~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
福島地裁郡山支部で強盗殺人事件の裁判員を務めた後、「急性ストレス障害(ASD)」と診断されたAさんが慰謝料などを求めた国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が9月24日、福島地裁で行われました。
この第1回口頭弁論について、私、インコのマネージャーが傍聴・記者会見参加をしましたので、全4回(その1=口頭弁論傍聴記、その2=裁判の争点、その3=原告の意見陳述、その4=記者会見)にわたって報告させていただきます。
今日はその1 口頭弁論傍聴記です。
13時30分、福島地方裁判所に到着。傍聴整理券の配付場所である庁舎北駐車場には「裁判所」の腕章をつけた職員が6~7人たむろ。「整理券配付は14時10分からですので、10分前にここへ来ていただいたら良いですから」と言われる。ロビーには傍聴券を求める人が2いるだけ。もしかすると整理券発行するまでもなく傍聴できるかも…との期待もむなしく、14時前になるとどんどん人が集まりだす。結局、傍聴席48席のうちマスコミ席が16席、残り32席を求めて61人が並ぶ。その確率約2分の1。整理券番号は33番。
そしてパソコンによる抽選。番号が読み上げられていく。…32、34…。がっくり。誰か傍聴券売ってくれないかなとか考えていたら、「こんなに当たっちゃったの。3枚でいいのに」と騒いでいるグループがいる。えっと思って見ると傍聴券を4枚手にした男性と目が合う。よほど物欲しそうな顔をしていたのか、向こうから「どうぞ」と言われてありがたくいただく。
*写真は傍聴整理券を求めて集まった人たち
14時25分、「原告と原告代理人が入庁、写真撮影」との話に福島地裁正門前へ。
報道陣に混じって待っていると、一台の車が正門へ入りかける。響きわたるシャッター音。しかし、この日、車は正門から入れず、北門へ。徒歩で入り直すということでしばし待つ。ちなみに注目される裁判では報道陣が待っているところを入庁する原告団とかが撮影されますが、あれは一種のやらせですね。某事件の被害者遺族の方で何度でも入庁撮影に応じて、15分以上撮影時間が取られているというケースもありましたが…。
今回の原告団は、要請があったからとりあえずはやりますが…という感じで、そそくさと入庁された。
傍聴席でパソコンを開いていたら、つつっと近づいてきた官吏が耳元で囁く「パソコンの使用はご遠慮願えますか」。喧嘩しても仕方がないので静かにシャットダウン。全員への注意事項として「一旦退廷されますと、再入廷はマスコミの方を含めて認めません」、「裁判官入廷後、2分間の写真撮影があります。その時に限り退廷された方は再入廷を認めます」。
裁判官が入廷、一斉にシャッターが切られる。「1分前」「30秒前」「15秒前」「10秒前」ここからカウントダウン…が始まることもなく、「撮影を終了してください」
「平成25年わ第117号 損害賠償請求事件」と事件名の読み上げだけで、原告、被告の名前等の読み上げはなし。ここにも裁判所の緊張ぶりというか配慮してますよと言うのが窺えます。
ここで裁判官と被告代理人のお名前をお知らせしましょう。
裁判長:潮見直之 右陪席:松長一太 左陪席:島田壮一郎
この3人は民事の裁判官ですから、刑事裁判、特に裁判員裁判をどのように見ているのか気になるところです。
そして被告指定代理人。
法務省大臣官房民事訟務課。
民事訟務対策官 乙部竜夫
課付 福澤純治
課付 宮川広臣
法務専門官 上遠野裕之
第一係長 高橋秀典
法務事務官 庄子光次郎
法務事務官 塚原章裕
仙台法務局訟務部
部付 村橋康世
上席訟務官 新田公夫
上席訟務官 若月久幸
訟務官 斎藤広全
福島地方法務局訟務部門
上席訟務官 加藤恵盛
上席訟務官 東海林秀一
訟務官 斎藤悟志
訟務官 稲川廷康
答弁書に肩書き付きでずらっと15人も被告代理人が並ぶところに国側の並々ならぬ決意というか裁判所への圧力を感じます。今日法廷に来ていたのは7人。全員が黒っぽいスーツ姿でノーネクタイ、ワイシャツの第一ボタンを開けたいわゆるクールビズスタイル。それにしてもその白いレギュラーカラータイプのいわゆる正統派シャツはネクタイを絞めるからこそ様になるのであって、ノーネクタイの時にはもう少しおしゃれなドレスシャツとか…。でも、この裁判は裁判員がいないのでダサダサスタイルでも良いのですね。
原告代理人の織田弁護士が「傍聴人もいることだから」と訴訟内容を要約して陳述することを希望、裁判官から意向を聞かれた被告代理人代表(?)は「しかるべく」と答えたが、次に声が聞けたのは日程確認の時でしたね。ところで後の人たち、特に後ろの席に座った4人は何のために来ていたのでしょう? 裁判官に対する威圧?
原告Aさんの陳述は、「裁判員になって心身に大きな傷を負い…」「平穏な日々を奪われ、仕事も失い…」「よくわからないまま死刑判決に関与してしまったという罪の意識…」「このような苦しみを味わうのは私を最後にしてほしい…」。切々と訴えられる声は切れ途切れになり、読み上げることができない部分もあったようで… 聞いているこちらも身につまされる思いで涙が出そうになりました。向かって左に座っている裁判官も少し辛そうな表情を浮かべたような気がしました(右側と裁判長の顔は見えずです)。
なお、Aさんの意見陳述は全文を28日にアップする予定です。
福島地裁に行ったとき、何か感じた違和感。それは、どこに地裁に行ってもある裁判員制度の横断幕も窓に貼り付けてあるスローガンも何一つないからでした。まさか今日の裁判のために外した?
庁舎内では「裁判所」と書いた腕章をまいた職員がわらわらと動き、一大イベントの様相です。傍聴整理券を配付し抽選終了まで昼食がお預けだった人もいたようです。裁判終了後、原告団が近くの弁護士会館へ徒歩で移動するときもトランシーバーでどこかへ報告、職員が敷地外まで付き添って来ます。記者会見終了後、庁舎の駐車場へ戻ったときにも「お疲れ様でした」との声かけで数名がお出迎え。最後は内線電話で「いま、原告の方も代理人の方も車で退庁されました。マスコミのぶら下がりはありませんでした(いえ、それまでぶら下がっていたんですけどね)」と報告。職員にすれば「大変な一日」だったのでしょうか。
被告の国は仙台地裁で受けてくれれば良いものをとか思っていたのかもしれません。
*次回口頭弁論は12月10日15時(午後3時)からです。多くの方に傍聴していただきたいと思います。
投稿:2013年9月26日