~裁判員制度はいらないインコは裁判員制度の廃止を求めます~
猪野亨弁護士ウェブ連続講座
「マスコミが伝えない裁判員制度の真相」第4回
「裁判員を絶賛するマスコミと自己矛盾に陥ったマスコミ」ということですが、裁判員制度に対する国民の拒否というのは並大抵のものではありません。
8割出頭といわれましたけれども、年々減ってきて、いまや、最新の数字では、事前に認められた辞退率が、平成26年で64.4%、平成27年度(速報値)で64.8%と、7割近くが事前に辞退を認められるようになっています。着実に辞退が増えています。私たちの期待通りに(笑)。こんな制度が国民の中に受け入れられるはずがないといってきたことがそのまま数字となって表れています。
ですから、現実の出頭率も着実に減っています。平成26年26.7%、平成27年25.4%、4人に1人しか裁判所に来ない。平成21年には一応、40%を確保していた訳ですから、減るところ、止まるところを知らないというくらいの下げ幅ですね。
滑稽だったのは、11月12日に発送された裁判員候補者名簿搭載通知に、最高裁長官が自分の顔写真をくっ付けたお願い文書を同封すると。ここまで来ちゃったということは、危機的な状況にあるということを、最高裁もはっきり認識しているということなんですね。でも、自分の顔写真くっ付けてどういうつもりなんだろ(笑)と思いますけどね。
最高裁は、「出席」なんて書いていますが、法律用語ではありません。裁判員法には「出頭しなければならない」と書いてあるけれど、「出席しなければならない」とは書いていないのです。
それにも関わらず、「出席」という言葉を使っているのは、もうお分かりのとおり、「出頭」なんて書いたらイメージが悪いからです。「出頭」というと命じられているのかとなりますが、「出席」というと自分の意思で参加しているようなイメージがあるという、もう誤魔化しそのものです。
マスコミ自体が、ここを指摘するということはまずないですね。マスコミも「出席」という言葉を使います。
ほんとに最高裁はずるいんですよ。少し話がずれますが、弁護士、裁判官、検察官になるためには司法修習を終えなければならないのですが、「司法修習をしゅうりょうする」と言った時、「しゅうりょう」はどんな字を書くと思いますか。終了、修了。(会場から「修める」の声)。修了、修めると思うでしょう。違うんですよ。
日弁連は、終わるという字を書くんです。終わると了。では、なぜ修めるではないのか。日弁連に確認したら、「法文上は、終えると書いてあるので、終了を書いています。これが正式な見解です」という回答でした。
法務省に確認しました。司法制度改革顧問会議でしたか推進会議でしたか、正式名称をちょっと忘れましたが、提出された文書には「終了」という字が書いてありました。法務省の見解はどうなのかと聞いたら、「うちは、所管でないのでお答えできません」。司法修習の所管は最高裁なんですよね。ですから、法務省では答えられないと。
最高裁はどう答えたか。「終わるか修めるか、どちらですか」。すると最高裁は、「法文上にないので正式回答はできません」(笑)。法文上は「司法修習を終えた者」と書いてあるんですね。「終えたとは書いてあるが、『しゅうりょう』については書いていないので、お答えできません」ということなんです。
この最高裁の立場に立つと、法文に書いていないものを、なぜ、公のものに書くのだということになります。「出頭」とあるのに、「出席」と置き換えるのかと。こういうインチキをやっているのが最高裁で、それを指摘しないのがマスコミということになります。
インコ一言:出頭を出席と言いくるめようったって民は踊らじ。なんたって、裁判員やって病気になったら「辞退できるのにしなかったあなたの自己責任」なんだから。そして、2015年11月末で出頭率はめでたく24.9%。拒否は止まるところ知らず!
投稿:2016年1月30日