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裁判員呼び出し 駆けつけたら…

001177これは『朝日』(11月14日)の声欄への投稿のタイトルです。

hiyokosyoumen1裁判員候補者に対する裁判所の姿勢を批判していますね。

001177千葉県に住む70歳以上になる義弟に地裁から呼び出し状がきた。「正当な理由のない不出頭は過料の対象になるかも」などと書かれていた。やりくりして2日間日をあけて出て行ったら、「70歳以上は辞退できるのを知っているか」と聞かれた。えっと思い、「知っているが司法に興味があるので来た」と答えた。事前に辞退したいと裁判所に伝えていなかったし、強い文面で日時を指定している以上、行けばやることになると思っていた。実際には選任で外され、役立ちたいという義弟の気持ちは裁判所に振り回されて終わった。年齢を言うのなら選考の段階で考慮できないのか」。そんな0011文章でした。

1-e1397901276348これは面白い。いろんなことを考えさせられるな。

hiyokosyoumen1今でも、正当な理由のない不出頭は過料の対象になるのですよね。

1-e1397901276348裁判員法にはそう書いてある。

hiyokosyoumen1でも、理由の有無にかかわらず無断で出頭しない人はものすごい数になっているのに、1人も制裁を科されていないんでしょ。

1-e1397901276348そうだ。でも、制裁しないと言い切ってしまうと不出頭者が更に増えるから、最高裁は幾ら有名無実になってもこの規定を改めるわけにはいかない。

001177やってみたいという人は今や極少です。みんなやりたくないと思っているとなると、最高裁としては何があってもこの言葉を消すわけにはいかないんでしょうね。

1-e1397901276348そういうこともあるが、この制度の本質は国民意識の改造にあるのだから、やりたい者だけの制度にするなんていう制度仕組みの本質を変えるようなことはできるわけがないのだ。

001178まね0『朝日』は、こんな人がまだいたんだという感動で投稿を掲載することにしたんでしょうね。制度推進新聞らしい。

hiyokosyoumen170歳以上は辞退できるっていうことは呼び出し状に書いてあるんじゃなかったっけ。

1-e1397901276348書いてある。この義弟という人はその説明も読んだけれど、裁判員をやってみたいと思っていたので、計画していた旅行の日程を切り上げて出頭したというのだ。

001177どうしてそんなに辞退できるんだよとしつこく言うのだ、私はやりたいんだということですね。

HP201642221そう言われても裁判所は簡単には引けない。異議も申し立てず裁判員の仕事をやり通した人から「どうして私に裁判員をさせたのだ」と国家賠償請求の訴訟を起こされたからな。

hiyokosyoumen1トラウマですか。

1-e1397901276348トラウマだかなにうまだか知らんが、最高裁は国賠事件以降、やりたくなければやらないでくれとしつこく言えと現場を指導するようになった。

hiyokosyoumen1やりたくないというのは出頭を拒否する正当な理由になったんですか。

1-e1397901276348裁判員法に出頭義務の規定がある以上、堂々とは言えないが、裁判員就任を事実上抑える方針をとっている。

hiyokosyoumen170歳以上の国民には裁判員資格がないことにするという案はないんですか。

1-e1397901276348そうするとそれは問題だという論が必ず出てくる。大体これだけ不評の制度でも支えようと言ってくれるんだから、テラダ長官なんぞ涙を流して卒倒するほどうれしい話なのだ。

hiyokosyoumen1制度構想としては、やりたくてしようがない人というのはお呼びじゃなかったんでは。インコ先輩は「どうしようかなぁと迷っている中間層が主要なターゲットだ」とか言ってませんでしたか。

1-e1397901276348そのとおりなのだが、ここまで不評と反発が続いたら、そんな原則論を言っている余裕なんてなくなってしまっている。

hiyokosyoumen1とにかく来てくれる人は誰だっていいから来てくれ、拒絶しないでくれっていう状況なんですね。

hiyokosyoumen1そんな状況なのにこの義弟さんのような人を作ってしまっちゃダメじゃないですか。

001177テラダ長官にとっては痛恨事でしょうね。

hiyokosyoumen1くじで外れてがっくりしている人にはテラダ長官の顔写真&サイン入りの感謝状を差し上げるという方針が登場するんじゃないかな。

001177面白い。裁判員候補者名簿登載通知で呼びかけるだけじゃ駄目。奇特な方へのアフターフォローもしていただかなきゃ。

hiyokosyoumen1拒絶がひどく増えて裁判員と補充裁判員の数しか残らないというような場合でなければ、選任期日にはくじ引きが行われるんですよね。

1-e1397901276348そのとおりだ。

hiyokosyoumen1そしてそのことは呼び出し状にはっきり書いてあるんですよね。

1-e1397901276348くじ引きのことは書かれている。

hiyokosyoumen1選任手続きがあると書かれていれば、この義弟さんは自分が選ばれないこともあり得ると考えていてもよかったように思うんですが。

001177呼び出し状をちゃんと読んでいなかったのかもしれませんね。

hiyokowarai1♪やりたいきもーちがままーならーぬ、さいばんのくーじはー、つめたーくはずーれー♪♫

1-e1397901276348(無視して)呼び出し状に「ほとんどの場合にくじびきという手続きがあります。あなたがどんなにやりたくても裁判員にも補充裁判員にも選ばれないことがあり得るのです。もしかするとそうなるかもしれないということを考えて、そうなっても致し方ないというおつもりでお見えください」と太文字で書くことが考えられる。

hiyoko2-1も、そんなことを書くと、旅行を取り止めたり受診日を変更したりしても全部無駄になるかもしれないぞということを事前通告するようなものですね。

001177そんな犠牲を払わなくちゃいけないのだったら裁判所に行かないことにするという人がどっと出てしまいますね。

1-e1397901276348そのとおりさ。それで出頭車は一挙に20%を割る。インコのかねての説明を使わせて貰えば、ワインの本体と澱の境界辺の微妙な層がごっそり不出頭側に言ってしまい、旅行や受診日の変更が無意味になったとしても裁判所やテラダ君を恨まないという奇特な人だけが残るのだ。

hiyokosyoumen1それはまた、制度の破綻をみんなに示してしまうことにもなりますね。

001177日頃司法に興味を持ち、裁判所から呼び出されたので万障繰り合わせて裁判所に駆けつけた人が選任されずに怒っているというそのこと自体が現在の裁判員制度のありようを象徴しているように思います。

20160517114どう取り繕ったところで制度は完全に破綻している。京都地裁の裁判員裁判で行われた青酸事件を見てみろ。裁判員は記者会見で「証人尋問などで専門用語が飛びかい、理解が追いつかず質問も浮かばなかった。素人にもわかりやすい言葉で説明してほしかった」と言ったそうだ(『京都』11月7日)。自分はよくわからないまま判断したと告白している。この事件の判決は死刑だったのだ。

001177やりたいという執念一筋で参加したり、やってもよいという程度の無責任な感覚で参加したりしている人たちがこの国の重大刑事裁判を担っている。

hiyokosyoumen1『共同』の大きな配信記事は、裁判員経験者は「被告人が共犯者と知り合った経緯を知りたいと裁判官に言ったら、明日の公判になればわかると言われた。裁判員はお客さんに過ぎず、なめられている。被告人がどんな人かもわからなかった」という裁判員経験者の言葉を紹介しています (『山梨日日』10月19日など)。

001177「裁判官が教え、裁判員が教えられる関係だった。台本どおりにやっているという感じだった」と言っている女性裁判員の声も紹介していますね。

1-e1397901276348今、最高裁が現場の裁判官に求めているのは「レールは見えないように引け、台本を裁判員に気付かせるな」だ。裁判員の意見を尊重しつつ結論を出しているというように装いながら既定の結論に上手に導いていけるかどうかで裁判官の能力を判定している。

hiyokosyoumen1これまで裁判員を経験した人は5万9000人います。この人たちはいったい今どこにいるのでしょうか。『山梨日日』は隠れキリシタンのように生きていると評する人もいると紹介していますが。

1-e1397901276348そうさ、それらのすべてが裁判員制度の終末の風景なのだよ。

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投稿:2017年11月23日