~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
4年前、東京・三鷹市で女子高校生が殺害され、元交際相手の男性が殺人や画像投稿いわゆるリベンジポルノに及んだとされた事件がありました。
3年前に東京地裁立川支部で裁判員裁判の判決が出て、その後控訴審東京高裁の判決も出ました。
この事件については、以前も取り上げた(三鷹ストーカー高裁判決が示す制度の末路)。
今年2月、東京高裁で懲役22年の判決が出て、検察側も被告人側も上告しなかったので、これで裁判が確定したと報道されています。
元の裁判員裁判、その控訴審裁判、差し戻し裁判員裁判、そして今度4回目の控訴審裁判。どうしてこんなことになったのでしょうか。
この裁判、なんか怪しげな経過があったんじゃなかったでしたっけ。
最初の裁判員裁判では、罪に問われていなかった画像投稿を罪に問われているのと同視して懲役22年を言い渡したんですよね。
画像投稿が起訴されていれば有罪か無罪か、有罪なら責任の程度を判定しなければならなくなります。起訴されなかった時は有罪か否かを判定することはできないし、有罪と断定することももちろんできませんね。
この事件の裁判員裁判は、そんな原則はお構いなしに、「ひっでぇ奴だ、リベンジポルノまでしたんだってね」ってみんなでおしゃべりしたんですね。
おしゃべりしただけではない。裁判官が3人もいたというのに、判決の中でもリベンジポルノがあったと断定して、懲役22年と言い切ってしまった。
東京高裁はそりゃおかしいとして原判決を破棄、地裁に差し戻した。結果は裁判員裁判のやり直しだ。
元の裁判員裁判の裁判官たちは恥ずかしくないんでしょうか。自分たちのミスでおかしな判決を出し、審理が長引くことになったんですから。
ミスと気付かなかったかも知れないな。裁判官としての能力不足と重罰要求の裁判員への迎合が重なっていたのだろう。「まっ、いいか」ぐらいのいい加減裁判だったと思う。
画像投稿を外すとなると、刑は前よりも軽くしなければおかしいことになりますね。あれだけ騒がれたリベンジポルノ殺人事件の刑が、なんやかんや言ってるうちに元の判決より軽くなったというのはどうにもまずいでしょうけれど。
画像投稿を俎上に載せるのは忍びないと告訴を見送っていた女子高校生の遺族に検察は何とか協力してほしい、これでお嬢さんの恨みを果たしましょう、と申し入れた。
今度は間違いのない厳罰判決を出させようという一念で突っ走ったのでしょう。
はしょって言おう。やり直し裁判員判決の刑は前と同じ懲役22年だった。
起訴されてなくても22年、起訴されても22年。どっちでも結論は同じと。
今度はもっと重くしたら、元の裁判員裁判は間違いだったと宣言することになる。手続きミスを除けば前の判決で実質的に間違いはなかったというのなら前と同じ量刑にする。その後者を選んだのだろう。
でも、遺族にすれば良い面の皮ですよね。むりむり画像投稿を問題にして裁判を求めたのに、結果の量刑は同じということになると。
検察とすれば、画像投稿を正式に問題にして有罪になったのに、量刑判断に全然反映しないのはおかしいという理屈だろう。一方、被告人側にすれば、画像投稿は元の裁判員裁判の時からしっかり議論されていて、織り込み済みの22年。これ以上重い判決を下す理由はないということだろう。
懲役22年は元々決まっていた。元の高裁判決は、手続きにミスがあったからやり直せと言ったのであって、量刑判断の問題は付け足しのようなものだった。リベンジポルノは起訴されていないのに、起訴されたのと事実上同視した一審判決に対しては、それはちょっとまずいと言わざるを得ない。でも内容そのものにとんでもない間違いがあるわけではないと考えた。それだけのことだ。
この事件の審理から私たちは何を受け止めればよいのでしょうか。
元の一審裁判員裁判は、理屈もへったくれもなく重罰志向で突っ走る裁判員裁判のでたらめさを浮き彫りにした。
追起訴させるという手続きをあらためてとらせたが、結論は前から出ていた。
お飾り裁判さ。裁判官たちにとっては、裁判員たちは単に説得の対象。黙って従ってくれというお客様に過ぎない。
裁判員裁判の重罰暴走とお飾り性と。その2つが今回の裁判の結論ですか。
裁判員裁判にみんな振り回され、やれやれといいながら後始末に追われている感じですね。
そう、この事件ははしなくも裁判員制度の惨憺たる現状を示したと言ってよかろう。
私たちこそもうこの制度にリベンジしなければいけないということですか。
推進勢力の七転八倒がすべてです。君まで、そんなに無理して語呂合わせをしなくてもよろしい。
投稿:2017年2月28日