~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
ありません! それより、インコさんはみなさんに大事なお話しがあるでしょう。元旦に信念のご挨拶を申し上げた際の宣言「『いやだ』の思いから『やめろ』の行動へ」の具体的な提案をするという…
はいはい。でも、提案発表の前に実際の事件を取り上げて、登録除外と呼出取消の要求のきっかけになるポイントを理解してもらいます。取り上げるのは、2012年10月に発覚した連続変死事件。
新年早々ご紹介するには何とも気が引ける悲惨な事件ですが、裁判員裁判にはそのようなお話ししかないのですみません…。ではご指名はございませんが恒例ですので、私が事件の概略を説明しましょう。
1987年頃に一連の「犯罪」が始まったとされ、8人が死亡し3人が行方不明になった尼崎連続変死事件と呼ばれる事件。大きな特徴は、捜査の対象になった人の数が17名と非常に多く、中には被害者の子どもや姉妹などといった身近な親族も含まれていること。事件の主犯格とされるMは勾留中に自殺しています(当時64)。
さて、インコさんが取り上げようとしているのは、Mの次男で2人に対する殺人などの罪に問われたY被告人(27)の公判ですね。
検察は、Y被告人が男性(51)を崖から飛び降りさせて殺害、事故死を装って保険金を詐取し、また義姉(同26)を自宅の物置などに監禁し、飲食や睡眠を制限するなどして殺害したと主張。これに対して被告人側は、前者については自殺をほう助しただけだと殺害を否認、後者についても傷害致死に当たるだけでしかも実行行為に加わってもいないとしてやはり殺害を否認。
そう。ちなみに、被告人が容疑(公訴事実) を否認する事件の割合は全体の40%程度。また、2人を殺害すると死刑求刑の可能性が高くなるというのが一般的な相場。Y被告人に対しても、検察は死刑を求刑する可能性が高いとみられている。
Y被告人の公判は昨年11月19日に始まり、判決は今年3月18日と予定されています。裁判員の在任期間は130日を超え、過去最長になる見込みです。
裁判員裁判のために選任される裁判員の数は6人。補充裁判員の基本は2人だが、長期化が予想されるケースでは3、4人に増やすことがある。この事件について、神戸地裁は、最高裁から送られてきた裁判員候補者名簿の中から選んだ400人のうち282人に出頭を求めた。
ということは、地裁は名簿を見ただけで118人つまり29.5%の候補者を出頭要請の対象者から外したということね。
はい、名簿をにらんだだけで3割が外されているというところが第1のポイント。
出頭を求めた282人の運命を追跡しよう。地裁は選任期日到来前になんと190人もの大量辞退を認めた。辞退要請をしてきた候補者の数は発表されていないが、地裁が出頭を求めた者の67.4%、対象者の3分の2以上が「兵役」を免除されたところが決定的な第2のポイント。なお、「辞退」という言葉については、第2篇で一言言わせてもらいます。
それが、地裁はそのうち76人にしか呼出状を送っていないのだ。
地裁は「転居先不明者ら」としか説明していないが、その正体は不明だ。極めて怪しげな話だね。
違う。候補者名簿は半年かせいぜいで1年前の選挙人名簿に基づいて選ばれている、ということになっている。直近の候補者名簿から無作為に選ばれた92人の2割近くがどこに行ったのかもうわからなくなっちゃったなんて絶対にあり得ない話。「転居先不明者ら」の「転居先不明者」の意味も「ら」の付け加えもくせ者なんだね。ここも重要な第3のポイント。
で、地裁は76人を呼び出したの。だけど選任期日当日の出頭者は59人。ということは、その差17人は音無の構えのまま選任期日に出頭しなかったということね。
そう、それまで「うんともはぁとも言ってこなかった」から、地裁は選任期日にはいそいそと来てくれるかなぁって期待していたのに、無視されたというか黙殺されたというか、なんの反応もなく選任期日に来なかった「冷た~い」17人、約4分の1。これも重要な第4のポイント。
千早来ぬ 神代もいやと 裁判は 来てくれないに みな困るとは
さぁ、この59人。武者震いの勇士たちと言ってあげたいところだが、違うんだなぁ。過料10万円におびえ震えながらきた人や、例の最高裁マンガで選任期日に裁判長に訴えろなんて言われて「直訴」しに来ただけの人たちもこの中にいるんだ。
直訴者の数は発表されていないけれど、結局この日に辞退が認められた人は11人もいたという。出頭者の18.6%。軍艦に乗るところで戦線離脱が認められた波打ち際厭戦兵が2割弱もいるということ。これも重要な第5のポイント。
呼び出しに つれなく応えし 断りの 声聞くほどに 憂きものはなし
こうして最後まで残った48人の中から6人の裁判員と4人の補充裁判員が選ばれた。
整理しよう。候補者名簿400人→名簿にらんで282人→事前辞退で92人→意味不明で76人→無視黙殺されて59人→直前離脱で48人。不選任率は400分の352、実に88%。
88%ですか。尼崎連続変死裁判の裁判員拒否率は、「『やりたくない』が85%」という最高裁調査結果を明らかに超えましたね。これが最近の超長期裁判員裁判のリアル。
そう、『みんないやがって、みんないい』の世界に完全突入なのだ。
さぁ、いよいよ先輩提起「登録除外と呼出取消のインコ提案」の発表ですよね?
今日、重要なポイントって言ったでしょ、その節目節目で行動を起こすのさ。ま、少し研究してくれたまえ。
(やれやれ、出来の悪い新春テレビ番組みたいに引っ張ること…)
投稿:2015年1月2日