~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
東京・板橋区の主婦が昨年11月に自宅で刺殺された事件の裁判員裁判。11月29日、東京地裁は強盗殺人罪に問われた被告人の男性(23歳)に求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
公判廷で被告人は「盗むつもりで侵入したが、殺すつもりはなかった」と殺意を否認。しかし、判決は、被害者の傷の深さなどから確定的な殺意(未必でない殺意)があったと判断した。被告人は、主婦を脅してキャッシュカードの暗証番号を聞き出した上、持っていたナイフで殺害、奪ったキャッシュカードで、口座から26万円ほどを引き出したという。
判決はまた、被告人が昨年9月から11月にかけて、区内でほかにも強盗傷害や空き巣などの犯行におよんでいると認定。「空き巣を繰り返し、強盗殺人におよんだ。殺害に計画性はないが、動機に酌むべき事情はない」と。
この裁判は、裁判員の心理的な負担を減らすためとして、裁判長が裁判員の選任手続きの段階で、遺体などの写真が証拠に出てくることを候補者たちに説明したことで注目された。
判決後の共同記者会見では、裁判員を務めた女性会社員は、「急性ストレス障害を発症した裁判員経験者がいることから辞退も考えた」と明かした上、「裁判官から『写真は最小限に限り、見せ方も工夫している』と言われ、安心して臨むことができた」と話した(『読売新聞』11月30日)。
つまりこの裁判は、福島地裁郡山支部の外傷性ストレス障害国賠提訴にビックリ仰天、慌てふためいた最高裁が、東京地裁の裁判官たちに裁判員の精神的負担を軽減する方策を考えさせ、彼らが編み出した負担軽減策を全国に知らせ、実際の裁判員裁判をその方式でやらせてみた東京での第1回の法廷ということね。
それにしても何から何までうさんくさい話やねぇ~。
その1。大善裁判長の唯々諾々ぶりはいったい何? ここには裁判の独立などかけらもない。東京地裁の裁判官には、この裁判は自らの誇りをかけて取りしきる自分たちの裁判だという意識が爪の先ほどもないということがよくわかる。もっともそんな誇りがあるなら、素人が同席して同じ仕事をすると言われた時点、裁判員裁判が導入される前に反対しているでしょうけどね。
その2。共同記者会見でマスコミはどれだけ真実を追求したのか。何人が会見に出て、何人がしゃべったのかもはっきりしない。ストレス国賠であれほどあわてた最高裁の緊急対応について、現場にどういう変化が生まれているかを報道するのはマスコミの義務だろう。記者会見に応じた裁判員や補充裁判員がほとんどいなかったとしたら、そのことに関心を寄せ報道するのもあなたたちの責任ではないか。これじゃあインコのツイッターにはマスコミじゃなくて「マスゴミ」だとよく入ってくるけど、そうと言われても反論できないよね。
その3。そしてこの裁判員だ。一旦は辞退も考えたのにやることにしたのは、「裁判官から『写真は最小限に限り、見せ方も工夫している』と言われたから安心して」と話したという。「最小限」とは、また「見せ方を工夫する」とはどういうことか。どうしてそれで安心できたのか。普通の市民はその程度の言葉ではとても安心などできない。この程度の説明で安心できる人というのは、もともとそのような場面の写真を見てみたかったというような特殊なお方なのではなかろうか。
その4。最大の問題はこんな手直しを画策した裁判は本当の刑事裁判かということ。20枚の写真を5枚に絞ったのなら、捨てた15枚の写真はいったい何だったのか。警察は税金をムダにして無用の写真をたくさん撮ったことになるの? カラー写真をモノクロにして工夫したとすれば、わざわざ金をかけて裁判員の印象を薄める努力をするというのはどういうことかという問題が出てくるはず。これで良いわけがない。
結局、刑事裁判を「判断者が衝撃をあまり受けず負担をさほど感じないで」関わるものにし、刑事判決を「判断者が衝撃をあまり受けず負担をさほど感じないで」言い渡すものにするのは刑事裁判の自滅以外のなにものでもない。
投稿:2013年12月3日