~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
夜も更けた覚寿の館。別れの際に一目父に会いたやと苅屋姫。姉の立田と話しおるところに覚寿現れ、色恋に依り丞相陥れし憎き輩と杖持ちて姫を殴りつける…。
だがだがお立ち会い、裁判員制度には父娘の情愛は出て参りませぬ、ありませぬ。間違った御成敗には心置きのう折檻してたもれ。というわけで、今回もインコのお山の長老直伝、苦役に難渋しとうない皆さまのために謹んで裁判員の断り方をお知らせいたしまする。新春プレゼント第2弾は、手習鑑二段目・杖折檻の段でござりまする。
二段目は、初段・筆法伝授の段に引き続きまいて、制度拒否の皆さまがお相手。障子の向こうから「折檻し給うな」などと決して声はかかりませぬ。情け容赦もなく杖を振り回して最高裁を折檻していただきたく存じまする。ではよろしくね。
ちょいと幕間のご挨拶を
制度発足4年、法律成立からは都合9年。そのうち落ち着くだろうという当局のあてが完全に外れたこの制度。仕組みや目的を知る人が増えるにつれて、批判の素材もどんどん増え、反論の突っ込みは鋭くなって参りましたぞ。
「ドンタコスったらドンタコス♪」っていうテレビCMが評判でしたよね(今もやってるかな)。繰り返し言ってればみんな食べたくなるっていう発想のCM。そういう広告戦略もアリだとは思うけど、みんなが食べたくなるには何と言っても本当においしいスナック菓子であることが欠かせない前提ですね。そこで失格したら逆効果です。裁判員制度はその典型。湯水のごとく宣伝広告費をつぎ込んで、いやがる国民を大量生産してしまいましたな。
今年5年目のこの制度。おかげさまで制度がよくわかった上で批判するお方が増えました。「正当な理由がないのに応じなかったら10万円以下の過料」なんて言われると、「正当な理由って何だ」とか「過料と罰金の違いはだな」なんてすぐ反応しちゃったりして。
制度実施以来ペナルティーが1人も科されてもいないことを取り上げた東北のある地方紙が、処罰するのかしないのかここら辺で態度をはっきりさせてくれと社説に書いてました。インコは、この制裁を科された人が4年間に1人もいなかったということは、この間のすべての拒絶には正当な理由があったのだとここに宣言します。
そう、不出頭には正義があります。「赤信号、みんなで渡れば恐くない」という言葉が一世を風靡しましたが、あれには「信号が赤だったらホントは止まんなきゃいけないのはわかってんだけどさぁ」っていう了解がありましたよ。裁判員制度にはそれがないのですね。裁判員制度の場合は、間違った表示をする信号機だから取り外せっていう要求をしていると言ってもいいでしょう。
さて、制度拒否の皆さまにとっては、こんなもの無視すりゃいい、飲み屋で制度批判のうんちく傾けてりゃいいっていうことになるのでしょうか。インコはそれは断固違うと叫びたい。名簿記載の通知書(調査票)にも地方裁判所からの呼出状(質問票)にも、間髪入れずに拒絶の通知を叩き付けましょうよ。あなたの持てる知識・教養を紙の弾丸にして闘って下さいな。
ただし、長老からはきつく「生兵法は怪我の元、知ったかぶりは禁物。言う以上は批判に耐えるものを書かねばならぬ」と言われておりまする。
ご自身に呼出状が来たら「二段目」の線で行き、周囲の方に来たら、その方のタイプにより「初段」で行くか「二段目」で行くか、考えながら周りにも断り状をお勧め下さい。ともあれ通知書にも呼出状にも今こそ闘わんかなの精神でとりくみましょう。通知書に対する出頭拒絶の回答も理由次第で呼出状の送付時に外されますし、呼出状に対する出等拒絶の回答も理由次第で呼び出し取り消しの対象になります。
インコは、こういう断り状はいかがかという「長老直伝・お断り参考文例」をお届けします。文例はあくまでも参考です。適宜加筆したり修正したりしてご利用下さればと存じます。
それでは、続いて皆さまを、第二段「杖折檻の段」へとご案内つかまつりまする。
第二段「杖折檻の段」
これは、ご自身が裁判員裁判についてご存じの知識を使って、自分には裁判員として参加する意思ががないことを理屈っぽく伝えるパターンの断り状です。「イヤだと言ったらイヤなんだ」もドンタコス正義としてしっかり通用しますが、せっかくですから、選ばれし者の特権を駆使して、あんたの言ってることはここが違うんだよとか、私はこういう理由であんたには反対なんだよとか。「目の前にいる相手を打ちのめす気概で一戦交えよ」と長老は申しております。彼らには確実にボディーブローとして効いていきます。これも制度の廃止に向けた大きな力です。
(心構え)
再度、長老からのお言葉。「知識・見識は正確に吐くのじゃ。間違っていたり生兵法だったりすると、人を誤らせますしご自身怪我のもと。言う以上は正確を期す。つまらんことで足許をすくわれないよう気を遣うのじゃ」。ホントくっだらない奴らを私たちは相手にしてるんだよねぇ。
(例えば次のようなことを書く)
□ この国の司法はえん罪・誤判の歴史で汚れている。私はウソに協力する気がない。私を裁判員にしたら法廷でも評議の場でも、そのことを言う。ウソで固めた制度だということを記者会見の場でも告発する。それでも私に裁判員をやらせるか。
□ 私が裁判員を務めたことで外傷性ストレス障害になったりPTSDになったりしたらその責任を必ずとると約束しなさい。最高裁はその兆候を早期に発見せよと現場の裁判官に命じているが、私自身がその危険があると言っているのだぞ。それでも私を呼び出すか。
□ 裁判員など体のいいお飾りのお客さんだ。裁判員が裁判官と対等に論議できるなどと本気で思っている裁判官などひとりもいないだろう。最高裁自身が市民の判断能力を低いと断じ、評議に参加しても表決権は与えるべきでないとも言っていたではないか。
□ 国民に国民を裁かせる制度に私は絶対に反対する。ほかのことで意見を聞かれてもそのことを言う。法廷では被告人にこんな裁判はイヤだと言わないのかと聞く。これだけ言っても私を裁判員に呼び出すのなら、裁判所が私の決意表明を承知したものと理解する。
□ 私は守秘義務を守らず何でも周りに話す。6か月以下の懲役と言われるが、実刑になるはずがないからそれも結構だ。ただし漏らすと表明した自分を敢えて呼び出す裁判所にも責任をとって貰う。知られたくない秘密がそんなにあるというのなら私を呼び出すな。
□ 私は警察が信用できないから被告人の無罪を確信すると選任期日に発言する。これだけ言っても私を呼び出すのなら、無罪を強く主張した私を裁判所が呼び出したのだ、それでもいいのかと検察官に尋ねる。
□ 私は警察が捕まえた以上は被告人の有罪と極悪性を確信すると選任期日に発言する。これだけ言っても私を呼び出すのなら、有罪と重罰を強く主張した私を裁判所が呼び出したのだ、それでもいいのかと弁護人に尋ねる。
□ 裁判所はどうして他の仕事より裁判員の仕事を重視せよと言えるのか。私の商売が裁判員出頭のために困難に陥ったら、私は裁判所に賠償を請求する。そのことを了解したという返事を送ってきなさい。そうしたら私は裁判員を引き受けてもよい。
(工夫のしどころ)
□ こんなこと言ってもいいのかなぁなんて思っている向きがあれば、念のためお答えします。何も問題ありません。ここには何一つウソはないし、そもそも国民には表現の自由という憲法上の権利があるのです。それに、最高裁自身が、やりたくないならやらなきゃよかったのに、やってから文句つけたりするなよって言ってるんですからね。
□ 初段でも申し上げましたが、ここに紹介したことを組み合わせて書いてもよいし、ほかにいろいろ考えて書き足しても結構です。たくさん書いた方が説得力が増すでしょう。がんばれ主権者の皆さま。なお、書いたものは送る前に必ずコピーをとっておきましょう。
□ 大事なことは、こいつを呼び出すとろくなことにならないと裁判所を動揺、震撼させること。ヘンな奴を呼び出した責任を最高裁から問われるのは現場の裁判官。こりゃ危ないやと思えばさっさと削ります。「裁判員制度絶対反対」と書いたたすきを着けて出頭しただけで裁判員に選ばれずに済んだ人もいる。そういう行動をとるぞと前もって知らせようというのが二段目の精神です。
この段のむすび
放っておいても処罰されないのなら放っておこうかと思っている方にあらためて長老からひと言。
やっぱり断り状はちゃんと書くべきじゃ。納得していないという意思表示の場として、この機会を効果的に使うのじゃ。この行動は、単に裁判員に選ばれないことを狙うだけでなく、制度に対する批判がこれだけ強いのだと裁判所に思い知らせる行動なのじゃからな。
ということで、あなたのひと言が彼らを確実にめげさせ、いやにさせます。裁判官たちも裁判所の職員たちも、本当のところどうしてこんな制度を始めちゃったんだと思っているのです。本当に悪い奴はこの国のど真ん中にいる数少ない連中だけです。
初段の断り状が初手の反撃とすれば、第二段の断り状は切り込み隊の反撃です。日ごろの学習をここに練り上げ絞り上げて舌鋒鋭く切り込んで下さい。ではでは皆さま、グッドラック!
最後にインコからのお願い
初段と同じく、裁判所に送る断り状のコピーを送って下さい。「裁判所に送る一通の手紙」大コンクールを開催し、そこで紹介させていただきます。
投稿:2014年1月5日