~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
恒例の最高裁長官記者会見のコメントでーす。記者会見が恒例なのかコメントが恒例なのかって? インコのコメントが恒例なのでーす。記者会見はみんな待っているかどーか知らないけど、コメントはみーんな待っててくれるからねっ。
(ホントかしら。ま、そのくらい自信過剰でないとやれないかもね)
5月3日は憲法記念日。各紙の朝刊にはテラダ長官の記者会見のお言葉が並んでいるのです。今年も、『朝日』『読売』『毎日』『日経』『産経』『東京』の6紙に目を通してみました。この記者会見は例年5月2日に行われ、各社参加1名と制限されている。会見風景の全体写真も出ない。出るのはいつも長官のどアップ顔だけ。不思議な記者会見です。
(インコさんは、確かにこの日は朝早くから羽ぐすねひいて新聞の配達を待ってる)
連休中でぼおーっとしている皆さん、あいや失礼、この部分は撤回します。お休みでお忙しい皆さん。そして連休関係なく働いている皆さん。各紙の読み比べなんてしないでしょ。比較記者会見なんてくそおもしろくもないって思ってるでしょ。でも、各紙の報道は微妙に異なる。どこを切り取るか、そこが出席記者の腕の見せ所なのかもしれない。けっこうおもしろい時がある。
さて、今年の記者会見で長官が裁判員制度について何と言ったかというと、何も言っていない。裁判員裁判の話がまったく出なかった。制度開始以来初めてのことだ。会見のほとんどはハンセン病隔離法廷の話で埋まった。
いや、今回は新聞社によって対応が大きく分かれた。『読売』が提灯の極、『朝日』が冷徹の極。
顔写真と言えば、寺田長官は竹崎前長官退任の時からご面相がインコさんの餌食になっています。またいろいろ言われるのではないかと。
それほどでもない。人のご面相のことはあんまり言わないのがインコの主義です。一言だけ言っておく、この人の顔はつまらない。
今回の各紙の記事ぶりをどう見るかだが、「ハンセン病隔離法廷で最高裁謝罪」から1週間というタイミングの問題がある。つまりニュースバリューの大きさだ。しかし、「隔離法廷謝罪」集中の事情はそれだけではないぞ。
最高裁にはハンセン病隔離法廷の責任問題はこれで終わりにしたいという思惑がある。詫びの連打で幕を引く「決着狙い」だ。
詫びの連打ですか。でもそんなに間違った間違ったと言ってしまうと、責任はいっそう強く印象づけられるのでは。
違う。最高裁調査報告のでたらめさについてはあらためてじっくり解説する。読者の皆さんにはぜひそれを読んでほしいが、結論だけ言えば、最高裁はそんなに間違ってはいなかったと開き直っているのだ。それほどのことでないのに痛恨事とまで言って頭を下げてるのだからもういいだろうとそう言ってるんだ。
それで今回の記者会見でも、「謝罪しながらも憲法違反と認めなかった」ことへの批判に関する質問が出たんですね。
そうさ。4月25日の裁判官会議のお詫びに続いて今回も長官はあいまいな答弁に終始した。そこに最高裁の汚さがある。
ハンセン病隔離法廷問題に集中したもう一つの狙いは、言うまでもないことだが、憲法に直接関わる「安保法制」問題や、断崖絶壁に追い詰められた「裁判員制度」などから国民の目をそらすことだ。
質問の中では安保法制や憲法改正の是非について最高裁としての見解が問われました。
「裁判にかかっておりコメントを控えたい」とか「国会や社会全体で決めることだ」なんて言って逃げた。ハンセン病関連事件だって再審請求などが出されていて問題は現在進行形だ。何といい加減な返事をするのかと呆れたね。憲法の番人という言葉はこの人の辞書にはないと見える。
裁判員制度についてはまったく触れませんでした。一昨年は『共同通信』が配信したアンケートで「定着したと思う」が3%しかいなかったことが全国に伝わりました。それを知らないはずのない寺田長官が「制度は定着しつつある」とか「おおむね円滑」などと言ったので、みんな口あんぐりになりましたね。
一昨年は、一審の裁判員判決が高裁でひっくり返る例が相次ぎ、国民の裁判員離れがマスコミからも指摘されていた。去年もその状況に変わりはない。それだけじゃない。去年の暮れには裁判員死刑判決の初めての執行もあり、今年2月には出頭率がついに20.9%まで下がった。2割割り込みは目前だ。もう完全に後がない。
惨憺たる状況を前に、推進の先頭に立った最高裁もお先棒を担いだマスコミも、ここは黙ってやり過ごすのが一番と考えたんですかね。
そういえば去年は寺田長官は、「裁判員裁判の審理が十分ではないとも言われる。審理の在り方に工夫が必要」なんていうことも言っていました。
年に一度の記者会見だ。少しでも状況がよくなったのなら、こんなに良くなったと言うに決まっている。彼らはそれを言いたくてしょうがないのだ。つまり今回の無言劇は良いことが何一つなかったと告白しているに等しい。「神は語らぬ所に宿る」ってね。
厳しい言い方をすれば、今回は騙しと隠しの長官記者会見ということになりますか。
これから最高裁は裁判員制度についてどう対応していこうとしているのでしょうか。
万策尽きかけているな。このところ続いている株価の暴落と同じように、最高裁の株がどんどん下がることだけは明らかだ。そして少しも損をしない国民は、冷ややかに観察し続けるだろう。
『朝日』 社会面にたった一段ものの記事でわずか25行。写真なし。見出しは「ハンセン病法廷 最高裁長官謝罪『二度と繰り返さぬ』」。死刑執行報道で勇名をはせた市川美亜子の署名入り。
『読売』 一面左上に六段カラー写真付きと大きな扱い。一面は51行だが社会面に続きがあって計107行。一面の見出しは「最高裁長官『深くおわび』ハンセン病隔離法廷は『痛恨』」。無署名。
『毎日』 社会面左上。モノクロ写真。65行。見出しは「隔離法廷『痛恨の思い』 ハンセン病 最高裁長官が謝罪」島田信幸の署名入り。
『日経』 社会面。これもたった28行。モノクロ写真。見出しは「ハンセン病隔離法廷 差別助長 最高裁長官『深くお詫び』」。無署名。
『産経』 第2社会面にコラム構成。モノクロ写真。34行。見出しは「ハンセン病特別法『謝罪』に最高裁長官『重大に受け止める』」。無署名。
インコは去年、誰が何と言おうとも、また誰からも信用されていなくても、計画が良い方向に進んでいると言い続けるところで、テラダ最高裁長官とクロダ日銀総裁が完全に重なると言ったが、その評価は今年の状況にますますぴったり当てはまる。
虚言はどんどん大きくしないとウソが見抜かれます。そのことをお二人は今一番感じているかも知れません。
最高裁にとって裁判員制度と並ぶ命取りの問題「ハンセン病隔離法廷問題」について、インコは渾身の鼎談を近々ご披露する。長官の記者会見とは後先の順序になるが、楽しみにしていてほしい。
投稿:2016年5月4日