~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
9月4日。1部メディアに次の記事が流れました。大手全国紙に出ていないとか、「取材で分かった」という『東京新聞』と『msn産経ニュース』の記事が完全な同文(ただし『産経』は「盛り込まれる。」で記事終わり)という、変なリーク記事(?)です。
審理が年単位の『極めて長期間』に及ぶ事件を裁判員裁判の対象から除外できる規定を盛り込んだ裁判員法改正案を、法務省が10月、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することが3日、同省への取材で分かった。
法務省の有識者検討会が6月にまとめた最終報告に沿った内容で、来年の通常国会への法案提出を目指す。
裁判員法は、暴力団事件など裁判員らに危害が加えられる恐れがある場合のみ対象から除外できると規定。改正案では「負担が重すぎて裁判員の選任が困難になる」として、長期審理の事件も除外対象に加える。このほか、地震などの大災害時に裁判員候補者に呼び出し状を送らなかったり、選任手続きで候補者に事件の説明をする際に性犯罪被害者の氏名を伏せたりできる規定も盛り込まれる。
一方で①評議の内容に関する裁判員の守秘義務を緩和する②性犯罪や死刑求刑事件を対象から除く③全員一致の評決を死刑判決の条件にする―措置は見送られる見通し。
裁判員法は付則で、施行から3年経過後の見直しを定めている。
法務省は「見直さないという内容の見直し案」を法制審に諮問するという死ぬほどしょーもない記事。「審理が年単位の『極めて長期間』に及ぶ事件」なんて、裁判員制度の下ではあり得ないでしょ。審理を年単位などにしないためにこの制度が導入されたのだから、当然のこと。国民は、何年も拘束されるからイヤなんじゃなくて、裁判員に呼び出されること自体がイヤなんです。
「地震などの大災害時に裁判員候補者に呼び出し状を送らない」って? 東日本大震災のような大災害の時に呼出状を送らないなんて、ありがたすぎて涙も出ない。だいたい原発事故がまた起きるかも知れないって法務省が考えていることの方が大々問題じゃないんですか。
「性犯罪被害者の氏名を伏せたりできる」ことのおかしさ・あやしさについては、本欄でも最近触れたばかり(密室・暗黒裁判に逆戻り…!?)
それでもって「評議内容の守秘義務緩和」も「性犯罪や死刑求刑事件の除外」も「死刑判決の全員一致要件」も見送るって言うんだから、何とか手直しをしていただいて制度温存の旗振りをさせて下さいと言っていた日弁連もこれじゃぁ顔色なしです。ちょっとぐらい私たちの顔も立ててよという恨み節がインコにも聞こえてきます。
見直せばよくなるような制度じゃない。見直すと言えばどうして見直すのかとかそれでもダメとか議論百出になることが確実。国民に嫌われ、背を向けられ、現場にも「厭制度」気分がまん延している中で見直しなどと言い出したら、それこそ「終わり」の時が直ちに来てしまう…
2004年、何としても裁判員法を成立させようと、政府は「未解決問題は制度実施3年後に再検討」というカードを切って制度を発足させました。09年の制度実施で3年後は12年。だが、この間に国民はどんどん制度から離れていった。3.11で、「もうやってなんかいられない」状態に国民の大半が入ってしまったのです。
で、政府は「見直さないという内容の見直し案」を出すしかないところに追い込まれたっていう訳。
制度を推進する最高裁が制度は合憲だという判決を出し、制度は見直さないと結論を出している法務省がそれでよいかと法相の諮問機関に尋ねる。お笑い茶番劇が繰返される中で、制度は自壊のホームストレッチに突入です。
*併せてお読みください
法務省「検討会」取りまとめ報告書を読んで 弁護士 川村理
投稿:2013年9月6日