~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
5月2日の産経ウェブニュース【日本の議論】は、裁判員制度の現状を考える特集を組んだ。お題は次のとおり
「『司法は身近か』右肩下がりは“無言の批判”か 裁判員裁判6年、まだ足らない『社会の支援』と『経験の共有』」。
メディアがはやし続けてきた「定着」「安定」論が急速に様相を変えてきたわね。あられもみぞれもない裁判員裁判の姿をさらす見出しですこと。
そりゃあられやみぞれの季節じゃないからね。司法は身近になっていないのでは、参加激減は国民の制度批判か、6年経っても支援が足りぬ、足りぬ足りぬは工夫が足りぬか我慢が足りぬか。経験はみんなのものになっていないって……。
場末の夕暮れを思わせるもの悲しいトホホ物語風ってとこですね。
そこで今回は、この産経ニュースの全文をきちんとご紹介し、その上でインコはバチッとコメントさせていただく!
裁判員裁判の運用に関する意識調査
5月で制度開始から6年を迎える裁判員制度。裁判員らが出した判決を高裁の控訴審が棄却するなど、一部議論となっているケースもあるが、関係者は「国民に制度として定着した」と評価する。その一方で、最高裁が平成21年の制度施行以来、毎年度行っている国民アンケートでは、「裁判所や司法が身近になった」と制度を肯定的に捉える割合が22年度を頂点に後退を続けるという現象も起きている。果たして国民への浸透は行き届いているのか、それとも制度の停滞なのか。識者からは「裁判員の経験を未経験者が共有する仕組みを作る必要がある」との声も上がっている。
「裁判員らが出した判決を高裁の控訴審が棄却するなど、一部議論となっているケースもあるが、関係者は『国民に制度として定着した』と評価する。その一方で…」。うーむ、このわかりにくさ。
つまり、こう言っている。「裁判員らが出した死刑判決を高裁が無期懲役に変えたりして、これじゃ裁判員制度を導入した意味がないではないかという批判を引き起したが、しかし関係者は『制度として定着した』と評価している。だがしかし…」。
わかりやすくしたら妙ちくりんな文章だっていうことがはっきりしたです。
素直に「関係者は定着したったって言うけれど、裁判員裁判の判決はひっくり返るし、制度肯定論もどんどん後退している。実際にも…」って言えばいいんだよ。さて、突然登場する「定着したと評価する『関係者』って誰なんだ。名前を書けよ。あっちもこっちもあいまいに言うのはホントにけしからん(ぷんぷん)。
「果たして国民への浸透は行き届いているのか、それとも制度の停滞なのか。識者からは『裁判員の経験を未経験者が共有する仕組みを作る必要がある』との声も上がっている」。これもおかしい。あれかこれかなんて言わず国民への浸透どころか停滞の極みではって言えばよいこと。ここでまた『識者』なんていうあいまいな言葉が登場する。あちこちの顔色を窺うような雰囲気がただよう。
肯定的意見、22年度が頂点、否定は増加傾
最高裁が裁判員制度施行後、毎年度行っているアンケート。全国の20歳以上の男女2千人前後が対象だ。項目は多岐にわたるが、その中でも制度浸透の指標となり得る複数の質問に対する回答の傾向が、関係者の頭を悩ませている。
まずは、「制度導入後、裁判所や司法が身近になった」とする設問から見てみる。最新の26年度調査では、肯定的に答えている「そう思う」が14.6 %、「ややそう思う」が36.8%で合計すると約半数。「あまりそう思わない」11.5%、「そう思わない」4.0%との否定的な意見を大幅に上回っており、一見、制度の浸透が図られているようにも見える。
だが各年度を比較すると違った側面が見える。初めての調査となった21年度では、「そう思う」が22.0%、「ややそう思う」が42.0%で計6割を超える。22年度は「そう思う」24.6%、「ややそう思う」43.0%とさらに割合は上がった。しかし、22年度を頂点に肯定的意見は減少を続けており、26年度調査は過去最低となった。「そう思わない」「あまりそう思わない」とする否定的意見は、21年度の8.3%に比べて26年度は15.5%まで増加した。
「質問に対する回答の傾向が、関係者の頭を悩ませている」と来ました。
「関係者」というのは、推進派の中心にいる人たち、それもどうやら最高裁事務総局あたりらしい。で、「頭を悩ませている」理由というのは、「裁判所や司法が身近になった」は、平成22年度の約67%から年々下がって、平成26年度は約半数になっちゃったっていうので、焦らざるを得ない数字だ。
一方、定着したなんて思わないという否定意見は、裁判員裁判が始まってから6年間で8.3%から15.5%にほぼ倍増。時間が経つほど定着しなくなるっていう話もおもしろいし、これが最高裁自身が実施したアンケートの結果だっていんだから、そりゃ頭を悩ませるでしょうよ。
こういうデータがあるときは、現状にはかくかくしかじかの問題があるがこれは次のように克服するつもりだとか何とか言うもんだ。しかし最高裁はそういうことを言わないどころか、「頭を悩ませている」とも言わなかった。皆さん、頭抱えてうんうん言っている最高裁長官なんて見たことあったかい?
産経ニュースで国民は初めて「そうか最高裁は頭を悩ませてるんだ」って知らされました。
インコはもちろんとっくに知ってたけどね、つまりこの辺の推進勢力の物言いも、メディアの報道の仕方もむちゃくちゃヘンなことなのさ。
ほかの設問も傾向重なる
同様の傾向は「裁判の結果がより納得できるものになった」「裁判の結果に国民の感覚が反映されやすくなった」という設問にも当てはまる。やはり、肯定的な意見は2年目の22年度がピークで、現在は減少傾向にある。一方で否定的意見は増加傾向だ。
最高裁など司法当局では、これらの結果に対する評価は分かれているという。
あるベテラン刑事裁判官は、21、22年度の高い数値について「導入1、2年目は制度に対する期待感が大きく、さまざまなところで現在よりも多くの報道がなされた。そのため、国民の関心も高く、アンケート結果に表れた」と指摘する。
その一方で、現在の後退傾向を「制度が国民に浸透し、報道も減少したことである種の新鮮さが無くなり、高く評価する回答が後退しているのではないか」とする。ただ、「制度への批判が反映されている可能性がある」との声も根強く、アンケートへの結果は定まっていない。
ベテラン刑事裁判官は「アンケート結果を制度定着と捉えるとしても、次年度調査以降も後退傾向がさらに進むのであれば問題。国民への理解のため、広報活動を考えていく必要があるだろう」としている。
「ほかの設問も傾向重なる」というのは、要するに全体にどうしようもなくなっていっるっていうこと。「納得できるものになった」「国民の感覚が反映されやすくなった」っていう意見もどんどん下がり、その一方で「納得できない」とか「感覚が反映されない」という否定的意見が増加している。
「ベテラン刑事裁判官」は、「導入直後は期待感が大きく報道も多かったため、国民の高い関心がアンケート結果に表れたけれど、制度が国民に浸透し報道も減少したことで新鮮さがなくなり、高評価回答が後退したのでは」と言ったと。
誰だよ! このベテラン君ってのは! 何言ってるんだ。この制度の評価は制度が発足する前から最悪だったのだよ。「導入直後は期待感が大きかった」なんてウソ言うなよっていう話。「国民の高い関心がアンケート結果に表れた」なんてデタラメもいいところ。
だけど、「制度への批判が反映されている可能性がある」との声が根強いって。
それはつまりインコが、いやいや、多くの国民がと申しておきますが、そう言い続けているっていうことさ。「可能性がある」なんて及び腰の言い方するんじゃない。
ベテラン裁判官が、次年度調査以降も後退傾向がさらに進むのなら問題だって。それってどういうことよ。もうしっかりすっかり問題な状況でしょう。どうして突然来年以降の話にしちゃうのさ。この耐え難い軽薄なごまかし方。
短期は大丈夫でも「長期は負担」
国民参加の制度を浸透させるのに必要なのが、参加のハードルをいかに下げていくかだ。裁判員に仕事を休むなど大きな負担を強いる制度のため、拘束期間は常に課題となってきた。
例えば、4月に東京地裁で判決が言い渡された元オウム真理教信者のT被告(57)の裁判員裁判で、裁判員は1月上旬の選任から4カ月近く、従事したことになる。
3月に別の裁判で裁判員を務めた50代の女性は「自分の場合は選任されてから1週間で判決まで終わったので、負担は少なかった。ただ、T被告の裁判のような長期間の審理が可能かと言われれば、かなり難しい」と話す。
裁判員への負担が増す長期間審理になりやすい典型的な例は、T被告の事件のように、複数の事件で起訴されている場合だ。実は、このような場合に負担を軽減すべく、裁判員制度と同時に導入された制度がある。それは「区分審理」だ。
区分審理は事件ごとに異なる裁判員を選んで、それぞれの裁判員が事件ごとに有罪か無罪かを判断。最後の事件を審理する裁判員はその事件の有罪・無罪を判断するとともに、全事件で1つでも有罪があれば、量刑を決めなければならない。
「短期は大丈夫でも『長期は負担』」「『参加のハードル』をどう下げていくか」ですって。
ずれまくりだなぁ。長期も短期もありません。全部ダメ、全然大丈夫じゃない。今や「ハードルを下げる」なんていう生やさしい状況じゃない。記事は急に区分審理の話に入っちゃったけれど、「参加破綻」は、審理が2日で終わるような短期裁判にもおよんでいるんだ。
軽減難しく「耐えてもらうしか」
ただ、運用には常に難しさが伴ってきた。最後の事件を審理する裁判員が、直接審理に加わらなかった事件も踏まえて、最終的に判決を決めなければならなくなる。直接関わっていない事件に裁判員が適切な判断を下せるのか、導入当初から疑問の声が出ていた。
こうした意見を反映するように、区分審理を採用した裁判員裁判は、23年度の20件を頂点に減少傾向で、26年度は9件まで減っている。ある裁判官は「別事件で複数起訴された事件とはいえ、当事者や証拠が重なり、『一連の事件』として捉えなければ、判断を下せない場合が多い。そうしたケースで区分審理を行うことは適当ではない」と運用減少の背景を解説する。
長期間拘束の軽減をめぐっては、政府が3月、裁判員対象事件について「初公判から判決まで長期間にわたると見込まれる場合、裁判官だけで審理できる」ようにする裁判員法改正法を閣議決定した。ただ、この場合の長期は1年を超える裁判が対象になるとみられており、国民参加のハードルを下げるとは言い難い。
ベテラン刑事裁判官は「これまでも数カ月にわたる審理が複数あったが、選任された裁判員が次々に参加できなくなり、裁判を進行できなくなったケースは今まで出ていない。大きな負担だが、選ばれた国民の方に頑張ってもらうしかない」としている。さらに「裁判官や検察官、弁護士が論点を分かりやすく整理するなど、期間短縮に向けた努力をしていくべきだろう」とみる。
A事件とB事件とC事件の審理をほぼ同時的に進行させる。裁判官はA、B、C一緒で、裁判員はA、B、C別々。最後に審理したC事件の裁判員たちは裁判長から聞いたA、B両事件の審理結果に基づいて最終判決を言い渡す。
そう。裁判官たちはみんな直接関わっているから全事件が「わが事件」だけれど、C事件の裁判員たちにとってはA、B事件は全部「人聞き事件」。裁判員に負担をかけないというただそれだけの理由で事件が細分化され、最後の裁判員たちは別事件の判決の内容を決めなくちゃいけない。最後の裁判員にはめちゃくちゃな負担だよ。
区分審理ほど裁判員をバカにし、お飾りに過ぎないことを示す話はないわ。
いかにも現実離れの「机上審理」事件が減ってきたというのは、当たり前だ。だが、区分審理が減るということは複数事件を一組(ひとくみ)の裁判員たちに審理させるケースが増えるということ。ますます裁判員の参加が減り、「軽減難しく『耐えてもらうしか』」なくなり、矛盾は深刻化する。
「ベテラン刑事裁判官は『裁判を進行できなくなったケースは今まで出ていない』としている」と言うけれど、参加する裁判員候補者がどんどん減って拒絶率が高まる、裁判所は呼び出す裁判員候補者をどんどん増やす。だから裁判ができなくなるまでにならないだけなのだ。
蛇口から水がちょろちょろしか出なければ、長い時間水を出し続けるのと同じことね。
そうさ。6人の裁判員と2~4人の補充裁判員を確保するのに、以前は100人の候補者を呼び出していたのを150人、200人、300人と増やすという破滅的対応をしているのだ。
「裁判官や検察官、弁護士が論点を分かりやすく整理するなど、期間短縮に向けた努力をしていくべきだろう」っていうのもまるで分かってない。「論点を分かりやすくする」と審理期間はフツー延びる。審理期間は短くなるかも知れないけど、ベテラン裁判官でないとフツーはわかりにくくなるの。
経験共有の機会増やせ
裁判員制度に関する情報発信を行う「裁判員ネット」代表理事の大城聡弁護士は、「裁判員経験者が経験を語る場が少ないのが、アンケート結果に表れているのではないか。守秘義務を意識する余り、経験者が勤務先や家庭など社会の中で経験を語ることに抵抗感があり、何が行われているかを共有する機会がほとんどない」と指摘する。また、裁判員経験者の周辺にいる未経験者も、守秘義務が壁になり内容を聞くことを避ける傾向にあるという。
大城弁護士は、「制度開始以来、5万人以上が裁判員を経験しながら、内容を社会に還元することができていない。そのせいで、未経験者にとっては、裁判員が何をしているのか不明な点が多く、制度との距離を感じる要因になっているのではないか。経験を社会で共有する仕組みが必要だ」とみている。
また、長期審理に対する負担についても、「区分審理は問題点が多く、限られた事件でしか採用できないだろう。裁判所が審理の短期化を努力するのはもちろんだが、長期審理に参加する裁判員を社会的にバックアップすることが必要だ。そのためには勤務先や家族の理解が重要で、やはり経験の共有はカギになる」としている。
制度推進の組織「裁判員ネット」の代表者は弁護士だ。「裁判員経験者が経験を語る場が少ないことが(制度評価の悪化という)アンケート結果に表れているのではないか。守秘義務を意識し経験を語ることに抵抗感があり、経験が共有化されていない」と言っているらしい。
このお方はよほどのお人好しか、よほどのワルかのどっちかね。「経験が共有されると制度の評価があがる」と思い込んでいるように見える。「みんながおしゃべりを始めたら、もういやだもう絶対にやらないという人が一気に増える」とか「経験が共有されないおかげで制度評価の悪化がこの程度でとどまっている」とは全然考えていないらしい。
大城さんとやら、「経験が共有化されると制度の評価があがる」って、どうしてそう思えるの。パンドラの箱に何が入っているのかあなたはどうしてわかるのかな。
それとも大城さんはこの箱が絶対に開かないことを知っているから、無責任なことが言えているだけなのかしら。
さぁさぁお立ち会いの皆々さま。これが今回の産経ニュースの全部です。裁判員制度6年目。あなたはどこかに「制度の明るい展望」を見つけましたか。どこにも出口がない「鬱々の状況」「絶望の制度」だっていうことになりませんでしたか。
最後にインコは助言します。制度推進の諸君たちはもうそろそろ店じまいの準備に入った方がよいですよ。そしてメディアの皆さんは、今やこの制度について自身の立場をはっきりさせるべきです。皆さんは制度推進の旗を振り、嫌がる国民を強引に国策に引っ張り込んだ。A級だかBC級だか知りませんが、要するに戦犯のお仲間なのです。その皆さんに国民の最終判決が今正に出ようとしている。そのことをよくよく考えなくちゃいけない時が来たのですよ。
投稿:2015年5月24日