~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
こてこての浪速のこいさんこと私インコマネージャーは、5月23日に埼玉会館で開催された「裁判員制度に断固反対する集会」に参加いたしました。ランダム報告と感想めいた一言を。
主催団体「裁判員制度に反対する埼玉市民の会」が、毎回きちんと報告集を出されているので、しゃしゃり出ずに遠慮することにしまして。
集会名称は、ずばり「5.23裁判員制度に断固反対する市民集会」。副題は「まっぴらごめん裁判員」。後援「埼玉弁護士会」。弁護士会が後援しているというのも素敵!
日弁連執行部が裁判員制度推進の旗振りをしていることを考えると、真っ当な弁護士会がまだあったんだと驚きだなぁ。
集会には、現正副会長のほか、歴代の会長さんが並んでましたね。集会は6回目。当日の講師は衆院でただ1人法案成立に抵抗された辻恵さんと、インコのホームページでたびたびお世話になっている札幌弁護士会の猪野亨さん。
猪野さんは『マスコミが伝えない裁判員制度の真相』という共著本を出版された。その共著者は確か新穂正敏さんと立松彰さん。
新穂正敏さんは埼玉弁護士会の会員、立松彰さんは千葉県弁護士会の会員。新穂さんは「市民の会」の代表としてあいさつをされ、同じ埼玉弁護士会の立石雅彦さんが「裁判員制度見直しに関する意見書」(埼玉弁護士会刊。2012年12月発表)の解説をされました。
辻さんの講演。「司法改革は偽物改革」「中坊路線はメチャクチャ」「証拠による裁判を否定する裁判員制度を潰す」との思いで国会に臨んだと。議員の実名を上げてのリアルな話に辻さんの悔しさと奮闘ぶりがにじみ出ました。
それがすっかりダメダメ。日弁連の制度推進論を叩いていた辻さんのところには、議員総当たりのロビー活動を展開していた日弁連も恐れをなしたかあきらめたのか、さすがに来なかったそうですけど。議員の中には、後になってから「反対すべきだった」と反省の思いを辻さんに話した人がいたとか。
辻さんは、今回の盗聴法拡大や司法取引などの刑訴法改悪についても、日弁連執行部が「可視化も一部認められたんだから」と賛成要請のロビー活動を展開していることをあげ、野党議員も「日弁連が賛成しているんだから」とか「専門家が賛成しているんだから」とコロッと納得してしまうと言われた。
議員は立法の責任当事者なのだが、すべての法案に精通してはいない。遺憾なことだけれどもそれが実際の姿だ。それだけに日弁連の罪は万死に値する。
そういうことです。共謀罪の前段のサイバー法案についても、辻さんは、賛成・反対の拮抗情勢の中で、棚上げを追求しようとしていたら、日弁連からカイトとかなんとかいう弁護士が来て「日弁連の提案を受け入れてくれた法務省に感謝する」なんて言ったことで、棚上げを言っているのは辻さんだけということになり、自分は日弁連の立場とは違うということになってしまったと。
民主党政権の崩壊話や法務官僚主導の法律作りなど、国会はまさに魑魅魍魎の世界。彼らは長期的な見通しを立てて様々な法案を用意し、具体化のタイミングを計っていることがよくわかり、あらためて権力の恐ろしさを感じさせられましたね。
猪野さんの報告。マスコミの報道を丁寧に分析された結果については、前掲の本を見ていただくとしましょう。猪野さんは、出頭率の欺瞞をバッサリ。裁判員法は裁判員候補者が裁判所に行くことを「出頭」と規定しているのに、最高裁は公式のデータなどで、そのことを「出席」と言っていることを問題にしました。
猪野さんは、「司法修習は終了か、修了か」と、最高裁、法務省、日弁連に尋ねたら、最高裁からは「裁判所法に規定がない」として回答できないと答えられ、法務省からは「所管でない」ので答えられないと答えられ、日弁連からは「裁判所法に『司法修習を終えた者』とあるから終了だ」と答えられたそうな(この辺りの追及の仕方はインコさんに通じるものがあると思った事は猪野さんに失礼だから黙っていよう)。
みんな根拠や拠り所にこだわっている。ところが、こと裁判員に限っては最高裁は法律にない言葉を使う。「来い」に通じる「出頭」という言葉を使いたくない心情がありありなのだ。法律の規定から外れても「出席」を使ってクラス会風や運動会風を装う。そしてマスコミもそれにならう。
マスコミは裁判員の任務を美談話に仕立てるキーワードに「責任」という言葉を使っていると猪野さんは言われました。
また、最高裁のアンケートに裁判員経験者の9割以上が「良い経験をした」と答えていることについて、裁判官から思わぬ「おもてなし」を受け、一生のうちに見ることのない場所を特別に見せてもらい、到底経験することのない経験をさせていただいたら、答えはおそらく「良い経験」になるだろうと言われました。
インコ一言。5月21日付け『産経新聞』は、「裁判員制度6年 経験者は『参加してよかった』でも辞退率は増加傾向」というタイトルで、次の記事を掲出しました。
「経験者と未経験者の感覚乖離(かいり)が明らかに」として、「最高裁が平成26年に行った経験者アンケートでは、「参加してよかった」と考える裁判員は95.9%、補充裁判員も94.9%とほとんどが肯定的」だが、「最高裁が今年初めに行った国民アンケートでは、『裁判員として参加したい』もしくは『してもよい』とする回答はわずか12.3%。『参加したくない』は87.0%だ。また、裁判員候補者の辞退率は増加傾向で、昨年1年間では64.4%。今年は3月までの3カ月間で67.1%と施行初年に比べて14ポイント上昇」と。
インコはこれまで何度も言っていることなのだが、この「経験者アンケート」というのは、はっきり言ってイカサマアンケートなのです。被告人に判決を言い渡した裁判員たちが異様な興奮状態で控え室に戻り、裁判官たちや裁判所職員たちから「お疲れさまでした」とか「ありがとうございました」とか口々に言われ、裁判所によっては感謝状や記念品が贈られたりする。その場で間髪を入れずアンケート用紙が配られ、短い時間で感想を書かされる。疲れている裁判員たちに長い時間をかけさせることはしない。それがこのアンケート。そして裁判員たちが書いている間、まわりに立っているのは裁判所の職員。日当の支払いはこのアンケートを提出してからのこと。裁判員経験者に後日アンケート用紙を送って書いて貰い送り返させるようなやり方で集めているものではまったくない。
こういう状況は明らかに人間の心理を普通ではないところに追い込みますね。後にPTSDで車の運転ができなくなったり、仕事を辞めざるを得なくなった人たちも、その時は「良い経験をした」と回答しているのじゃないでしょうか。そして、その人たちは、今、アンケートを取ると「悪夢だった」というような感想になっているのでは。消しゴムで消せるものなら、あの経験はなかったことにしたいとか…。
そうさ、百歩譲ってもだ。もしアンケートを取るのなら、落ち着いて経験を考えることができる状態になってからやるべきものだろう。そしてそこには「もう一度経験したいと思うかか」とか「自分が被告人になったら裁判員に裁かれたいと思うか」という質問を加えるべきだろう。それが客観的な調査というものだ。
このほか、猪野さんは、批判されない裁判員、量刑判断で暴走する裁判員、ついに最高裁が裁判員裁判の判決を否定と、この間の裁判員裁判の問題を次々に明らかにされ、最後に裁判員制度に関連した予算について話されました。
2005年が16.6億円、06年106.4億円、07年128.3億円、08年122.5億円、09年103.5億円、10年55.1億円、11年51.9億円、そして今でも年間50億円以上が使われていると。
国民の8割5分以上がやりたくないと言い、刑事裁判をとことん破壊する制度について、これからも毎年50億円以上の国民の税金をぶち込んでゆくのかどうかという問題だ。
「市民の会」の「報告集」ができたら、入手方法等をこのホームページでもご案内いたしますので、ぜひご覧下さい。
おまけ:浦和駅から埼玉会館まで、集会を案内する立て看板があちこちに。
すごい!
写真はインコ応援団の千恵子団長(勝手に団長にしちゃったよん)と猪野さん。
投稿:2015年5月29日