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シャラップ大使退任―インコの送辞

シャラップ大使が9月20日退任した。インコは、以前このことに触れた(「日本は刑事司法の先進国だ www 笑うな!シャラップ」)が、多くのマスコミがこの事件を報道しなかったこともあり、この機会に上田秀明人権人道担当大使に心からの送別の言葉を贈ります。

  各国でどのように刑事基本権が守られているかをチェックする国連拷問禁止委員会が、今年5月、日本の実情に関する審査をした。テーマは、被疑者を捜査当局の管理下に拘束する代用監獄をやめないのか、自白を強要していないか、独房監禁はやめないのか、死刑を続けるのかなどなど。要するにこれだけ日本の刑事司法には問題があると国際社会から指摘され続けていること自体が恥ずかしいこと(今回の審査は2007年に続き第2回目で、勧告は前回からさらに厳しい内容になっている。)。

  同委員会には、上田大使が出席し、布川事件のえん罪被害者櫻井昌司さんのほか、日本の死刑廃止運動の関係者なども参加(インコの友人もオブザーバー参加していたよ)。上田大使がシャラップを言うまでの状況はユーチューブがリアルに報道しているとおりだが、大方の関心は大使のシャラップ発言の異様さに集中した。008168

  ウィキペディアは、大使の英語力のいい加減さを詳しく解説している。日本は中世の遺制を残しているとのモーリシャスの委員の指摘に、「我々は中年(middle age)ではない」と答えた(the Middle Agesと言うべきだった)。「世界で最も進んだ国だ」と言うのだったら、one of the most advansed countriesと言わなきゃならないのにmost advansed countriyと単数形で言った。「最も進んだ国」を笑った会場に、Don’t laugh! Why you are laughing と肯定形で言い、 Why are you laughing? とは言わなかった。「それがわれわれの誇りだ」をThat is our proudとも言った(proudは形容詞、言うなら名詞のpride)。つまり散々だったという訳(ウィキの「上田秀明」の経歴解説の3分の2はシャラップ発言。同氏の経歴はここに集約されるみたい。)。

  東大卒でハーバード大学院卒。各国の日本大使館に勤務し、在米大使館の参事官や公使のほか、外務省の研修所長も務めた超エリートの英語力がこの程度だと言われると、確かに衝撃である。小学校から英語教育を受けていれば済む話ではなさそうだ。ウィキによると「英語はあまり得意でない」とのこと。ともかく、公式記録に残る可能性があることぐらいわからなかったはずがない。何よりも目の前で回るカメラを通して確実に全世界に伝わることを理解していながら、よくこれだけの発言をしたものよと思う。英語が得意でなくてもハーバード大学院を卒業できるらしいので、小学生には英語教育を受けさせるよりは品性と国語能力を磨かせる方が将来は国際人として通用するだろう。

  だが、彼はShut up! Shut up! という言葉はちゃんと使えた。彼には英語力がなかったとは言えない。インコなんにはとても使えない下卑た英語にずいぶん堪能だった(見栄張りました。インコはBBC英語どころか英語自体できません。ちなみに海外でケンカするときは母国語で、が基本。)。

  ともかく発言のおかしさで話を終わりにしてはいけないのです。大事なのは、「日本は刑事司法の分野で、世界でもっとも進んだ国のひとつだ」と日本政府の代表が国際社会に傲然と言い放ったこと。みんなが問題にしなければいけないのはその政府の態度だということ。逆転

  「時期がまずいよ、時期が!」。新しい時代の捜査手法と称して、無差別盗聴や他人を売り渡すぬけがけシステムなど、空恐ろしい捜査手法を登場させようとしている時なのに(寄稿「新捜査手法」問題を切る参照。)。安倍首相や谷垣法相の渋面が目に浮かぶ。

  裁判員制度は根本的な刑事人権侵害制度だという声が発足以前から上がっていた。そこに被害者の訴訟参加があり、そしていま新捜査手法の登場ですからね。中世の遺制どころか、中世への先祖返りと言ってもよいような状況が私たちの眼前で展開している。

  上田人権人道担当大使はおのれの言葉と態度と英語知識の全力を結集して、日本の刑事司法の極悪性を世界に知らせてくれた。

 「何と言われようと日本はこの方針で突っ走るぜ、誰にも文句は言わせねぇ、おめえらなんか黙ってろってんだ」と言ってのけたのだ。これに日本政府は慌てた。外務省は大使を退任させ、外務省参与も辞職させた。しかしそれは、日本はゆめゆめそんなこと考えておりませんというメッセージではない。その証拠に、外務省は「今回の退任・辞職は大使のシャラップ発言とは関係ない」とわざわざ論及した。「おめぇなぁ、言い方がなってねえんだよ。場所と状況をわきまえろって前から言ってただろ。APEC大阪会議の水増し請求で処分された時からお前は前科者なんだよ」っていう程度の話。

  上田前大使は今ごろきっと「麻生のナチス発言の方がずっと問題だろうが」なんて漏らしているに違いない。インコに言わせりゃ、アベノ目くそ鼻くそ内閣の下にいる人たちってみんなこのたぐいなのかなぁなんて思っちゃうよ。

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投稿:2013年9月23日