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裁判員は労災申請を!

                                                      ラブバードのコザクラインコ

 『裁判員ストレス障害国賠訴訟詳細情報』の第1回と第2回の口頭弁論編を読みました。Aさんの悔しさと怒りに私も震えました。国は、裁判員をやったために心の病に冒され苦しんでいると訴えるAさんの主張に対し「知らない」と言っているとか。

 最高裁は裁判員体験者に対して医療相談のサポート体制を取っているはずです。ということは、裁判員を経験すると無視できない確率で精神的打撃を受けることが予測されているということでしょう。
 それならば、「裁判員の経験で精神的損害を受けた」と言われたら、まずは「予想はしていました」と受けとめて、「大変な結果を引き起させて申し訳ありませんでした」と答えるのが当たり前ではないですか。それが私たちの「市民感覚」です。

 〈裁判に市民感覚を導入する〉といううたい文句のいかがわしさを感じます。いかがわしさと言えば、24時間電話相談を受け付け、医者に診てもらうのも無料(ただし5回まで)というこのサポート体制もひどく変です。ないよりはましというか、アリバイ的に作られたシステムだと思います。

 裁判所ごとに専門の嘱託医を用意して「体制は万全です」などと宣伝すれば、それこそ裁判員をやるのは危険ですと言いふらすようなもので、準備万端の態勢整備もあまりやりたくない。ここは「万一に備えておりますが、あくまでも万一のことで、そうそうある話ではないと考えています」といったような、なんとも中途半端というかやる気があるんだかないんだかという仕組みです。
 電話相談だって医師が受け付けるんじゃないらしいし、医師に診てもらうには東京か大阪へ交通費宿泊費自腹で出向かなけりゃいけないとか。札幌から東京へ、鹿児島から大阪へ、往復5万円の受診旅行ですか。

 市民感覚大離れのこういうお役人神経と、実際に裁判員をやって精神的打撃を受けたと訴えられたら「知らない」と言い募る神経は、きっと根っこは同じなんだと思います。

 国側は「裁判員にならないことは幅広く認められている」というような主張までしているとのこと。これには本当に驚きます。「仕事が忙しいという理由では辞退は認められない」とか「身内でもお父さんやお母さんが亡くなった時以外の葬式はだめ」なんて聞かされてきた私としては、いつからそんな緩い話になったのと思ってしまいます。

 でも本当に緩くなったのではないのでしょうね。ほとんどの市民が嫌がっているという動かしようのない現実を前にして、こういう言い方しかできなくなってきたという面がひとつ。もうひとつは返す刀で「幅広く辞退を認めてやってるのに裁判員を引き受けた以上は文句を言わせないぞ」という理屈に結びつけたいということでしょうね。

 そこで私の提案です。これから裁判員候補者として呼び出される可能性のあるみなさんには「精神的打撃を受けたくないし、受けてもまともな対応をしてくれないから出頭しない」と回答することを提案します。万一のことがあってもこの国は「知らない」と言いますし、出て行ってしまったら「辞退してもいいと言ったのに出頭したあなたの責任です」と言うのですから。

 それから、これまで正直に義務だと思い込んで(思い込まされて)出頭し、結果裁判員に選ばれて精神的打撃を受け、黙って耐えている全国の元裁判員のみなさんに提案します。裁判員が非常勤公務員であることは政府の見解で、最高裁も判決で認めているらしいです。みなさんは非常勤公務員の勤務で精神的打撃を受けられたのですから、労災申請をしてよいと思います。

 私が調べたところ、公務のパートにも職種や勤務条件で入れる制度に差があったり、国家公務員と地方公務員とでいろいろ差があったりするようですが、それこそ生活がかかっているのですから、裁判員という公務員体験で受けたダメージだけは自分持ちなんていうことは許されていいわけがありません。黙って泣き寝入りをする必要は少しもありません。
 裁判所に労災認定を求め、認められなければ国を相手取って裁判を起こす。裁判員は労災保障の埒外だなんていう判決がもし出たら、裁判員になる人がまた激減するでしょう。世に警鐘を鳴らすためにもぜひ労災申請をして下さい。

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投稿:2014年3月11日