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「参上」から「惨状」へ-インコ、最高裁データを読む

E6A19CE383BBE5868DE9968BE799BAE383BBE5B79DE5B48EE383BBE8A381E588A4E593A1030裁判員制度の実施を翌年に控えた08年3月、法務省は裁判員制度の広報のために、「裁判員 参上!」の看板を霞が関に掲げました。しかし、鳩山法相自身が国会答弁で「センスが悪い」とこき下ろしたことから、3年間使う予定の看板はこれであえなく直ちに撤去。世論調査で制度への参加意欲が伸びていないと指摘されていた最中の出来事でした。

 実は、インコ、鳩山さんにはものすごく思い入れがあるんです。鳩山さんは制度を宣伝する8ad83221ためにサイバンインコに化けたんです。インコたちは「鳩がインコを騙って悪法を宣伝するとは何事か」と怒りました。インコのお山から制度廃止に尽力するよう派遣されてきたのが「裁判員制度はいらないインコ」こと私、インコなのです。だから制度が廃止されるまでの期間限定派遣インコ。で、鳩山さんは法相を辞めた後、「実は私も裁判員制度には反対だった」なんて言い出したのす。だから、このとき看板を問題にしただけじゃなく、制度がダメだって言いたかったのかも知れません。

 閑話休題。それから6年が経過。今や言葉で表現できないほど「裁判員 惨状!」です。
最高裁による最高裁のための最高裁の裁判員制度。最高裁自身が調べたデータでご説明しましょう。驚愕の事実とはまさにこのこと。驚くなかれ!

■ 裁判員制度の実施状況を2009年と2014年の5年間で比較すると次のとおりになる。
□ 審理期間は2倍近くに、実審理期間が2.5倍以上に長くなった。
□ 公判前整理手続の期間が3倍近く長くなった。
□ 開廷回数が1.5倍近くに増えた。
□ 取り調べた証人の数が2倍以上に増えた。
□ 評議時間が2倍近く長くなった。
□ 辞退が認められた裁判員経験者の比率が53.1%から66.1%に急騰した。
-「裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成26年3月末・速報)」による。

 (^≧◇≦)クー 。5年の間にこの激変! ズダボロとはこのこと。審理期間は実質2倍半を超えちゃった。公判の準備をする公判前整理手続きの期間は3倍に手が届きそう。いや、インコとしては、評議時間が2倍になってもまだまだ短いと思いますよ。
でもね、制度導入前は起訴から判決までが短くなるとか、「市民に負担をかけない」とかなんて言っていたんですよ。結局、被告人をかるーい気分で刑務所や絞首台に送り込むなんて所詮できることじゃなかった。で、制度はますます市民から敬遠される。負のスパイラル構造。
そして決定的なのは辞退率の急騰。もっとも「辞退率」っていうのは、「やらせないでくれと事前に申し立てて認められた候補者」の全呼び出し対象者に占める割合のこと。通知や呼び出しを無視・放置する人はもちろん含まない。選任期日に出頭した上でやらせないでくれと言って認められた人も含まない。つまり、実際の「拒絶趨勢」はこの数字よりずっと高いのだ。さぁ、どうやってこれを「中長期に」改善するって言うんだい、寺田クン。

 「裁判員制度が実施されていることを知っているか」と聞かれた(ここからは「平成26年1月調査 裁判員制度の運用に関する意識調査」による)。
   「知っている」98.8%

 ( ̄◇ ̄;)!? そりゃ知ってるよ、知らされたさ。あれだけ広告会社に大儲けさせて宣伝しまくったんだからね。この数字はこの国に死刑制度があることを知っている人といい勝負だろうね。知らない人がまだ結構いるなら「これからの努力」っていう言い方もアリだけど、もう知らない人はいないんだよ。あたり一面「態度を決めてしまった有権者」ばっかり。もう伸びしろがない、後ろがない。ねんねんころり寝転んで眠りましょうか、寺田クン。

■ 「裁判員制度が始まってから、裁判や司法への興味・関心が変わったか」と聞かれた。
「特に変わらない」63.9%

 (゚◇゚*?)オヨ? 参ったねこの数字は。ぐいーんと変わってもらうつもりだったんだもんね。しかもこの数字、制度が実施された09年の55.5%から階段を昇るように増えている。「なーんだこんなもんだったんか」っていうシラケ感がひたひた広がってるっていうこと。

■ 「裁判員制度にどのような印象をもっているか」と聞かれた。
○裁判がより公正中立なものになった-「どちらともいえない」47.0%
○裁判がより信頼できるものになった-「どちらともいえない」47.3%
○裁判所や司法が身近になった-「どちらともいえない」31.5%
○裁判の結果がより納得できるものになった-「どちらともいえない」53.1%
○裁判の結果に国民の感覚が反映されやすくなった-「どちらともいえない」34.2%
○事件の真相がより解明されている-「どちらともいえない」53.1%
○裁判の手続や内容がわかりやすくなった-「どちらともいえない」49.1%
○裁判が迅速になった-「どちらともいえない」45.3%
○自分の問題として考えるようになった-「どちらともいえない」37.3%

( ・◇・)?(・◇・ ) ぜんぜんダメじゃんねー。「そう思う」とか「そう思わない」とかの回答項目の中で、圧倒的に多いのが「どちらともいえない」。あれだけの大宣伝をしたんだから、最高裁や法務省の皆さんとしては、こういう質問には「そう思う」にぐりっとマルを期待したでしょ、そこまでいかなくてもせめて「ややそう思う」くらいにとか。でもそうは問屋がおろさなかった。国民の皆さんはホント冷たいねぇ。

■ 「裁判員裁判では執行猶予の場合に保護観察をつける例が裁判官の裁判の時よりも多くなっているが、この傾向をどう思うか」と聞かれた。
「どちらともいえない」39.7%

 ヾ( ̄◇ ̄;)オイオイ  そんなこと聞かれたって簡単に答えられる訳ないでしょうが。裁判官だけでやっていた時は32.1%しか保護観察がつかなかったのに、裁判員裁判になったら56.1%も保護観察が付くようになった。有罪の元被告人に保護司が張り付いて一挙一動をチェックすれば再犯は減るだろうって、素人が考えそうなこと。また、執行猶予というと有罪判決ではなくて無罪放免のように思っている素人に「じゃあ保護観察付けますから」って裁判長が説得したって聞くしね。
いやいや待て待て素人を馬鹿にしたらアカン、年々の調査結果をよく見ると、そんなやり方への疑問がしっかり増えている。「妥当でない」とか「どちらかといえば妥当でない」が少しずつ少しずつ増加しているんだ。みんな結構冷静な目で見てる。そう、国民は冷たいんじゃなくて冷静だってことだ。

■ 「裁判員として刑事裁判に参加したいか」と聞かれた。
「参加したい」4.9%、「参加してもよい」9.1%、「あまり参加したくない」40.6%、「義務であっても参加したくない」44.6%、「わからない」0.8%、

  ∑ヾ( ̄◇ ̄;ノ オーット! いやいや、こりゃもうやってられない。そう、やってられないから竹崎クンは辞めちゃったんだよね。このデータは、新聞紙面・テレビ画面を飾りましたよ。「『やりたくない』85.2%!」ってね。裁判員になるのは国民の義務です。正当な理由のない拒絶にはペナルティーが科せられる。処罰されてもイヤだっていう人が44.6%もいてはる。国民をしつこく追いかけたらストーカー禁止法で取り締まれるんじゃないのかって言った人がいたけれど、どう考えてももう( ̄o ̄)お( ̄△ ̄)し( ̄o ̄)ま( ̄△ ̄)い

 この「イヤ派の数字」の変化を追跡してみると、それ自体年々着実に増えているのです。実施当初の09年は80.2%だったから、つまり5年でプラス5ポイント。では「やる派の数字」は? 09年は18.5%だったから、今回の14.0%でマイナス4.5ポイントの急落。そして「DK=わからない」は11年度調査2.3%、12年度調査1.1%、今回調査0.8%とこのところ年々減少。つまり態度を明らかにする人が増えてきている。
注目すべきは、女性の「イヤ派」が91.0%という超々高率に達したこと。男性ももちろん圧倒的に「イヤ派」だけれど、裁判員反対を根っこのところで支えているのはやっぱり女性たち。元始、女性は太陽で、今裁判員制度をつぶすのも女性です。

  とここまで言っても、こう言ってくる人がいるんです。
「裁判員経験者のアンケートは『よい経験だった』という人が大半じゃなか」と。寺田クンも似たようなことを宣った
 このアンケート、判決言い渡しの後、控え室に戻ってやれやれとなったところで、裁判長からねぎらいの言葉とともにやらされる訳です。その場でね。大きな事件だと記者会見もあるし、職員は急がすし、裁判員自身も早く帰りたいし、さらにアンケートの項目は多いので熟慮の時間はない。日当もまだもらっていないし・・・アンケート
 
その中で「良い経験か、そうでなかったか」と聞かれれば、非日常的・特殊な経験をしたし「まあ良い経験だったかな」にマルをつける人が多くても不思議ではない
 でもね、このアンケートを持って帰らせて後日返送という形だったらどうだろうか。「良い経験」に丸をするだろうか。もっとも後日返送では、裁判員経験者の97.8%、補充裁判員経験者の93.9%(2013年3月最高裁発表)が回答なんてありえへんでしょうが。それにしてもこの状況下で、一桁とはいえアンケートを拒否する人がいるというのにも驚きです。

 

投稿:2014年5月29日