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特報! 最高裁・法務省が制度廃止検討を表明

                                      『毎日朝から深読み新聞』14年4月1日号外  

昨3月31日、最高裁と法務省が共同の記者会見を行い、裁判員制度を廃止する方向で検討を開始すると緊急発表した。制度の構築に関わった元裁判官が、国民動員の目的で導入を強行したと謀略の真相を暴露し、来週発行の週刊誌に詳報が掲載されることが判明したことから、この動きが一挙に現実化した。最高裁事務総長と検事総長は苦渋と緊張の面持ちで記者会見に臨んだ。竹﨑と寺田

(右写真は「戦後 処理は君に任せた」 と敗走する竹﨑前長官を睨みつける寺田新長官)

共同記者会見から外された日弁連は、この日執務を開始したばかりの新会長が独自に記者会見を行い、「市民参加の道が閉ざされるのはまことに残念」と涙ぐんだ。日弁連が旗を振ったのでこの制度が始まったのではとの記者の質問に、マスコミも先導したのではと気色ばんで言い返す場面(左写真)もあった。yjimage

 最高裁や法務省などが「あらたな司法制度」と鳴り物入りで発表して全国民を驚かせた裁判員制度が実施5年で廃止の方向に急展開することになった。記者会見の模様は「日本の司法の信頼性に根底的疑問」「この国に司法はあるのか」など厳しいトーンで世界に発信され、BBC・ABCなど欧米のテレビメディアのほか、ウォールストリートジャーナル・ニューヨークタイムス・ボストングローブ・人民日報・東亜日報など各国各紙がいっせいに大きく報道している。

 市民を3~4日裁判所の法壇に座らせて裁判所の空気に浸し、強い刺激を与えるだけで、国を守る気概を持つ人間に変わる仕組みとして5年前に登場したこの制度。この人心改造方法は権力統制色の強い戦前の陪審制を焼き直ししただけのものとの評価が絶えず、言われるような効果が果たしてあるのかという指摘も続いていた。また、この間これは単なる設計ミスではなく、確信的で意図的な国民誘導政策として作られたという疑いが急速に広まっていた。元裁判官は「私は何のためにこの制度の創設に関わったのかわからなくなった。最高裁・法務省は私の告白を制度の致命傷と判断したのだろう。裁判所に絶望している全国の裁判官から共感と連帯のメールが入っている」と語った。

 政府の司法制度改革審議会の答申を受け2001年に発足した司法制度改革推進本部の裁判員制度・刑事検討会。井上正仁東大教授ユニットリーダーら11人のメンバーは口をつぐんだままである。井上教授は「ずさんな発表との批判は甘んじて受けるが、政策そのものは誤りではない、一旦廃止になっても再び信を問う機会が来るだろう」と語った。しかし、日本刑法学会は井上ユニットリーダーの資格審査の検討に入ると表明、検討会メンバーの四宮啓弁護士や大出良知九州大学教授はこの間周囲に連絡を絶っている。遺体発見の報も一部にあり、情報は混乱している。(肩書きはすべて当時)

 昨夜、東京の三宅坂と霞が関で「JAPANESE ONLY」の横断幕を掲げたデモが目撃され、また皇居前では制度の全面広告を芝生に広げて割腹自殺を図り保護される事件が発生した。当局は発生場所との関係で今回の制度廃止の動きとの関連を調べている。菅官房長官はこの制度はユニットメンバー全員の了解がなくても廃止できると述べた。

 同じ昨日、定年まで4か月を残しながら退官した竹崎博允最高裁長官は、数日前の退官記者会見の中では「比較的順調」と言っていたが、「本当のことを言うと、制度発足当時の鳩山法務大臣と同様、自分もこの制度に疑問を持っていたし、そのことを自分は隠してもいなかった」と語った。しかし、制度の廃止と前倒し退官の関係を記者団に問われ、「健康が比較的不順で…」と言葉を濁した。一方、小田中聰樹東北大学名誉教授は「朗報だ。私たちはこの国の司法の黎明のときを迎えている」と喜びを隠さない。また、裁判員裁判に関与してきた大阪地裁のある裁判長(53歳)は「ほっとした、悪夢の5年間がこれで終わる。私は落ち着いて仕事をする普通の裁判官に早く戻りたい」と述べた。

 裁判員制度の違憲性や不合理についてはこれまで市民や法曹各界から強く指摘されていたが、最高裁・法務省は一貫して制度の合憲性や合理性を強弁してきた。だがこの間裁判員の出頭者は年々大きく減り、国は元裁判員から国家賠償訴訟を提起されたり、裁判員たち全員が裁判を放棄する事件などが発生して、制度の存続はその面からも危ぶまれていた。また、制度推進派の聞き取り調査の結果でも、参加に意欲的な市民の多くはもともとこの国を守るために自らの命を投げ出してもよいと考えていた人たちであることがわかり、制度の存在意義自体なくなっていると指摘する声もあった。

 被疑者や被告人の人権保障の劣悪さなど日本の刑事人権保障の問題点については、かねてから国連などの国際機関で厳しく指摘されているが、今回の発表はその傾向をいっそう強めるものと見られる。裁判員制度やその報道では日弁連やマスコミが暴走したことも歴史に残ろう。

 裁判員制度を廃止するだけで幕を引くことは許されない。なぜこのような反国民的な制度が一時的にもせよ導入されたのか、強い疑問が各方面から投げかけられている。ある外国人研究者は「裁判員制度の問題にとどまらず、日本のあらゆる司法問題に対する信頼にマイナスの影響が出るだろう」と述べている。わが国司法の国際的な信用失墜のダメージを取り戻すのは容易ではない。私たちマスコミも深く反省し、今回の問題を深刻に受けとめる必要がある。0064489

 

 

 

投稿:2014年4月1日