述べ、刑事告発も検討する考えを示したと報道されています。

001181この事件には「裁判所もり・かけ事件」的な感じも確かにありますが、それにしてもこの事件が裁判員裁判とどう関係してくるのか、インコさんのことですからわざわざ紹介されたのにはきっと理由があるんでしょう。

1-e1397901276348私は理由や動機のない与太話は1日に1回くらいしかしない。

001178まね0はいはい、ではどうぞご説明を。

1-e1397901276348裁判員制度は、国民に裁判に加わってもらうことによって、国民の司法に対する理解を増進し、裁判の正統性に対する国民の信頼を高めることを目的とするもので、現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価を前提としているというのが当局御用達の説明だ。裁判員法案起草者のひとり池田修裁判官が『解説 裁判員法』でそのことをはっきりと書いている。

1-e1397901276348我が国の司法と裁判は権威と歴史をもって厳粛に行われている。裁判官と一緒に実際の裁判を経験してそのことをよく理解し、よりよい国民に成長してほしいという訳だ。

001178まね0そういうことなのでしょうね、お上としては。

1-e1397901276348丸山眞男はお上に従う傾向が日本人の特質の1つだと言った。

hiyokosyoumen1そうだそれだと、この方針が登場したと。

1-e1397901276348それがどうだ。裁判官と書記官が調書を偽造する司法文化がこの国にはあるということになりそうではないか。これが裁判の正統性か。

hiyokowarai1ほんまや。これで「裁判の正統性に対する国民の信頼を高める」と本気で言えるんでっか。ホンマのことを勉強されたら困るんとちゃうか。

1-e1397901276348きみが無理して関西弁を使うことはない。司法に対する理解を増進すると、その結果は悲惨なことになる可能性がある。

001178まね0そうですね。「現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価」がとんでもないでたらめってことでしょうか。

20160418inkoだが、驚くのはまだ早いぞ、君たちよ。

001177ということは、もっと驚かせてくれはるとでも。

hiyokowarai1驚かせてくださいましな。

1-e1397901276348言葉遣いが変な君たちに告ぐ。「大崎良信」という人は、裁判員裁判の裁判長としてその名を国中にとどろかせた裁判官なのだ。

hiyokowarai1名裁判長なのですか?

1-e1397901276348最高裁の指導に盲従したストップウォッチ裁判長として知られた。755057

001176えっ、えっ、鳥取地裁のあのお方ですか。

1-e1397901276348あれは何年前っ。いやまじめに行くぞ。
裁判員裁判の幕が開いた翌年の2010年7月だった。鳥取地裁の裁判員裁判で、この人は20分の予定で始めた弁護人の弁論が15分経過したところでストップウォッチをかざし始め、これを振り続けたり腕時計をわざわざのぞき込んで見せたりなどのパフォーマンスをし続けた。

001177弁護人の抗議で問題が広がり、鳥取弁護士会は「人の話に真摯に耳を傾けない弁護活動妨害の侮辱行為。刑事裁判の公正を疑わせる重大問題」と、地裁と裁判長自身に正式抗議をしました。

1-e1397901276348大崎裁判官は12年に、ひとり鳥取を離れて大阪高裁の陪席裁判官になり、去年4月から大阪地裁岸和田支部の裁判官になったのだ。事件翌年の転勤を契機に、裁判員裁判には関わらない裁判官人生になったと言ってもよい。

hiyokowarai1「ひとり」という表現はどうなんですか。しかし、「止めるあなた」はいなかったろうなぁ。最高裁もさすがにこれはダメだと思ったでしょうね。

1-e1397901276348この世界では、上の言うことを上手に現場に徹底できない裁判官には×が付く。キーワードは「上手に」だ。最高裁は、「裁判員制度は国民の司法に対する理解を増進し、裁判の正統性に対する国民の信頼を高めることを目的とする」「現在の刑事裁判が基本的にきちんと機能しているという評価を前提とする」という『途方もないウソ話』を、それこそいかにも本当そうに言ってみせる演技ができない者に将来を保障しない。

1-e1397901276348しかし、こういう裁判官がはからずも国民の裁判員裁判に対する理解を増進させ、この国の司法の救いようのない汚さ・悪辣さを国民に教えてしまう訳だ。

hiyokosyoumen1そう言えば、厚労省の村木厚子さんの有罪を立証しようとした前田恒彦という検察官は虚偽公文書作成などで有罪に追い込もうと証拠改ざんを決行しましたね。

001178まね0そう言えば、鹿児島・大崎事件では、第3次再審請求の再審開始決定に検察は即時抗告しました。原口アヤ子さんは90歳だというのに。この事件では判決確定までと再審段階を通じて総勢何十人という裁判官が関係しています。

1-e1397901276348そう。それが、この国の裁判の正統性で、この国の刑事裁判がきちんと機能しているという説明の内実なのだよ。

001177hiyokowarai1裁判員制度が破滅するというのも当然の帰結ということですね。

 

投稿:2017年7月9日