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裁判員制度の現状を日弁連はどう捉えているか-その1

001177インコさん、日弁連の機関誌『自由と正義』(2016年1月号)をご覧になった?

admin-ajax[1]いやいやエイプリルフールに振り回されていて、ちょっとまだ…。

001178まね0(誰が振り回されているのかしら。)えーとですね。「新時代の刑事弁護」をテーマに刑事弁護の連載が開始されるんですって。

1-e1397901276348「新時代」っていうのは今国会で議論されている刑訴法改悪時代のことでしょ。「盗聴拡大」「証人取引」「匿名証言」時代の刑事弁護をどうするっていう絶望的な話かな。

001177よくわかりません、なんでも1月号はその第1弾として、「裁判員裁判の現状と課題」という特集を組んでます。

1-e1397901276348な、なんと、それを先に言ってくれなきゃ。物事にはすべて順序とか順番とかいうものがある。

001177はいはい、「裁判員裁判の現状を掘り下げながら、適正な弁護活動をするために今何が必要かについても具体的に検討する」「実践的に学ぶことができる」ですって。

1-e1397901276348ふーん。制度の現状と課題をどのように解明してくれているのかいな。

001177特集は4本の論文です。第1は「裁判員裁判の現状と課題-第一審手続について」、大阪弁護士会会員の西村健氏。

1-e1397901276348ふむ。

001177第2は「我々の弁護活動は、裁判員の心をつかんでいるか?~裁判員アンケートから見た弁護活動の評価と弁護士会の取り組み~」、これは千葉県弁護士会会員の菅野亮氏と東京弁護士会会員の前田領氏。

1-e1397901276348ふむ、ふむ。

001177第3は「法廷技術のさらなる向上のために」、埼玉弁護士会会員の松山馨氏。

1-e1397901276348ふむ、ふむ、ふむ。

001177そして第4は「弁護士会の研修の在り方について」、これは金沢弁護士会の奥村回氏。

1-e1397901276348ふむ、ふむ、ふむ、ふむ。

001178まね0まじめに聞いていますか、インコさんっ。

1-e1397901276348聞いているとも聞いているとも。身を清めてじっくり拝見・拝聴させていただこうじゃないか。先頭を切って、まずは第1の西村氏(写真)の論考を遡上に載せよう。トップ論文・代表論文だぞ。

001177「裁判員裁判の現状と課題-第一審手続について」では、次のようなことを指摘しています。

           公判前整理手続きについて。手続きが無用に長期化しないように弁護人の研鑽が必要だ。証拠は全面的には開示されないので弁護人の意欲工夫が重要だ。検察が主張しないうちに弁護人の主張をさせる例があるのでその点は慎重に対応しよう。審理計画が確定しない段階で安易に公判期日を仮予約させられないよう裁判所には慎重に対応しよう。

            公判手続について。この制度で裁判所が自ら公判廷で証拠や証人を直接調べ、当事者の言葉に基づいて裁判するやり方が基本になり、開廷も連日的になった。証拠書類も要旨の告知ではなく全文朗読が基本になっている。被告人調書の調べの前に被告人質問に入るのは弁護人にとって常に好ましいとは限らない。証人尋問を重視する最近の裁判所の姿勢にどう対応するかは今後の課題。自白の任意性の審理をどうするかについても検討が必要だ。

          情状弁護について。アスペルガー症候群の障害を持つ被告人に懲役20年を言い渡した一審判決を考えると、具体的事件の犯情に基づいて刑の大枠を決め、一般的な情状は調整要素と考えるべきだ。弁護人が自ら具体的な量刑意見を言うことについても今後の試行錯誤が必要。量刑検索システムを活用して傾向を把握することは必須だ。

          裁判員裁判特有の実務。検察官が作成・提出する統合捜査報告書について、漏れの有無とか合意書面として認めてよいかなど注意が必要。遺体写真など刺激の強い証拠について、関連性や必要性について適切な意見を述べるようにしたい。

20160201おいおい、これが「現状と課題」の筆頭論文かよ。情けなくはないか。公判前整理手続きについて言おうか。手続きが長くなる事件は必ずある。有罪事件でもあり得るし、無罪を争う事件ならなおのことある。何でもかんでも短縮を短縮をとしつこく迫る裁判所とどう闘うのかということこそ最大・最重要のテーマじゃないのか。

001178まね0それが弁護人の問題にすり替えられている感じですね。「手続きが無用に長期化しないように弁護人が研鑽すること」が一番大切な話とはびっくりぽんです。

1-e1397901276348そのとおりだ。証拠が全面的には開示されないことについてどう闘えとこの人は言うのか。「弁護人の意欲や工夫」って言ったって、それだけじゃ何の説明にもならないだろう。

001178まね0そうですよね。読者はそこを知りたいんでしょうに。

20160201検察が主張しないうちに弁護人の主張をさせることがあるだって? 何を言っている。冗談じゃないって叫んでちゃぶ台ひっくり返す話だろう。「慎重に対応」しろってつまりどうしろと言うのだ。

001178まね0審理計画が決まってもいない段階で安易に公判期日を仮予約するなっていう程度のことしか言えないんでしょうか。

20160201読む方が恥ずかしくなる。これが裁判員裁判の弁護士活動の指導レポートなんだっていうんだから、世も末だ。

001178まね0情状弁護。障害を持つ被告人に求刑越えの懲役20年を言い渡した一審判決が高裁でひっくり返った例のアスペルガー事件を引いていますね。でも、「具体的事件の犯情」といい「一般的な情状」といい、何を言っているんだかよくわかりません。

1-e1397901276348ほんと、持って回った言い方だ。「具体的事件の犯情に基づいて刑の大枠を決め、一般的な情状は調整要素と考える」なんていう高裁の論理に引きずられて(または、かこつけてごまかして)はならないのだ。

001178まね0どうして、この人は、裁判員裁判の「求刑越え」判断をきちんと俎上に載せて議論しないのでしょうか。だいたい一般の人まで知るようになった「求刑越え」の言葉も使わないとは!

1-e1397901276348高裁判決のもっともらしい言い回しに隠れている「裁判員の暴走傾向」や「裁判官の制動能力喪失傾向」こそ論ずべきテーマのはずだ。

001177本当にそうだと思います。

20160201進んで量刑を断定する自滅弁護への提言は「今後の試行錯誤」。あのね、「試行錯誤」って提言ではないぞ、絶対に。量刑検索システム活用は「必須」。なんだこりゃっていう話だぜ。

001177裁判員裁判特有の実務。捜査記録を1つにまとめてしまう「統合捜査報告書」という簡略立証方法がまかり通っています。

怒りそれで本当にいいのか、問題があるのではないか、どう対決するのかをちゃんと論じなければいけない。「合意書面として認めてよいか注意が必要」と言う前に、どのような考えから検察は「報告書から大事を外す」傾向があるのかのか、それとどう闘うにはどういう工夫が必要なのかを具体的に助言するのがあなたの責任ではないかっていうことだ。

001177「遺体写真など刺激の強い証拠」の問題に触れていますね。

怒りそう。だが、「関連性や必要性に関する意見」は裁判官裁判だったら要らないのか。どうして裁判員裁判でだけ議論するのか。裁判員の負担を軽くしようという最高裁の方針に問題はないのかということこそ、ここで議論しなければいけない話だろう。

001177そういうことはこの方はきっと関心がないんでしょうね。

1-e1397901276348「裁判員裁判の現状と課題」と大上段に振りかざしたんだろ。そう言っちまった以上、考えるべきことは裁判員制度の導入によって被告人の人権は本当に守られているのかとか、無罪率は高くなったかとか、えん罪は減ったかとか、そういう変化がないとすればこの制度はやめた方がいいのではないかとか、そんなことを言っている人たちの主張はどこが間違っているのかとか、そういうつまり基本的な問題を論じるときに「裁判員裁判の現状と課題」というタイトルを使うのだ。

001177しかしこの人はそんなことにはみじんも触れていません。制度はこうなっていて、多くはこのように対応していて、「この辺は少し気ぃつけときや」という程度の「どーでもいい話」しかしてはらへん。

怒りいったいどこで「裁判員裁判の現状を掘り下げ」ているのか。「適正な弁護活動をするために今必要なこと」は何だと言っているのか。インコのお山ではこういう御仁をどふざけ野郎と言う。

001177西村健というお方は、1984年に弁護士になって、2001年から日弁連司法改革調査室に入り、後に日弁連の裁判員制度実施本部事務局次長になった人だ。30年弁護士やっていてもこんなものなんですかね。はっきり言って、制度に潜む本当の問題点を解明できる人でもなければ、解明する気のある人でもない。

006311000つまり、ただの茶坊主ってことですかね。

15005011おぉー(最後に一言かますのね。この子は)  

 

 

 

投稿:2016年4月10日