~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
京都・長岡京の由緒あるお菓子屋さん「小倉山荘」のおかきの詰め合わせをいただきました。中には『小倉百人一首全訳』のセンスよろしい小冊子が。美味しいおかきを食べながらうつらうつらと眺めせし間に、育ちの良いインコの妄想はどんどんふくらみまして、はい…。
春すぎて 夏来にけらし 秋も過ぎ
公判前は 年越しの山
公判前整理がどんどん長引いたでしょ。春も過ぎたし白い衣を干すという天の香具山の夏も過ぎたし、ほら秋風も吹き荒れちゃったし。いつのまにかもう年の瀬よ。そうしたら判事席の上は記録の山ってわけ。あぁ来年はいったいどうなっちゃうの。【持統溜息天皇】
わが制度 鳴り物いりで はじめたが
世に迷惑と 人は言うなり
わたしたち最高裁、法務省、日弁連は、制度を始めるにあたりですな、マスコミを使って都大路で大々的に宣伝をしました。国民(くにたみ)はこっちの方向に進めとね、しかと言いましたよ。それなのにだ。世間の人はこの制度をウジ虫のように嫌って、迷惑だ迷惑だと言うのです。何ていうことだ。【喜撰破れかぶれ法師】
顔の色は 変わりにけりな 発言に
わが身間違う 高い法壇
「それが反省している態度ですか」と裁判員が被告人に大声を上げたので、さすがの私も顔色を変えましたよ。高い法壇から人を見下ろすと自分が偉くなったように勘違いするんですね。偉いのは私だけでいいんです。あんたそんな顔してると私のように容色だってそりゃ衰えるよ。【おのおの困っち】
これやこの やるもやらぬも 裁判員
知るも知らぬも 民はいやがる
法曹三者の間では、やりはじめたからにはやり続けるんだと言う人たちもいるし、失敗を素直に認めてやめるべきだと言う人たちもいます。国民はどうなんだですって? そりゃ制度をよく知っている人もよく知らない人も、みんなイヤだって言ってますよ。出逢えば堰を切ったようにイヤだイヤだの声がほとばしる場面を最近世間では「逢坂の堰」って言うんですって。【空蝉丸】
民がため 評議の場では リードする
わが法廷は 分刻みにて
裁判員の苦労を思いやって評議の場ではがんがんリードしてさっさと終わらせます。法廷だって裁判員を疲れさせないように分刻みのスケジュールで休憩時間をどんどん入れます。処罰とサービスが入り交じるのは陽気がおかしい春の日のようで落ち着かないだって? そんなことありません、ほら春にも「どか雪」ってあるじゃないですか。【光孝無理天皇】
たち往生 判決前に みないない
やれるか聞けば いやと帰りぬ
判決直前で補充も使いきり裁判員も6人を割りました。残った裁判員に選任をやり直すので待ってくれないかと聞いたなら、残った人たちもみんなイヤだなんて言ってさっさと帰ってしまいました。
あぁもう私、イナバウアー。【中納言のけぞり行平】
千早来ぬ 神代もいやと 裁判は
来てくれないに みな困るとは
千早ちゃんも来てくれないし、神代ちゃんもそっぽを向いちゃった。誰もいなくなって裁判所はからっから。ありはら判事はこんなはずじゃなかった、ホントに誰も来てくれないなら首くくるって言ってます。【在原困惑朝臣】
詫びぬれば 今また同じ 難儀する
身を尽くしても 潰さんと思う
こんなことを始めてすみませんとお詫びしても、制度を続ければ同じことの繰り返し。市民が難儀するだけのこの制度、何は何でもこの身を尽くし潰してしまいたいと思います。【元不良親王】
∞
罰則で 脅して来させ やらせおき
むべ動員を 参加といふらむ
つめたい風が山から吹き下ろすように人を脅して裁判員をやらせる人たちのことだ。いくら国民を動員しても市民参加と言いつくろうだろうなぁ。そうなると秋の草木がしおれてしまうように、みんな心の病気になるんだよ。【文屋のしおたれ康秀】
∞
してみれば やはり止めたい この制度
わが身一つの 難儀ならねど
はじまってしまいました。でもこうして見てみますとさまざまなことが思いやられ、おかしな制度はやはりやめなければと深く思います。刑事部の職員だけが苦しんでいるのではなく、この苦労は裁判所のすべての人びとを襲っているものですけれど。【心労大井千里】
呼び出しに つれなく応えし 断りの
声聞くほどに 憂きものはなし
有りったけの甘い言葉ともみ手で呼び出してもつれない断りの声ばかり。担当書記官の私はつらく悲しい思いでこの仕事をしているので心底憂鬱になり、泣きたくなります。【壬生書記官忠岑】
久方の 光のどけき 春の日に
地獄に落とす 赤紙ぞ来る
日の光がのどかにさしている春の日に、突然奈落の底へ落ちた気分にさせるような呼び出し状が届いた。これはどういうことなのだろう、とても落ち着いた気持ちになどなれない。【気の向かぬ友則】
投稿:2014年2月3日