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インコ独白:寝苦しい夜に廃止を想う

「夏は夜。月のころはさらなり。闇もなお」と言ったのは清少納言姉さん。
李白兄さんが詠んだのは、霜が降りても不思議ではない晩秋の月。
そしてインコは、盛夏の候、真っ暗闇の中でブリザード吹き荒れる制度を詠む。へっ。

静夜思:李白789339
牀前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷

牀前 月光を看る       しょうぜん げっこうをみる
疑うらくは是 地上の霜かと  うたごうらくはこれ ちじょうのしもかと
頭を挙げて 山月を望み    こうべをあげて さんげつをのぞみ
頭を低れて 故鄕を思う    こうべをたれて こきょうをおもう

(関西吟詩文化協会訳)
静かな秋の夜、ふと寝台の前の床にそそぐ月の光を見ると、その白い輝きは、まるで地上におりた霜ではないのかと思ったほどであった。
そして、頭(こうべ)を挙げて山の端にある月を見て、その光であったと知り、眺めているうちに遥か彼方の故郷のことを思い、知らず知らず頭をうなだれ、しみじみと感慨にふけるのである。

(インコのお山文化協会正訳)
ふと目覚めると、ベッド前のフロアに月の光が降りそそいどったねん。寝ぼけ眼で見たらあんまり白かったもんやさかい、「えっ、部屋の中に霜が降りたんかいな」と疑ってしもたわ。そんで、頭を挙げたら山の端っこにお月さんがあってな、ぼんやり見ながら、なんや、やっぱりお月さんの光やったんかいな、寝ぼけとったなぁと。ほんで、帰られへん故郷のことなんか思い出しとったら、なんやまた眠とうなってきて、頭が自然と枕の上や。

080857

さて、ここからが本番やで・・・
(李白兄さんに敬意を表してインコも韻を踏んでいます。)。

廃止思:独白812290
悄然看拒否
疑是鸚哥企
挙頭望一縷
低頭思廃止

悄然 拒否を看る       しょうぜん きょひをみる
疑うらくは是 鸚哥の企みかと  うたごうらくはこれ インコのたくらみかと
頭を挙げて 一縷を望み    こうべをあげて いちるをのぞみ
頭を低れて 廃止を思う    こうべをたれて はいしをおもう

(関東禁止歌協会意訳)
無断欠席や出頭しても拒否するという人たちの数字を看て心が折れそうだ。もうだめだ。いや、これはインコの企みで、何かの間違いじゃないか。悪い夢を見ているだけではと、一縷の望みをかけて書面から顔を上げて事務方を見た。だが、彼らは「間違いじゃない」と言う。がっくりとうなだれ、「もう廃止しかない」とつくづく思う。

(インコのお山文化協会異訳)
事務方が持ってきた書面見て、ほんまがっくり来てもたで。無断欠席激増やて。出頭しても「イヤやと言いに来ただけや。ボケ」て、無茶苦茶でんがな。「ほんまかいな、そうかいな」で済ます訳にいかへん。ひょっとしたら、こんなんインコの企みに騙されてるだけちゃあうかと淡い期待もって書面から顔を上げて、事務方を見たけど、奴もオレの顔じっと見てたわ。そんで、首横に振って「ほんまもんの数字です」やと。こんな制度、もうあかんがなとこっちまでへたばってもたわ。

(現場裁判官遺訳)
お母さん、私もう疲れました。皆いやだ、いやだと言います。そういえば、お母さんもいやって言ってましたよね。これって四面楚歌じゃないですか。
今、昨日終わった裁判員裁判の判決書いているんです。訳わかんない裁判員のご機嫌うかがって、今度は明後日までにこれ書き上げなくちゃいけません。いい加減なもんです。でも、私の気持ちを見透かすように満月の光が、この薄っぺらな文章を皓々と照らしています。
上を見れば所長がいるし、その向こうの向こうに最高裁がいます。でも、だから何なのですか。私の初心は良い裁判官になって良い裁判をすることでした。初心がなつかしいです。
裁判所はもう荒れきっています。田園まさに荒れているかも知れませんが、裁判の世界は終末のブリザードです。

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投稿:2017年7月31日