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裁判員にさせられたら一直線に解任をめざそう

001177「あらっごかいにんですって、おめでとうございます」なんて言葉、今年は流行るかもね。

006311009少子化対策が功を奏して? まさか…

001177かいにん違いよ。ご懐妊ではなくてご解任。

1-e1397901276348そのご解任でおめでとうが流行るって、あり得るんじゃないか。インコは、去年10月にその辺のことについて、「解任しない、します、するとき、すれば、せよ」というタイトルで危険信号というか安産信号というか、考える材料を提供したもん。

001177れについて、確かにインコさんは力作をものしているわね。解任に関する手羽先作りの表も登場していたし。にゃんこ先生も「数字を見てこの制度の危機の深まりを改めて深く感じたよ」と仰っていたわ。

お茶そうか。エヘンΣ( ̄◇ ̄) そうでしょう。

001178まね0(なんか危ない気配)そこで今回は、年の初めのおめでたいお話として、やっぱり解任の問題を取り上げてもらおうと思うの。解任問題を解明することは、裁判員制度の現状と問題点を明らかにする決定的なポイントになりますから。

admin-ajax[1]褒めていただいたので、それではもう一度、2つの表を出させてもらいましょうか。なんてったって私以外の鳥には作れないものです。

001178まね0(ったく、すぐに図に乗るんだから)

1-e13979012763481つは年々解任がどのように発生しているかをまとめた表。もう1つは全国60の裁判所で解任がどれだけ発生しているかをまとめた表です。

表1楽

表2楽しもう

1-e1397901276348まず、表1を見て下さい。裁判が始まった2009年、早くも被告人14人に1人の割合で解任事件が発生していた。それが翌10年には11人に1人の解任になった。つまり首切り事件が大きく増えた。11年は9.4人に1人、12年は9.6人に1人と続き、さてどうなるかなと思っていたら、13年には一気に7.7人に1人が解任され、去年14年にはまた増えて被告人6.7人に1人の割合で解任事件が発生した。

001177制度開始から5年間で、裁判員の首切り事件は2倍以上に増えていますね。これからもっとたいへんな状態になるのかしら。事態は今や深刻の極み。年も改まったし、今回は問題点をぐっと深掘りしてくださいね。

1-e1397901276348まず、解任の理由は何かだ。この表によれば、解任の理由のほとんどは「辞任の申立」ということになっている。しかし、辞任申立ての内容について最高裁が何と説明しているかというと、実は何も説明していない。122頁という大部の「裁判員制度実施状況の検証報告書」(2012年12月発表)だが、その中でも、解任の理由どころか解任状況の解説そのものをまったくしていない。

001181解任の数を推測させる唯一のデータは、その「検証報告書」にある「図表13 裁判員に選任された補充裁判員数」だけね。
解任表

1-e1397901276348補充裁判員が裁判員に選任されるのは裁判員がいなくなった時だけ。裁判員がいなくなるのは死んだのでもなければ解任しかない。ということで、「検証報告書」の中ではこれが事実上解任状況を推測するデータになっている。

006311009この表のどこを見ても解任という言葉は出てこないんですけど。

1-e1397901276348そうだ。どこにも出てこない。けれど、公判中に1人が解任された事例が309件あるとか、1人の被告人で3人も解任された大変な事件もあったんだなぁというように推測することができる。でも、考えれば考えるほど、推測させるだけの資料というのは変なものだ。

006311000確かに…。

1-e1397901276348しかも、補充裁判員が解任されたケースはこの表にも出てこない。補充裁判員の「裁判員選任」は正裁判員がいなくなった時しか行われない。補充裁判員のままで解任された場合はここに上がってこないからだ。

001177つまり、「検証報告書」ではそういう形でしか裁判員たちの解任の実相がわからないということ。まして解任状況の検証などと言える内容はこの報告書にどこにもないって訳。

1-e1397901276348このところ最高裁は、「やりたくない人は積極的に辞退させよ」とさかんに下知している。ということからすると、出頭者の中で解任される人たちの数は減ってよいはずなのに、解任が年々増えているのはなぜだろう。解任は減らないどころか増えている。そのココロは制度の嫌われ度の高まりが最高裁の緊急指示効果の上を行っているからだ。最高裁の指示は、事態の深刻化を前に完全に空回りしている。

006311000最高裁の思いはいつも国民の前でからから回り♪

焦るまあ、よくそんな昔の歌を知っていること。

1-e1397901276348話を「辞任の分析」に戻そう。インコが別の最高裁情報から引っ張り出した資料などを元に作ったのが冒頭の表1だ。そこでも最高裁は、辞任申立ての内容や解任の実情について何の説明もしていない。裁判員裁判の実施状況を知らせると銘打ってるんだぜ。「辞任の分析」が最重要ポイントってことは誰の目にも明らかでしょ。

001177つまり、最高裁は、どうでもよい図表をごちゃごちゃ載せて大事なことを陰に隠しているって訳ね。

1-e1397901276348裁判員法44条を見てほしい。辞任の申立てにより解任されるのはものすごく限られた場合だけだと決めている。「裁判員の選任前に申し立てていれば辞退できたはずの事実がたまたま裁判員選任決定後に発生したこと」「そしてその事実のために今後裁判員や補充裁判員の職務を行うことが難しくなっていること」が絶対の前提条件なのだ。

001177はい、みなさんご承知のように、裁判員法16条は、70歳以上、議員、学生生徒、過去一定期間に裁判員等をやったことがある者だとか、重い疾病や傷害で出頭困難な者などに辞退事由を厳しく絞り込んでいます。

1-e1397901276348そう、だからもしそういう事情が選任前に発生してたんだったら、そのことをその時に言わない方がおかしい。そのような事情が選任後に発生するなんてこと自体、ちょっとやそっとでは考えられないという話だ。

001181しかし、現実を見れば、裁判員裁判開始後昨年8月までの5年間に、09年8月以降に9人、10年に123人、11年に154人、12年に137人、13年に162人、14年8月までに107人、つごう692人の裁判員が、辞任の申立てがあったことを理由にバッサリ解任されていますね。

006311000その数実に692人に及ぶってことっすね。

1-e1397901276348付け加えたいことがある。692人というのは「辞任を申し立てた人」の数ではない。辞任の申し立てがあったということで「裁判所によって解任された人」の数なのだ。つまり、辞任を申し立てたけれども解任して貰えなかった人はこの中に入っていない。実際に辞任を申し立てた人の数は解任された人の数を大きく上回るはずだ。

001178まね0でも、最高裁は解任理由の詳細はおろか、辞任申立者の数さえ発表していません。何から何まで隠しっぱなし。

1-e1397901276348辞任申立ての内容や解任の実情は本当のところどうなっているのか。最高裁はどうして実情を明らかにしないのか。裁判員や補充裁判員に選任された人たちが裁判の途中で辞めてしまうというのは考えて見ればたいへんなことだ。この国の裁判官が5年間で692人も辞めてしまったら、この国の司法ははっきり言って崩壊だよ。

006311000確かに…。

1-e1397901276348裁判員の職務を考える上で、解任の理由をきちんと解明するのは不可欠のことだ。最高裁が、裁判員裁判を今でも本気で定着させようと思うのなら、裁判員たちの解任がやむを得ない措置だったことをちゃんと分析し、その結論を公表して全裁判所の共通の理解にする必要がある。それだけではない、確かな刑事裁判のためには次のことを踏まえてほしいと国民に発信して、その理解を得ようとするはずだ。

006311000分析しているんでしょうか。

1-e1397901276348徹底的にやっているはずだ。やらない訳にはいかない。しかしその結果は絶対に公表しない。ここまで不評では、そしてここまで反発を買っていては、公表などできるはずもない。

001177今や国民に知らせる訳にはいかない話になったって訳ね。裁判員制度の破綻はそこまで来ているってこと。

1-e1397901276348表2を見てほしい。解任の傾向は一部の裁判所に限られず、全国の地裁に広がっている。裁判員裁判が1番少なかった鳥取地裁でも2番手の松江地裁でも解任事件が発生している。東京地裁に至っては87人、千葉地裁でも78人、大阪地裁でも75人と、大規模裁判所で解任された裁判員たちの数はべらぼうな数に上る。

006311000最高裁は何を秘密にしようとしているのですか。

1-e1397901276348確信をもってその答えを指摘しよう。裁判員や補充裁判員として法壇に立つ人たちの中にこんなことをやってらんないと考える人が非常に多くいるから、そしてその数が年々どんどん増加しているからだ。
評議の場でやめたいと言い出す人もいる。明日は裁判所に来ないと漏らす人もいる。何の連絡もせずに来なくなってしまう人もいる。発言を裁判長にとがめられて参加意欲を失う人もいるだろう。

001177でも、そういう人たちは、「辞退事由が後に発覚した人」にあたりません。解任事由を厳しく絞り込んだ結果、辞退をしたいと思う人たちの具体的な態度行動はほとんど解任事由にあてはまらくなっていますね。

006311000辞めたいと言っても「ダメです」と言われるだけってことっすね。

001177それが裁判員法の下で裁判所が裁判員たちに要求する基準でした。しかし、現実にはそれではやれません。建前と現実の途方もない乖離。それが最高裁が真実を公表できない理由ですね。

1-e1397901276348最高裁は裁判員法の建前では解任理由にあたらないたくさんの人たちを実際にはどんどん解任している。何と言ってもやらせるなんて裁判長が言ってごらん。途端に現場は崩壊さ。だから何が何でも恰好をつけて解任手続きをやってしまう。

006311000裁判長も本当は心砕くのは審理の中身だけにしたいだろうに。

1-e1397901276348表1をもう1度見てほしい。ついでに言わせてもらうが、5年間で合計181人もいるという「宣誓拒否・出頭義務違反・欠格事由等・進行妨害」によって解任された人たちはいったい何をしたっていうんだろう。その実情を明らかにすることも解任状況を解明する上で欠かせないとインコは思う。

006311000うわっ。それめっちゃ知りたい。

パンチ議の秘密を明らかにすることはできないと言うのだったら、インコは言う。「そうですか。国民はあなたたちがそういう態度とるのだから、裁判員裁判廃止の声を揺るぎないものにするのですよ」と。

 

辞められない 辞めさせない 辞めさせたくない君001181
いろんな言葉で君に参加を要請してきたけれども
終わりさ みんな終わりさ 最高裁のひとりよがり
制度推進の要の糸は 今プツリと切れた
Oh 裁判員 国民参加を叫ぶ 最高裁はせつないよ
やりたくない思いの前で カラカラから回り
Oh 裁判員 制度推進を叫ぶ 最高裁はかなしいよ
だから廃止のドアを ノックしないで
ノックしないで ノックしないで

嫌いかい 嫌いなんだね こんな制度のこと
人を裁くことが そんなにイヤだったとはね
ずるいよ 君はずるいよ インコの言うことと
最高裁を比べていたとは  冗談のひとつにもなりゃしない
Oh 裁判員 国民参加を叫ぶ 最高裁はせつないよ
やりたくない思いの前で カラカラから回り
Oh 裁判員 制度推進を叫ぶ 最高裁はかなしいよ歌2
だから廃止のドアを ノックしようよ
ノックしようよ ノックしようよ

 

 

投稿:2015年1月7日